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- 更新日:2020年9月9日
- 公開日:2019年11月13日
【子育てアドバイザー流】子供にイライラしない育児法とは?
夫婦共働きで両親ともに多忙な日々を送る家庭が増えているこの時代、育児に悩み、どうしても子供にイライラしてしまう若いパパやママが増えています。
そこで、『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』の著者で子育てアドバイザーの高祖常子さんに、イライラしない育児法についてお話を伺いました。
そもそもなぜ我が子にイライラしてしまうのか、怒鳴ったり、叩きそうになったりする前のクールダウンの方法など、困ったときの対処法を教えていただきました。
子育てをしていれば、イライラしてしまうときは誰にでもあるもの。そのイライラを解消する方法を知ることで、爆発しそうなイライラの種を減らしていきましょう。
目次
日本でも体罰禁止が法律で明示されるように。
世界では57ヶ国が子供への体罰を法律で禁止しています。
世界で初めて体罰を禁止した国は、スウェーデンで、今から40年前にさかのぼりますが、日本でもようやく今年の6月に「児童福祉法等」の改正案が全会一致で可決され、「親権者等からの体罰禁止を法律で明示する」改正法が成立。来年2020年の4月から施行されることになりました。
かつての日本では“愛のムチ”という言葉があるように体罰は珍しいものではありませんでしたが、実は、体罰や暴言は子供の脳の発達に深刻な影響を及ぼすことが知られるようになってきました。福井大学の友田明美教授によると、厳しい体罰で脳の前頭前野が萎縮し、言葉の暴力により聴覚野が変形してしまうという医学的な研究データも発表されています。
さらにセーブ・ザ・チルドレン(※1)が2017年に全国2万人の大人を対象にアンケート調査を行ったところ、日本では子供のしつけのために叩くことを容認する親が約6割、実際に叩いたことがあるという親が約7割という結果が出ています。
日本人の意識として、体罰はまだ容認されているところがありますが、これからは「叩かない、怒鳴らない子育て」を推進していく必要があります。「たまたま」や「ちょっと軽く」でも、その最初の一歩がどんどんエスカレートして重篤な虐待になってしまう可能性もあります。いかなる場合にも「体罰は絶対NG!」という認識をもつことが大切ですね。
※1セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)
子供支援活動を行う、民間・非営利の国際組織。1919年、イギリス人女性エグランタイン・ジェブによって設立。現在、日本を含む29ヶ国の独立したメンバーが連携し、約120ヶ国で子供支援活動を展開している。
参照:
セーブ・ザ・チルドレン シンポジウム報告書『子どもに対する体罰等の禁止に向けて』
子供が言うことをきかず、イライラしてしまうのですが・・・。
子育ては誰もが初めて経験すること。パパやママも初めて親になるわけですから、いろいろうまくいかなかったり悩んだりするのは当然です。「なぜこの子はこんなに私を困らせるのだろう」と思うことも多いでしょう。でも、子供は決してあなたを困らせようとしているわけではありません。
例えば、よく耳にするのが食事中のトラブルです。目の前にある食事をなかなか食べない、ぐちゃぐちゃにして散らかしたり、酷いときには落としたり投げたりしてしまうことも。親からしたらわざとやっているようにしか見えないかもしれませんが、乳幼児には次のような3つの状況が考えられます。
①お腹が空いていない
子供が食事で遊んでしまう理由のひとつに、お腹が空いていないことがあります。お腹が空いていればまず遊ぶ前に食べるでしょう。決まった時間に食事をするようにしてリズムを整える、食事の前にたくさん遊ばせるなど、お腹を空かせる工夫をしてみてください。
②食べ物とおもちゃの区別がついていない
低年齢の乳幼児は、まだ食べ物が遊んでいいものかいけないものなのかという区別がついていないこともあります。食べ物で遊んでしまい、手触りや落ちる音を楽しんでいることがあるのです。
③ママやパパにかまってもらいたい
忙しいママにかまってもらいたくて、わざと投げたりすることもあります。そうすることで慌ててママが自分のもとに駆けつけてくれたり、反応してくれるのが嬉しいからです。
ある程度食べたところで食べ遊びを始めた場合は、「もう食べないの。ごちそうさまなのね。」と言って、さっさと下げてしまうのも手ですよ。食べ物での遊びを続けさせず、きっぱりとおしまいにしてしまうことも大切です。
「叱る」と「怒る」の違いとは?
「怒る」は、「なにやってんの!」、「うるさいなあ!」などと、感情的になって自分の怒りを爆発させているものですが、「叱る」は冷静に「それはダメ」と困った行動をストップさせることです。そこで大声を出したり、「ダメでしょ」と言ったあとにペシっと叩いたりする必要はまったくありません。
例えば電車の中で騒いだり、泣きわめいたりして困ると思うのなら、電車に乗る直前に次のような会話をしておくといいでしょう。
①今日は電車に乗って、いくつ目の〇〇駅で降りて○○に行くからね。
②電車の中ではアリの声で話そうね。
たいていの子供は親にどこで降りるか知らされていません。子供にとってすぐに飽きてしまう電車の中は、永遠に続く苦痛の空間に思えてしまいます。それで泣いたり騒いだりすることも多いので、「いくつ目の〇〇駅で降りるよ。」と教えてあげれば、「次は5つ目だね。」、「次〇〇駅だって!次で降りるんだね。」と子供の方から教えてくれたりします。
大きな声を出したときには、「電車の中では何の声だっけ?」と小声で聞いてみましょう。子供が小さな声で「アリの声!」と言ったら、「そうそう、それそれ。電車の中ではそうやってお話しようね。」と対応してみるといいですね。
電車で飽きてしまいそうなら絵本を持参していく、小声でしりとりをするなど、車内での過ごし方を考えておくのも一案です。要するに「叱る」とは、自分の腹立たしい感情を子供にぶつけることではなく、子供の行為をよりよい方向に導くよう冷静に注意することなのです。
イライラが抑えられなくなったらどうすればいい?
親も人間ですから、ふだんは冷静に対処できることも、日によって体調が悪かったりストレスが溜まっていたりすると、些細な子供の言動についカッとしてしまうこともあるでしょう。
まずは瞬間的なストレスの爆発を防ぐことが大事です。
そんなときは次のような方法があります。
①深呼吸する
②数をかぞえる
③(子供が安全な場所にいれば)トイレに行くなど少しだけ場を離れる
④風にあたる
⑤鏡をみる
⑥チョコなど好きなものを口に入れる
⑦好きな音楽をかける
日ごろから気分転換できる、自分なりのクールダウン法を見つけておきましょう。日々のイライラ度合を減らすように心がけることも大切です。
パートナーとのコミュニケーションも大事にしましょう。パートナーに本音を伝えていないことも多いものです。育児は1人で抱え込まず、パートナーにも協力してもらいましょう。
パパはいつも仕事が忙しく、子育てや家事をする時間なんてないと思っていても、それは案外あなたの状況を知らない、実感していないだけかもしれません。晩ご飯を作って、食べさせて、お風呂にいれて、寝かしつけて、ということを毎晩1人でやっていること、まったく自分の時間がなく休めずもうヘトヘトだということを伝えましょう。状況を客観的に伝え、やって欲しいことを相談してみると、毎日は無理でもできることからサポートしてくれるかもしれません。まずは具体的に伝えることです。
なかなか協力してくれないパパの場合は、一緒に育児講座などに参加してみるのもオススメです。夫婦で子育てやパートナーシップなどについての情報を共有することができます。
思わず叩いてしまった場合は・・・。
よく講座の後に「つい手をあげてしまった。」と、涙ながらにご相談に来てくださる方がいらっしゃいます。そんなときには、つらい気持ちに寄り添いながら「今日からやめれば大丈夫。」とお伝えしています。相談にいらしたということは、「そうしなければよかった。」という気持ちをもっているということ。今から叩いたり、怒鳴ったりするのをやめる、そのためにはどうすべきか工夫すればいいだけのことです。
いつも怒鳴ってしまうけれど、しかたがないと思っているのと、やめようと決めているけれど、つい怒鳴ってしまったのとでは全然違います。
一旦、叩く、怒鳴るのをやめると決めれば、きっと、その頻度は減ることでしょう。たまたま1回叩いてしまっても、叩かなかった期間の方が長いはず。叩かなかった自分を認め、それを増やしていきましょう。
どうしたら家族みながイライラしないで笑顔で過ごせるかという視点で、考えてみることがポイントです。例えば自分の時間がもてないことでイライラして子供にあたってしまっていると思うのなら、どうしたら時間がもてるかを考えます。週末にパパとバトンタッチする時間を作る、週に何回かはパパやおじいちゃんやおばあちゃんにお迎えを頼むとか、それが無理ならファミリーサポートさんなどに頼むのもいいでしょう。毎日の食事作りが負担なら、宅配サービスを利用したりお惣菜を買ってきたりするなど。
可能なことから一つひとつイライラの種を減らしていきましょう。いつも家族の誰かが怒っている状態では、家にいても親も子供も心と体が休まりません。なるべく家族みんなが機嫌よく過ごせるにはどうしたらいいか考えていくことです。
自分だけで解決しようと無理をせず、誰かに相談しましょう。パートナーはもちろん、ママ友でも行政の相談窓口でも、子育てひろばのスタッフなど、相談する場は意外とたくさんあります。相談しやすい場所や相手を見つけましょう。
インタビューを終えて
何を質問してもわかりやすく具体的な対処法を教えてくださった高祖さん。残念ながら字数の関係ですべてはご紹介しきれませんでしたが、子育てに悩むパパやママへのアドバイスをたくさんいただきました。ご興味がある方は、高相さんの著書『イラストでよくわかる感情的にならない子育て』(かんき出版)を参考に、ぜひ自分に合った「怒らない育児法」を見つけてくださいね。
プロフィール:高祖 常子(こうそ ときこ)
子育てアドバイザー/育児情報誌『ninaruマガジン』エグゼクティブアドバイザー。保育士、幼稚園教諭、キャリアコンサルタント、社会教育主事(任用)、ピアカウンセラー等の資格をもつ。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事マザーリングプロジェクトリーダー、NPO法人タイガーマスク基金理事、NPO法人子どもすこやかサポートネット副代表ほか。全国13万部発行の『育児情報誌miku』編集長として14年活躍。主な著書に『イラストでよくわかる感情的にならない子育て』(かんき出版)等。
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