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英語絵本には、日本語の絵本にはない世界観、独特の色彩やユニークな物語がたくさんあります。
「わあ、素敵!」「ウチの子にも読んであげたい!」と思っても、「発音は苦手だし」「英語は得意じゃないし」といったネガティブな気持ちがよぎり、ためらってしまう親御さんは多いもの。
今回は、元同時通訳者で、ロングセラー『何でも英語で言ってみる! シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)の著者、光藤京子先生に、英語絵本の読み聞かせのコツや、オススメの英語絵本などをお聞きしました。
目次
すべての絵本において言えることですが、子供に絵本を読むときというのは、たいていお膝の上だったり、親と一緒に寝ながらだったりしますね。だから、「絵本=スキンシップの時間」なんです。
また、親の肉声というのも子供には心地いいものです。思い出の中にじんわりとしみこんで、大人になったときふとよみがえります。記憶の中のタイムカプセルみたいなものですね。それは、親子の時間が醸成してくれる、大切な宝物です。
もちろんです!
英語が苦手で発音に自信がなくても、あまり気にしなくても大丈夫です。
小さいうちは、聞く音すべてが面白いのですよね。その子が英語を覚えたかどうかは、あんまり気にしない、期待しないことです。
全文英語で読む必要もありません。たとえば、親が読める単語だけ英語で、あとは日本語でも十分です。
小さな子供には「外国語」という認識がありません。ですから、言葉が増えていく時期の子供は、言葉の違いそのものをあまり意識していないのですね。日本語、英語、という概念もありませんから。
英語絵本だからといって、「苦手!」「できない!」と、親が身構えすぎないほうがいいんです。
もし、お母さんが英語の音読にどうしても不安があるなら、イチから勉強してみてはどうでしょうか?
たとえば、同時通訳の技術を磨く方法に、聞いた音声を追いかけるように読みあげていく「シャドーイング」という方法があります。
人気の絵本なら付属CDやYouTubeなどで朗読が聞けることもありますので、それをシャドーイングすることで、英語独特のリズムや間(ま)が自然と身につきます。
「子供に英語絵本を読む!」という必要があればこそ、頑張れるというものです。子供は、いろんな面で親を成長させてくれますね。
流暢に読む、きれいな発音で読むことよりも、臨場感たっぷりに堂々と読むほうが大事です。
たとえば、馬の鳴き声が出てきたら、馬のいななきを真似て、“Neighhhhhh!”(ヒヒィィン!)と、大胆に馬になりきってみるなど、ドラマチックに読みあげたほうが、子供は絵本の世界にのめりこんでいきます。
日本語でも、ただの棒読みじゃつまらないですよね。あえてゆっくり読んだり、行間に「ため」を作るのも、子供を楽しませるコツではないでしょうか。
子育てのあらゆる場面で、お母さんはいろんな「顔」を求められます。
ときには子供をなだめすかしたり、言いたくないことでも毅然とした態度で叱ったり、疲れていても子供を抱っこしたりおんぶしたり・・・、お母さんは本当に1人で何役もこなす役者のような存在です。母は女優、私はそう思います。
ですから、絵本の読み聞かせのときも、ぜひ、女優になりきって、絵本の世界を表現してみてほしいですね。
子供に興味を持ってもらうもう1つのコツは、日本語の絵本の場合もそうですが、「今日はどれを読む?」「読みたい本を3冊選んでね」と、子供に選ばせることです。
子供が選んで持ってきたら「いいのを選んだね!」「面白そうじゃない!」と、お母さんもその絵本に関心を示すといいですね。
子供の興味がどんなところにあるか、それを知っておくと、今後の絵本選びのヒントになります。
たとえば、絵本を読んだときの子供の反応を、できる範囲でかまわないのでメモしておくのも一案です。よく笑ったところはどころか、どんな絵本をよく手にするかなど。子供の成長の記録にもなります。
毎回やると大変ですから、できるときだけ気楽にやるといいですね。
邦訳:『はらぺこあおむし』(エリック=カール さく/もりひさし やく/偕成社)
誰もが知る大人気の絵本です。食べ物や数の表現が豊富で、あおむしが食べた跡の穴あきのページがあったりと、子供が楽しめる要素がギュッとつまっているのが、魅力です。
3歳以上の子供なら、あおむしが食べて大きくなり、成長していく姿に、生き物への興味が増すでしょうし、太陽や緑の葉に、自然への好奇心も刺激されます。さりげなく曜日の表現が出てくるのも、とても教育的です。
たとえば“He was still hungry.”と、同じセンテンスの繰り返しが続くのも読み聞かせ向きです。英語が併記された邦訳『英語でもよめる はらぺこあおむし』(偕成社)もあります。
邦訳:『おやすみなさい おつきさま』(マーガレット・ワイズ・ブラウン さく/クレメント・ハード え/せた ていじ やく/評論社)
日本語でも話せるようになる2〜3歳くらいなら、この絵本のセリフもきっと言いやすいと思います。寝る前に聞かせるといい本です。
少しずつ眠りに誘(いざな)っていく物語なので、少しためを作って、ゆっくり読むといいですね。オススメのポイントは動物がたくさん出てくるところ。一緒に動物探しをしてみても楽しいですよ。
“kittens”-“mittens”、“toyhouse”-“mouse”、”mush”-“hush”など、韻を踏んだ文章や、“Goodnight”の短いフレーズの繰り返しも、読んでいて心地いいです。
邦訳:『おいしー! べーっ!』(レスリー・パトリセリ え・ぶん/おおはま ちひろ やく/パイ インターナショナル)
1歳半くらいの子供にとても人気の絵本です。
このシリーズには、食事、お風呂、トイレなどの生活習慣、ハロウィンやクリスマスといった季節行事などがあり、子供の日常を追体験できます。日本語版は英語も併記されているので、日本語と英語を織り交ぜて読むときにとても便利です。
“yummy”-“yucky”、“soup”-“soap”など、韻を踏んだ言葉や反対の意味の言葉が見開きページごとに展開しているので、リズムもいいですし、パッと絵で見て言葉のイメージもしやすいです。
邦訳:『くまさん くまさん なに みてるの?』(エリック=カール え/ビル=マーチン ぶん/偕成社編集部 やく/偕成社)
1〜3歳くらいの子供にオススメの絵本。
“Brown bear, brown bear, what do you see?”(くまさん くまさん、ちゃいろい くまさん、なに みてるの?)の問いかけに、“I see a red bird looking at me.”(あかい とりを みているの。)と続きます。
そして、“yellow duck”(きいろい あひる)、“blue horse”(あおい うま)、“green frog”(みどりいろの かえる)、などの動物たちが次々と登場、カラフルな動物たちを見ながら、色の単語にたくさん親しめます。
この絵本のユニークな点は、最後に登場する“mother”(おかあさん)は、“children”(こどもたち)を見ているという展開。ラストは「あなたのことを見ているよ。さあ、あなたは何を見ているか、教えて!」、そんな気持ちで語りかけると、子供も絵本の登場人物の1人になれます。
英語が併記された邦訳『英語でもよめる くまさん くまさん なに みてるの?』(偕成社)もあります。
邦訳:『おとどけものです。』(ロッド・キャンベル さく/あすなろ書房)
動物たちが入っている檻やカゴなどの絵の部分に仕掛けがついている絵本です。触れる楽しさ、めくる楽しさがあり、とくに1〜2歳くらいの子供は、仕掛けの部分を触わりたくて、待ちきれなくなるでしょうね。
“He was too tall!”、“He was too scary!”、“He was too jumpy!”など、同じフレーズが繰り返されるので、“He was too・・・“の部分は何度も聞いているうちに覚えてしまいます。“tall”、“scary”、“jumpy”といった単語は、ジェスチャーや表情をプラスして読み聞かせると、子供たちも喜びます。
動物はたくさん出てくるけれど、動物の名前が表記されていないのが、この絵本のもう1つの面白さ。動物の名前を「これ、なあに?」と子供にたずねてみてもいいでしょう。
「けろけろ!」「がおー!」というふうに、子供と一緒に動物の鳴き声や特徴を真似てみるとさらに楽しい読み聞かせになります。
発音はあまり気にしないこと!そして、強弱をつけたり、印象的なシーンに反応したり、絵本の物語に共感する姿を子供に見せることが大事です。
親が「この絵本、面白い!」と心から感じていたら、自然と子供に伝わります。
たとえ読めなくても、子供の目線に英語絵本があるだけでもいいのですよ。何かの機会に開いてくれるかもしれません。でも、期待しすぎないこと。子供が育つ環境の中に英語絵本がある、ただそれだけで、ふだんの生活と違うもの、異国情緒にも自然に触れられます。
絵本の原画展などもたまに開催していますから、親子ででかけてみるのもいいでしょう。
「こうしなければいけない」「覚えさせなければいけない」と構えずに、お父さんとお母さんが一緒に楽しむことを忘れないでくださいね。
「自分は英語が苦手だけど、子供には英語をできるようになってほしい」、そう考えている親御さんは少なくありません。「苦手なことはDVDや動画に任せておこう」と思いがちですが、英語絵本と向き合ってみたら、親子が触れ合うスキンシップの1つとしても楽しめるかもしれません。
「『自分の下手な発音を子供が覚えたらどうしよう』と心配するお母さんもいますが、そんなことはないですよ」、光藤先生はきっぱりとおっしゃいました。そして、「絵本は世界への扉」とも。
扉を閉ざしてはもったいない。ぜひ、もっと自由に、気軽に、英語絵本の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
プロフィール:光藤 京子(みつふじ きょうこ)
執筆家・異文化コンサルタント。会議通訳、翻訳ビジネス、東京外国語大学などでの指導経験を生かした書籍、記事ブログを多数執筆。代表作の『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、ベストセラーになった『何でも英語で言ってみる! シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか、『英語を話せる人 勉強しても話せない人 たった1つの違い』(青春出版社)、『英語だって日本語みたいに楽しくしゃべりたい リアルライフ英会話 for Women』(大和書房)、『伝わる英語 5つの鉄則』(コスモピア)など。最新作に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。
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© Disney © Disney/Pixar
© Disney. Based on the “Winnie the Pooh” works by A.A. Milne and
E.H. Shepard.
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