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  • 公開日:2019年8月30日

子育てのイライラ、どうすればいい?『もう ママったら!』の絵本作家・寺島ゆかさんにインタビュー!

子育てのイライラ、どうすればいい?『もう ママったら!』の絵本作家・寺島ゆかさんにインタビュー!

子供はかわいいけど、言うことをきかない、やるべきことをしないなど、お母さんのイライラがピークに達することもしばしばありますよね。
そんなときオススメなのが絵本『もう ママったら!』です。
この絵本には、犬の母娘が登場し、言うことを聞かない娘に、お母さん犬はイライラしてしまいます。親子ゲンカがエスカレートするのですが、意外な展開に!

この物語の中では、ママが子供へのイライラを解消する方法がユーモアたっぷりに描かれているのです。

今回は、この絵本の作者である寺島ゆかさんに、物語が生まれた背景や、育児疲れの解消方法、子育て中のママたちに伝えたいことなどをお聞きしました。

Q1.この絵本が誕生したきっかけを教えてください。

子供を産んですぐにママになれるわけじゃない

私には娘が1人いますが、やはり母親になって初めて、子育ての大変さを知りました。子供を産んだからといって、すぐに母親になれるわけじゃないのはわかっていましたが、なんで母親ばかりこんなに大変なの?と、不条理を感じました。

当時、自分の周りにも、同じような悩みを抱えているママ友は少なくありませんでした。
なので、世の中のお母さんが少しでもリラックスできるような、そんな絵本を作りたいと思っていました。

子供だけでなくお母さんも楽しめる物語を

自分を含めて、疲れているお母さんがどうしたら楽しめるか、子供は子供の目線でどうしたら楽しめるかということをずっと考えて物語を温めていたんですが、自分1人ではなかなか形にできなくて、「あとさき塾」という絵本のワークショップに通い、企画を何度も練り直しました。
10回以上は描き直したと思いますが、こうしてできあがったのが、『もう ママったら!』なんです。

Q2.人ではなく「犬」の母娘を主人公にしたアイデアはどこからきたのでしょうか?

『自分事』を『他人事』と思えるのが絵本のいいところ

この題材で、人間の親子を主人公にしてしまうと、あまりにもリアルすぎてしまいますよね。
それこそ生々しすぎて、面白くないんです。
でも犬の一家だったら、まるで我が家のようだけど、どこか遠くの話のようになって客観的にとらえられますよね。
実際この物語の着想を得たのは、娘が幼稚園生の頃なんですが、娘は犬の女の子のモデルが自分だとは、ぜんぜん気付いていませんでした。
その後、本が無事に出版された頃には、娘は小学3年生くらいになっていましたが、私の取材記事を読んで、自分がモデルだったと知り、「え、そうなの!?」と驚いていましたね。

Q3.ご家庭でどんなふうに、この絵本を楽しんでもらいたいですか?

怒ってばかりの自分に初めて気付いた

私も育児でヘトヘトに疲れていた時期がありますから、まずはお母さんに、この絵本を楽しんでもらいたいです。
今は核家族化が進んで、近くに頼れる親族や知り合いがいない中、子供と一対一で向き合って、子育てしているお母さんがたくさんいます。
私自身もそうでしたので、その頃の自分を思い出すと、ただただ大変だったな、と。

私の場合は、娘が言うことを聞いてくれないときに、イライラすることが多かったんです。びっくりするくらい言うことを聞かない子だったので、本当に手を焼きました。
でも娘が産まれるまで、私はそこまで「怒る」ということがなかったんですね。
そんなにヒステリックになったりすることもありませんでした。
それなのに、子供が成長するにつれ、怒ってばかりの自分がいて……あるとき、ハッとしました。自分自身がイヤな人間になっていたことに気付いて、とても落ち込みました。

でもそんなときでも、唯一気晴らしできるときがありました。
それが娘と絵本を読んでいる時間だったんです。

たった5分の絵本の時間ですべてが変わる

絵本は、大きな力を持っていると思います。私の子育ての中心には、いつも絵本がありましたが、とくに大事にしていたのが、寝る前の絵本の時間です。
その日どんなにイライラしたり、ひどいことになってしまったりしても、2人で1冊の絵本を眺めていると、楽しい気持ちでその日が終われるんです。

たとえば、『もう ママったら!』の母娘はケンカしているけれど、絵本の中のケンカを、「この親子、バカみたいね!」って笑っているうちに、自分たちのことに立ち返って、「あのときはママもイライラしてたかも、ごめんね。」なんて、子供に素直に謝ることができたり、そうして親が変わると、子供も自分のしたことを冷静に振り返ることができたりするんです。不思議なものです。

なかなか言うことを聞かない娘に、絵本のまねをして「……だったら、鼻くそつけちゃうぞ!」ってユーモアを込めて言うと、娘も「ええー」って笑いながら、難なく言うことを聞いてくれたりしましたね。
まるでマジックです。こんなすばらしいエンタテインメントは他にないと思います。

発想の転換で、人っていくらでも変われるんです。
イライラも間違いも笑いになります。そのヒントを与えてくれるのが、絵本だと思います。

育児のど真ん中に絵本を置いてほしい


娘は今16歳、思春期の真っただ中と言われる高校1年生になりましたが、2人で読んだ絵本のことに触れると、親子の遠い昔の共通体験に、すーっと戻れるんです。不思議と温かい気持ちになれます。

どんなお子さんにも反抗期があると思いますが、娘は2歳の頃からずっと反抗期!そう思えるくらい何かと私とはぶつかってきて、今があります。

大きくなるにつれて、どんどん違う大変なことが増えていきますから、子供が小さいうちにいかに親子関係を作れるかが、その後、子供をぶれずに導いていくカギになると思うんです。
忙しいと骨が折れることもありますが、親子で絵本を読む時間は、必ず育児の土壌作りになりますよ。

絵本と子供が親に教えてくれること

子供が選ぶ絵本を見ていると、「こんなことに興味があるんだ!」と驚くことがあります。
普段の生活では見えてこない子供の好きな世界を、絵本が教えてくれるんです。

私だったら選ばないような絵本を娘が面白がるので、「何が面白いの?」とたずねたら、「えっ、わかんないの?」と呆れられてしまったこともありましたね。だから私は娘にどういうところが面白いのかどんどん教えてもらうようにしました。
そのときの娘の嬉しそうな顔ったら……!子供って、教えるのが大好きなんですよ。
とくに、自分の好きなことを教えるときは、大得意になってやってくれます。

親子の立場が逆転するときって、そんなにないですよね。でも、絵本に関しては、子供は大人以上に、面白さをよくわかっているんじゃないでしょうか? 
だから、子供が気に入った絵本を持ってきたときは、チャンス!と思って、「この本が好きなんだねえ。どういうところが好き?へぇー、そうなんだあ。」と、このときくらいはやさしく共感を持って、子供との会話を楽しんでほしいですね。

積み重ねた時間の分だけ、将来、必ず返ってくる

毎日忙しくてヘトヘトなときは、絵本を読むのも大変ですね。でも、1日たった5分でいいから、その時間だけは守るようにしてほしいなと、子育て中のお母さんには伝えたいです。
スキンシップにもなるし、ぴったりくっついて絵本を眺めていると、ホッとしますよね。それは、スマホで読む絵本にはない時間を醸成してくれると思いますよ。

お母さんの読むペースや声音、ページを繰る楽しみ、そういうものが、すべて子供の体験になります。アナログ体験は、子供の脳の発達にもとても良いそうです。
今は放っておくとデジタル機器にどんどん時間が奪われていきますから、便利な世の中だけど親子をとりまく時間は、とてもせわしなくなっています。
そういう意味では、すごく厳しい時代ですよね。親が自分をしっかり持ってないと、そういうものに親子の時間をどんどん奪われてしまいます。

たった5分でいいから、子供とゆっくり絵本を眺める時間を守ってほしいなあと思います。子供に絵本を読んであげられる時間って、案外と短いんですよ。そう考えると「また読むのかぁ……」と、溜息をつけるときこそ、実は子供と過ごせる一番幸せなときといえるのかもしれません

Q4.絵本を通して、子育て中のお父さんお母さんに、どんなことを伝えたいですか?


実は今、絵本の仕事と平行して、たまたま縁あって子供の教育関連の仕事もしています。そこで子供たちと接する中で、自分の気持ちがわからない子供、誰かと気持ちを共有できない子供が増えてきているのではないかと感じています。

たとえば、「自分の大切なものは何?」と聞かれても、答えられない子供たちがたくさんいるんです。「妹が誕生日にくれた手作りのメッセージカード」と誰かが言うと、「なんで、それが大切なの?」と、首をかしげる子も少なくないんです。

お父さんお母さんは、毎日とても忙しいですね。その上、便利なものがあふれていて、その便利なものがあるがゆえ、奪われている時間がたくさんある、とても皮肉で、厳しい状況があると思います。
それでも、感謝や喜び、やさしさを、きちんと“言葉にする”ことを、大切にしてほしいと思います。まずは大人が実践して、子供にお手本を見せる。そうすれば、子供も自然とできるようになります。

心に余裕がないと、人にやさしい言葉はかけられませんよね。その余裕を作るためにも、ぜひ、絵本をエンタテインメントの1つとしてとらえて、絵本につまったたくさんのネタを楽しんでほしいと思います。子供との遊びの中心に、絵本を置いて、親子でいっぱい遊んでほしいです。

取材を終えて

「毎日たった5分の絵本の時間」が、将来どんな宝物となって返ってくるのか、日々忙しく、てんてこ舞いのお母さんには、なかなか実感が湧かないかもしれません。
でも、日々成長する子供たちと過ごせる時間には限りがあることを考えたら、その5分はけっして、捻出できない時間ではないはずですね。柔和でやさしい笑顔と、子育てに奮闘する同志のお母さんたちへの温かなまなざし、そして教育関連のお仕事にも熱心に取り組んでいらっしゃるお姿に、なみなみならぬバイタリティーを感じました。
子供の成長とともに悩みはつきませんが、『もう ママったら!』のお母さん犬のようなユーモアと機転で、立ちはだかるいくつものハードルを跳びこえていきたいですね。

プロフィール:寺島 ゆか(てらしま ゆか)
宮城県生まれ。
社会人経験を経て、大好きだった絵を子供のころから慣れ親しんだ英語の世界で学ぶことを決意、ニューヨーク州のシラキュース大学でイラストレーションを学ぶ。留学を通して、自分の意見をはっきり相手に伝えることの大切さを痛感。
帰国後、自身の子育て経験を基に、母子のコミュニケーションをテーマにして描いた絵本『もう ママったら!』(文溪堂)で絵本作家デビュー。
絵本に『なぞなぞゆうえんち』(作・石津ちひろ/学研教育みらい)、『マンドリルおじさんのおなら』(作・河辺花衣)、『よるのようふくやさん』(文・穂高順也)、『ありがとうんぴ』(作・コロッケ/副島直子)、『ねこはちときんとっと』(以上、文溪堂)がある。

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