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赤ちゃんが自分の手で食べ物をつかんで口に運ぶ「手づかみ食べ」。成長の証でもあるこの行動は、いつ頃からはじまるのでしょうか。今回は、手づかみ食べのはじまる時期や発達上のメリット、練習方法や避けるべき食材について解説します。
目次

手づかみ食べとは、赤ちゃんが自分の手で食べ物をつかんで口に運ぶ行為のことです。一般的に生後9~11カ月頃(離乳食後期)からはじまるとされています。
手づかみ食べは、①目の前の食べ物を見る、②手でふれて持つ、③口元まで運んで食べる、という3つの動作が組み合わさった協調運動です。赤ちゃんが自ら食べようとする力を育てる、大切なステップのひとつです。

手づかみ食べには、赤ちゃんの発達を促すさまざまなメリットがあります。ここでは代表的な4つをご紹介します。
手づかみ食べの一連の動作には五感のすべてが関わっています。
・視覚:食べ物の色や形を見て確かめる
・触覚:手でふれて温かさや感触を感じる
・味覚:口に運んで味を確かめる
・嗅覚:食べ物の香りを感じる
・聴覚:噛んだときの音や食感の違いを楽しむ
こうした感覚への刺激が脳の広い範囲に働きかけることで、運動機能や感覚機能の発達につながると考えられています。食べることは、赤ちゃんにとって豊かな学びの時間でもあるのです。
食べ物を手でつかんで口元まで運ぶ動作は、一見シンプルですが、実は高度な協調運動です。食べ物の重さや柔らかさに応じて力を加減しながら持ち続ける必要があり、そのくり返しが手指の感覚や運動機能を着実に鍛えていきます。
人間にとって手指の発達は非常に重要とされており、こうした日常的な動作の積み重ねが、後にスプーンやフォークを使いこなすための土台にもなっていきます。
さまざまな食材を自分の手で直接ふれ、形・感触・味の違いを身体全体で感じることで、食べることそのものへの興味や意欲が自然と高まっていきます。「これは何だろう?」という好奇心が食への関心につながり、偏食を防ぐ意味でも大切なプロセスといえます。
また、家族と同じテーブルを囲みながら自分で食べる経験は、食事の楽しさや豊かさを身をもって感じる機会にもなります。
手づかみ食べは、赤ちゃんが初めて「自分の力でやり遂げた」と感じられる体験のひとつです。
うまく食べ物をつかんで口に運べたとき、赤ちゃんは大きな達成感を覚えます。その成功体験の積み重ねが自信へとつながり、さらに新しいことに挑戦しようとする意欲を引き出します。
こうした「自分でできた」という経験は、自己肯定感の形成にも深く関わっています。食べることを通じて、赤ちゃんは心の成長も遂げているのです。日々の食卓が、自己肯定感を育む場になっていることを、ぜひ意識してみてください。
ここでは、手づかみ食べのサインや成長過程について解説します。
赤ちゃんの手づかみ食べは、生後9カ月頃の離乳食後期からはじまるといわれています。
それまでの離乳食を通して少しずつ食べ物に親しんできた赤ちゃんは、食べる満足感を通じて食への意欲を高めていきます。
そして離乳食後期の生後9カ月頃になると、赤ちゃんの心に自らつかんで食べたいという意欲が芽生え、手づかみ食べをはじめるようになるのです。
※参照:こども家庭庁「授乳・離乳の支援ガイド」
手づかみ食べをはじめるまでの4つのサインとしては、以下の通りです。
赤ちゃんの歯は生後6~9カ月頃に下の前歯2本が生えはじめ、1歳頃には上の前歯2本が生えそろいます。
この時期はまだ歯を使って食べ物を噛むことはできませんが、自分で食べる力を養うために歯の成長は欠かせません。
手づかみ食べをするためには、食事用の椅子などに一定時間座っていられるようになる必要があります。
赤ちゃんは生後6~8カ月頃にお座りができるようになります。最初は手で身体を支える状態でしか座れませんが、背中の筋肉が発達することで徐々に安定し、手を支えとしなくても座っていられるようになります。
生後7~8カ月頃の離乳食中期には、徐々に舌の使い方が上手になり、食材を舌と上あごで押しつぶして食べることができるようになります。
離乳食後期になるとさらに舌とあごの使い方が上手になり、「食べごろのバナナ」程度の固さの食材を食べられるようになります。この固さの食材を食べられるようになることが、赤ちゃんが手づかみ食べをはじめる段階に達したことを示す目安となります。
赤ちゃんが自分から食べ物をつかんで口に入れようとする行動が見られるようになれば、手づかみ食べをはじめるタイミングです。スプーンを奪おうとしたり、お皿に手を伸ばしたりする仕草は、「自分で食べたい」という意欲のあらわれといえます。
こうした積極的なサインが見られたら、手づかみ食べの準備が整ったと考えて良いでしょう。
食べ物をあまり噛まず丸飲みしている様子が見られる場合は、まだ手づかみ食べのタイミングではない可能性があります。
誤嚥(ごえん)につながる危険があるため、赤ちゃんの様子をよく観察することが大切です。

手づかみ食べをくり返すうちに、やがて赤ちゃんは食べ物が盛りつけられた食器や添えられたスプーンやフォークにも関心をもちはじめるようになります。離乳食完了期の生後1歳~1歳6カ月頃にはまだまだ手づかみ食べが中心ではありますが、次第にスプーンやフォークを自分で使いたがるようになります。
ママ・パパとしては食器を上手に使って食事ができるようにするために、しっかりとフォローしていきたいところです。
関連記事:【育脳食のプロ・小山浩子先生監修】離乳食はいつからいつまで?月齢別離乳食の進め方と育脳食材・レシピ!

赤ちゃんが手づかみ食べをしない場合には主に4つの原因が考えられます。
・手づかみ食べがしづらいメニューが出されている
・そもそもおなかが空いていない
・手を汚したくない・食材の感触が嫌い
・人に食べさせてもらう方が好き
以下にそれぞれの原因についてご説明します。
離乳食後期になると食べごろのバナナ程度の固さの食材が食べられるようになりますが、実際にはもっと柔らかいおかゆやペースト状の食べ物がメニューの中心になることが多いと思います。そのようなメニューだと赤ちゃんも手で食べ物をつかむことが難しくなるため、手づかみ食べをしようとする動作自体をしない場合があります。
この場合はつかんでも崩れない程度の柔らかさと形状を意識して、メニューを考えてあげるようにしましょう。柔らかくゆでて一口大に切った野菜や、2~3cm角に切った食パンの白い部分などがオススメです。
もしかすると赤ちゃんは「そもそもおなかが空いていない」だけかもしれません。当然、おなかが空いていないと赤ちゃんの食べたいという意欲は高まってきません。
この場合は離乳食や授乳、おやつの時間や量を調整して、赤ちゃんのおなかが空いた時間を見計らって手づかみ食べの準備をしてあげると良いでしょう。
なかには「手がベタベタ汚れるのがイヤ」「食材をつかむ感触が気持ち悪い」といった理由で手づかみ食べをしない赤ちゃんもいます。
こうした反応は赤ちゃんの個性のひとつと考えられるため、無理に手づかみ食べをさせる必要はありません。
余裕があれば、手が汚れにくい食材や手触りの異なる食材をいくつか用意してみましょう。さまざまな食材を試す中で、赤ちゃんが好んでつかむ食材が見つかることもあります。
これまでの経験からママ・パパに食べさせてもらうことに慣れている赤ちゃんにとっては、自分で食べるよりも人に食べさせてもらうことの方が楽で心地良い、という可能性も考えられます。また単純に甘えたいという理由で食べさせてくれるのを待っているという場合もあります。
赤ちゃんが「自分で食べたい」という意欲を示すまで、ある程度時間的な余裕をもって待ってあげることも大切です。
赤ちゃんが手づかみ食べをしないからといって、無理にやらせる必要はありません。この時期の赤ちゃんにとってもっとも大切なことは適切な栄養をとることであり、「食べ方」はその次に考えるべきことです。
無理に手づかみ食べをさせようとすると、食べること自体へのマイナスイメージを植えつけてしまうことになりかねませんので注意しましょう。
なかには手づかみ食べをしないまま、いきなりスプーンを使って食べはじめる赤ちゃんもいますので、焦ることなく温かい目で見守ってあげるようにしてください。

手づかみ食べをする時期の赤ちゃんは以下のような「遊び食べ」の行動をすることもあります。
・食べ物を手でぐちゃぐちゃにする
・つかんだ食べ物を食器の外や床に落とす
・飲み物の中に食べ物を入れる
・食器やスプーンを投げる
など
ママ・パパにとってはとても困ってしまう行動ですが、この遊び食べは子供の成長過程でごく一般的にみられる行動ですので、それを理解して対処する必要があります。この時期の赤ちゃんはとにかく好奇心が旺盛で、食べ物でも遊んでしまうものなのです。
遊び食べが続く期間には個人差がありますが、一般的には2~3歳頃まで続き、4歳を過ぎる頃にはほとんど見られなくなります。遊び食べは食べ物への興味によって起こる行動でもありますので、子供の成長過程の一部と考え、忍耐強く見守ってあげるようにしてください。

赤ちゃんに手づかみ食べをしてもらうためにはママ・パパによる食事への工夫が欠かせません。
ここでは、手づかみ食べの練習に役立つ工夫をご紹介します。

まず、赤ちゃんが食材をつかめないと意味がありませんので、サイズと形状に気をつける必要があります。おにぎりであれば一口サイズに、野菜であればスティック状にすることで赤ちゃんもつかみやすくなります。
最初は少量からスタートし、様子を見て少しずつ増やしていくと良いでしょう。
食材の温度に注意することも大切です。アツアツの食材ではやけどしてしまいます。また、冷たすぎる食材も赤ちゃんに不快感を与える場合がありますので避けましょう。
安定した姿勢で食べ物と向きあうためには、テーブルや椅子などの食事環境を整える工夫が欠かせません。背もたれがしっかりと背中にフィットし、足がぶらつかず地面や踏み台にちゃんと付くように椅子を調節しましょう。食べ物を置くテーブルは、赤ちゃんが手をのばして口元に運ぶ動作がしやすい高さにくるように調節してください。
また手づかみ食べの練習では、赤ちゃんが食材を落としたりして床が汚れることもあります。後片付けを楽にするため、椅子やテーブルの下には新聞紙や不要な紙類を敷いて、終わったらそのまま丸めて捨てられるようにするのがオススメです。
これはハイハイなどほかの動作の練習にも使える工夫ですが、基本的に赤ちゃんは人の動作をまねることが大好きです。ママ・パパが見本となって手づかみ食べをする姿を赤ちゃんに見せてあげましょう。
上手にできたときには「上手だね」「よくできたね」とほめてあげることも大切です。ほめられた経験が喜びとなり、食事自体を楽しめるようになります。

手づかみ食べの練習にオススメの食材としては以下のようなものが挙げられます。
・ゆでた野菜(サツマイモやカボチャ、ニンジンや大根など)
・お米(おにぎり)
・食パン(耳は取り除く)
など
また赤ちゃんに自ら進んで手づかみ食べをしてもらうためには、普段から赤ちゃんが食べ慣れていて好きな食材を用いることも大事なポイントになってきます。
以下では、離乳食にオススメのメニューを紹介します。
手づかみ食べの最初の練習にオススメなのが、柔らかくゆでて一口大に切ったサツマイモやカボチャなどの野菜です。これらの野菜はくちどけが良く、口に入れたときに甘みを感じるため、赤ちゃんにとっても食べやすい食材といえます。
慣れてきたら柔らかくゆでたニンジンや大根などを5cmほどの長さのスティック状にして与えるのもひとつの方法です。ただし、ゆでた直後は熱すぎてやけどをするおそれがあるため、十分に冷ましてから与えてください。
ゆでた野菜に慣れてきたらおにぎりに挑戦してみましょう。最初は赤ちゃんが食べやすいように柔らかめに炊いたお米でおにぎりを作ってあげると良いでしょう。
形状はつかみやすい丸形で、サイズは赤ちゃんがつかんで口元に運べるように2~3cm程度の大きさがオススメです。ラップを使って握ると手も汚れず、また成型もしやすくなりますよ。
食パンの白い部分も手づかみ食べの練習にオススメの食材のひとつです。
食パンの耳の部分はまだ歯の生えそろっていない赤ちゃんには食べづらいので、取り除いてから与えるようにしてください。
赤ちゃんがつかみやすいように2~3cm角ぐらいの大きさに切ってあげましょう。
野菜を柔らかくゆでてつぶし、ひと口サイズのハンバーグ状に成形してフライパンで焼きます。
この時期の赤ちゃんは鉄分が不足しやすいため、ホウレンソウや小松菜など、鉄分を多く含む食材を加えるのもオススメです。
また、サツマイモやジャガイモなど、甘みがあり成形しやすい野菜を加えると、赤ちゃんも食べやすくなります。

手づかみ食べの練習中は、誤嚥や窒息のリスクがある食材に注意しましょう。
特に、ミニトマトやブドウなどの丸くて表面がつるっとした食材は、のどに詰まりやすいため注意が必要です。与える際は小さくカットするようにしましょう。
また、ナッツ類やタコ、イカなどは硬くてかみ砕きにくく、気道に入り込む危険があります。そのため、赤ちゃんには与えないようにしてください。
こんにゃくゼリーのように弾力が強い食品も、のどに詰まる可能性があるため、手づかみ食べの時期は避けるようにしましょう。

ここでは海外のトレンドとなっている離乳食“Baby-Led Weaning”(通称:BLW)についてご紹介します。
“Baby-Led Weaning”(赤ちゃん主導の離乳食)はイギリス発の手づかみ食べに関する考え方で、準備に手間がかかる離乳食作りの負担を軽減しつつ、赤ちゃんが自発的に手づかみ食べをするようになることを目的として提唱されたものです。
はじめる時期や食べるか食べないか、何を食べるか、食べる量、食べる順番などを赤ちゃん自身が決めることによって赤ちゃんの意志を尊重し、自尊心を高めることができるといわれています。
具体的にBLWには以下のような特徴があります。
・食材をペースト状にはせず、つかみやすい大きさと形状の食材を2~3種類用意し、赤ちゃんに自由に食べさせる。用意する食材は野菜や果物、肉、米、パン、チーズなど。
・周りの大人がサポートして食べさせるのではなく、開始のタイミングから赤ちゃんの自主性に委ねる。あまり食べなくても気にしない。
・家族と一緒のテーブルを囲んで食べる。
・栄養補給のために、授乳やミルクは続ける。
これまでに紹介してきた内容に比べると、より調理が簡単で、より赤ちゃんの自主性に委ねた手づかみ食べの方法といえるでしょう。赤ちゃんが食事に前向きな気持ちになれるように配慮することは通常の手づかみ食べの工夫とも通じるものがあります。
一点だけ注意していただきたいのは窒息の危険性です。食材をペースト状にしないことを基本とするBLWでは、赤ちゃんが食べ物をのどに詰まらせる危険性が高まります。通常の手づかみ食べの際も同様ですが、赤ちゃんの様子をよく観察し、むせてせきこんだりしないように気をつけてあげてください。
さて、日々の準備が欠かせない離乳食のメニュー決めで困った経験のあるママ・パパは多いのではないかと思います。以下の記事ではこれまで当サイトでご紹介してきた管理栄養士監修の離乳食レシピの数々をご紹介していますので、ぜひご参考になさってください。
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手づかみ食べは一般的に生後9~11カ月頃からはじまり、五感・手指の発達や食への興味など、赤ちゃんの成長を多方面から支える大切なステップです。安全な食材を選び、汚れを気にしない環境を整えながら、赤ちゃんのペースに合わせて練習を進めていきましょう。

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