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  • 公開日:2022年2月22日

ベビーサインはいつから?すぐに使える簡単サインと教え方、メリットを紹介

ベビーサインはいつから?すぐに使える簡単サインと教え方、メリットを紹介

今、世界中で注目されている「ベビーサイン」。90年代中頃にアメリカではじまり、日本でも2000年以降、多くのママやパパが実践し、その素晴らしさを体験しています。
ここでは、はじめてベビーサインを取り入れる際の注意点や言語の発達との関係、ベビーサインの種類や教え方などについて、ベビーサイン教室の運営や教材の開発などを手がける日本ベビーサイン協会代表理事の吉中みちるさんに伺いました。

ベビーサインとは?いつからはじめられるの?

ベビーサインとは?いつからはじめられるの?

簡単な手話やジェスチャーで赤ちゃんと「お話し」する育児法

ベビーサインとは、まだ言葉がうまく話せない赤ちゃんと簡単な手話やジェスチャーを使って「お話し」する育児法です。

ベビーサインを覚えた赤ちゃんは、たとえばおなかがすいたとき、胸の前で片手をグーパーすることで「おっぱいが飲みたい」という意思表示ができるようになります。

おっぱい・ミルクのベビーサイン

おっぱい・ミルクのベビーサイン
口や舌、喉の筋肉が未発達な小さな赤ちゃんにとって声を使って話すことはとても難しく、上手に気持ちを伝えることができません。でも、手や指は比較的早くから自在に動かすことができるため、ベビーサインを使うと赤ちゃんは喜んでコミュニケーションをはじめます。

普段のお世話のなかで、周囲の大人が語りかけといっしょにベビーサインを添えて赤ちゃんに見せてあげると、赤ちゃんは自然とその意味を理解していきます。

たとえばママが、毎日の生活のなかで目にするものやふれるものを「おてて(手)で表現するとこうなんだよ」と教えてあげます。おっぱいの時間やオムツ替え、お風呂のときや絵本を読んでいるときなどにも、語りかけながらくり返しサインを見せると、赤ちゃんは自分が気にいったものから覚えていきます。やがて赤ちゃんの方からベビーサインを使って自分の欲求や考えをママに伝えてくれるようになります。

ベビーサインの種類は言語と同じで数限りなくありますが、実際に赤ちゃんが表現できるようになるサイン数の平均は77種類というデータもあり、話し言葉が出る前からさまざまな意思の疎通ができるようになります。習得数には個人差があるので、あくまでも目安と考えてください。

※参照:
「2015年卒業生対象アンケート調査結果」ベビーサイン協会

ベビーサインはいつから?

ベビーサインはいつから?
個人差はありますが、ベビーサインをはじめる目安は、おすわりができる生後6カ月〜8カ月くらいからです。この頃の赤ちゃんは、体や手指の動きが活発になり、ママやパパの仕草にもよく反応するようになります。

もちろん、それより早い時期からはじめてもOKです。赤ちゃんからサインを返すことはできなくても目と耳で覚えることはできるので、開始は早ければ早いほど良いといえます。妊娠中から学びはじめるママ・パパもいますし、赤ちゃんの年齢の上限もありません。

一概にはいえませんが、6カ月頃から教えはじめると2カ月〜3カ月後くらいには、赤ちゃんから2つ3つベビーサインが出てくるケースが多いようです。1歳を過ぎて歩きはじめた赤ちゃんは1週間~2週間程度でできるようになる場合もあり、より早くたくさんのサインを覚えてくれます。赤ちゃんからなかなかアウトプットがない場合も、2カ月くらいは継続して様子をみましょう。

最初は5種類くらいの簡単なサインから取りいれはじめ、ママ・パパに負担がないようなら10種類くらいに増やしてみてはいかがでしょう。

【月齢別】ベビーサインの教え方

ベビーサインの開始時期や教え方の目安を下記にまとめました。

妊娠中

赤ちゃんとの生活を想像しながらおなかの赤ちゃんに語りかけたり歌を歌ったり。書籍などを参考にベビーサインの教え方やサインの手の形などを覚えましょう。

生後0カ月〜6カ月頃

赤ちゃんの目を見つめながらいっぱいお話ししましょう。とくに授乳のときはアイコンタクトをとる絶好のチャンス。赤ちゃんと向き合いながら、ベビーサインを使って「おっぱい飲もうね」「おいしいね」などと優しく語りかけてみてください。

おすわりができる頃(生後6カ月〜8カ月頃)

はじめてのサインにオススメの「おっぱい・ミルク」「もっと」「おしまい」を教えてみましょう。慣れてきたら、3種類〜5種類くらい簡単なサインを追加してもOK。ママ・パパの手の動きを見て笑ってくれたら順調なスタートです。

ハイハイができる頃(生後8カ月〜10カ月頃)

赤ちゃんが指さして何かお話ししたそうにするものの名前をサインで教えてあげましょう。「帽子」「電気(電灯)」など、手の動きがわかりやすいものもオススメですよ。赤ちゃんはベビーサインが増えても混乱はしないので、たくさんの種類を見せてあげて大丈夫です。

ひとり歩きをはじめてから(1歳1カ月頃〜)

手の動きもしっかりしてきて、ママ・パパが見せるサインを短期間で覚えて使ってくれるようになります。さまざまなサインをどんどん見せていきましょう。個人差はありますが、1歳半頃までに40種類以上のサインを使えるようになる子もいますよ。

※月齢は以下をもとに表記
「平成22年乳幼児身体発育調査(P.9)」厚生労働省

メリットがたくさん!ベビーサインで深まる親子のコミュニケーション

メリットがたくさん!ベビーサインで深まる親子のコミュニケーション

サインを通して赤ちゃんの気持ちがわかり、育児ストレスが軽減

ベビーサインのメリットの1つは、親子の絆が深まること。サインを使ってコミュニケーションがとれるようになれば、まだしゃべれない時期でも赤ちゃんの気持ちがわかるようになります。赤ちゃんもただ泣いたりぐずったりするだけでなく、自分の欲求や状態を周囲に伝えられたらストレスも減るでしょう。

また、「バイバイ」や「おいしい」などのジェスチャーができるようになるだけで、ママやパパはうれしくなって我が子をさらに愛しいと感じますよね。ベビーサインの数が増えれば増えるほど、赤ちゃんと過ごす時間が充実し、育児に自信がもてるようになります。

他にもあります!ベビーサインのメリット

不安の多い新米ママ・パパも楽しく育児

赤ちゃんのことがよくわからない、泣いちゃったらどうしようと不安に思っている新米ママ・パパもベビーサインがあれば大丈夫!

自己肯定感がしっかり育つ

自分の気持ちを伝えられること、受け止めてもらえること、共感してもらえることのくり返しが、人としての大事な根っこに。

イヤイヤ期のときにも何がイヤかを伝えられる

「痛いよ」「寒いよ」など、ジェスチャーで伝えられるようになるので、イヤイヤや泣く数も自然に減ります。

赤ちゃんの健康と安全管理に役立つ

「痛い」のサインを覚えると、周りの大人が気づいてあげられない痛みを赤ちゃんから教えてくれるようになります。また、「熱い」「危ない」などのサインは危険防止にも役立ちます。

ベビーサインによる「話し言葉の発達」への好影響

ベビーサインの生みの親であり、研究者でもある米国のリンダ・アクレドロ博士とスーザン・グッドウィン博士による研究結果(*1)をご紹介します。

生後11カ月の赤ちゃん140人を「ベビーサインを積極的に教えるグループ(サイナー)」「何もしないグループ(ノン・サイナー)」に分類し、語彙力や言葉の習得度、長期にわたる言語能力の差などを調査したところ、ベビーサインを積極的に教えたグループの赤ちゃんの方が各テストの平均スコアが良かったという結果が得られました。

この調査によって、ベビーサインを教えたことでより豊かな語彙力と長い文章による会話力が身につき、結果的に話し言葉が発達していたことがわかったのです。

豊富な語彙
より長い文章
長期にわたる言語能力の差
※表はすべて日本ベビーサイン協会より提供

また、ベビーサインを学んだ子の91%が絵本を好きになったことが、当協会のアンケート(*2)からわかりました。絵本を読みながらジェスチャーを添えたり、赤ちゃんの方からも興味があることをベビーサインによって伝えたりできれば、一方的に読み聞かせをするより何倍も絵本を楽しむことができるでしょう。自然と絵本が好きな子供に育つのです。

※参照:
(*1)「ベビーサインの研究結果」ベビーサイン協会
(*2)「2015年卒業生対象アンケート調査結果」ベビーサイン協会

ベビーサインの教え方とはじめ方

ベビーサインの教え方とはじめ方

目線を合わせ、声をかけながらサインを見せる

赤ちゃんにサインを教えるときには、語りかけにあわせて手を動かすことからはじめてください。
「ご飯食べるよ」「おっぱい飲む?」「帽子かぶってお出かけするよ」という具合に、声をかけながら動作を見せるようにするのが上手に伝えるコツです。無理に教えこむ時間を確保する必要はありません。
また、赤ちゃんは大人と比べて視野が狭いので、しっかりと目線を合わせて近くでジェスチャーを見せてあげましょう。

「笑顔」で楽しい雰囲気を伝える

赤ちゃんにサインを教えるときには、ママやパパが笑顔で接してあげることが大切です。真剣になり過ぎずに、普段の生活のなかに自然に取り入れる気持ちで行いましょう。最初のうちは「楽しんでいるかな?」「いつか気づいてくれると良いな」というくらいの気持ちで気軽にスタートすると良いですよ。
日常のなかでよく目にするもの、赤ちゃんが好きな歌や絵本、興味があることのなかからベビーサインを選ぶと赤ちゃんも反応してくれるでしょう。

ベビーサインをはじめる際には、専門の書籍や動画を参考にしてみるのも1つの方法です。より詳しく知りたいときにはベビーサイン教室に参加してみるのも良いかもしれません。体験クラスなら気軽にチャレンジできそうですね。

【初心者編】すぐに使える簡単ベビーサイン5種類

【初心者編】すぐに使える簡単ベビーサイン5種類

まず覚えたい基本のサインで赤ちゃんと楽しくコミュニケーション

まずは育児でよく使うベビーサインをご紹介します。赤ちゃんのご機嫌が良いタイミングではじめてみましょう。

よく使う基本のベビーサイン
①おっぱい・ミルク
②食べる
③もっと
④おしまい
⑤ねんね

①おっぱい・ミルク

おっぱい・ミルク
胸の前で片手を閉じたり開いたりしてグーパーします。「おっぱい飲もうね」「ミルクの時間だよ」などと声をかけながら行いましょう。

②食べる

食べる
食べ物をつかんでそのまま口に運ぶ仕草を見せましょう。「ご飯、食べようか」と食事のはじまりに使ったりするサインです。

③もっと

もっと
両手の指先をきゅっとすぼめてトントンとくり返し合わせます。「もっと飲む?」「もっと食べる?」などの質問といっしょに使うと、赤ちゃんも「もっと!」という要望を伝えられるようになりますよ。

④おしまい

おしまい
上に向けた両手のひらを同時にクルッと下に向けます。「もうお遊びはおしまいね」「絵本の時間はおしまいだよ」と言うときなどに使います。

⑤ねんね

ねんね
両手を合わせて、片側の頬の下に重ねてつけます。このサインをだしながら「もう寝る時間だよ」「お昼寝しようね」と語りかけましょう。

【応用編】まだまだあります!覚えて便利なベビーサイン一覧

慣れてきたら徐々に増やしてさまざまなシーンで活用

覚えて便利なベビーサイン一覧
おやつタイムやお出かけのときにも赤ちゃんにサインを見せて少しずつバリエーションを増やしましょう。生活のあらゆるシーンでベビーサインが活躍します。

①おいしい

おいしい
片方の手の指で頬を軽く2、3回たたきます。「ごはん、おいしいね」と語りかけたり、「おいしい?」と聞いてみたり。ママ・パパが教えたい人気のサインです。

②お風呂

お風呂
両手のこぶしを胸のあたりで上下に動かします。「お風呂に入るよ」というように、入浴の前にこのサインを使ってみてください。

③オムツ

オムツ
両手で自分の下腹部をポンポンとたたきます。オムツ替えのときに「おしっこ(うんち)した?オムツ替えようね!」と声をかけながらサインを見せましょう。後々のトイレトレーニングにも役立ちます。

④おやつ

おやつ
片方の手のひらの真ん中に、もう一方の手の指先を置いてクルクル回転させます。「おやつ食べるよ!」と言いながら行いましょう。

⑤飲む

飲む
グラスを持つまねをして口元に手をひき寄せます。「お水を飲みたいの?」などの言葉といっしょに使うと、のどが渇いたときにもこのサインで教えてくれるようになりますよ。

⑥りんご

りんご
人差し指をかぎ状に曲げて頬にあて、手首をくるっとひねります。離乳食にもよく使う食材は、覚えておくと便利です。

⑦帽子

帽子
左右どちらかの手で、頭をポンポンと触りながら「お出かけするよ」「お帽子かぶるよ」などと語りかけましょう。赤ちゃんも理解しやすいサインなので、お外に行きたくなったらこのサインをしてくれるようになりますよ。

⑧痛い

痛い
両手の人差し指を胸のまえあたりで合わせます。赤ちゃんが転んでしまったときなどに「痛かった?」と言いながら使ってみてください。覚えると赤ちゃん自身がぶつけて痛かった場合にもサインをだしてくれます。

⑨電気

電気
片手を頭の上でグーパーします。部屋の電気を消してほしいときなどにも使います。赤ちゃんにとって覚えやすいサインの1つです。

⑩聞こえる

聞こえる
片手のひらを耳の後ろにあてます。お散歩のときなどに耳にした犬や猫の鳴き声、遠くから聞こえてくる電車の音に「何か聞こえた?」と耳をすませるように使ってみましょう。

イラスト/後藤由紀

知って安心!ベビーサインをはじめるときの注意点

強制しない・焦らない・無理をせずにリラックスして楽しんで

ベビーサインを伝えるママやパパがリラックスしながら赤ちゃんと接することが何よりも大切です。なかには赤ちゃんがなかなかアウトプットしないと心配する方もいらっしゃいますが、赤ちゃんがベビーサインを習得する時期や時間には個人差があります。焦って無理に教えようとしたり、結果を急いだりするのは逆効果です。周囲の大人たちが楽しんでいる様子を見ているうちに、赤ちゃんも興味をもち、自分からサインを覚えて見せてくれるようになりますよ。赤ちゃんの自然な成長を優しく見守ってあげましょう。

ベビーサインによって、赤ちゃんの言葉の発達が遅くなるといった医学的根拠はないので心配する必要はありません。

また、ベビーサインだけで赤ちゃんの言いたいことや気持ちがすべてわかるわけではありません。あくまでも赤ちゃんとのコミュニケーションをサポートするためのツールとして、日々のルーティーンのなかに無理なく取りいれて上手に活用してほしいと思います。

思うように習得できないときや、もっとたくさんのベビーサインを覚えたいという方は、月齢別のベビーサイン教室やイベント、オンライン教室に参加されると良いかもしれません。ベビーサインの講師から、より詳しい手順やアドバイスを受けることができますよ。

いかがでしたか?言葉がうまく話せない赤ちゃんと上手にコミュニケーションをとることで、赤ちゃんの話し言葉の発達にも良い影響を与えるというベビーサイン。特別なスキルや道具がなくても、誰でもすぐにはじめられるのが魅力ですね。毎日の育児に取り入れてみてはいかがでしょうか。

吉中みちるさん
監修:吉中みちる(よしなか みちる)
一般社団法人日本ベビーサイン協会代表理事。2000年に生まれた長男とのベビーサイン育児の素晴らしさを日本全国に広めるために2004年NPO法人日本ベビーサイン協会設立(のちに一般社団法人に変更)。以来、本の出版、映像監修、大学での講演会、全国での教室展開、講師の育成など多岐にわたる活動を行う。『今すぐできる かんたんベビーサイン』(遊タイム出版)、『マンガでわかるベビーサイン』(主婦の友社)など著書多数。
日本ベビーサイン協会

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