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2017/10/25

小学校英語の今―東村山市立久米川東小学校・研究授業レポート―

小学校英語の今――東村山市立久米川東小学校・研究授業レポート

学習指導要領の改訂による小学校の英語教科化も間近に迫る中、実際の小学校では英語の授業づくりはどのように進められているのでしょうか? 今回は学習指導要領の改訂に先駆けて、全学年で外国語活動の授業を実施している東村山市立久米川東小学校の研究授業と、授業後に行われた校内の研究会の様子をご紹介します。

 

校内の掲示でもふだんから英語に親しめる工夫が

東京の郊外にある東村山市の市立久米川東小学校は、英語の授業づくりに早くから取り組んでいることが特色の1つです。

校内の掲示でもふだんから英語に親しめる工夫が

校内に入ると校舎の階段には、上りながら何段目か英語で数えられるように、1段ずつ “forty-eight, forty-nine, fifty, fifty-one…” (48、49、50、51…)という風にカードが貼り出されています。

校内の掲示でもふだんから英語に親しめる工夫が-02

さらに、壁にも色や形、曜日や天気、季節などのイラストに英単語が添えられたカードが掲示されています。このように子供達が日常的に英語に触れる工夫がされていることからも、英語に力を入れていることがよく分かります。

 

コミュニケーションを重視した英語教育

同校は東京都教育委員会言語能力向上拠点校やオリンピック・パラリンピック教育推進校に指定されているほか、東村山市全体も英語推進教育地域として指定されています。「久米川東小学校では、オリンピック・パラリンピックを初めとする国際理解の一貫として、ツールとしての外国語を含め、人と人とのコミュニケーションを意識して、授業づくりに取り組んでいます」と話してくれたのは、校長の桑名 淳先生。

『すすんで表現する児童の育成』を授業テーマとして、英語で話す能力や技術だけではなく、外国語でコミュニケーションをする楽しさを知ることで、英語以外の授業や生活の中でも自分の思いを伝えられる児童を育てることを目指しているそうです。

これまでも英語専科の教員を配置し、英語の研究会を設けるなど校内での研究が進められていましたが、今年度からは児童英語の研究・実践で有名な玉川大学の佐藤久美子教授を講師に迎えて英語の授業作りに取り組んでいます。

 

絵本の読み聞かせから研究授業がスタート!

絵本の読み聞かせから研究授業がスタート!

今回取材したのは2017年9月に行われた4年3組の研究授業。4年生は年10コマ、月に1回のペースで英語の授業があります。これまで英語専科の先生に授業指導を受けてきた担任の野澤直貴先生。この日は1人で指導を担当します。

今回の授業のキーセンテンスは“What food do you like?”(あなたは何の食べ物が好きですか?)、 “I like~.”(私は~が好きです。)の2つのフレーズ。前回と今回の2時限を使って、英語で話したり聞いたりしながら好きな食べ物を聞き合うことで互いのことを知り、コミュニケーションの楽しさを知ることが狙いです。

授業はまず野澤先生の “Hello, class!” (こんにちは、クラスの皆さん!)のあいさつからスタート。
子供達も ”Hello!” (こんにちは)と元気に応えます。 “How are you?” (調子はどうですか?)、“I’m fine, thank you. And you?” (元気です、ありがとう。あなたは?)、 “I’m fine, thank you.”(私は元気です、ありがとう。) と英語であいさつをすると、絵本『Goody Goody Gumdrops!』が登場し子供達の歓声が上がりました。この絵本は前回の授業でも教材として使用しており、子供達にはおなじみの本です。

途中で先生が、食べ物の名前の部分を子供達に読むように促しながら、読み聞かせは進みます。
“Are you going to the store?” (あなたはお店に行くの?)、 “Please buy me….” (私に…を買ってきてください。)と先生が区切ると、 ”some cheese!”(いくらかのチーズ!) と子供達が声を上げて、英文の後半に入る食べ物の名前を続けて答えました。前回の授業でも習った食べ物の英単語を”Goody goody gumdrops, some bread, some cheese, a donut, a fish, a banana and a cookie!”(すてきなすてきなグミキャンディ、いくらかのパン、いくらかのチーズ、ドーナツ1個、魚1匹、バナナ1本、それとクッキー1個!)と、声に出して復習しました。

続いて「今日は新しい食べ物の名前を持ってきました」と野澤先生が、英単語にイラストを添えたカードを黒板に並べていきます。

絵本の読み聞かせから研究授業がスタート!-02

”Listen and repeat.“(聞いて繰り返して。) “One two, one two…”(イチニ、イチニ…)
先生の発音と2拍子の手拍子に合わせて、子供達も続いて”strawberry”(苺)、 “hamburger”(ハンバーガー)、 “curry and rice”(カレーライス)、 “spaghetti”(スパゲッティ)、 “omelet”(オムレツ)、 “pizza”(ピザ)、 “noodles”(麺類)と初めての単語を発音していきます。

単語の発音を練習したあとは、 “What food do you like?” 、“I like strawberries.”(私は苺が好きです。)、”What food do you like?” 、 “I like hamburgers.” (私はハンバーガーが好きです。) と、今回のキーセンテンスに食べ物の英単語を当てはめ、手拍子のリズムに合わせて、フレーズをくり返し声に出して練習しました。このように言語をリズムで覚える学習法は「チャンツ」と呼ばれ、イントネーションを身につけるために有効な方法です。

 

メモリーゲームとインタビューで楽しくプラクティス

次は4人ずつのグループに分かれてメモリーゲームに挑戦です。好きな食べ物について聞かれたら答えるゲームなのですが、前の回答者が何を答えたか覚えておく必要があります。前の回答者の答えを言ってから、自分の好きな食べ物を言います。
例えばこんな風に;

“What food do you like?”
“I like spaghetti.” (私はスパゲッティが好きです。)
“What food do you like?”
“I like spaghetti and noodles.” (私はスパゲッティと麺類が好きです。)
“What food do you like?”
“I like spaghetti, noodles and strawberries.” (私はスパゲッティと麺類と苺が好きです。)

だんだんと増えていく好きな食べ物に苦戦しながらも、子供達は和気あいあいとゲームを進めていました。

次に、今日のゴールである「好きな食べ物について友だちにインタビューしよう」が始まりました。机の列をA列とB列に分け、まずはA列の児童がインタビュアーになって移動しながら、座っているB列の児童に順に質問し、座席表がプリントされたワークシートに友だちの答えを書き込むという流れです。

インタビューを始める前に野澤先生が子供達に注意を促したのは、黒板にも貼り出された「大切なことーあいさつ、リアクション、アイコンタクト」という3つのポイント。これは事前に「よいコミュニケーションにするために大切なことはどんなことだろう?」と子供達が考えたポイントです。

そして“3 minute interview time. Ready go!” の合図で一斉にインタビューを始める子供達。お互いに“Hello!” とあいさつしたり、“Thank you!” とお礼を言ったりしながら、活発に“What food do you like?” “I like ~.” のやりとりをくり返します。A列とB列が交代してインタビューが終了すると、友だちの好きな食べ物で埋まった座席表に、どの子も満足そうな表情を浮かべていました。

そこで野澤先生が「○○さん、○○さん。“Very good eye contact!”(アイコンタクトがとてもよかったね!) みんな“Hello!”  “Bye bye!” (さようなら!)とあいさつができていて、とてもよかったね」と1人ひとりをほめると、子供達からも拍手が起こりました。

最後に「好きな食べ物を言う(聞く)ことができましたか?」「相手の目を見て話すことができましたか?」「活動を通してがんばったこと、友だちのよかったところを書きましょう」といった項目に記入するふり返りシートに、それぞれが記入。

“Goodbye, class!”(さようなら、クラスの皆さん!)とあいさつをして、授業が終わりました。

 

全学年の担任が集まって行われた授業後の研究会

全学年の担任が集まって行われた授業後の研究会

授業後の研究会は校長先生、副校長先生を初めとして、授業を見学していた全学年の担任の先生方が集まり、佐藤教授を迎えて行われました。

校長の桑名 淳先生のあいさつで研究会がスタート。
「インタビューでA列とB列が交代する際にはB列の子供達が『やったー!』という感じで席を立った。授業の終盤まで自分からすすんで聞きたいと思えるような授業になったことはずばらしいと思います」と桑名校長は述べます。

次に中学年の研究リーダーである大沼春晃先生が、今回の指導案について「授業づくりで工夫したポイントは、子供達が楽しんで取り組めるよう、ゲーム性のあるアクティビティを通して、くり返し声に出して英語を練習する機会を作ったこと。また、英語で話すことの抵抗感を減らすため、まず全員で声に出して練習することから始めて、グループでのメモリーゲーム、1人で質問するインタビューという流れを作ったことも工夫の1つです」と、説明しました。

 

校内の先生方から出た改善点や疑問点

研究会では先生方により「よかった点」「改善点」「疑問・質問」の3つの視点をもとに、意見交換も行われました。

校内の先生方から出た改善点や疑問点

よかった点として「子供達だけでなく、授業者も楽しそうだった」「コミュニケーションという視点でほめたこと」「ジェスチャーを加えたことで伝えやすくなったこと」などが挙げられました。

また改善した方がよい点としては「アクティビティのルール説明をもう少し分かりやすくした方がよい」「ふり返りシートの内容を取り上げた方が、コミュニケーションが楽しかったことを感じられたのでは」といった意見も。

ほかにも「野澤先生はチャンツのリズムで迷っていたが、リズムが分からなくなったときにはどうすればよいのか」「単数形や複数形、冠詞について、小学生ではどこまで徹底するべきか」といった疑問点も聞かれました。

 

講師・佐藤久美子教授の講評

講師・佐藤久美子教授の講評

講師として研究授業を見学した玉川大学の佐藤久美子教授は「今日の授業で一番よかったのは、プラクティスがふんだんにあったことですね。リズムに合わせて発音するチャンツ、メモリーゲーム、インタビューという3回のプラクティスと、全員、グループ、個人という流れ。これらは今回大成功でした。ほぼ全員にキーセンテンスである “What food do you like?” と ”I like~.” が定着していました」と評価しました。

「それから、コミュニケーションを大切にする視点でほめたことがとてもよかった。インタビューで『たくさん聞けたかな?』と促さなかったために、落ち着いて座ってコミュニケーションをすることができていました」と佐藤教授。

そして「プラクティスとしては最高の授業でした。あと1校時ほしいですね。3校時目を使えるなら、ぜひ発表をしましょう。4人くらいのグループで前に出て、メモリーゲームのようにやりとりをする形でもよいです。発表を通して、一番言いたいこと、一番好きな物を話すことは、『すすんで表現する』というテーマにつながる大切なポイントです」と、次回の授業内容について提案しました。

 

今後の授業での改善点と質疑応答

さらに研究会の冒頭で先生方から出された改善点や疑問点に対してもお話がありました。

「複数形と単数形については、たしかに今日は残念な感じでしたね。習慣化してしまうとなかなか抜けなくなってしまいますから、最初から正しい形で覚えるのが理想です。“apples”という場合はイラストも複数のものにしましょう」と、絵を単数形か複数形かに合わせることで、正しく覚えることができるとも提案しました。

また多くの先生が迷いそうと感じたというチャンツについては、「ゆったりとした2拍子から始めると迷いにくいでしょう。“One two, one two…” のリズムに単語を乗せていきます。」と、参加した先生全員で実際に手拍子を打って “What food do you like?” 、“I like apples.”(私はりんごが好きです。) とくり返し声を出して練習する場面も。

研究会の後半の質疑応答では、先生方から「授業の内容に合う絵本が見つからないときの絵本の選び方を教えてほしい」「小学校の授業では英語の書き方はどのように指導したらよいのか」といった質問が出ました。

「絵本はたしかに合うものが見つからないときもありますね。例えば、靴を選ぶお話で色を選ぶ場面があれば『今日は色について勉強してみよう』と、必ずしもぴったりでなくても、何か一つでも関係のある内容のあるものを選ばれるとよいと思います」と佐藤教授。

「スペルについては4年生ならそろそろ授業に取り入れてもよいですね。ただ一人ひとりに書かせるのはかなり時間がかかります。今日のようにアクティビティが多い授業では時間が足りません。そういうときは “spell it out” が便利です。絵本や英単語カードを読みながら、“g” “u” “m”、”gum” とスペル化して読ませます。これだけでもアルファベットに親しむよい機会になるでしょう」と話しました。

講評や質疑応答のほかにも、授業の進行をスムーズに行えるClassroom English(※)の指導なども実際の授業さながらにリズムをとりながら声を出して行われ、研究会に参加した先生方は最後まで熱心に取り組んでいました。
※Classroom English(クラスルーム・イングリッシュ):授業で使える英文のフレーズ。あいさつや、生徒に指示したり、生徒に質問したりするためのフレーズなどがある。

 

着実に進む小学校での英語教科化の取り組み

今回の研究授業では、楽しそうに英語の授業を受ける子供達の笑顔と、研究会での先生方の熱心な様子が印象的でした。久米川東小学校の取材を通して、小学校の先生方がたくさんの努力を重ねて英語授業に取り組んでいることがうかがえました。

これまで教科として扱ってこなかった英語を教科化するためには、授業の準備・改善などを集中的に行う必要があり、先生たちにかなりの負担がかかることが推定されます。文部科学省は2017年8月に公立小中学校の教職員定数を増やす方針を明らかにしていますが、先生方の負担を軽くするためには、教材探しや授業の設計にかかる時間を減らすことも重要です。系統的に英語を学べる民間の教材を活用するなど、工夫の余地もまだまだあるかもしれません。

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