外国で親しまれている子供の遊び5つ
- 更新日:2020年8月18日
- 公開日:2020年2月18日
子供の学力は家庭環境で決まる!遊びながら知的好奇心を伸ばす方法とは?
親なら誰でも、「子供の学力を伸ばしたい」「勉強で苦労させたくない」と思うものではないでしょうか。結果、塾や習い事を・・・と焦る親御さんは多いのですが、時間とお金をかけなくても家庭で学力の素地は十分に育めます。
家庭環境を子供の知的好奇心の基地にするちょっとしたコツ、親のあり方について、中学受験指導のカリスマでメディア出演も多数、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』の著者、小川大介先生に伺いました。
目次
育児情報があふれる中、我が子が遅れをとらないように・・・という意識が高まっています。いま、親には何が求められているのでしょうか?
子供は勝手に育つもの
「後で困らないように」、「遅れをとらないように」と、いろんな習い事や早期教育をさせる家庭が増えています。
ただ、世の中の流れに合わせようとしても、子育てはうまくいきません。子供はそもそも“勝手に育つ”。そういう力が備わっているんです。こういうものを与えればこう育つ、大人がこうさせたからこう育つ・・・と、与える教育、やらせる教育に偏ると親も子もしんどくなってしまいます。
放っておいても育つので、親がすることは、子供が何かに興味を示したり、気持ち良さそうに何かに取り組み出したとき、その瞬間の目の輝きを見逃さないこと。そして、子供の心が動いたことを応援する態度こそが、親に求められることです。
まずは自分の子供をよく見る、それから世の中を見る
子供がどうしたいかは、注意深く見ていれば、子供が自ら教えてくれます。まだ言葉で表現できない年齢の子なら、仕草や表情、そして、ずっと1つのことに集中していたら、それがヒントになります。子供はいつも、“好きなこと”、“興味のあること”を行動で親に示しているんですね。
親はそれをキャッチする術(すべ)を高めていってほしいと思います。毎日そばにいるわけですから、ちょっと気持ちを子供に向ければ、難しいことではないですね。
世の中の人気の習い事ランキングを見て、ウチの子にも何かさせなくちゃ・・・と焦って、自分の子供を見ている親御さんは、「ウチの子はこれができていない」「ウチの子はこれが足りない」となりがちです。それは真逆のアプローチです。
まずは自分の子供をよく見る。それから世の中を見ていけば、その子に必要な好奇心の種や学びの材料は、いくらでも落ちていますから。
子供をよく見るとはどういうことか
子供が遊ぶ姿を見て「次にこれをさせよう…」と考えているのは、親の都合に子供をあてはめているだけなので、本当に見ていることにはなりません。
1日10分…いえ、5分でいいから、その子の気持ちになって「あ、これが楽しいんだな」「これが好きなんだな」と理解しようとしながら見る、それが子供をよく見るということですね。
お絵描き1つとっても、気づくことはたくさんあります。たとえば、子供がよく人魚の絵を描いていたとします。「なぜ人魚?」と不思議に思いますよね。
そうしたら、「どこで人魚を知ったの?」「お話から?」と問いかけてみます。「人魚は人と魚がくっついた姿形で面白い」と子供が答えたとしたら、「人魚の他にも、人と馬がくっついた“ケンタウロス”というのがいるんだよ」と返してみるとか、いくらでも会話は派生していきますね。
そういう展開にもっていくには、親にも考える力が求められますが、親が頑張ってできることなら、頑張ればいいんです。
大事なことは子供が教えてくれる
そういう観点に立つと、子育てはすごくわかりやすくなります。あるべき方向性を子供が示してくれているのですから。
子供を育てようとするから焦ってしまうんですね。育ててもらうのは親のほうなんですよ。だから私は、“子育ち、親育て”だと思っています。
忙しいと、「次、これやりなさい!」「さっさと、しなさい!」と言いがちになり、子供の目の輝きを見逃してしまいます。
1日宿題をしなくても、頭が悪くなるわけじゃないですし、習い事を1日休んだくらいで遅れをとることもないです。それくらいの余裕は心にもっておきたいですね。
子供の学力が家庭で育まれるというのは、どういうことでしょうか?
勉強と遊びは同じ
子供の学力は家庭環境で決まると私は言い続けていますが、学力とは“考え方と習慣”なんです。“学力=知識”と捉えている人が多いのですが、それはちょっと違いますね。
学ぶということに関する、考え方、捉え方、それらが日常生活の中でどれだけ当たり前のようにしみ込んでいるか、繰り返されているか、それこそが“学力”なんです。
ですから、相談に来る親御さんたちには「勉強をしんどいものだと教えないようにしてください」と伝えています。「勉強と遊びは同じなんですよ」と。
子供が面白いこと(遊び)にのめり込んでいたとして、他の人から見たら「あ、あの子また勉強しているな」と思われるくらいが理想なんです。
遊びに集中しているときは全身運動の真っ最中
子供が集中して遊んでいるときというのは、全身運動をしているのと同じです。遊びにのめり込んでいるとき、脳も感覚もフル回転しています。
たとえ、家のすみっこでちまちまとした工作をしていても、神経を集中させてやっていれば、それはその子にとってすごく貴重な遊びの時間なんです。
面白いことじゃなければ続かない
たとえば、知りたいことがあるなら、とことん調べればいいんです。知らない言葉を「辞書」で調べる、気になった動物を「図鑑」で調べる。
そういったことは小さいうちは完全に遊びですが、小学校の高学年くらいになると「語句調べ」みたいな名前がついて、勉強になっているんですね。
自由な遊びの時間がたくさんあれば、興味をもったものを子供はどんどん調べたり、追いかけたりできます。こんなに楽しい遊びはないですね。勉強だけど遊びです。
でも、やっている本人には、勉強という意識はまったくありません。
心が動いた分だけ学んでいる
子供は自分の心が動いた分だけ、強くなります。“学力=もっている才能×行動量”と考えて、あれもこれもと習い事をさせる親御さんもいますが、それは違います。やらされた量が多くても、心が動いていなければぜんぜん力にはなりません。
子供自身が興味を示したものに気持ちよく没頭させてあげられたら、より高く深い次元に到達できますよ。それこそが、真の学力です。
家庭で心が動く遊び、探究心をくすぐる遊びをたくさんしていれば、自然と学力の素地ができあがっていくんです。
学力を伸ばすアイテムとして、「図鑑」「地図」「辞書」をあげているのはなぜですか?
「図鑑」「地図」「辞書」は子供の心を動かす三大神器
“心が動く=学びが深まる”という話をしましたが、「図鑑」「地図」「辞書」の3つが、まさに、好奇心、探究心を満たす材料です。
「図鑑」は絵本の1つと捉えてもいいのですが、素晴らしいのは、1つ調べると芋づる式に関連するキーワードがわーっとたくさん目に入ってくる点です。色もカラフルでビジュアルも美しいので、ただ眺めているだけでも飽きません。世界がグンと広がります。
大事なのは「何これ?」をたくさん引き出すことです。
「図鑑」を眺めていると、自然と、「何これ?」という疑問や発見がたくさん出てきます。「ペンギンも鳥なんだ!」「カメに人が乗ってる!」とか。たとえば、「カメ」を調べていてガラパゴス諸島が出てきたら、「それ何? どこ?」って疑問も湧いてきます。
そうしたら、今度は「地図」の出番ですね。地図帳や地球儀があれば、世界を俯(ふ)瞰(かん)する目が育ちます。今自分が生活している土地を起点に、世界を立体的に見ることができます。グーグルマップも自分の家を広域や縮尺で見たりできて、面白いですよね。
地図がおもちゃとしてあることで、世界と自分の暮らしをつなぐ視点を、遊びながら育むことができます。
「辞書」は言葉を知るためのものですが、言葉を知るということは、人とつながるということです。辞書はそのためのツールなんですね。
言葉を知れば、いろんな人と話せて、その人の経験をもらうことができます。年齢を超えて誰かと話したり、違う国の人ともつながっていけるんです。
「図鑑」「地図」「辞書」は子供の心を動かすだけでなく、今住んでいる場所、国、文化を超えて、子供と世界をつなぐ架け橋となる、そういった可能性も秘めているんですね。
2020年度から小学校でも英語が教科になります。どんな準備をすればいいですか?
「英語は楽しい!」という気持ちだけは育てておく
科目として勉強することで、英語嫌いになる子が増えなければいいなとは思っています。
心から英語の授業を楽しんで教えられる先生ばかりではありませんし、単語調べをさせたり、発表をさせたり、何かしらの方法で評価することになるわけですから、楽しいと感じる前に嫌になってしまう子が量産されるのではないかという心配はあります。
あくまで私の予測の範囲でしかありませんが、小学校の英語の授業が楽しめる子は、おそらく、“ちょっと英語がわかる子”です。少しでも単語を知っている、何かしら発言できる、英語を習っているなど、英語に触れた経験がゼロではない子。
要は、“英語をまったく知らないわけではない子”は、科目としての英語に触れても英語嫌いにはなりにくいと思います。
小学校で初めて英語に触れて苦手意識をもたせない、そのための防衛策として、就学前に何かしらの方法で英語に触れさせておくことは、今後すごく大事になってくると思います。
「英語」にも「辞書」と同じ役割がある
「英語」には辞書と同じ役割がありますね。日本語の世界とは違う考え方に触れるきっかけになるものです。自分の世界を広げる入り口とも言えます。
知らないものに触れるのは、最初は不安や違和感を伴って、子供はもやもやした気持ちになると思います。それは学びが引き起こす変化ですが、大事なことは、やはり“楽しいかどうか”ですね。
もし家で英語に触れさせて、英単語が書けたり、上手な発音ができたら、子供をほめてください。同時に、「アメリカ人は“カレイ”と“ヒラメ”を区別しないで“flatfish”と言うんだね」とか、親子で話して世界が広がる楽しさを一緒に味わうといいと思います。
子育て中の親御さんたちに、メッセージをお願いします。
「親」も家庭環境の1つ
「図鑑」「地図」「辞書」というのは、子供の好奇心、探究心を刺激する家庭環境に欠かせないアイテムです。でもそれ以前に大事なことがあります。
それは、親こそが家庭環境の一部だということです。そういう意識をもっている親御さんは、少ないですね。
“自分が何かをするから、子供が変わる”ではなく、“自分がどうあれば、子供がこうしていられる”という視点がとても大事です。だから親は、“自分自身がどういう親でありたいか”を、考えていかないといけません。親が育てば子供も育っていきます。だから、“子育て”ではなく“親育て”なんですね。
ありのままを認めるのが自信につながる
そのためには、自分の家庭の軸、親の軸をしっかりもってください。先行き不安な世の中で、子育ての環境も、教育現場も、とても厳しい状況です。
だからこそ、自分自身を親としてどう育てていくか、自分の家庭の軸、子育てのビジョンを考えてほしいと思います。学校への不安、子育てでサポートが得られない辛さ、地域環境への不満など、それぞれに悩みは尽きませんが、最後に信じられるのは「家族」です。
家庭環境の中心に親がいるとしたら、親が自信をもってください。
他人と比較してどう優れているかではなくて、得手も不得手もある、そういうありのままをすべて「これでいいよね」と認めること、それが自信です。
親がこういう気持ちでいると、子供はすごく安心します。他の人から見てマイナス点だと思うことも、家庭では認め合ったりほめ合ったりできるといいですね。
親の3原則は「認める」「見守る」「待つ」
繰り返しになりますが、子供は勝手に育ちます。「認める」「見守る」「待つ」、この3原則をもって子供と関われば、親も自分を育てられます。
この3原則を実行するには、親は子供を信頼する理由をたくさん見つけてください。「この子はこういうやさしさがある」「こういうことが得意」というふうに、信頼できる材料を1つでも多く見つければ、結果的に子供の成長を見守り、待てるようになります。
信頼する材料を見つけるコツは、子供のありのままを認めることですね。「今、3歳だから、そろそろこれをしなくちゃね・・・あれをしなくちゃね・・・」ではなくて、「今、3歳のあなたは、こうなんだね」というふうに。
お母さんは、何かあると自分が責任をとらなくちゃ・・・と思いがちですし、誰かに支えてもらっているという実感が得にくい社会です。今の子育てはしんどい面もたくさんあります。
だからこそ、「自分はこれでいい。この子は大丈夫」という考えをしっかりもつことが大事ですね。そう思えたら、何とか頑張れるのではないでしょうか。
インタビューを終えて
「つい話しすぎてしまいましたが、究極は、自分の子供を堂々と『ウチの子、かわいいんです!』と言えるかどうか。それが言えたら、子育てに間違いはないです」と小川先生。
情報化社会の中で迷子にならないよう、「自分軸」「自信」をもつことの大切さが、ひしひしと伝わってくるお話でした。
「我が家らしさ」に自信をもって、子供を見守りましょう。今日からさっそく、子供のいいところをどんどんほめてあげましょう。そして、「図鑑」「地図」「辞書」をいつもかたわらに、子供と一緒に楽しく遊び、学べる親でありたいですね。
プロフィール:小川大介(おがわ だいすけ)
教育家。1973年生まれ。京都大学法学部卒業。
学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子供それぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。受験学習はもとより、幼児期からの子供の能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中。そのノウハウは自らの子育てにも活かされ、一人息子は中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。『1日3分!頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)のほか、頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書多数。
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