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アメリカを始めとする外国では、外出先で赤ちゃんに母乳をあげるとトラブルになってしまうこともあります。一体なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?
外国と日本の社会を比較してみると、日本が母乳育児の先進国であることが見えてきましたよ。
近年アメリカで、レストランや図書館、病院、公園などの公共の場で母乳を与えることが大きな社会問題になっています。
外出先で赤ちゃんに母乳を与えようとしたママが、店員に出ていくように言われたり、周囲の人から心ない言葉を投げかけられたりする出来事が起こり、授乳をめぐって社会的な議論が巻き起こっているのです。
アメリカには人前で母乳を与えること問題視する風潮があり、母乳育児を原始的な行動と捉える人や、授乳している姿がセクシャルな印象を与えたりして、周囲の人が不愉快な思いをするという考えを持つ人もいます。
そもそも、昔のアメリカでは、母乳よりもミルクの方が栄養価も高く赤ちゃんの体にいいと信じられ、ミルクで育児をする人が多数派でした。しかし、1989年、WHO(世界保健機関)とUNISEF(国際連合児童基金)が発育効果や免疫効果のある母乳育児を推進する指針「母乳育児を成功させるための10ヶ条」を発表したことから、医療機関でも母乳育児へのサポートが積極的に行われるようになりました。これにより、赤ちゃんに母乳を与えたいと思うママたちが増加したという背景があります。
そのためアメリカのほとんどの州では、母乳で赤ちゃんを育てたいと思うママのために公共の場での授乳を認める法律を定め、法的に守るという措置をとっています。
しかし、アメリカでは公共の場での母乳を与える歴史が浅いこともあり、授乳の仕方を巡ってトラブルや議論も起きているようです。
※参照
「レストランで授乳をするのはいけないこと? 飲食店の対応が議論の火種に」buzzfeed
「授乳に関する日本・中国・米国3ヵ国調査を実施」ピジョン株式会社プレスリリース
「レストランで授乳していい?悪い? (母乳育児と法律)」Mama & Baby Lactation Service
「海外の母乳育児アメリカの取り組み」JAMSNET東京
それでは、人前で母乳を与えることに対して、日本ではどのように考えられているのでしょうか?
日本の多くの産院では母乳育児に関する指導を積極的に行っています。例えば、産後10日くらいまでの間に出る初乳にはビタミンAやビタミンE、ナトリウム、亜鉛、セレンなどが豊富で、免疫を高める「免疫グロブリン」や「ラクトフェリン」、「オリゴ糖」などの成分も含まれていて、赤ちゃんの発育にとって重要であることなどが指導されます。2015年度の厚生労働省の調査によれば、妊娠中に、「ぜひ母乳で育てたいと思った」と回答した方の割合は 43.0%、「母乳が出れば母乳で育てたいと思った」と回答した方の割合は 50.4%であり、合計すると9割を超えていました。妊娠中の時点でほとんどのママが母乳育児に対して肯定的な姿勢なのです。
日本では、江戸時代の頃にはすでに人前や外出先で母乳を与えることがごく普通のこととして行われており、公共の場での授乳が社会的に受け入れられていました。
そもそも当時の日本では裸についての意識が大らかで、着物がはだけた状態で歩いたりするのも普通のことでした。
けれども、明治時代以降は西洋からの目を気にして「裸体禁止令」という法律が東京で施行されるなどして、人前で母乳を与えることに対する日本人の意識は変わっていきました。
現代の日本では、公共の場所で母乳をあげることを不快に感じる人や、人前で母乳をあげるのは恥ずかしいと感じるママもいます。外出先での授乳場所に困ったという経験があるママも多いのではないでしょうか?
このように、公共の場での授乳に対する意識が大きく変わってきた歴史をもつ日本ですが、現在は授乳のための環境整備にも意識が向けられ、授乳ができる公共の場所はかなり充実しています。
外出先で母乳を与える場所に困らないように、役場や駅、図書館、デパートなどには授乳室が備えられるのが当たり前になってきているのです。
海外では、日本のように様々な場所に授乳室が設置されている国は少ないようです。
例えば、カナダ・ケベック州は母乳で育てることを推進し、公共の場所で授乳をすることは権利として法律に定められています。また、人前で授乳することに抵抗がある人についての配慮についても議論されています。けれども、授乳室が設置されているのは、大きなショッピングモールや空港などのごく限られた施設となっています。
このように母乳育児を進めている地域でも、日本に比べると場所や数は少なく、認知度も低いのが現状のようです。
日本では、授乳の際のグッズもさまざまなものが開発され、肌を露出せずに授乳できる授乳服や授乳ケープなどのアイテムもたくさん流通しています。授乳室や授乳のためのアイテムが充実している日本は、外国のママから見ると「先進的で素晴らしい!」と感じるかもしれませんね。
※参照
公共の場で授乳「ありorなし」、あなたはどう思いますか?
厚生労働省「乳幼児栄養調査」
「Making your municipality more breastfeeding friendly」Association pour la santé
publique du Québec
授乳できる環境が整っている日本でも、外出先だと人目が気になって簡単には授乳できないこともあります。
人前での授乳について、日本は、アメリカのように大きなニュースになったり、権利を求める行動が起こったりしているわけではありません。ただ、SNS上などでは、レストランなどでの授乳の是非について、しばしば議論が巻き起こっています。
では、外出先でも気軽に授乳するためには、どのような工夫をしておくと良いのでしょうか。
まず、外出先に授乳室があるかを調べておきましょう。いざというときに駆け込める場所を知っておくと、気持ちにゆとりを持てます。外出先での授乳に備えて、授乳服と授乳ケープを身につけるのもオススメです。
授乳服には授乳口がついているので、授乳室がないところでもサッと授乳ができます。普段着としても着られるデザインの授乳服も多く、周りから授乳服だと気づかれにくいだけでなく、コーディネートを楽しめることもうれしいポイントです。
授乳服と合わせて授乳ケープを上から羽織れば赤ちゃんをすっぽり隠せるため、一見すると授乳中には見えません。あらかじめ自宅で授乳服や授乳ケープを使った授乳練習をしておけば、外出先で赤ちゃんがぐずって泣き出してもスムーズに授乳できます。
公共の場での授乳が広く受け入れられている日本であっても、出産・育児の未経験者の中には、母乳を授乳している様子を見て戸惑ってしまう人もいます。そのため、人目がある場所で授乳するときは、人がいる方向とは逆方向に体を向けたり壁側を向いたりしましょう。子供を寝かしつけるときのように、子供を抱え込む姿勢を取ると、人目をよりシャットアウトできます。
交通機関で座る席にも気を配ることも良い方法です。バスでは後方の座席に座ったり、電車では車両の端の方に座ったりするなど、なるべく人目につかない位置に座ることを心かげると良いでしょう。
このように、ちょっとした気配りで外出先でも授乳がしやすくなります。乳児期の赤ちゃんとお出かけの際は、上記のポイントをチェックして授乳に備えましょう!
日本は他の国と比べると、外出先での授乳環境は整っているとはいえ、やはり落ち着いて授乳ができるのは自宅ですよね。人目を気にせず授乳する時間は、赤ちゃんにとっても、ママにとってもリラックスできる時間でしょう。
赤ちゃんを抱っこして授乳することは、赤ちゃんの体の成長のためだけではなく、赤ちゃんの心の成長や親子の絆を深める効果もあります。スキンシップをしたママと子供の脳からは、オキシトシンと呼ばれるホルモンが分泌されますが、このホルモンは情緒を安定させストレス耐性を強める効果や、子供の身体を成長させ病気に対する免疫力や抵抗力を高めてくれる効果もあるからです。
また、BGMを工夫することでも、自宅での授乳時間を充実させることができます。
授乳時間は1日に何回もありますので、ママや赤ちゃんがリラックスできる音楽を流す習慣をつければ、より快適に過ごせるようになります。
例えば、授乳中に英語の曲をかけ流してみることもオススメです。
英語の赤ちゃん向けの歌には、親しみやすいメロディと歌詞の曲がたくさんあります。
なお、生まれたばかりの赤ちゃんには、すべての言語の音を聞き分ける能力があるため、この時期から日常的に英語に触れていると、大きくなってから英語の聞き取りや発音を身につけやすくなるという効果もねらえます。
以下の記事では授乳中にオススメの英語の曲や歌から英語を学ぶ効果を紹介しています。ぜひ、参考にして授乳時間をさらに有効に使いましょう。
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© Disney. Based on the “Winnie the Pooh” works by A.A. Milne and
E.H. Shepard.
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