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英語力は人間力2

神奈川県・私立栄光学園で約40年英語を教えていた石川先生の著書『「英語」力は人間力』のご紹介です。
今回紹介する引用箇所では、日本人が英語の発音をする際にネックになるのが、英語の母音(※1)の種類の多さであることが述べられています。
子どもが日本語に慣れてしまう前の幼少期から、英語の母音にあらかじめふれておくことで、こうした日本人の弱点を解消できるかもしれません。

※1 母音:
舌、歯、唇または声帯などで息の通り道をさえぎらずに発生される音。日本語では「あ・い・う・え・お」の音が母音にあたる。


pieはパイにあらず

英語の音声を扱うとき、ストレス(stress)は極めて重要である。いまだ一般にはアクセントと言われるが、英語の場合はストレスと言った方が適切らしい。なぜなら、英語では、強めたい部分が求めているのは、髙く、大きく聞こえることではないからだ。

例えば、次のようなことを試してみてほしい。口の前にティシューを細く切ったものをぶら下げ、日本語で「パイ」と大声で、次に、英語の「pie」(パイ)をささやき声で発音してみる。すると、「パイ」ではいくらか揺れた程度でも、「pie」の時にはパッとティシューが跳ねるはずである。これがアクセントならぬ、英語のストレスである。そして、ストレスに無頓着に発音すれば、pier(埠頭)はbeer(ビール)に、tie(結ぶ)はdie(死ぬ)に受け取られるかもしれない。

五母音の日本語より英語は母音数が遥かに多く、日本語には原則的にない二重母音まで存在する。それらを不用意に日本語の五母音の枠に組み入れてしまうと、弁別に支障を来(きた)す。

だから、もちろん、個々の母音をでるだけ正確に把握することは重要である。さもないと、pull(引く)やship(船)をゆっくり言ったり、pool(プール)やsheep(羊)を速く、正しく発音できないことにもなる。また、ストレスを考えないで、というより、ストレスのない音節の母音を曖昧に誤魔化すことを知らなければ、日本語より数の多い母音にもっと戸惑ったり、英語らしいつもりで、career(経歴)をキャリーヤ、Canadian(カナダ人)をキャネイディアンと言ってしまうことにもなる。

子音も当然、日本語と英語では異なる。しかし、その典型のようにいわれる l とrの区別は、日本人としてはソコソコの程度で諦めた方がよい、と思わないでもない。我々はまことに器用にラ行の子音を、lとrの両方一遍に、同時に発音してしまうからである。典型的日本人「英語」学習者の私としては、例えばleader (指導者)とreader (読者)を耳では混同したままでも、コンテクストから弁別する機転を利かせた方が早いと思うことが多い。

ちなみに、鎖国下アメリカからやって来て北海道に上陸し長崎での監禁生活中に日本人に英語を教え、「日本最初の英語教師」と称されるラナルド・マクドナルド(Renald MacDonald 1824―1894)はその自伝の中で「彼らはlを発音できない。できたとしてもきわめて不完全だ。彼らはlをrと発音する」(マクドナルド『日本回想記』富田虎男訳訂、刀水書房)と述べている。どちらかというと、lよりもrの発音の方が難しいと考える我々とは反対の印象を彼が抱いたことは日本人がlとrを正しく発音するに際して示唆的であるといえる。

(石川 吉紀 著『「英語」力は人間力』川喜多コーポレーション p.61~62より抜粋)

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著者略歴

石川 吉紀

1941年、神奈川県生まれ。栄光学園中学高等学校卒業後、上智大学に入学。同大学、外国語学部英語学科を卒業。その後、母校、栄光学園にて、「英語科」教員となり、以来四十年間、同学園にて教鞭を執る。栄光学園理事。日本音声学会会員。日本パワーリフティング協会認定・生涯健康指導士。(※2) 

※2 書籍刊行当時の情報です。 

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