社会のグローバル化が進み、英語教育の重要性はますます高まっています。
英語は世界共通語であり、世界での英語話者は15億人にものぼるといわれます。英語はビジネスにおいても国際語であり、就職・転職の際にTOEIC®︎※の得点を採用条件に挙げる企業も増えているようです。
こういった現状を踏まえ、早い時期から英語を学びはじめるのが一般的になり、0歳から英語にふれさせたいと考えるご家庭も少なくありません。
ある民間企業の実態調査で「英語の幼少期教育を受けて/受けさせて良かった」と思っている人が回答者全体の9割以上にのぼったという興味深いデータが発表されました。
英語のスタートは早ければ早いほど良いとよくいわれますが、実際の効果とは?また子供にはどのような影響を与えるのでしょうか。
ここでは実態調査の結果を紐解きながら、早期英語教育の可能性と実際の効果について考えていきます。
※TOEIC®はETSの登録商標です。このウェブサイトはETSの検討を受けまたその承認を得たものではありません。
※TOEIC®は英語を母語としない人を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通の試験です。
多くの人が早期英語教育の必要性を感じる理由とは?
早期英語教育を受けた人ほどTOEIC®スコアが高い!?
早期英語教育の4つのメリット
早期英語教育の上手な進め方とは?
結論
多くの人が早期英語教育の必要性を感じる理由とは?
社会人のスキルアップとリスキリングにおけるさまざまな実態調査を実施している『スキルアップ研究所』により『幼少期の英語教育に関する実態調査 2024』が行われました。
実際に英語の幼少期教育を受けた人、子供に英語教育を受けさせた親を対象に行ったアンケートで「英語の幼少期教育を受けて/受けさせて良かったと思いますか」という質問に対し、94.5%が「はい」と回答。一方、「いいえ」と答えたのはわずか5.5%にとどまりました。
出典:スキルアップ研究所
この調査では、多くのご家庭でお子さまの早期英語教育に意義を感じている実態が明らかになりました。英語の幼少期教育を受けさせた理由を尋ねた質問では、「国際共通語の英語を身につけることで子供の可能性を広げるため」、「グローバル社会で役立つ能力を身につけさせたい」という回答が上位を占め、「語学習得に有利であると考えた」「異文化に触れさせたいと思った」「学業の成績に有利であると考えた」「周りの子供たちも受けていたため」「その他」と続く結果となりました。
これらの上位回答から、同研究所は「多くの保護者が子供の将来を見据えて英語教育を選択していることがわかる」、「グローバル化が進む社会において、英語力が子供の可能性を広げる重要なツールとして認識されている」と分析しています。「我が子には英語で苦労させたくない」と考える保護者は多く、早くから英語を学ぶ必要性とそのメリットを実感している現状が結果に反映されました。
早期英語教育を受けた人ほどTOEIC®スコアが高い!?
同調査では、幼少期の英語教育がTOEIC®スコア(990点満点)に与える影響が大きいこともわかりました。
幼少期に英語教育を受けた人と受けていない人のスコアを調べた結果、「受けた人」の群では600点以上が全体の6割、700点以上が全体の4割を占めました。一方、「受けていない人」の群では700点以上はわずか3.2%にとどまりました。
一般的に、ビジネスで通用する英語のレベルはTOEIC®️スコア700点以上といわれ、社内公用語を英語としている日本企業の中には、入社までに800点取得を条件にしているところもあります。700点〜800点を取得すれば、外資系を含め多くの企業で就職や転職に有利になり、職業選択の幅が広がると考えられます。
また、ビジネスレベル以上の英語力をもつ人材の年収は高いこともわかっています。とりわけコロナ後には、とくに50代女性の年収が国税庁の示す女性平均年収※1より約2.2倍高く、英語力が年収差につながっているというデータ※2が上がっています。
英語活用実態調査2019(企業・団体)によると、英語のスキルを「昇進・昇格の要件としている」、「将来要件にしたいと考えている」企業の比率は回答社全体の4割前後※3で、今後も増えていくことでしょう。英語力がなければ応募資格のない企業もあり、就活において英語は強力な武器になるのです。
※1 国税庁による「令和元年分 民間給与実態統計調査」の女性平均年収
※2 出典:アフターコロナ時代、英語力が年収に与える影響は?(ヒューマングローバルタレント株式会社)
※3 出典:英語活用実態調査2019(企業・団体)
早期英語教育の4つのメリット
早いうちから英語にふれることで得られるメリットは、確かにあることがわかっています。以下では大きく4つのメリットについてご紹介します。
1.乳幼児期は言語習得のゴールデン・エイジ
赤ちゃんの脳は、体の成長よりも早いスピードで完成に近づきます。
生後半年で約2倍の重さに増加し、3歳頃までに大人の脳の約80%まで成長すると考えられているのです。つまり、0歳〜3歳は一生のうちで脳がもっとも著しく発達する「脳の成長期」。この時期の赤ちゃんは、外国語を母語とほぼ同プロセスで習得することがわかっています。日常生活の中で日本語と英語を一緒に聞かせ、たくさんの単語をインプットしてあげると、両方の言語を自然に覚え、バイリンガルに育つ可能性が広がります。
赤ちゃんが"言語習得の天才"といわれる理由です。
スポンジのように柔軟に、英語を英語のまま理解し、違和感なく吸収することができるのは乳幼児期ならではの特徴です。"言語習得のゴールデン・エイジ" を逃す手はありません。
ゴールデン・エイジに関する内容はこちらのページもご参照ください >> 乳児・幼児からの英語
2.「英語耳」が育ち、発音やリスニング力が向上する
早期に英語教育をスタートすることで、英語の発音を正しく聞き取る力「英語耳」が育ちます。
日本語と英語は周波数が大きく異なりますが、生まれたばかりの赤ちゃんはどんな周波数の言語も聞き分ける能力に長けています。
たとえば生後6カ月〜8カ月の赤ちゃんは、日本語にはない"L"と"R"といった音の違いを聞き分ける※1ことができ、英語特有のアクセントやイントネーションも正しく識別することができます。
ある調査結果※2では、1歳の乳児は4歳児や大人と比べてあらゆる言語の識別能力に優れており、その能力はやがて消失していくことがわかりました。
子供の聴力が完成する前の小さい頃から、歌や映像などを通して英語を"音"としてたくさんインプットすることが、英語の発音やリスニング力を高めるためにとても大切になります。
※1 参照:パトリシア・クール(Patricia K. Kuhl)(2011)『Early Language Learning and Literacy: Neuroscience Implications for Education』、『Mind, Brain, and Education Volume 5, issue 3』
※2 参照:Cross-language speech perception
3.英語を学ぶと他言語も習得しやすくなる
英語を学ぶと、他の言語も習得しやすくなる傾向があるとよくいわれます。
世界中にはいくつもの言語がありますが、その中でも日本語と英語は「言語間距離」※が遠い言語であり、第二言語習得研究の観点から、日本人が英語を習得するには多くの時間と努力が必要になると考えられています。
一方、スペイン語やイタリア語は、ラテン語からの派生で文法や語彙が英語と似ており「言語間距離」が近い言語とされています。すでに英語が身についている場合、学習能力アップにつながりやすくなります。英語とフランス語のように、共通の語源をもつ単語が多くあるような場合にも、理解できる表現が多く存在することによって学習時間の短縮につながる可能性があります。
前述の『幼少期の英語教育に関する実態調査』で、幼少期英語教育を受けたことが、他の学習にどのような影響を与えたかを尋ねたところ、下記のような結果となりました。
- 「大きく良い影響を与えた」と回答した人・・・26.0%、
- 「どちらかといえば良い影響があった」と答えた人・・・48.5%
合わせて74.5%の回答者が幼少期の英語教育が他の学習にもプラスの影響を与えたと認識していることがわかりました。
調査では「英語の学習方法や言語習得のコツが、他の言語にも応用できる可能性がある」とし、 英語学習で身につけた意欲や成功体験は、他言語に挑戦する際の基礎力になるといえそうです。
※言語間距離:文法や語順、発音、使用する文字などの観点から見た、異なる言語間の類似度。言語間距離が母国語に近い第二言語は、一般的に習得しやすいといわれています。
出典:スキルアップ研究所
4.異文化理解・多様性とコミュニケーション能力が身につく
幼少期から英語にふれるメリットは、単に語学として英語が習得できることだけではありません。早くから英語に親しむことで子供の視野が広がり、異文化理解力が高まることも期待できます。
世界の英語話者には、人種・国籍・宗教・文化など、日本人とはまったく違った多様な背景をもつ人々がいます。価値観が確立される前の乳幼児期から、外国人と接したり異文化にふれたりする機会が増えることで、多様性に対する理解力も自然に高まっていきます。
その結果、グローバル社会で求められる円滑なコミュニケーション能力が育まれ、将来、国際社会で柔軟に活動する力の基盤を築くことができるでしょう。
早期英語教育の上手な進め方とは?
幼少期には、子供が自発的に英語にふれられるような環境作りがとても大切です。英語の早期教育がお子さまの重荷にならないよう、楽しみながら英語を身につける工夫を心がけてください。ゲームや音楽、映像を活用したり、体を動かしたりしながら、遊び感覚で英語のスキルを少しずつ伸ばしてあげましょう。ご家庭で英語の絵本を読み聞かせたり、英語の歌をかけ流したりするのも効果的です。
勉強としてではなく、遊びを通して早くから英語になれ親しむことで、英語がより身近で楽しいものに感じられるようになるのです。
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結論
ここまで実際の調査をもとに、早期英語教育の必要性についてみてきました。
英語の早期教育には、「自然な発音が身につく」、「他言語習得の基盤を築く」、「世界が広がり、コミュニケーション能力が高まる」など、多くのメリットがあります。また、思考力や表現力の育成や、さまざまなものへの興味・関心の芽を育てることにもつながるでしょう。
幼少期は、将来グローバルな世界で活躍するための準備期間でもあるのです。
早期英語教育を成功させるポイントは、ご家庭内で自然に英語にふれられる環境をできるだけ多く提供することです。その際、無理をしたりプレッシャーをかけたりしては逆効果。お子さまの成長に合わせ、歌や映像、読み聞かせなど、親子で一緒に楽しみながら進めるように心がけましょう。
幼少期から楽しくコツコツと積み重ねた英語体験は、子供たちが自らの道を切り拓くためのカギとなり、未来の選択肢を増やしてくれるに違いありません。