
ご家庭で英語の歌を聴いたり、絵本に親しんだり......。日々の「おうち英語」を積み重ねる中で、「今、この子の英語力はどのくらいだろう?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。楽しみながら自然と身についた英語力を客観的に確かめることは、お子さまの学習への意欲を育むためにも大切なプロセスになります。
世界基準の英語能力測定テストとして知られる「TOEFL®」の小中学生向けテスト、TOEFL Primary®をご存じですか?特別なテスト対策をしなくても、日頃の生活や遊びのなかでコツコツ積み上げた「ありのままの実力」を国際的なレベルで測れるため、初めての英語の資格試験として低学年から挑戦するお子さまが増えています。
近年では国内の難関校を含む中学受験において、加点や優遇措置に活用されるケースも増加傾向にあり、大きな注目を集めています。
そこで今回は、家庭学習の成果をさらなる成長へとつなげる「TOEFL Primary®」の特徴や受験のメリット、ご家庭での活かし方などについて、テストを運営する公文教育研究会の塩尻誠子さんに詳しく伺いました。
Q1. 「TOEFL Primary®」とはどのようなテストですか?
Q2. 小学校低学年から受験するメリットを教えてください。
Q3. 英検®との違いはどこにありますか?
Q4. スコアレポートを日々の取り組みに活かすポイントを教えてください。
Q5. テストの結果を子供の「やる気」や「主体性」につなげるコツはありますか?
Q6. 日々「おうち英語」に励まれている親御さんへのメッセージをお願いします。
Q1. 「TOEFL Primary®」とはどのようなテストですか?
小中学生を対象とした「世界基準」の英語テスト
TOEFL Primary®は、世界最大のテスト開発機関である米国ETSが開発した、小中学生向けの世界基準の英語テストです。すでに世界47カ国(2022年時点)で導入され、子供たちのグローバルな英語力を測る指標として活用されてきました。日本では公文教育研究会が普及・運営を担っています。
受験者の層は幅広く、特に英語学習を始めたばかりの小学校低学年から挑戦するケースも増えています。
出題内容は、子供の学校生活や家庭など、日常にある身近なシーンが題材です。「英語を英語のまま理解して答える形式」なので、実践的なありのままの英語力を測定できるのが特徴です。
TOEFL Primary®は、英語の「聞く・読む・話す・書く」の4技能を総合的に測れるテストで、技能別に「Reading & Listening(ペーパー形式)」「Speaking(デジタル形式)」「Writing(デジタル形式)」に分かれています。
その中で、日頃の学習成果を試す入門編としてまず受けたいのが「Reading & Listening」のテストです。レベルに合わせて「Step 1」「Step 2」の2段階が用意されており、子供の習熟度に合わせて無理なく挑戦できる設計になっています。さらに、学習の進度に合わせて「Speaking」や「Writing」を受けることで、4技能をバランスよく伸ばし、段階的にステップアップしていくことが可能です。
結果は合否ではなくスコアで示され、国際的な英語力の指標である「CEFR(セファール)※」とも対応しています。TOEFL Primary®は、CEFRの「A1未満(学び始めのレベル)〜B1(日常生活で困らないレベル/英検®5級〜2級程度)」レベルまで測定可能で、今の実力と次の目標がはっきりわかります。
日々の学習の目標づくりはもちろん、将来の進学時の英語力証明まで幅広く活用されているテストです。
※<CEFR(セファール)>とは:2001年に欧州評議会によって公開された、世界共通の言語能力の枠組み(Common European Framework of Reference for Languages)。言語の種類を問わず「外国語がどれくらい使えるか」を世界共通の指標で示す。あらゆる言語を6つの段階(A1・A2・B1・B2・C1・C2)に分け、それぞれのレベルごとに「Can Do Statements(何ができるかを示す指標)」を用いて、言語の習得度を具体的に可視化する。TOEFL Primary®が対応している「CEFR A1未満〜B1」は、英語の初歩的な学習段階から、英語圏の同世代の子供たちと身近な話題で日常的なコミュニケーションが楽しめるレベルまでを指す。
Q2. 小学校低学年から受験するメリットを教えてください。

塩尻さん:「未就学の頃から英語に親しむご家庭が増え、以前に比べ、英語教育に対する保護者の理解や関心は格段に高まっています。そうした中で、お子さまの成長を『世界基準のモノサシ』で客観視することは、これからの学習の大きな支えになります」
小さな子供に配慮した受験環境。親子でチャレンジしやすいテスト
「まだテストを受けるには早いのでは?」と躊躇される保護者の方もいらっしゃいますが、TOEFL Primary®は、初めて英語のテストに挑戦するお子さまにも取り組みやすい工夫がなされています。
まず、小学校低学年から受験するメリットの一つは、結果が合否ではなくスコアで示される点です。「合格・不合格」という結果にとらわれることなく、「今の自分ができたこと」をポジティブに確認できます。それが小さな成功体験となり、次への学習意欲へと自然に結びついていきます。
さらに、テスト会場では保護者の方が開始直前まで教室に付き添うことができ、まだ文字に慣れないお子さまが迷わないよう、個人情報の記入などを代筆できます。解答用紙もマークシート形式のため、文字に慣れていないお子さまでも解答しやすくなっています。親子で週末のイベントに出かけるような気持ちで、安心して楽しくチャレンジしていただけます。
またTOEFL Primary®は、頑張るお子さまだけでなく、日々「おうち英語」を伴走する保護者にとっても心強い指標となります。これまでご家庭でコツコツ取り組んできた成果が、スコアレポートという目に見える形で後日郵送されてきます。届いた結果を客観的に確かめることは、日頃の取り組みへの肯定感や、これからのモチベーションを維持する大きな支えになるでしょう。親側の焦りや不安がやわらぎ、穏やかな気持ちで見守れるようになることは、子供たちがのびのびと英語を続ける上でも重要だと思います。
こうして早期から親子で挑戦してきた成果が、将来の選択肢を自然に広げてくれるのも、このテストがもつ強みです。近年、首都圏を中心に難関校を含む多くの中学校が英語入試を採用しており、学校ごとに条件は変わりますが、TOEFL Primary®のスコアが加点や英語試験の免除といった優遇措置の対象となるケースが増加傾向にあります。低学年のうちからプレッシャーのない環境で「テストの雰囲気」を体験しておくことは、将来の受験に向けた心のゆとりや自信を育むきっかけとなります。
まずは「少しずつテストに慣れておこうかな」という前向きな気持ちで、未来の可能性を広げる一歩を踏み出してみてください。
Q3. 英検®との違いはどこにありますか?
知識の定着を見る「到達度テスト」と、実践的な力を測る「熟達度テスト」
日本でなじみの深い英検®は、日本で開発された非常にポピュラーな英語テストです。学習指導要領と連動し、級ごとの合否で「習った知識がどれだけ定着したか(到達度)」を測る設計になっています。
一方、TOEFL Primary®は、合否ではなく「どれだけ英語を使えるかという実践的な力(熟達度)」を世界基準の指標で測定します。特定の学習範囲に縛られず、今の英語運用力をそのまま把握できる点が最大の特徴です。
テスト問題の内容にも大きな違いがあります。例えば、日本の多くの方が受験する英検®は、子供から大人まで幅広い層を対象としており、級が上がるにつれて一般教養に基づいた出題も含まれるようになります。
対してTOEFL Primary®は、「子供の身近な日常のシーン」が舞台です。ご家庭で音楽や動画、絵本などを通じて遊びの延長で英語に親しんできたお子さまなら、特別なテスト対策を意識しすぎることなく、日頃の感覚のまま取り組みやすいのが魅力です。
また、一度のテストで「CEFR A1未満~B1(英検®5級~2級相当)」までの幅広い英語力を測れるため、「どの級に挑戦すればいいのだろう」と事前に頭を悩ませる必要がありません。
たとえ知らない単語に出会っても、前後の文脈から意味を推測して理解する力まですくい上げて評価してもらえる点も、TOEFL Primary®ならではの特徴です。早期から親子で楽しく重ねてきた「ありのままの英語力」を活かしやすいテストと言えるでしょう。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
TOEFL Primary® Step 1 Readingのサンプルテスト

TOEFL Primary® Step 1・Step 2のテスト内容
<Step 1>
学校、自宅、遊び場など身近なシーンで使う基本的な定型表現、日常的な物や人に関する語彙力、短く簡単な文章を理解する力を問う。
リーディング:39問
リスニング:41問
解答時間:約60分
<Step 2>
複雑な文章やあまりなじみのない単語を含むストーリーの理解力、内容重視の簡単な文章力などを問う。
リーディング:37問
リスニング:39問
解答時間:約60分
※いずれもペーパーベース・三択マークシート方式テスト
Q4. スコアレポートを日々の取り組みに活かすポイントを教えてください。

これまでの歩みが積み上がるスコアレポート(サンプル)。継続的に受験し、スコアの伸びを見ることで、子供の身長が伸びていくような成長の軌跡を実感できる。
スコアレポートには「明日からの学習のヒント」がいっぱい!
毎日動画を流したり、音声を聴かせたりと、インプットを中心に英語に親しまれているご家庭ほど、「この取り組みが本当に力になっているのかな?」という素朴な不安を抱えがちです。そんなときにぜひ、TOEFL Primary®のスコアレポートを、現状を知る指標として活用していただきたいです。
このテストは間違えても減点されることはなく、正解した問題の内容やレベルに応じてスコアが判定されます。レポートには点数やCEFRレベルだけでなく、「今何が理解できているか」といったお子さまの実力が詳細に示されます。より高いレベルを目指すための具体的なアドバイスも記載されているため、これからどのような教材や学習方法を取り入れたら良いか、という学習方針作りにも役立ちます。
また継続的に受験して前回と見比べることで、まるで「子供の身長が伸びていくのを見守る」ように、日々の成果を目に見える形で確認できます。前回の結果と比較して新しくできるようになったことを親子で喜び合うことで、確かな成長を実感でき、学習意欲の維持にもつながります。
リーディングスコアに記載される、文章難易度と読解力の世界的な評価基準「Lexile®(レクサイル)指数※」も見逃せません。お子さまの「読解力」と英文の「難易度」が共通の数値で示されるため、数ある書籍の中から「今の我が子に難しすぎず、簡単すぎない、ちょうど楽しく自立して読める本」を迷わずに選んであげることができます。
このテストは単に「実力を測って終わり」ではありません。明日からの英語学習をさらに充実させるためにも、ぜひ親子でレポートを活用してみてください。
※<Lexile®(レクサイル)指数>とは:米国のMetaMetrics®社が開発した、英語の「読解力」と「本の難易度」を測定する世界標準の指標。数値(例:150L、300Lなど)を目安に本を選ぶことで、お子さまがストレスなく、自立して読書を楽しめる最適な書籍を迷わず見つけることができる。

テストの結果は、リーディング・リスニング各セクションごとに、Step 1は1-4までの「星」の数、Step 2は1-5までの「バッジ」の数、スコア(100~115)、CEFR(A1未満~B1)で表示される。
Q5. テストの結果を子供の「やる気」や「主体性」につなげるコツはありますか?
「もっとやりたい!」を引き出す親子のコミュニケーションツール
「テスト」と聞くと身構えてしまうお子さまもいるかもしれません。でも、実際の会場は、受験前におうちの方が優しく声をかけて送り出すような、あたたかい雰囲気に包まれています。アメリカで開発されたテストならではのカラフルなイラストも親しみやすく、「謎解きクイズ」に挑戦するような感覚で夢中になるお子さまも少なくありません。緊張しすぎることなく、前向きな気持ちで楽しんでいる姿が印象的です。
受験後の子供たちからも、「おもしろかった」「また受けたい」という声が多く寄せられます。今年の春に催された国際教育フェアでも、日頃からご家庭の教材や歌などで、自然に英語にふれてきたお子さまたちが、対策なしで模擬テストにチャレンジし、「思ったよりできた!」と輝く笑顔を見せてくれました。
お子さまが英語学習を楽しみ、継続していくためのコツは、テストを特別な「一大イベント」にするのではなく、あくまで「日頃の学習成果を確認する機会」として捉えてあげることです。
そしてテストを終え、後日スコアレポートが手元に届いたら、点数そのものよりもまずは「最後までよく頑張ったね!」と、挑戦したプロセスを思いきり褒めてあげてください。客観的な指標によって我が子の確かな成長を実感できれば、これまで一歩引いて見守ってきたご自身の心にも、納得感と安心感が広がるでしょう。保護者の方が「笑顔で認めてくれた」という確信こそが、お子さまの次への一歩を支えるエネルギーになります。
英語学習を長く続ける秘訣は、小さな成功体験の積み重ねです。半年後に再挑戦した際、自分の力で「前より読める!」「たくさん聞き取れる!」と、お子さま自身が成長を実感できるようになること──。それこそが、このテストを活用する大きな意義と言えます。
Q6. 日々「おうち英語」に励まれている親御さんへのメッセージをお願いします。
無理をせず、急がなくても大丈夫。大切なのは親子で「楽しい!」を積み重ねること
当研究会のスタッフの中にも、現在進行形で「おうち英語」に奮闘している保護者がいます。ご家庭での取り組みは正解が見えにくく、ときにはSNSの華やかな情報を見て「周りはあんなに進んでいるのに、うちは......」と、孤独や焦りを感じることもありますよね。
そんなときこそ、身近な誰かとの比較ではなく、一歩目線を外に広げて「世界基準のモノサシ」でお子さまの現在地を見てあげてほしいなと思います。
TOEFL Primary®は、点数で優劣をつけるためのものではなく、これまでのご家庭での歩みを肯定し、応援するためのテストです。いつもと違う環境でのテストデビューを乗り越えたあとの、子供たちの誇らしげな表情は、自分の力で未来への一歩を踏み出したという自立の証になってくれるに違いありません。
一方で、子供の体調や機嫌は日によって変わるもの。ときにはスコアに戸惑うこともあるかもしれませんが、急がなくても長い目で見れば、お子さまの英語力は必ず伸びていきます。何より大切なのは、親子で「楽しい!」を積み重ねることです。
お子さまのこれからの変化を、ワクワクしながら見守ってあげてください。おうち英語に励むすべてのご家族を、私たちは心から応援しています。

プロフィール:
塩尻誠子(しおじり ともこ)
公文教育研究会 アセスメント事業推進部 企画・広報チーム所属。TOEFL Primary®/TOEFL Junior®の日本国内における認知度向上と受験者拡大を目的としたマーケティング施策の企画・推進を担う。大学卒業後、メーカーおよび学会事務局での勤務を経て、2025年より現職。
Instagram:【公式】TOEFL Primary / TOEFL Junior
X:TOEFL Primary® / TOEFL Junior® (公式)
取材を終えて
2014年の国内導入以来、グローバルな英語教育の現場を支えてきたTOEFL Primary®。英語教育の早期化・本格化が進む中、日頃の学習成果を確かな実力へと高めていくうえで、理想的なサポート役と言えるのではないでしょうか。
このテストの大きな特徴は、出題内容そのものが「英語圏の日常や文化」にふれる楽しさに満ちている点です。日頃のインプットの成果を試すだけでなく、子供たちにとっては新鮮な学びの場となり、保護者にとってはこれからの学習の方向性を確認する確かなモノサシとなります。
「これまでに培った英語力を、一度世界共通の基準で客観的に測ってみたい――」。そんなときの最初の腕試しとして、また日々の継続的な努力の成果を確認し、次なるステップへ進むための有意義な機会として、検討されてはいかがでしょうか。



