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  • 更新日:2024年7月25日
  • 公開日:2021年8月3日

【眼科医監修】新生児の「目やに」の原因別の特徴と上手な取り方

眼科医監修】新生児の「目やに」の原因別の特徴と上手な取り方

大人に比べて「目やに」が多くなりやすい新生児の赤ちゃん。健康な赤ちゃんにも目やにはよく見られますが、中には病気のサインとなるものもあるので注意が必要です。
今回は、目やにが出る理由や原因、病気との関連について詳しく解説します。受診の目安や家庭でできる正しい目やにの取り方なども要チェックです!

監修:宇井牧子先生(CS眼科クリニック院長、東京大学医学部附属病院小児眼科外来担当)

なぜ大人より多い?赤ちゃんの目やにの特徴

なぜ大人より多い?赤ちゃんの目やにの特徴
新生児期の赤ちゃんは、寝ている時間が長く、大人より目やにがたまりやすい状態にあるといえます。通常、目やにはまばたきによって目頭の方に移動して排泄されます。寝ている間はまばたきをしないため、目頭やまぶたのふちなどに目やにがたまってしまうことがあります。

目やにとは、涙など目の表面の分泌物にほこりや目の老廃物などが混ざって固まったものです。赤ちゃんは涙を流す鼻涙管(びるいかん)が狭いため、涙などの老廃物が流れにくく、目頭に目やにがたまってしまうことがよくあります。
赤ちゃんの目やには健康なときにも自然と出るものなので、量が多くなければ過剰に心配する必要はない場合がほとんどです。ただし、細菌やウイルス、アレルギー物質などが目に入ったことで目やにが出ることもあるので注意しましょう。

黄色?緑?ひどい目やにの原因と対処法

黄色?緑?ひどい目やにの原因と対処法
通常の目やには、目覚めたときに白っぽい乾いた状態で目頭やまつ毛の間などに見られ、軽くぬぐえば取れる程度の量です。一方、目やにで目が開きづらかったり、1日中黄色や緑がかった膿のような目やにがたくさん出たりするようであれば、何らかの病気のサインと考えられます。

赤ちゃんの目やにが通常よりも多い原因として考えられるのが、主に「逆さまつ毛」や「結膜炎(けつまくえん)」、「先天性鼻涙管閉塞症(せんてんせいびるいかんへいそくしょう)」などです。以下でそれぞれの特徴や原因・対処法について解説します。

逆さまつ毛

本来外側を向いて生えているはずのまつ毛が、眼球にふれている状態のことをいいます。まつ毛の刺激によって涙の分泌が促されると、結果的に目やにの量が増えてしまいます。
また明るいところでまぶしそうにしたり、目のあたりを手で何度もこすろうとしたりする赤ちゃんもいます。

逆さまつ毛は生後6カ月頃までの赤ちゃんによく見られますが、成長とともに治るケースも多くあります。

対処法

赤ちゃんのまつ毛は大人より柔らかいため、逆さまつ毛で目を傷つけることはほぼないと考えられています。
自然に治る場合も多いので、とくに症状がなければ様子をみてください。症状がひどいときや3歳を過ぎても改善しないような場合には、医療機関に相談してください。

結膜炎

まぶたの裏側と白目の部分を覆っている半透明の膜(結膜)が炎症を起こす病気です。感染によって起こる細菌性結膜炎では黄色や緑色っぽい膿のような目やに、ウイルス性結膜炎では白っぽいどろどろした目やにが出ます。
その他、3〜4歳以降で発症することが多いアレルギー性結膜炎では、サラサラした水状の目やにが多く出ます。
結膜炎については次の章でさらに詳しくご説明します。

対処法

原因によって対処法が異なります。症状が軽い場合は自然に治ることもありますが、重症化するケースもあるので早めに正しい治療をすることが大切です。
目やにが多い、目の充血といった異常があればすぐに受診しましょう。抗菌・消炎薬や抗アレルギー薬など、原因に応じた点眼薬・内服薬などによる治療が行われます。

先天性鼻涙管閉塞症

涙を排泄する鼻涙管が生まれつき詰まっていることにより、涙がたまったままになって目やにが多く出てしまう病気です。先天性鼻涙管閉塞症の赤ちゃんは、涙や目やにが絶えません。
また、赤ちゃんは大人と比べて鼻涙管が狭いため、たまった涙によって細菌が繁殖しやすく、涙膿炎(るいのうえん)という別の病気を併発することもあります。

対処法

鼻涙管が詰まっている場合は、目元のマッサージで良くなることがあります。目頭の下・鼻の付け根あたりの皮膚を、下に向かって指で圧迫するように10回ほど押します。1日3~4回を目安に行なってみてください。
一般的には生後3カ月〜1歳頃までには自然治癒するといわれており、それまでは経過観察を行うことが多いようです。気になる場合やなかなか治らないときには医療機関を受診しましょう。

家庭でできる正しい目やにの取り方・清浄綿の使い方

家庭でできる正しい目やにの取り方・清浄綿の使い方
赤ちゃんの目やにを取るときには、赤ちゃんが動かないようにしっかりと固定するのがコツ。大判のバスタオルなどで全身をすっぽり包みましょう。目覚めたときや入浴の後など、赤ちゃんの機嫌の良いときを見計らって1日1〜2回を目安に行うと良いでしょう。

目やにの取り方

1. 大判のバスタオルと滅菌ガーゼを2枚用意します。
2. バスタオルの上に赤ちゃんを寝かせ、おくるみで包むように全身をくるんで固定します。
3. お湯で軽く湿らせたガーゼを1枚、利き手の親指に巻きつけます。
4. 逆の手で、赤ちゃんの頭を固定しながら親指で赤ちゃんのまぶたを優しく開きます。
5. ガーゼを巻いた親指で目頭から外側に向かって目やにをそっとふき取ります。
6. もう1枚のガーゼで反対の目も同じようにふき取ります。

ポイント

・ガーゼは赤ちゃんの目元専用に右目と左目で別々なものを使用した方が安心です。1枚のガーゼを使う場合は、片方ずつ違う面でふき取るようにしましょう。
・目のまわりの皮膚は薄くて敏感なので、乾いたティッシュなどを使うと刺激を与える場合があるので注意が必要です。
・こびりついたような目やにや、目やにで目が開かないような場合は、無理に取ろうとせずに医療機関で処置してもらいましょう。

便利で手軽な清浄綿(せいじょうめん)の選び方

外出先でも使えて便利な清浄綿を常備しておくと良いかもしれません。一包ずつ滅菌処理された使い捨てタイプのウエットコットンで、ドラッグストアや子供用品店、インターネットの通販などで販売しています。
清浄綿にはさまざまなタイプがありますが、薬剤やアルコール不使用で、滅菌された精製水を脱脂綿に含ませたものや「目元専用」の清浄綿は、ガーゼと同様に赤ちゃんの目やにのお手入れにも安心して使えます。目のまわりをふいた後は清浄綿の繊維残りに注意し、一度使った清浄綿の再使用は避けて、開封したら放置しないで使い切るようにしましょう。
また清浄綿に似た商品でアルコール綿がありますが、アルコールは目の粘膜を痛めますので、絶対に使わないでください。

目やにがひどいときや片目だけのときも要注意!

目やにがひどいときや片目だけのときも要注意!
赤ちゃんの目やにが急にひどくなった場合は感染性の結膜炎が疑われます。
とくに細菌性結膜炎とウイルス性結膜炎は、抵抗力が弱い小さな赤ちゃんがかかりやすいので要注意です。のどの痛みや発熱など風邪のような症状を引き起こすこともあります。

細菌性結膜炎

充血や眼球の痛みに加え、黄緑色っぽい膿のような目やにがたくさん出ます。乳児期では肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因のことが多く、風邪などによって感染することもあります。
細菌の種類によって抗生物質の点眼薬などで治療します。適切な治療を行えば2〜3日ほどで良くなります。

ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎の場合、最初は片目だけに症状が表れ、数日後にもう片方の目にも感染する場合が多くあります。目が開かなくなるほどの大量の目やに、涙目、目の充血といった症状が表れることもあります。
ウイルスに対する特効薬はありませんが、細菌による混合感染を予防する抗生物質点眼薬と、不快な症状や炎症をおさえる抗炎症点眼薬などで治療が行われます。ウイルスへの抵抗力がついてくることで次第に治まり、2週間から1カ月程度で完治する場合が多いでしょう。重症の場合、炎症によって角膜(黒目)に濁りが残ることもありますので、治ったと思っても医療機関でチェックしてもらったほうが安心です。

細菌性結膜炎に比べてウイルス性結膜炎は感染力が非常に強く、周囲の人にもうつりやすい病気です。重症化しやすい特徴もあるため、異常を感じたらすぐに受診してください。
また結膜炎が疑われる場合、ご家庭では赤ちゃん専用のタオルを用意したり、ママ・パパも手洗いを徹底したりするなど二次感染の予防を心がけましょう。

目薬?母乳点眼?目やにの治療と受診の目安

目薬?母乳点眼?目やにの治療と受診の目安
赤ちゃんの目のかゆみや充血、結膜炎の治療などには抗菌目薬が処方されます。生後4カ月頃から使用できる市販薬もありますが、自己判断によって市販の目薬を使用するのはオススメできません。医師の指導に従いましょう。

また、赤ちゃんの目やに対策に「母乳点眼」が良いという説に医学的根拠はありません。むしろ悪化させる場合があるので避けてください。薬や治療法があまりなかった時代の民間療法の1つです。

なかなか目やにが改善しないときや、下記のような症状がある場合には早めに受診しましょう。赤ちゃんの目の症状は、まず眼科を受診すると良いでしょう。

・ 膿が混ざったような目やに、白いどろっとした目やにが大量に出る
・ 片目だけ目やにが多い
・ 目やにとともに、目の充血やなみだ目が見られる
・ 目やにが多く発熱がある

ご家庭では赤ちゃんの手はできるだけ清潔を保ち、目をこすったりしたときにばい菌などが入らないようにしましょう。また、つめは短く滑らかな状態に整え、目に入って眼球を傷つけるようなことがないようにこまめにケアしておくと安心です。

いかがでしたか?赤ちゃんの目やにから考えられる病気はいろいろです。症状が似ていて判断が難しかったり、中には重症化するものがあるので注意が必要ですね。診察を受けるまでは家族全員が衛生を心がけ、赤ちゃんの健康を見守りましょう。

宇井牧子先生
監修:宇井 牧子(ういまきこ)先生
CS眼科クリニック院長。東京大学医学部附属病院小児眼科外来担当。
長崎大学医学部卒業、東京大学眼科学教室入局、国立成育医療研究センター眼科、横浜労災病院医長を経て現職。小児眼科に長く携わってきた経験から、小さな子供が安心して受診できるようきめ細やかなサポートを行う。日本眼科学会認定眼科専門医。
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