新生児に与えるミルクの適切な量は?足りない、飲みすぎのサイン
- 更新日:2020年12月14日
- 公開日:2020年12月1日
【小児科医監修】赤ちゃんの「便秘」の原因と家庭でできる解消法
新米ママやパパのお悩みの中で多いのが赤ちゃんの便秘。母乳やミルクをちゃんと飲んでいるのに、昨日も今日もうんちが出ない・・・。
実は、腸などの消化器官が未発達な赤ちゃんは、便の状態や排便のリズムが安定しにくく便秘になりやすいといわれています。「便秘かな?」と思ったら、早めに対処してあげましょう。
今回は赤ちゃんの便秘について、その原因や症状、家庭でできる解消法をご紹介します。
監修:田中純子先生(マーガレットこどもクリニック院長)
そもそも赤ちゃんの便秘とは?
生後すぐは母乳やミルクを飲むたびに排便があった赤ちゃんも、成長するに従ってうんちの回数が減ることは珍しくありません。「もしかして便秘?」と心配になるママ・パパも多いようです。
便秘とは、長い時間便が出ない、または便が出にくい状態のことをいいます。毎日出ていても極端に量が少なかったり、排便のときに痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出てしまうような場合も便秘と考えられます。
便秘が習慣になっている状態を「便秘症」と呼び、便秘症が1カ月以上続くような場合は「慢性便秘症」といいます。一方、普段はよく便が出ている赤ちゃんが一時的に便秘になることを「一過性便秘」といいます。
便秘症は便の回数、硬さなどによって判断し、小児科などでは問診のほか、レントゲン撮影や超音波検査を行う場合もあります。
赤ちゃんの便秘とその症状をチェック!
新生児期から5〜6カ月頃までは便秘になりやすい時期
赤ちゃんのうんちは柔らかく回数も多いイメージがありますが、消化器官が未発達なために排便のペースが安定しにくく、便秘になりやすい赤ちゃんが少なくありません。
とくに、新生児から生後5~6カ月頃までは便秘になりやすい時期と考えられています。
新生児は腸管の発達が未熟なために便秘を引き起こしがちです。個人差はありますが、一般的に母乳よりミルクを飲む赤ちゃんの方が便秘になりやすい傾向があります。
生後2〜3カ月の頃になると、消化器官の発達にともなって腸内にうんちをためておくことができるようになりますが、そのためにうんちが出にくくなる赤ちゃんもいます。
5〜6カ月頃は離乳食がはじまる時期。この頃は、腸の機能が発達したことと授乳中より水分の摂取量が不足しがちになり、うんちが硬くなる傾向があります。排便の力がまだ弱い赤ちゃんにとって便秘になりやすい時期でもあります。
もしかして便秘?その症状をチェック!
うんちの回数には個人差があり、一概にはいえませんが以下のような症状があれば便秘の可能性があります。
排便が週2回以下
排便のリズムは赤ちゃんによって異なりますが、極端に少なくなった場合は便秘といえます。
下腹部がいつもより張っている
空腹時におなかを触ると硬く張っている。うんちが数日出ていない場合は便秘を疑いましょう。
排便のときに苦しそう
いきんでもなかなか出なかったり泣きだしたり。量が少なくコロコロ硬いうんちは便秘のサイン。
食欲がない
おなかにうんちが溜まっていると、母乳やミルク、離乳食の量が減って食欲が減退します。
おならやうんちの臭いがいつもより強い
おなかに便がたまっていると、ガスが停滞しておならの臭いがいつもより強くなります。
うんちに血がついている
便秘によって硬くなったうんちをだすときに肛門が傷ついてしまうことがあります。
赤ちゃんの便秘の判断はなかなか難しいかもしれませんが、毎日の排便の回数や量などを日頃からメモして、赤ちゃんの排便ペースを把握しておくと良いでしょう。
赤ちゃんはなぜ便秘になるの?その原因を知ろう
赤ちゃんの便秘についてさらに詳しくお話しましょう。便秘の原因として、大きく次の3つが考えられます。
①体質によるもの
腸の長さや腹筋力、運動量の違いなどによって便秘になりやすい体質の赤ちゃんもいます。また家族に便秘がちな人がいると赤ちゃんも便秘になる可能性が高くなります。基本的には排便のときに泣いたり苦しがったりせず、体重も順調に増えているようであればあまり心配する必要はありません。
トイレトレーニングをきっかけに改善するケースや、筋力がつく4〜5歳くらいまでに徐々に排便習慣が整う場合が多いようです。
②母乳・ミルクや水分の量が足りない
哺乳量が足りていないことによる水分不足も便秘の原因の1つです。
母乳やミルクの量が足りないと、うんちが硬くなって出にくくなります。授乳してもすぐにほしがったり泣いたりし、かつ、体重の増えが悪い場合にも哺乳量を増やしましょう。赤ちゃんの体重は大人と一緒に測って、大人の体重を引くことでおおまかな値を知ることができます。
また、離乳食がはじまっている赤ちゃんで水分を摂りたがらないような場合には、スープなどで水分量を多くした食事をオススメします。
③病気の可能性
生まれたその日から便が出にくく、ずっと便秘が続くような場合には病気の可能性が考えられます。
新生児期にみられるヒルシュスプルング病は、腸を動かす「神経節細胞」が生まれつきかけているために腸の運動がうまくいかず、腸閉塞や重い便秘症を引き起こす病気で、小児外科での治療が必要になります。
小児科を受診する目安は?
赤ちゃんの排便は不安定なので、過剰に心配する必要はありませんが、5日以上うんちが出ないときや病気が疑われるような場合は、病院で受診することをオススメします。
そのほか、下記のような状態がみられる場合も小児科を受診するようにしましょう。
・5日以上の便秘が続く
・ぐったりして元気がない
・生まれたときから便秘気味で改善されない
・おなかが硬く張っている
・うんちをするとき、痛そうに泣く
・血便が見られる
幼児では、うんちをするときに痛みを伴うような場合、排便を避けることで便秘がひどくなるという悪循環もみられます。無理をせず早めに小児科で相談しましょう。また赤ちゃんを病院に連れて行く際には、毎日の哺乳量や水分量、うんちの回数や状態などを詳しく医師に伝えましょう。
知って安心!家庭でできる便秘解消
赤ちゃんの便秘対策は、月齢や成長に合わせて行うことをオススメします。新生児期の頑固な便秘にはマッサージや綿棒浣腸を、それでも改善が見られない場合、3カ月検診が済んだ赤ちゃんであれば市販のイチジク浣腸を試すのも1つの方法です。離乳食の開始後に便が硬くて出にくい場合は、水分量を多めにする、バナナやリンゴ、サツマイモなど食物繊維の多い食事にする、果糖(くだもの、ジュース)の摂取などで便通が良くなることも。飲む量は月齢×10ml(1日)が目安です。
このほか、家庭でできる便秘解消法としてオススメのものを以下にご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。
おなかまわりのマッサージ&ストレッチで便秘解消
腹筋が十分発達していない1歳未満の赤ちゃんには、おなかまわりのマッサージやストレッチが効果的。運動不足を解消しながら腸の働きを整えてあげましょう。満腹時を避け、お風呂上がりやオムツ替えのときなどに行うと良いでしょう。
「の」の字マッサージ
おへそを中心に、おなかに大きく「の」の字を描くように10回程度、おなかが少しへこむくらいの力加減で優しくマッサージします。赤ちゃんの肌やママ・パパの手のひらにベビーオイルなどを塗ってもOK。
おなか「ゆらゆら」マッサージ
赤ちゃんのおなかを包み込むように両脇に手を当てて10〜15回程度、軽くひねる感じにゆらゆら揺らします。腸の動きが活発になって気分もスッキリ。
「屈伸」ストレッチ
赤ちゃんの両足をそっと持ち上げ、がに股のような状態で膝をおなかにくっつけるように屈伸させます。10回程度、優しく腹圧をかけるように一定のリズムでゆっくりストレッチしましょう。
「ペダルこぎ」ストレッチ
赤ちゃんの両足をそっと持ち上げ、自転車をこぐように交互に10回程度動かします。あまり激しく動かさないように足首を持って優しく行いましょう。
綿棒浣腸で便秘解消
月齢の低い赤ちゃんの便秘対策の中で効果が高いのが綿棒浣腸。綿棒で肛門を刺激するだけで排便する赤ちゃんもいます。綿棒浣腸を行うタイミングは腸の働きが活発になる授乳や食後30分くらいがベスト。1度で出ないときには毎食後、同じ手順で行なってみましょう。
用意するもの
・普通サイズの綿棒
・ベビーオイルまたはワセリンなど
・新聞紙やビニール袋など(防汚用)
手順
①赤ちゃんを仰向けに寝かせてオムツを外し、おしりの下に新聞紙やビニール袋などを敷きます。
②綿棒の先にオイルを染み込ませます。
③赤ちゃんの足を上げ、綿棒を肛門に当てて優しく円を描くように刺激し、ゆっくり回しながら綿棒の先端が隠れるくらいまで差し込みます。
④時計回りにゆっくり綿棒を回します。1〜2分程度、様子をみながら続けましょう。
⑤うんちが出ないようならいったん終了し、オムツをつけてマッサージやストレッチをしながら排便を待ちましょう。
手軽なイチジク浣腸もオススメ
3カ月検診が済んだ赤ちゃんには、乳幼児用のイチジク浣腸(容量10g)による対処法もオススメです。お湯(40℃程度)に入れて体温くらいまで温め、容器の半量程度(約5g)を使います。1歳を過ぎた赤ちゃんには1個使用します。浣腸の主成分は化粧品や食べ物にも使われているグリセリンです。頻繁に浣腸が必要になるような場合は、小児科で相談しましょう。
赤ちゃんの便秘はママやパパの心配ごとの1つですが、赤ちゃんは便秘になりやすいこともわかっています。毎日出ないからといってあまり神経質になる必要はありません。まずは便秘の原因と症状を知り、家庭でできる解消法を試してみましょう。
しかし、自宅で対応できる範囲ではコントロールが難しいこともよくあります。そんなときは小児科に相談し、浣腸や便をやわらかくする薬を使うなど、まずは赤ちゃんの排便の大変さをやわらげてあげましょう。成長にともなって状況が好転することもあります。思い詰めず、今の便秘を解消してあげることを目指しましょう。
さて、次の記事では同じ排せつに関わる話題として、子供のトイレトレーニングについて詳しくご紹介しています。一般的に2歳以降にはじめることが多いといわれるトイレトレーニングですが、子供の成長には個人差も大きく、思ったより早くトレーニングが必要になる場合もあるかもしれません。来るべきときに備えてぜひご覧いただければ幸いです。
監修:田中 純子(たなかじゅんこ)先生
マーガレットこどもクリニック院長。千葉大学医学部卒業、同大学院医学薬学府博士課程終了後、小児クリニック勤務を経て、2017年にマーガレットこどもクリニック開業。一般診療のほか、オンラインや電話による診療、また子育て相談も行う。二児の母。
マーガレットこどもクリニック
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