
新生児に与えるミルクの適切な量は?足りない、飲みすぎのサイン
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忙しいお父さん・お母さんのなかには、子供の食事作りにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。子供の成長は気になるけれど、時間も余裕もないし、かといって、手抜きにはどうしても罪悪感がつきまといます。
そんなときはどうすればいいでしょうか?
ちょっとした工夫で、栄養面でもおいしさや満足度の面でも、充実のごはんを演出するコツを、『子どもの脳は、「朝ごはん」で決まる!』『プラス3分ですてきな朝食アイデア帳』の著者で、料理家・管理栄養士の小山浩子先生に伺いました。
目次
今でこそ何でも食べますが、私は好き嫌いが多い偏食の子供だったんです。「無理に食べなくてもいい」というのが母の考えでしたので、出されたものの中から食べられるものを選り好みしていました。唯一大好きだったのは、卵かけごはん!今でも大好きです。
偏食でしたが、お菓子作りは好きでした。小麦粉、砂糖、卵を混ぜただけでいろんなものができたり、意外な味になったりするのがとにかく楽しかったのですね。料理は短時間で結果が出ますよね。たとえ失敗しても、少しアレンジして再挑戦しやすいですし、うまくいけば、おいしいものが食べられて嬉しいですし。そういうところにも魅力を感じて、少しずつ、料理の道を開拓していくことになりました。
料理研究に携わり約30年ですが、「乳和食」という乳製品を活用した和食レシピの開発をしたり、小学校で子供たち向けに食育の講演をしたりなど、常に新しいことにチャレンジしてきました。
そんな中、ある雑誌の編集長からこんなことを言われたんです。「今どきの母親の興味のすべては、どうしたら『頭のいい子』が育つかだと思う。賢い子に育つノウハウを食の面から提案できたら、必ず知りたいと思うはず。だからぜひ、挑戦してみませんか」と。
最初は、そんな壮大な試み、私には無理だと思いました。でも、これからは未来のある子供たちに自分の知識を活かして何かをしたいという気持ちはありました。そこで、何十冊も本を読んだり、脳に関する勉強をしたりして、子供の育脳のためのレシピを自分なりに構築していったんです。
子供の脳の基本構造は、3歳までに作られます。その後5歳になるまでの約2年間で、基本構造以外の細かい部分が完成していきます。ところが、脳の成長に欠かせない栄養素を十分に摂取できていない子供がとても多いんです。
0〜2歳まではあまり偏食が出ませんが、この時期に食べられる食材は多岐にわたります。口にするものはほぼすべて、「育脳」に欠かせない食材です。例えば緑色の葉物野菜という1つの領域の食材を考えてみても、それぞれの野菜ごとに栄養素や味はさまざまです。偏食のないこの時期にたくさんの食材を食べさせることで、うまみ・甘味・酸味・塩味・苦みなどのさまざまな味を経験させるのはとても大事なことですね。
子供が好きなパン、バナナ、おかゆを離乳食に与えるお母さんが多いですが、これだけだと、脳を成長させる栄養素が十分にとれません。たとえば、冷凍したプチトマトをすりおろしておかゆに入れたり、白米を玄米や発芽米にしたり、オートミールを主食にするだけでも、栄養面でかなり充実します。
ちょっとした“ひと手間”で、子供の成長に欠かせないことができるんですよ。
そのことを、小さなお子さんをお持ちのお母さん・お父さんに、少しでも知っていただきたいです。
今は働いているお母さんが多いですから、「手間のかかる料理を作る時間がない!」という日もあるでしょう。そんなときは、市販品をフル活用してください。時間や余裕がないときは、手作りにこだわらなくてもいいんですよ。
たとえば、「おやつはドラッグストアで買う!」というのを習慣にしてもいいくらいです。
ドラッグストアで売っている子供用のお菓子は、カルシウムが豊富なものも多いです。また、3歳くらいまでを対象とした商品は、添加物、農薬の基準が厳しいので、原材料に安全ないい野菜を使っています。
以下の表に示すように、日本人は慢性的にカルシウムが不足しています。カルシウムはある一定の時期に摂取しないと、骨の成長に影響が出てきます。カルシウムを効率的に吸収できるのは、やはり乳製品ですね。
カップ入りのヨーグルトは、1日3回、毎食食べてもいいくらいです。子供に「今日はどれにする?」と、スーパーで選ばせるといいと思います。
スキムミルクはカルシウムが豊富で吸収率もいいので、特にオススメです。常備しておいて、ごはんを炊くときに入れたり、スープや味噌汁、ハンバーグ、カレーライスなどに混ぜたり、さりげなくいろんな料理に使えます。
乳製品にアレルギーがあるお子さんには、アレルギー用の粉ミルクを使うといいですね。
男性 | 女性 | |||
年齢(歳) | 推奨量(mg/日) | 摂取量(mg/日) | 推奨量(mg/日) | 摂取量(mg/日) |
1~2 | 450 | 372 | 400 | 332 |
3~5 | 600 | 452 | 550 | 427 |
6~7 | 600 | 581 | 550 | 547 |
8~9 | 650 | 689 | 750 | 633 |
10~11 | 700 | 723 | 750 | 635 |
12~14 | 1000 | 716 | 800 | 607 |
15~17 | 800 | 566 | 650 | 486 |
18~29 | 800 | 460 | 650 | 413 |
30~49 | 750 | 437 | 650 | 439 |
50~64 | 750 | 520 | 650 | 516 |
65~69 | 750 | 520 | 650 | 516 |
70~74 | 750 | 556 | 650 | 516 |
75以上 | 700 | 556 | 600 | 516 |
※赤字の部分で摂取量が不足しています。
※参照
推奨量「日本人の食事摂取基準(2020年版)の概要」厚生労働省
摂取量「平成24年 国民健康・栄養調査報告」厚生労働省
さんま・さば・いわし・さけなどの青背の魚はDHAの宝庫です。脳の神経細胞をやわらかくし、情報伝達をスムーズにする栄養素だといわれています。私の著書『子どもの脳は、「朝ごはん」で決まる!』の中でも紹介している、オックスフォード大学の研究があります。その研究によると、3ヶ月間DHAを摂取した子供たちは、そうでない子供たちと比較して、読み書きの能力が大きく改善したという結果が得られたのだそうです。
世間の親の関心事が、いかに「頭のいい子」を育てるか、だとしたら、子供の食事の大切さが、この研究結果からも明らかですね。どんなにいい学校に通っていても、いい先生に教えてもらっていても、食事で十分な栄養が摂取できていなければ、学習面で効果を上げる妨げになりかねないのです。
DHAを効果的に摂取するには、青背の魚を食べるのはもちろんのこと、アマニ油やエゴマ油もオススメです。これらは体内でDHAに変換される油です。納豆やサラダにかけるだけでいいんですよ。7〜8ヶ月のお子さんなら1日0.8グラム、5歳くらいのお子さんなら、男の子なら1日1.1グラム、女の子なら1.0グラムが摂取目安量です。できるだけ、熱や薬品を使わない製法である低温圧搾のものを選ぶのがいいですね。
塩分は「やみつき」になりやすい味なんです。知らず知らずのうちに濃い味(塩辛い味)に慣れると、淡白な味では物足りなくなってしまいます。
講演先で実際に聞いた話です。小さな頃から市販のおにぎりしか食べたことがないという2歳のお子さんがいたのですが、お母さんが手作りしたおにぎりは食べないのだそうです。理由は「塩味がしないから」。市販のおにぎりの多くは、味つけの手間を省くために、塩を入れて米を炊いているんです。そんな味に慣れてしまったら、子供の健康が心配ですね。
母乳の味の次に赤ちゃんが覚えるのが、塩味です。子供に塩味を覚えさせるのはできるだけ遅らせたほうが賢明です。生後5〜6ヶ月くらいから出汁汁は飲ませられますから、昆布出汁、煮干し出汁、かつお出汁など、塩分控えめの出汁のうまみを経験させたいですね。塩分無添加の出汁パックを利用してもいいです。
育児日記のように、子供が初めて食べた食材を日記につけて記録していくといいですね。
さまざまな味の経験に乏しい子は、物心がついてから新しい味にチャレンジすると警戒心をもってしまいがちです。でも、2、3歳くらいまでに経験した味なら、「前に食べたことがあるよ」と脳が指令を出してくれます。一度でも口にしておくことが大事ですね。たとえ嫌がっても、初めて食したものを記録しておいたら「ほら、○○ちゃん、赤ちゃんのとき、一度食べてるんだよ」と言えますね。
たとえば、お子さんも大好きな魚肉ソーセージ。ただ切るだけじゃなくて、輪切りにスライスしたものに、細いストローで穴を2つ開けて目をつけてみるとか。それだけでも、子供のテンションはあがります。野菜ジュースを飲んでほしいときに、100均で手に入る製氷皿でかわいい氷を作ってみるのもいいですね。スライスチーズを型抜きしてサラダに盛るだけで、いつもより食べてくれるときもあります。
最近、凝ったキャラ弁がSNSなどをにぎわせていますが、毎日作るのは難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。でも、“ひと手間”なら、地味だけど長く続けられると私は思います。
“丈夫な体になってほしい”という子供への想いを、スキムミルク1さじ、アマニ油1さじに託してもいいわけです。たとえ子供は気づかなくても、そういう地味なことを毎日続けるのは、親にしかできないことではないでしょうか。頑張らずにできることだけを、毎日1つすればいいと思います。
食の思い出は、その子の人生を下支えするものです。毎日食事を作っても、子供が「ありがとう」とは言いませんよね。
でも、「お母さん・お父さんは、小さいときにこんなことしてくれた」「あんなおかずを作ってくれた」ということは、心の深いところできっと覚えていて、ふとしたときに、親への想いにつながります。こういう思い出に立ち返れる子は、「勉強頑張ろう」「いい点数とってお母さん・お父さんを喜ばせたい」と思えるのではないでしょうか。
「親がこの世のすべて」という時期は、おそらく小学校の低学年くらいまででしょう。成長するに従って、子供はどんどん友達と過ごす時間が増えますし、好きな世界に飛び込んでいってしまいます。そうなる前に、子供の記憶と味覚に残る食事を、ぜひあきらめないでほしいです。
平日は忙しくても、週末の朝ごはんだけはパンケーキを焼いてくれたとか、それくらいのことでも十分、子供にとっては嬉しいはずです。
とある講演会で、中学生のお子さんをお持ちのお母さんと話す機会がありました。そのお子さんは、誰かの手作りの食事をいっさい受けつけないというのです。
よくよくお話を伺うと、そのお母さんはずっと忙しく仕事をされてきて、一度も手作りの食事を子供に用意したことがなかったそうです。帰宅が遅かったこともあり、お子さんはいつもコンビニでおにぎりを買って食べていたのだとか。そうしたらいつのまにか、手作りのものすべてを拒否する子になってしまったと。
子供の記憶に刻まれた母親の料理のことを、私は“マザーフード”と言っています。この講演会でもマザーフードの大切さをお話ししたのですが、そのお母さんは泣いてこうおっしゃっていました。「今からこれまでの分を、うめていきます」と。
幼少期の食育はもちろん大事ですが、子供がいくつになっても、遅すぎるということはありません。できることは今日から始めましょう。親が思っている以上に、子供はいろんなことを感じているはずですから。
たとえば英語に関してですが、視覚と聴覚から得られる刺激は、3歳くらいまではとても影響が大きいです。無理に暗記させるのはよくないですが、自然に聞き流しながら体を動かすことは、脳科学の点からすると、英語の習得にはとても効果的だと言われています。
でも、マザーフードには、英語の習得のように臨界期はありません。気づいたときから、できることだけを、始めればいいんです。
忙しいお母さん・お父さんにとっては、ちょっとした闘いかもしれませんね。自分との闘いです。
でも、親という立ち位置を諦めないでほしいと思います。特に食事に関しては、ある程度の年齢になるまで、子供は与えられたものしか食べられませんよね。ですから、家庭で食事を司る人の影響力は、絶大です。子供の舌と心に残るすごく大事な時期に今自分がいるのだということを、忘れないでくださいね。
「愛情ひと手間」という言葉を繰り返されていた小山先生。たった1つでもできることがあれば、子供のために実践してほしいという言葉が印象的でした。頑張るお母さん・お父さんは、完璧を目指しすぎて疲れてしまうのかもしれません。でも、「とりあえず1つ、何かできることから始めよう」。これくらいでも、十分なんですね。スキムミルク1さじ、型抜きしたチーズ1枚でもいいから、食卓を健康に楽しくすることを、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
プロフィール:小山 浩子(こやま ひろこ)
料理家・管理栄養士・フードビジネスコーディネーター。
大手食品メーカー勤務を経て独立。
食と健康をテーマに全国各地で講演。メニュー開発、栄養コラム執筆、NHKをはじめ健康番組出演等幅広く活動。料理家としてのキャリアは25年以上。これまでに直接指導した生徒は10万人以上に及ぶ。
『目からウロコのおいしい減塩「乳和食」』(主婦の友社)で2014年グルマン世界料理本大賞イノベイティブ部門世界第2位、『はじめよう乳和食』(日本実業出版)で2019年ミルク&チーズ部門世界第2位を受賞。
健康と作りやすさに配慮したオリジナルレシピにファンも多い。2015年1月、日本高血圧協会理事に就任。メディアで話題の乳和食の開発者でもある。
『子どもの脳は、「朝ごはん」で決まる!』『かしこい子どもに育つ! 「育脳離乳食」』『「健康おやつ」で子どもに免疫力を育む! たっぷり71レシピ』(以上、小学館)、『人気管理栄養士が教える 頭のいい子が育つ食事』(日本実業出版社)、『7歳までに決まる!「かしこい脳」をつくる成長レシピ』(PHP研究所)など、子供の健康と食事に関する著書多数。
小山浩子オフィシャルサイト
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© Disney © Disney/Pixar
© Disney. Based on the “Winnie the Pooh” works by A.A. Milne and
E.H. Shepard.
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