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- 公開日:2019年12月6日
産後ケアで妊娠前よりキレイに!体型を戻すための簡単エクササイズをご紹介!
妊娠、出産で大きく変わってしまう女性の体。産後に心身の不調を訴える方は少なくありません。
そこで、『産後骨盤リセットダイエット』の著者で、カイロプラクター、姿勢教育指導士であり、虎ノ門カイロプラクティック院副院長の碓田 紗由里(うすだ さゆり)先生に、産後の体型変化や体調不良の改善についてお話を伺い、妊娠前よりココロもカラダもキレイになる秘訣を教えていただきました。
目次
なぜ産後は体型変化や体調不良が起こりやすいの?
産後の体型変化や体調について考えるうえで、妊娠中、姿勢と骨格がどう変化していくかを知る必要があります。
特に臨月のお腹の状態を想像してみてください。妊娠中はお腹が大きく出てきますので、腰が前側に引っ張られ、どうしても腰が本来の状態より反ってしまうと同時に、バランスを保とうと背中のカーブがきつくなり、丸まってしまうのです。つまり、猫背が強くなってしまい、首は顎を突き出したような感じになります。そのうえ胸も張って重くなりますから、肩は前側に巻き込まれ、腰は余計にのけぞるような姿勢になってしまいます。
本来であれば背骨を横から見た状態は、腰の部分が少し前側に反っていて、背中は緩やかに後方に丸まり、首の部分は少し前側にカーブしているような「緩やかなS字カーブ」が理想です。
「緩やかな」というところがポイントなのですが、妊娠中は極端なきついS字カーブになりがちです。
一方、骨盤は、妊娠前は逆三角形が正常な状態ですが、臨月に近づくにつれ横に開いていき、特に下側がだんだんと開いていきます。見た目には四角いのっぺりしたお尻になり、ウエストのくびれがなくなり、腹部を守るために脂肪もたくさんつきます。股関節は外側に開いていき、ガニ股になり、ペタペタした歩き方になります。
こういったさまざまな変化が妊娠中に起こるわけです。臨月の場合、ひと言で例えるのなら、5kgぐらいの米袋を常に抱えて生活しているようなものです。体調を保つのがいかにたいへんかというのは想像に難くないと思います。
産後の骨盤や姿勢ケアを怠るとどうなる?
心身の不調が起こりやすい
妊娠中に変化した姿勢や骨格は、産後すぐに戻るわけではありません。それに加え、ホルモンバランスも大きく変化するため、妊娠中から産後にかけて、女性の体には大きな負担がかかります。
個人差はありますが、こういった体の変化から、腰痛、ぎっくり腰、頭痛、肩こり、恥骨痛、尾骨痛、腱鞘炎、手足のしびれ、お尻の痛み、寝不足、疲れ、母乳トラブル、便秘、むくみ、こむらがえり、さらにはイライラしやすくなるなどといった心身の不調が起こることがあります。
さらに育児は猫背になりやすい姿勢をとることが多いので、どんどん背中が丸まってしまうことも少なくありません。
ただでさえ、命がけで出産したわけですから、疲れていて当然です。そこに猫背でいることによって余計な負担が加わり、疲れが増すことが問題です。疲れていると、普段なら何でもないようなことでイライラしたり、怒りっぽくなったりと、育児や夫婦関係など、家庭の平和にも影響が出る恐れがあります。意識してケアをしないと一生猫背ということもありますから、注意が必要なのです。
なお、経産婦は妊娠中のお腹の出が早くなりますので、姿勢の変化も早く、つらい時期が長くなるので、1人目の出産時よりケアが必要になります。
早めのケアがオススメ
さて、丸くなった背中の行きつく先は何だと思いますか。実はいま増えていると言われるのが、出産後の「圧迫骨折(背骨が押しつぶされて変形してしまう骨折)」のリスクです。一度圧迫骨折を起こすと、改善はするものの非常に治りにくく、骨自体が元通りには戻ることありません。その大きな原因に猫背があるので、産後はすぐに姿勢を見直すことをオススメします。
話は骨盤に戻りますが、経腟分娩であれば、骨盤が最大限に開いた反動である程度元に戻りますが、帝王切開の場合は要注意です。赤ちゃんがお腹から一連の過程を経ずにいなくなるので、骨盤が開いたまま固まりがちです。そのまま定着してしまうと、四角いお尻でくびれのないウエストの寸胴体型になってしまいますから、美容面からも早めにケアをした方がいいでしょう。
また、女性の骨盤からは、生殖器官をコントロールする自律神経がたくさん出ていますから、歪んでしまった骨盤を放置したままにすると、生理痛や生理不順などの原因となったり、悪露が長く続いたり、2人目が妊娠しにくいなどのリスクが増すと言われています。
妊娠前よりキレイになるって本当?
妊娠すると、出産に向け産道を広げるために「リラキシン」というホルモンが分泌されます。これには関節を緩める作用があり、出産直後は人生最大に関節が緩みます。実はこのときが骨盤や背骨の歪みを調整する最大のチャンスなのです。
この時期にきちんと骨盤ケアをして姿勢習慣に気をつけると、妊娠前より体の状態が良くなりキレイになれるのです。
逆に歪みやすい時期でもありますから、悪い姿勢や良くない座り方をしていると、歪んだままどんどん固まってしまいます。産後1ヶ月も過ぎると、関節は固まってしまいますから、出産してできるだけ早いうちからケアを始めることが理想です。骨盤が歪んだままだと、筋肉は本来の働きができないので、エクササイズやストレッチをしても運動効率が落ちてしまい、体調の面でも美容の面でも大きな問題になります。
とはいえ、自分で骨盤を調整するのは難しいので、プロの手を借りるのがベストですが、ご自宅でできる簡単なケアでもやるのとやらないのとではぜんぜん違いますから、ぜひ産後すぐに始めてくださいね。
産後ケアにやりたい、毎日できる簡単エクササイズ!
姿勢を制するママが産後ダイエットを制する!そこで、簡単にできる体操を2つご紹介します。
1. キャットレッチ
妊娠中に丸まった姿勢の癖を取り除き、授乳やおむつ替えなどの育児で、どうしても丸まってしまう背中を元に戻すストレッチです。回数の目安は2回1セットを1日10回です。
① 両手を後ろにまわし、手のひらが上を向くように指を組む。
② 鼻から息を吸い、口から細く息を吐きながら、肩甲骨をぐーっと寄せる。
③ ①②がうまくできるようになったら、肩を後ろに引いたまま、息を吸って吐きながら、首を後ろに倒して、ゆっくり3つ数えてから元に戻す。
たったこれだけですが、猫背を改善する効果があり、ちょっとした肩こりや頭痛なら改善される方が多いです。
このエクササイズのポイントは、肩をしっかり寄せることです。肩の引きが不十分だったり、腰を反らせすぎたりしないよう注意してください。
出産後だけでなく、スマホを使った後やデスクワークの合間にもオススメのストレッチです。動画もありますのでご参照ください。
※参考
「キャットレッチ」動画
2. 反り腰解消エクササイズ
妊娠中に反りすぎた腰を元に戻すエクササイズです。ポッコリお腹を改善する効果もあります。回数の目安は1回につき10秒を1日5回です。
① 立った状態で壁にかかと、お尻、背中、頭をつけ、腰の反り具合を確認。腰の反っている部分に手のひらを入れる。このとき、手のひら一枚分以上の隙間があると反り腰。
② 壁にお尻、背中、肩、頭をつけて、足は自然に開き、腰の反り具合に合わせ、最初は足を10~20cmくらい前に出す。
③ 背中と壁の間に手の平を入れ、手を壁に押しつけるようにお腹に力を入れる。このとき、背中と肩が壁から離れないように注意する。深呼吸をしながらゆっくり10秒キープ。
足と壁の間が10cmで楽にできるようなら、7、5、3cmと壁に近づけて行ってください。かかとが壁についてできるようになったらOKです。
エレベーターに乗っているときや、ちょっとした隙間時間でもできますから、ぜひ試してみてくださいね。
授乳にオススメの姿勢、やってはいけない姿勢とは?
授乳の姿勢はどうしても前かがみになり、猫背になりがちです。そこでオススメの座り方をご紹介します。
床の場合
床に座って授乳する場合は、正座、あぐら、足を前に伸ばして座る長座(ちょうざ)がオススメです。ここでは授乳に一番適したあぐらの姿勢を例にご紹介します。
① 壁など背もたれの前にあぐらで座る。
② いちど上体を前かがみにする。
③ ②の状態のままお尻を後ろの壁まで引く。
④ 上体を起こす。
⑤ ④の状態で授乳ができるよう、授乳枕やタオルを重ねて高さを調整する。
椅子の場合
① 背もたれはなるべく90度のものを用意。
② いちど上体を前かがみにし、お尻を後ろまで(座面と背もたれの間にお尻をはめ込むくらいまで)引く。
③ 上体を起こして、深呼吸をするときのように肩を引き、そのまま肩の位置は変えずに腕の力を抜いてダランとさせる。
④ ③の状態で授乳できるよう、授乳枕やタオルを重ねて高さを調整する。
授乳姿勢はどうしても猫背になりがちです。授乳後はキャットレッチで姿勢をリセットすることをオススメします。
授乳中にオススメできない座り方
授乳中にオススメできない座り方は、仙骨座り(椅子に浅く座り、背もたれに寄りかかった座り方)や割り座(正座から両方のすねを外側に出して座る姿勢)、横座り(いわゆるお姉さん座り)です。
仙骨座りは、お尻の筋肉が引き伸ばされ、産後ただでさえのっぺりしたお尻が、さらに緩んで締まりのないお尻になります。また腹筋も緩むので、ポッコリお腹が改善しない原因にもなります。
割り座は骨盤の下側を開かせてしまう座り方です。妊娠、出産によって開いた骨盤が閉じきらない原因にもなります。また、横座りで授乳するママもよく見かけますが、横座りは骨盤と背骨を左右に歪めてしまいますので注意しましょう。
ずっとキレイをキープするには?パパが協力できることはある?
はっきり言って、キレイと健康は努力なしには得られません。お手軽にできる魔法はないのです。ずっとキレイでいるためには、何より「心がけ」が必要です。「キレイになりたい」という意識をもつことです。それがないと、いくら施術者が頑張っても成果は出ません。もし「キレイ」をモデルのような体型と位置付けるとすれば、厳しいエクササイズと覚悟が必要です。
しかし、どんな体型の方でも必ずキレイになれる方法があります。それは「姿勢」です。姿勢が良ければ、その人のベストを引き出せるからです。
歩き方もそうです。妊娠中に歩き方を忘れてしまい、だいたい産後は妊娠中の癖でそのままガニ股歩きになっている方がほとんどです。そこで、私がオススメしているのが、「ハイヒール」です。
ママだからとハイヒールを諦めている方も多いのではないでしょうか?ハイヒールはキレイになりたいという気持ちを高めてくれます。ハイヒールを履いて美しく歩けば、ふくらはぎや背中など、体の背面の筋力も鍛えられます。ただし、ハイヒールを履きこなすには、そのための筋力が必要です。やはりトレーニングは必要になりますが、いつまでも美しくいたいという方にはオススメです。
ママが1人でお出かけするときなどは、キレイな靴を履いて、エクササイズをしながら気持ちも上がってキレイになる。これを私はガラスの靴にたとえて「シンデレラ効果」と呼んでいます。
また、キレイになるための魔法があるとすれば、それはパパからの賞賛の言葉ではないでしょうか。「キレイだよ」とか「いつもありがとう」など、ママを賞賛する言葉です。これはたいへん効果が大きいですね。
逆に勘違いが多いのが、「頑張れよ」といった励ましの言葉です。良かれと思って言っているとは思いますが、正直いらないですね。「頑張ってるわよ!」と反感を買うだけです。むしろ褒めて褒め上げてください。女性は誰しも夫から褒められるのが大好きなはずですから。もちろん、ママからもパパを「さすがだね」とたくさん褒めてあげてくださいね。
インタビューを終えて
とても美しい碓田紗由里先生。第3子を妊娠中にも関わらず、長時間の取材に快く応じてくださいました。ご主人の院長先生は「いつもキレイだね」「結婚してくれてありがとう」と毎日言ってくれるそうです。なるほど、だからなのだと思わず納得してしまいました。
出産してママになっても、女性としていつまでもキレイで輝いている。そんな先生のお話はとても説得力があり、たいへんためになりました。ココロもカラダもキレイで元気になれるエクササイズ、そして夫婦での褒め合い…。さっそく今日から取り入れてみてはいかがでしょうか。
プロフィール:碓田 紗由里(うすだ さゆり)
カイロプラクター。姿勢教育指導士。虎ノ門カイロプラクティック院副院長。これまで女性を中心に述べ1万人の施術をしてきた経験と自身の妊娠・出産の体験から、出産前後の女性がかかえる体型変化や体調不良を改善するためのオリジナルプログラムを開発・提案。自身もこのプログラムにより元の体型に戻すだけでなく、妊娠前の体重よりマイナス7キロ減をキープしている。女性のライフスタイルが大きく変わる結婚・妊娠・出産を機に「愛されて自分らしく生きる」ことを考えていただきたいという願いから、メルマガ・イベント・セミナーを通して、体と心と姿勢にまつわる大切なことを伝える活動を行っている。著書は『産後骨盤リセットダイエット』。
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