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アンジェラ・ダックワース (著)、 神崎 朗子 (翻訳)
『やり抜く力  人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』
ダイヤモンド社

「GRIT(グリット)」という言葉が関心を集めています。
「GRIT」は「やり抜く力」とも訳されており、この概念を説明している『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける 』という本が世界中でベストセラーになっています。
それはこの本が、「成功するためには、才能と努力どちらが重要なのか?」という問に有力な回答を与えてくれるからです。

本書では、そのタイトルで示されているように「やり抜く力」、つまり努力を継続することこそが才能より重要であるとしています。
しかし、努力と言っても嫌なことを闇雲に頑張るのではなく、自分の本当に興味があることを見つけて、それをずっと続けることに成功の秘訣があるとしているのは重要なポイントです。この部分は特に、小さな子どもを育てる親にとっても非常に参考となる情報が含まれています。

今回は書籍『やり抜く力』の内容をご紹介し、親が子どもに「やり抜く力」を身につけさせるにはどうすればよいか、そのヒントをお伝えしたいと思います。


「やり抜く力」が伴わなければ、才能と成功が必ずしも結びつかない

「やり抜く力」とは、目標を達成するまで継続してひとつの事を行い続ける力です。
本書では才能×努力=スキルとなり、スキル×努力=達成であると述べられています。
つまりスキルを身につける部分でも、そのスキルを磨いて目標を達成する部分においても、二重に「努力」は必要なのです。

例えば、難しい英語のスペルを競う大会「スペリング・ビー」大会の出場者(小学生、中学生の子ども)を調査したところ、言語知能指数の高い出場者よりも、「やり抜く力」のある出場者が勝ち進むという結果になっていました。言語知能指数の高い出場者は練習時間が少ない傾向があり、勝ち進むことが出来なかったと報告されています。
「やり抜く力」が伴わなければ、才能と成功が必ずしも結びつかないことがうかがえるのです。

本書の帯には「人生を変える最強・最速のメソッド」とありますが、時間をかけてコツコツと努力を続けることが、実は最速のメソッドであることをこの本は気付かせてくれます。一流と呼ばれる人々は分野に関係なく努力を積み重ねることが習慣化されており、1つ1つは小さな努力でも習慣になるまで積み重ねることで、大きな成果を達成できるのです。

そんな積み重ねの重要性を明らかにしているのが、コロンビア大学の心理学者による調査です。この調査では11,000名のアメリカの10代の若者たちを対象に、26歳になるまで追跡調査を行いました。高校で課外活動に2年間参加したケースと1年間参加したケースを比較したのです。
結果は、高校で課外活動を1年以上続けた生徒たちは、大学の卒業率が著しく高く、ボランティア活動への参加率も高くなっていました。また、課外活動を2年以上続けた生徒の中で比較すると、1週間あたりの課外活動時間が長いほど収入が高い傾向が見られました。

根気強く積み重ねる力は、社会に出てからキャリアの壁を破る際にも効いてきます。
その好例として紹介されているのが、漫画家のマンコフ氏です。彼は雑誌『ザ・ニューヨーカー』に1コマ漫画作品を持ち込みし続け、2,000回ものボツになりました。しかし、マンコフ氏はあきらめず『ザ・ニューヨーカー』の膨大なバックナンバーを研究したり、点描の技法を用いた独自のスタイルを編み出したりしたのです。
そうした努力が実り、マンコフ氏は同誌の契約漫画家になった後に編集者にまでなりました。

マンコフ氏は後進の漫画家志望者に「作品は10単位で持ち込むように」とアドバイスしています。9割がたはうまく行かないことを想定しつつ、それでも努力を止めない強さが彼の成功の秘訣でした。ボツになるかもしれない作品の積み重ねが、アメリカの漫画家にとって最高の舞台に導いてくれたことを、彼自身実感していたのでしょう。

「やり抜く力」を伸ばすには目標設定がポイント

好きにならないと努力は続きにくいものです。必死に努力する前に、まずは学習やトレーニングすること自体を楽しむようになる必要があります。
最近は「1万時間の法則」と言い、エキスパートになるには1万時間(=約10年間)、1つの分野を練習したり、学んだりしなければならないと考えられています。これだけ継続して1つのことに取り組むには、楽しみながらでなければ続きません。また、取り組む時間の質にも注意を払う必要があるようです。

そこで下記のようなルーチンを行うことが必要になってきます。

① 少し高めの目標を設定する。 
② 目標を達成できるように努力する。
③ うまくできるまで何度も繰り返す。

①の条件により目標達成の経験が得やすくなり、楽しみを感じやすくなるのがポイントです。
ヒューストン大学の心理学者が小学2・3年生に行った実験でも、難しい課題を与えられていた生徒たちの方が、簡単な課題を与えられ続けてきた生徒より、同じ課題に熱心に取り組む傾向があることが明らかになっています。努力が必要な目標を達成するルーチンを繰り返すことで、困難な目標への挑戦を好きになることができれば、加速的にスキルは向上していきます。

このように、子どもが好きなものを見つけてあげて、それを続けるための良い習慣(ルーチン)をつくってあげることが、長期間に渡ってやり抜くために大切なことだと言えるでしょう。

親のサポートも「やり抜く力」の重要なファクター

世界トップクラスのスポーツ選手や芸術家を対象に行った研究で、このような成功者たちの子ども時代に、親たちが示していた特徴が明らかになりました。
成功者の親たちは、ほぼ例外なく
・親が子どもの手本となっている
・親自身が努力家で、何かに挑戦するときは全力を尽くしている
・楽しみよりもやるべきことを優先させ、遠い目標に向かって努力している
という傾向がありました。
こうした親の姿勢が、子どもたちの「やり抜く力」を外側から伸ばすことにつながっているようです。

例えば、一流の競泳選手たちの生い立ちや経歴を調べたところ、ほぼ例外なく親が水泳に対して興味を抱いていて、子どもにコーチをつけたり、水泳大会に参加させたり、プールの近くに住んでいたことが明らかになりました。
子ども自身の努力やトレーニングだけでなく、その背後にある、親の関心・情熱・援助が、偉業を達成するための重要なファクターであることがうかがえます。

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