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15歳で米国にダンス留学しハリウッドデビュー!「英語で未来を切り拓く表現者」〜生島翔さんインタビュー〜

中学卒業後、15歳でアメリカ・カリフォルニア州にある芸術高校『アイディルワイルド・アーツ・アカデミー』に単身ダンス留学した生島翔さん。2018年公開の映画でハリウッドデビューを果たし、帰国後も英語力を活かして国内外で幅広く活躍しています。

父親でフリーアナウンサーの生島ヒロシさんも米国留学の経験があり、小さな頃から英語の必要性を身近に感じながら過ごしたといいます。アメリカでの留学体験や英語習得のコツ、英語で広がった人生観について伺いました。


Q1. 15歳でアメリカにダンス留学されたきっかけを教えてください。

Q2. 世界で活躍するなかで英語はどのように役立ちましたか?

Q3. 英語が話せる一番のメリットはどこにあると感じますか?

Q4. ダンスと英語習得の共通点と上達のコツは何ですか?

Q5. 子供が世界に通用する英語力を身につけるために必要なこととは?

Q6. 今後の目標をお聞かせください。


Q1. 15歳でアメリカにダンス留学されたきっかけを教えてください。

Q1. 15歳でアメリカにダンス留学されたきっかけを教えてください。

子供の頃からダンスや歌、芝居に興味があり、将来はその道に進みたいと思っていました。たまたま中学生のとき、兄(俳優・生島勇輝さん)の代理で海外留学の説明会に参加する機会があり、個別相談会で自分がやりたいことを話したところ、「カリフォルニアに君にぴったりの面白い学校があるよ」と紹介されたのが、『アイディルワイルド・アーツ・アカデミー』という芸術学校でした。

パソコンでその学校を検索すると、トップ画面にあっためちゃめちゃカッコいいダンサーの画像が目に飛び込んできて、「この学校に行きたい!」と思い、すぐにメールで面接のアポイントを取りつけたのです。後から両親に相談したときはかなり驚かれました(笑)。

父も学生時代にカリフォルニアの大学に留学した経験があり、子供たちにも留学させたいとは考えていたようです。家族で海外旅行に行ったときには英語で会話する父の姿を見て「かっこいいな」と感じていました。留学のチャンスがあったときに躊躇せず飛び込めたのは、英語に対する親の考え方や、英語を楽しそうにしゃべる親父の背中を見ながら育った幼児体験があったからだと思います。

高校生で生きた英語にふれた経験が夢を叶える原点に

高校生で生きた英語にふれた経験が夢を叶える原点に

中学を卒業した4月からの3カ月間は日本の英会話学校に通い、7月に渡米しました。実は、アメリカに行く前は学校の勉強も頑張っていたし成績も悪くなかったので、自分の英語力に自信があったんです。

ところが初日にルームメートに話しかけられても理解できず頭の中は真っ白。授業がはじまってからも、どこに行けば良いかわからないし聞くこともできない。教室にたどり着けなくて遅刻しては先生に怒られる...。最初の数カ月はそんなことのくり返しでした。

英語の成績や試験の点数が良くても、実生活では何の役にも立たないということを思い知らされ、挫折を味わいました。
でも何があっても日本には帰らないと決めていたので、とにかく必死でした。寮の消灯時間は22時でしたが、それ以降はトイレにこもって夜中まで宿題をやる日が続きました。ダンスの勉強もあったので、その両立も大変でしたね。

留学して3カ月くらい経った頃です。なぜか先生が話す英語が突然わかるようになったんですよ。Chemistry(化学)の授業の中で、Nitrogen(窒素)とか、Oxygen(酸素)といった専門用語が聞き取れるようになって。

高校生で生きた英語にふれた経験が夢を叶える原点に

「わからない」ところがわかるようになるというのは、僕にとって画期的な発見でした。知らない単語をどんどん辞書で調べるようになると語彙も増え、授業がすごく楽しくなったことを覚えています。2年生になる頃には日常会話に困らないくらいの英語力が身についていました。

15歳といえば、小難しい話を抜きに誰とでも友達になれる年齢です。同年代の仲間と遊びながらコミュニケーションを取り、高校で生きた英語にふれた経験が夢を叶える原点になりました。

Q2. 世界で活躍するなかで英語はどのように役立ちましたか?

Q2. 世界で活躍するなかで英語はどのように役立ちましたか?

ニューヨークの大学に進学し、卒業後はダンサー・振付師として現地で活動を続けました。その後ドイツのダンス・カンパニーと契約し、ヨーロッパに拠点を移しました。
僕が所属していたカンパニーには10カ国くらいから国籍の違うダンサーたちが集まって来ていて、彼らとコミュニケーションを取るには英語で話すしかありませんでした。

ダンスは身体表現ですが、アーティストとして自分の表現したいことを言葉で相手に伝えることも評価の1つになるんですね。リハーサルなどでは自分が目指すパフォーマンスについて語ることも多く、「このことについてどう思う?」と尋ねられたり、政治や文化、宗教といった深い話になったりすることもあって。なかには英語でうまく伝えられずにもどかしそうにしているダンサーもいました。

野球でもサッカーでもそうですが、言葉が通じると仲間に入りやすいし信頼関係も生まれます。ダンスも同じです。才能あふれる世界のアーティストたちとチームになって仕事ができたのは、英語のおかげです。

どんな世界でも、社会の一員として活躍するためにはやはり言語のスキルは身につけておいた方が良いと思います。

ハリウッドデビューを果たし、英語で広がる世界は無限大!

仕事の面でも、英語が話せることで世界が大きく広がりました。海外ドラマや映画のオーディションを受け続け、ハリウッド映画『DARC』の準主役に抜擢されたときは本当にうれしかったですね。東京生まれ・東京育ちの自分がネイティブに囲まれて、ゼロから英語を猛勉強したからこそ掴むことができたチャンスです。

昨年は海外の映画撮影に参加させていただき、日本の現場とはまた違った環境で仕事ができたことが新たな刺激になりました。
今もニューヨーク時代の友人とともに世界のサウナをめぐるドキュメンタリー番組を制作しています。僕はナビゲーターとして日本を旅しながら英語でその魅力を世界に発信しているのですが、帰国後の今、より英語が役に立っていると実感します。あらためて英語が自分の武器であり、キャラクターの1つなんだと感じますね。

Q3. 英語が話せる一番のメリットはどこにあると感じますか?

Q3. 英語が話せる一番のメリットはどこにあると感じますか?

何よりもまず、英語がしゃべれると楽しいと思います。
僕は人といるのが大好きだし好奇心旺盛な性格なので、自分の知らない文化圏の人と出会うと、その人のことをもっと知りたいと思う方なんですね。英語がしゃべれるだけで、知らなかった国のことが知れるし、相手にも自分のことを伝えることができます。

将来的にはAI技術の進歩によって、英語がしゃべれなくても困らない時代が来るかもしれません。でも、すべてを翻訳機に任せてしまったら英語を自分の言葉で相手に伝える楽しさも半減してしまいます。

たとえば、「好き」という言葉1つとっても、"Like"、"Love"、"My favorite."など、そのときどきでいろいろな選択肢がありますよね。文法的に正しいかどうかは二の次です。恥をかくこともありますが、失敗してもそれはその人のキャラクターになる。僕が思ったことや僕の気持ちそのままを、自分の言葉でより多くの人に伝えるということはAIにはできません。
世界で一番使われている英語を学ぶメリットと楽しさがそこにあると思います。

Q4. ダンスと英語習得の共通点と上達のコツは何ですか?

Q4. ダンスと英語習得の共通点と上達のコツは何ですか?

ダンス表現も英語習得も、いくら頭で理解しようとしてもダメで、実際に自分でやってみてはじめて身につくということを、ダンスを通じて学びました。そして両方とも、くり返し学習することが大事です。

たとえば美しいターンを体得するため、プロのダンサーは毎日何時間も練習を積み重ねるわけですが、英語を自分のものにするときも同じで、くり返し学習することこそが上達のコツだと思います。

そして、くり返し練習して覚えたことを知識としてしまっておくのではなく、どんどんアウトプットすることです。友達との会話や映画を観たりしたときに覚えた単語や気になったフレーズを発信することではじめて自分の表現になり、生きた言葉になります。ダンスも英語も理論を勉強するより「使って慣れる」ことが何より大切です。

Q5. 子供が世界に通用する英語力を身につけるために必要なこととは?

Q5. 子供が世界に通用する英語力を身につけるために必要なこととは?

学校の授業や英語の試験などを通し、「間違ってはいけない」と無意識に思ってしまう子供たちが多いかもしれませんが、僕自身の経験からも英語はたくさんしゃべり、たくさん間違えながら上達するものです。

僕は父から「俺の英語はお前にはかなわない。でも、大切なのはそんなことじゃないんだよ。英語は使わなければ意味がない。しゃべることが大事なんだ」と何度も聞かされました。子供の頃から「とりあえず英語は人としゃべることだな」、という意識がどこかにあったから、自然と上達が早まったのかもしれません。ですから親御さんも間違いを恥ずかしいと思わず、日頃から英語を使い、楽しみながら英語でしゃべる姿をお子さまに見せてあげると良いと思います。

語りかける際はできるだけ日本語を介さずに、時計=クロック、ネコ=キャットのように、英語を英語のまま聞かせてあげるのがオススメです。
家庭の中で普通に英語を使う雰囲気があれば、バイリンガル脳の素地をつくってあげられるのではないでしょうか。

Q6. 今後の目標をお聞かせください。

Q6. 今後の目標をお聞かせください。

今年はフィリピンで映画を作る仕事が進行しています。これも全編英語の映画で、2023年の公開を予定しています。サウナの仕事も続行中。英語を活かした仕事をメインに、ダンスでも作品を作りたいですね。
踊り手として、振付師としてのスキルを磨き、また世界をめぐるのが目標です。これからも英語をツールとして使いこなし、表現者として海外と日本の両方で活動を続けていきたいと考えています。

インタビューを終えて

光る個性と表現力。類まれな身体能力と努力によって、帰国後も世界を舞台にチャレンジを続ける生島翔さん。
幼少期から臆せず英語を話す親の姿を見て育ち、現在はTOEIC®︎スコア975点を保有する英語力が、豊かな世界を広げる支えとして活かされています。


生島 翔さん

プロフィール:生島 翔(いくしま しょう)
俳優・コンテンポラリーダンサー・034productions代表・京都大学大学院研究員。1985年東京都生まれ。15歳で単身渡米。ニューヨーク大学ティッシュ校ダンス科を3年で卒業後、Pavel Zustiak、Brian Brooks等の作品に出演。2009年にドイツ・カッセル州立劇場とソリスト契約。帰国後は俳優としてハリウッド映画『DARC』、ミュージカル『ヴェローナの二紳士』(演出:宮本亜門)等に出演。2021年にはTokyo Tokyo FESTIVAL助成にて堤幸彦監督『Trinity』の企画制作、振付、出演を担当。現在、NHK Eテレ『大西泰斗の英会話☆定番レシピ』のスキットドラマに出演中。
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