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英語で広がる世界とは?バリ島「グリーンスクール」を卒業した20歳の環境活動家・露木志奈さんインタビュー

最先端の環境特化型の学校として注目されている、インドネシア・バリ島の「グリーンスクール(Green School Bali)」。世界中から生徒が集まるこのインターナショナル・スクールに単身留学して高校3年間を過ごし、日本人女性初の卒業生となったのが、露木志奈(つゆき しいな)さんです。
英語を身につけたことで世界観が大きく広がったという露木さんに、留学経験で得たことや英語を学ぶ意味、身につけ方などについて伺いました。


Q1. 高校で海外留学しようと決意したきっかけは何ですか?

Q2. 「グリーンスクール」は、どのような学校でしたか?

Q3. 留学先では英語の重要性をどう感じましたか?

Q4. 英語を身につけたことでかなった夢や、気持ちの変化はありましたか?

Q5. 日本人は英語が苦手?ご自身はどう克服したのですか?

Q6. 読者にエールをお願いします。


Q1. 高校で海外留学しようと決意したきっかけは何ですか?

Q1. 高校で海外留学しようと決意したきっかけは何ですか?

グリーンスクールの内装

英語が話せるようになりたいと思ったことが、留学を決めた直接の理由です。実は小学4~5年にかけて、親元を離れて長野に山村留学をしていたことがあり、2年間、寮生活を送りながら現地の小学校に通っていました。

そこでは、毎年夏になるとアジア6カ国の子供たちが集まる10日間のサマーキャンプが行われていたのです。参加者は日本をはじめ、韓国、中国、ロシア、モンゴルといった国の子供たちでした。

みんな母国語しか話せなかったため、主催者であるNPOのスタッフの方の通訳を通してコミュニケーションをとっていたのですが、もしも全員が世界の共通語である英語を使って直接会話することができたら、もっと楽しく過ごせたのではないかと思ったのです。

私は中学生の頃は英語が苦手で、成績もあまり良くありませんでした。でも、英語が話せるようになりたいという気持ちが強くあり、高校で留学できる海外の学校を探しました。そんな私のために、母がみつけてくれたのが「グリーンスクール」でした。

インターナショナル・スクールとして英語の学習環境が整っていることに加え、自然環境についても学べる世界でたった1つの学校であることがわかり、迷うことなく留学を決め、高校の3年間をグリーンスクールで過ごしました。

Q2. 「グリーンスクール」は、どのような学校でしたか?

Q2. 「グリーンスクール」は、どのような学校でしたか?

グリーンスクールの授業風景

グリーンスクールは2008年、インドネシア・バリ島のジャングルの中につくられた学校です。
「21世紀を担う子供たちに"地球人"としての責任を全うする力をつけさせること」をミッションに、校舎は環境負荷の少ない材質で建てられ、電気は再生可能なエネルギーによる自給自足、食料もキャンパス内で育てた野菜、米、果物などを生徒やスタッフたちが収穫して食べるなど、学校全体がエコシステムによって支えられていました。

授業も環境に特化したものがたくさん用意され、日本と比べると体験型の学習がとても多いのが特徴です。
学校の外に出る野外活動が豊富で、たとえば「ジュエリーメイキング」という授業では、シルバーアクセサリーをつくっている地元の村を訪ね、バリの伝統的な手法を習いながら実際にアクセサリーをつくったりしました。
また、エッセンシャルオイルをつくる授業もあり、畑で採取した植物を蒸留して精油を抽出したりしましたね。

「学ぶ」ことと「行動」することが常にいっしょになっている授業は、どれも楽しく、ワクワクするような発見がありました。日本では、学んだ後は暗記テストをして終わることが多いと思いますが、グリーンスクールでは、学んだ後の発見から、私たちが世の中のために何ができるのかをみんなで考えたり、プレゼンテーションをしたりするんです。
英語に関しても各国の人たちとの交流によって、実生活に即した実践的なコミュニケーションスキルが身についたように思います。

Q3. 留学先では英語の重要性をどう感じましたか?

Q3. 留学先では英語の重要性をどう感じましたか?

グリーンスクールのクラス写真

40カ国以上の国と地域から集まってきた生徒たちは、私以外は当たり前に英語がしゃべれる人たちばかりで、正直、最初はとまどいました。日本語で考えていることが思うように英語で伝えられないことが何よりストレスでしたね。

でも、まわりの友達の話をよく聞いているうちに、日本語を英語に訳そうとすること自体が間違っていると感じるようになりました。
本当に必要なのは「相手に伝えたい」という気持ちだと気がついたのです。学校の授業や先生から英語を学ぶというより、同級生との会話から肌で感じるものが多かったなと思います。

私が留学体験の中で身につけた英語は、すべて実践や体験がベースになっています。まずは現地で一番使われている単語から覚えていって、覚えた言葉をどんどん使うようにしました。この方法で、留学してから1カ月くらいで日常会話が話せるようになりました。

Q4. 英語を身につけたことでかなった夢や、気持ちの変化はありましたか?

Q4. 英語を身につけたことでかなった夢や、気持ちの変化はありましたか?

貴校変動枠組条約締約国会議(COP)に参加(左から2番目)

グリーンスクールで過ごした3年の間に、英語が話せるようになったことで私の世界は広がりました。
各国の首脳が地球温暖化問題について話し合う気候変動枠組条約締約国会議(COP)で、若い世代が議論する青年会議(COY)に参加したときにも、英語を習得したおかげでさまざまな国の人や同世代の人たちとコミュニケーションを取ることができました。これをきっかけに世界中に友達ができたことも大きな財産です。
英語は世界の共通語ですから、話せるにこしたことはありません。

一方で、みんなが英語を勉強するから自分も話せるようにならなければいけない、と考えるのは間違っていると思うようになりました。英語が苦手だった私が英語を身につけようと考えた理由は、英語を話せるようになったら自分の世界がより広がると思ったからです。

英語を学ぶときには、まず最初に「なぜ、何のために」学びたいのかを明確にすることをオススメします。
学びはそこに学習時間を費やすということでもありますし、目的によって、学習方法は大きく変わります。英語で日常会話をしたいだけとか、翻訳家になりたいなど、自分の目標と到達レベルに合った方法で学ぶことで、英語をより効果的に習得することができると思います。

Q5. 日本人は英語が苦手?ご自身はどう克服したのですか?

Q5. 日本人は英語が苦手?ご自身はどう克服したのですか?

バリ島でのワークショップ

日本人は完璧を求めすぎるのではないでしょうか。たとえ英語が流ちょうに話せなくても、知っている単語が少なくても「伝えたい」という思いがあれば必ず相手はわかってくれます。

最近、お笑い芸人の方が独自の英語トークで外国人と会話をするTV番組が人気ですが、その良い参考例だと思います。
ほとんど英語が話せなくても、知っている簡単な英単語とジェスチャーだけで物怖じせずに英語のネイティブスピーカーとコミュニケーションを取ろうとする姿を見ると、自信をもって相手と向き合うことが大切だということがよくわかります。

グリーンスクールで英語を学んだときも、正しい文法の学び方や効率的な学習法など、一切考えずにやっていましたね。
でも、英語が大好きで、それぞれの国の文化や考え方の違いを理解したいと思う気持ちは今も昔も変わりません。相手をもっと知りたい、話したいという好奇心と情熱は、英語力の土台になると思います。

人それぞれに英語の学び方には違いがあると思いますが、私は常に「直感型」。自分が楽しいと思える方法で英語と向き合ってきました。
体を動かし、五感を使いながら自然の中で育った幼少期の体験が、直感を信じて進む価値観のベースになっているのかもしれません。

Q6. 読者にエールをお願いします。

Q6. 読者にエールをお願いします。

講演会の様子

子供たちにはたくさんの選択肢を与えてあげてほしいと思います。私は小学生のときに親元を離れて山村留学し、高校で海外留学することを決めましたが、それは両親が常に私の選択肢を広げ、やりたいことを後押ししてくれたからです。結果、英語に興味をもち、英語を身につけることができました。

子供に英語を学ばせたいと思う保護者の方々は、先ほどお話しした通り、なぜ学んでほしいのかを明確にしてから行動に移すのが良いと思います。たくさんの選択肢の中から自分が本当に好きなものを見つけて挑戦してほしいですね。これから日本の未来を担っていく子供たちの可能性が、無限大に広がっていくことを願っています。

インタビューを終えて

英語が苦手だった中学生が、高校でインターナショナル・スクールに単身留学。
実践や体験をベースにした学び方によって短期間で英語を習得し、国際会議にも参加するなど世界を舞台に夢を追い続けてきました。各国の同世代の若者たちとともに環境について考え、意見交換や情報共有ができるのも、英語を身につけて得た大きなメリットではないでしょうか。情熱と行動力、そして挑戦を後押しする英語力を生かし、露木さんが今後ますますご活躍されることを大いに期待したいですね。


露木志奈さん

プロフィール:露木 志奈(つゆき しいな)
2001年横浜生まれ、中華街育ち。15才まで日本の公立学校に通い、高校3年間を「世界一エコな学校」といわれるインドネシアの「Green School Bali」で過ごし、2019年6月に卒業。2018年にCOP24(気候変動枠組条約締約国会議) in Poland、2019年にCOP25 in Spainに参加。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。現在、気候変動の問題を中高生に伝えるため大学を休学し、環境活動家として活動している。

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