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真の意味での「世界のトップエリート」を育てる ~西部学園文理小学校・飛田浩昭校長先生インタビュー~

世界で活躍できる人材を育てることが日本の教育の大きな課題となる中、真の意味での「世界のトップエリート」を育てるために尽力している小学校があります。埼玉県狭山市にある、「西武学園文理小学校」です。

世界のトップエリートとは、いったいどのような人材なのでしょうか?そして、どのようにすれば世界のトップエリートが育つのでしょうか?飛田浩昭校長先生に、詳しくお伺いしました。


Q1. 真の意味での「世界のトップエリート」とは、どのような人材でしょうか?

Q2. 「世界のトップエリート」を育成するために、どのような教育を行っていますか?

Q3. これからの子供たちに必要な英語力とは、どのような英語力でしょうか?

Q4. 英語を話せることによって、子供たちにどのようなメリットがあると思われますか?


Q1. 真の意味での「世界のトップエリート」とは、どのような人材でしょうか?

Q1. 真の意味での「世界のトップエリート」とは、どのような人材でしょうか?

世界のエリート層の中で、リーダーシップがとれる人材

世界のエリート層と対等に付き合っていけるような人格があり、その中でリーダーシップをとれる人材が、真の意味での「世界のトップエリート」ではないかと考えています。

その下地としては、英語力だけでなく、日本文化もきちんと理解していなければなりません。その一環として、当校では3年生になると、会席料理を通じて和の礼儀作法を学ぶ「マナー教室」を開きます。

そこで子供たちは、箸の持ち方からはじまり、食材の味わい方、入退室時の襖の開け方まで、食を通じて和の心と礼儀作法をしっかりと学びます。

日本人の魂を大切にすることが、世界のトップエリートへの登竜門

また、稲作文化を大切にしようということで、「稲刈り」の体験も行っています。当校のすぐ近くに文理ファームという農場がありまして、そこで1年生が田植えをします。そして3年が稲刈りをして、当校の隣にある神社に奉納するのです。

そのときに、神主さんに来ていただいて、玉串の捧げ方も学びます。そういうことも、日本文化としてしっかりと教えていく必要があるでしょう。やはり日本人は、日本の魂を大切にしないといけません。それが、世界のトップエリートへの登竜門だと思っています。

Q2. 「世界のトップエリート」を育成するために、どのような英語教育を行っていますか?

「イマージョン教育」を実践し、日々英語のシャワーを浴びる

「イマージョン教育」を実践し、日々英語のシャワーを浴びる

当校では、2004年の開校当初から、「イマージョン教育」(※)を実践しています。1年生から週10時間の英語授業を行い、7人のALT(※)が英語の授業だけでなく、音楽・図工・体育の授業にも入ります。今年度からは、情報の授業にもALTが入ることになりました。

たとえば図工の授業では、「画用紙を取りにきてください」と言うときも、まずはALTが英語で話し、その後に日本人の図工教師が日本語で補足するといった形です。

小学校のカリキュラムは年間35週あり、1年生から週10時間の英語授業を行うので、35週×週10時間、合計年間350時間英語にふれることになります。

授業中だけでなく、朝礼やホームルーム、休み時間、給食の時間にも、英語と自然にふれあう機会があります。朝礼やホームルームでは、日本語と英語の両方で話をしますし、休み時間はALTが子供たちといっしょに遊び、給食の時間も子供たちの横に座って話しながら食べます。

※イマージョン教育:未修得の言語を身につける学習方法のひとつで、目標とする言語の言葉だけを習うのではなく「その言語環境で」他の教科を学び、その言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語習得を目指す。

※ALT:Assistant Language Teacher(外国語指導助手)の略で、外国語を母国語とする外国語の指導助手のこと。小・中・高等学校などで授業の補助を行っている。

入学式の式次第も2カ国語表記

入学式の式次第も2カ国語表記

イマージョン教育の発祥の地はカナダなのですが、カナダの公用語は英語とフランス語です。そのため、何かイベントがあるときは英語とフランス語の両方を使って話し、文章も2カ国語で表記されます。

当校も同じように、入学式などのイベントがあるときには英語と日本語の両方を使って話し、式次第も2カ国語で表記します。

校内の掲示物なども、すべて2カ国語で表記するなどして、英語も日本語と同じように自然にふれあう環境をつくっています。

日々英語のシャワーを浴びることで、英語への抵抗感をなくす

日々英語のシャワーを浴びることで、英語への抵抗感をなくす

このようにして日々英語のシャワーを浴びることによって、英語への抵抗感をなくしたいと考えています。日本人が英語を話せないというのは、やはり英語にふれる機会が少ないからだと思うんですよね。英語力をつけるなら、まずは英語を話すことへの抵抗感をなくすことが、大切なのではないでしょうか。

ALTの出身国は、カナダ人、アメリカ人、ドイツ人、ハンガリー人などさまざまです。カナダ人やアメリカ人はネイティブスピーカーとしての英語を話しますが、そういう人だけがALTとしてふさわしいかというと、そうではないんですよね。

ドイツ人やハンガリー人は英語を母国語としていないので、逆に英語をコミュニケーションのツールとして使うことに長けています。そういうALTとかかわることで、子供たちも英語をツールとして使うことに慣れていくでしょう。

英語は世界の共通語ですので、ネイティブスピーカーのように英語を話すこと以前に、英語を使って自分の言いたいことを伝えられるようになることが大事です。たとえば、さまざまな国の人が英語をツールとして使ってコミュニケーションをとっている、シンガポールのようなイメージです。

Q3. これからの子供たちに必要な英語力とは、どのような英語力でしょうか?

スモールトークが英語力の土台となる

スモールトークが英語力の土台となる

まずは英語でコミュニケーションをとることが大切ですので、スモールトーク(雑談)ができるようになる必要があると思っています。それが子供たちの英語力の土台となります。

そのため、低学年のうちは「話す」と「聞く」に重点を置いて、英語で会話をする機会を数多く設けています。低学年の授業の8割は、体を動かして英語を覚える授業です。

体を動かして英語を覚える授業とは、「Model」(先生がモデルをして)、「Action」(児童は動作しながら)、「Talk」(英語を発音する)の仕組みを取り入れた授業のことです。授業の80%は児童が発話するように計画されており、耳・目・口・体の全身を使って英語を習得していきます。体を動かすことによって、英語の語感が自然と入りますからね。

授業中だけでなく、さまざまな場面でスモールトークの機会を作っています。たとえば登校時間に挨拶をするときには、2人のALTが校門に立っています。そのときに、"How are you today?" "Did you eat breakfast this morning?"というように、子供たちに日々話しかけるんですよ。

こうしたさり気ない英語でのやり取りによって、子供たちは英語への抵抗感をなくし、知らないうちに英語を吸収していくのだと思います。

高学年からは4技能をバランス良く学ぶ

高学年からは4技能をバランス良く学ぶ

高学年になると、やはり恥ずかしがる年頃になるので、アクションを伴う授業は少なくなります。たとえば動画を見せて、そこに言葉を当てはめてスペルを学ぶというように、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能をバランス良く、小学生に合った楽しいやり方で学んでいきます。

その結果、4年生までに多くの生徒が英検®3級を取得しています。小学校卒業前に、英検®準1級を取った生徒もいます。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

エビデンスに基づいて英語教育を行うことが大切

現在、当校ではそれなりに英語教育を充実させていますが、より効果的な学習法を見出していくのは、まだまだこれからだと思っています。

本当に英語教育の成果が出ているかどうかを知るためには、スモールトークがどのように子供たちに影響を与えているのかを、検証していかなければなりません。イマージョン教育の効果を測定し、エビデンスに基づいて英語教育を行うことが、大切であると考えています。

Q4. 英語を話せることによって、子供たちにどのようなメリットがあると思われますか?

Q4. 英語を話せることによって、子供たちにどのようなメリットがあると思われますか?

日本語だけを話している人は、その言語の範囲での学びしか得られません。でも英語を話せるようになれば、その可能性が英語を話す人の分だけ広がることになります。英語を学ぶ一番のメリットは、それでしょうね。

「今は音声翻訳機があるから、それを使って会話をすれば良い」という方もいるのですが、私はそうは思いません。音声翻訳機ではなく、自分の言葉で英語を話すことによって、初めて相手と心を開いて会話することができるのではないでしょうか。

インタビューを終えて

インタビューを終えて

「世界のトップエリート」とはただ単に優秀な人材ではなく、日本人としての誇りをもち、その文化を大切にしながら世界に羽ばたく人材なのだということを、飛田校長先生のお話で深く実感しました。

同校では、生徒会が主体になって、海外への支援活動も行っているそうです。生徒自らが「カンボジアに文房具を支援したい!」と提案し、自分たちでやり取りを進め、3年がかりで実現したとか。国際交流とは、このように言葉や国の壁を越えた、心と心の交流なのですね。


飛田浩昭校長先生
プロフィール:飛田 浩昭(とびた ひろあき)校長先生
筑波大学大学院教育研究科修了(カウンセリング心理学修士)。立教英国学院教諭(小学校校務主任)、青山学院初等部教諭(教頭、部長)を経て、2018年から現職。

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