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英語に必須の論理的思考力を養う「STEAM(スティーム)」教育って何?

「STEAM(スティーム)教育」という言葉をご存知でしょうか?
21世紀型の新しい教育方針として世界中で注目され、欧米諸国をはじめアジアの新興国でも実施されている教育です。日本の英語教育においてもSTEAM教育で養う論理的・創造的な思考力が求められており、これからの学校教育が大きく変わるかもしれません。
次世代を担うグローバル人材に必要なSTEAM教育の内容や、新時代を生きる子供たちに必要な英語力とSTEAM教育との関係についてご紹介します。


1. STEAM教育って何?

2. なぜ今、STEAM教育が必要とされているの?

3. 英語学習とSTEAM教育の関係とは?

4. 学校などではどんなSTEAM教育が行われているの?

5. おうちでできるSTEAM教育はあるの?

6. まとめ



1. STEAM教育って何?

STEAMとは"Science(科学)"、"Technology(技術)"、"Engineering(工学)"、"Art(芸術・教養)"、"Mathematics(数学)"の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。
「STEAM教育」は文字通り、これらの分野を教科横断的に学ぶことを目標にした教育方針のことをいいます。21世紀型の新しい教育スタイルともいわれ、世界各国で急速に導入が進んでいます。

"STEAM"から"A(芸術・教養)"を除いたSTEM(ステム)教育は、STEAM教育の原型として1990年代のアメリカで提唱され、オバマ政権時代にはSTEMスキルをもった人材の育成が重要な国家戦略の1つに位置づけられていました。
コンピューター・サイエンスのスキルを重視したSTEM教育に、デザインやものづくりに必要な芸術・教養=Artの要素が加わり、現在のSTEAM教育へと発展しました。AI(人工知能)が社会に浸透する現代においては、知識や技術を「形」にする創造力やクリエイティブな感性が不可欠であるという考えによるものです。

日本でも文部科学省、経済産業省を中心にSTEAM教育が推進されています。2020年度に改定された「学習指導要領」では、その一環として小学校でのプログラミング教育が必修となり、大きな注目を集めました。


2. なぜ今STEAM教育が必要とされているの?

なぜSTEAM教育が重要視されているのでしょうか。その背景にはテクノロジーの発展による急激な時代の変化があげられます。AIやロボットの研究・開発が進み、私たちの身の回りにも、掃除機やペット・ぬいぐるみ型などの家庭用ロボットやドローンといった科学技術が普及し、暮らしの中のさまざまなシーンで活躍するようになりました。
激変する現代社会を、国は「Society(ソサエティ)5.0」と定義し、STEAM教育のさらなる必要性を説いています。

「Society5.0」の詳細はこちら>>
※出典:「Society5.0とは」内閣府

「Society5.0」とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会のあり方のことを指します。
AIやロボティクスなどの先端技術の発展が生活の基盤となり、新たな価値観を生み出す時代がすぐそこまで来ていることから、国は未来を担う子供たちにも新時代を生き抜く力が求められるとしています。

来るべき時代の課題を解決し、より良い社会にしていくために必要な資質とは?

文部科学省と経済産業省では、「Society5.0」時代において新たに求められる力を以下のように定義しています。

1 文章や情報を正確に読み解き、対話する力
2 科学的に思考・吟味し活用する力
3 価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力の必要性

※出典:「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」文部科学省

経済産業省では、日本社会を「課題解決先進国」へと進化させていくために、教育の役割として、より積極的に自律的に学ぶ人間の育成が必要であるとしています。

~「決められたことを決められたとおりに行う力」以上に、「自分なりの問いを立てて、自分なりのやり方で、自分なりの答えにたどり着く探究をする力」や「一人一人の自由を互いに承認し合う感性」を持って、一人一人が、新しい社会経済システムや生活環境を創り出す力を身に付けることが極めて重要になる~

※出典:「『未来の教室』とEdTech研究会 第1次提言」経済産業省

AIやロボットには代替できない新たな創造力や探究心をもち、グローバルに活躍する人材の育成は日本の教育において急務であり、21世紀型のSTEAM教育に大きな期待が寄せられていることがわかります。


3. 英語学習とSTEAM教育の関係とは?

実は、STEAM型の教育と英語学習には密接な関係があります。
小学校での英語教科化など、日本の英語教育のあり方が大きく変わりつつある中で、教育現場でもSTEAM型の学習方法を英語活動に取り入れようという動きが加速しています。

従来の小学校英語では「知識・技能」が重視されていましたが、2020年度に公表された新指導要領では「思考力・判断力・表現力等」や「学びに向かう力、人間性等」、さらに「主体的・対話的で深い学び」などが言及されました。何を学ぶかだけでなく、どのように学ぶか、といった視点からも見直しが行われたのです。

これによって英語教育の現場では、先生が一方的に教える受け身の授業だけでなく、児童生徒が主体となり、英語で聞いたり話したりしながら、英語で論理的に思考する「アクティブラーニング」(積極的・能動的学習)が求められるようになりました。

STEAM教育を英語"で"学んで論理的思考力を養う

教科横断的に学びを深め、学習者の問題発見・解決能力などを育むことを目的としたSTEAM教育は、新指導要領が推進する"子供たちの将来に必要な知識や力"を備えさせることができると考えられています。
「英語教育とSTEAM教育は車の両輪である」として英語学習に活用している学校もあります。英語で学び、英語で考え、英語でディベート(討論)やプレゼンテーション(発表)を行うなど、STEAM型の英語学習も広まりつつあります。単に英語を学ぶだけでなく、STEAM教育を英語"で"学んで論理的思考力を身につけることが小学校英語にも求められているのです。

STEAM教育が目指す力
1. 問題発見・解決力
2. 創造力
3. 分析力
4. 協働力

参考「新学習指導要領の趣旨の実現とSTEAM教育について」文部科学省


4.学校などではどんなSTEAM教育が行われているの?

「STEAM教育って、実際にはどんな学習をするの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。2020年度より小学校で必修となったプログラミング教育は、STEAM教育推進の重要な1項目として注目されています。

その目的は、理数の知識やエンジニアになるために専門的なスキルを習得することではありません。コンピューターの基本的な操作を体験しながら「思考力・判断力・探究心」などを身につけるのが狙いです。複雑なものごとを論理立ててわかりやすく処理したり、試行錯誤しながら自分なりの解決策を導きだしたりする「プログラミング的思考」の基礎固めです。

実際の授業では「安全・安心なまちづくり」をテーマに、STEM教育用に開発されたブロックで作った信号機の設置場所を考えたり、信号機にプログラミングしたり。また電気の量や働きに着目して、発電や蓄電、電気の変換についての理解を深めるなど、プログラミングが身近な問題解決に活用できることを実践的に学習しています。

一方、英語の授業においてはオンラインで海外とつなぎ、日本の文化を発信したり、探求の成果を英語で発表したりするSTEAM型の英語活動に積極的に取り組む学校も増え、教育のグローバル化が進んでいるようです。

その他、埼玉大学の「STEM教育研究センター」では、地域の子供たちに向けてロボットの開発技術やプログラミングを取り入れたものづくり教育を行なっています。ロボットコンテストや親子で参加できるワークショップも行なっているので、興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

※参考:
「小学校におけるプログラミング教育の実践~東京都「企業等と連携したプログラミング教育の推進」事業~」TECH未来

「電気を無駄なく使うための工夫を考えよう(横浜市立白幡小学校)」小学校を中心としたプログラミング教育ポータル

埼玉大学 STEM教育研究センター


5. おうちでできるSTEAM教育はあるの?

5. おうちでできるSTEAM教育はあるの?

学校教育が変わろうとしている中、「家では何をさせたら良いの?」「幼児期から取り組めることは?」と悩む方も多いのではないでしょうか。そこで、ご家庭でも簡単に実践できるSTEAM教育のアイデアをご紹介します。

学校教材にも使われている無料のプログラミング・ツールを活用

VISCUIT(ビスケット)
絵を描いたり、動かしたり。小さな子供が楽しみながらコンピューターの本質を理解できるビジュアルプログラミング言語。絵でプログラムを作り、実行するだけで絵が動きます。アニメーションやゲーム、絵本などが簡単に作れる人気アプリ。

対象年齢:3歳~

Springin'(スプリンギン)
文字を使わないビジュアルプログラミング。プログラミング未経験の小さな子供でも、絵や写真に、音や動きをつけられる属性アイコンを組み合わせることで簡単にゲームや動く絵本が作れるお手軽アプリ。作品をスプリンギン内のマーケットに出品することもできます。小学校をはじめ、自治体や企業による教育関連イベントでも活用が拡大中。

対象年齢:4歳~

PCやタブレットを使わないSTEAM教育の実践アイデア

子供が自ら試行錯誤しながら創造性を膨らませていくSTEAM教育は、実はパソコンやタブレットを使わなくても日常生活の中で取り組むことができます。

たとえば「お題」をだしてしりとり遊びをする、筋道立ててショートストーリーを考える、トランプで足し算や引き算をするなど、子供の論理的思考力を高める遊びはSTEAM教育そのものです。英語を使った言葉遊びやしりとりなどもぜひ実践してみてはいかがでしょう。

「動物」「食べ物」など、何か1つテーマを決めて思考させたり、英語とお絵描き、英語と音楽など、他の要素と組み合わせたりするのもSTEAM型の学びにつなげるコツです。

遊びは子供の創造力を育む大切な時間。大人の常識を押しつけるのではなく、あくまでも子供が主体となり、子供ならではの自由な発想を大切にしてあげましょう。間違えたり失敗したりしても大丈夫。試行錯誤は多様な視点を身につけるための大切なプロセスでもあります。

子供のどんなアイデアにも「面白いね!」「よくできたね」などと褒めてあげるのもポイントです。あくまでも楽しい記憶を積み重ねることを意識しましょう。

おうちの中の何気ない遊びが、子供の未来へとつながっていく...。そんなSTEAM教育の可能性を想像すると、私たち大人もわくわくせずにいられませんね。


6. まとめ

教育の専門家たちは、予測できない未来を生きる子供たちに求められるのは「変化に対応する力」であり、それは変化を恐れず、発見や失敗、試行錯誤を楽しむことだと語っています。わくわくしながら未知なる世界に立ち向かう学びの姿勢こそ、STEAM教育の原点です。

教育改革から約1年。Society5.0時代を迎えようとしている今、英語学習を取り巻く環境も大きく進化しています。STEAM型の英語学習は、学びの楽しみ方と学習の選択肢を増やしてくれるのではないでしょうか。

STEAM教育やAIリテラシーが不可欠なのは子供だけではありません。私たち大人こそ、子供といっしょに試行錯誤を楽しみながら学び直しが必要なのかもしれません。STEAM教育への理解を共に深め合い、新時代への一歩を踏みだしませんか?

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