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語学力とチャレンジ精神で夢を叶える!〜チョコレートブランド『Dari K』吉野慶一さんインタビュー〜

「カカオを通して世界を変える」という経営理念を掲げ、インドネシア産のカカオ豆の可能性を発信し続ける吉野慶一さん。大学在学中にシンガポール大学へと交換留学、英国・オックスフォード大学大学院にて学位を取得し、卒業後はエリートアナリストとしての道を歩みながら突如ショコラティエに転身。

2011年・京都にてチョコレートブランド『Dari K(ダリケー)』を立ち上げた異色の経歴の持ち主です。

60カ国以上を旅した経験と起業のエピソード、語学で夢を手に入れるためのコツ、そしてこれからの子供たちに必要な英語力について伺いました。


Q1. カカオとの出会いと『Dari K』設立の経緯についてお聞かせください。

Q2. 学生時代から社会貢献への熱意があったのですか?

Q3. そもそも英語に興味をもったきっかけは何ですか?

Q4. 英語ができるとどのようなメリットがありますか?

Q5. なぜ金融アナリストから事業家になったのですか?

Q6. 夢を叶えるための具体的な方法はありますか?


Q1. カカオとの出会いと『Dari K』設立の経緯についてお聞かせください。

Q1.カカオとの出会いと『Dari K』設立の経緯についてお聞かせください。

インドネシア産カカオ豆100%のチョコレートで美味しさと支援の両立

会社勤めをしていたとき、旅行で訪れた韓国のカフェで世界のカカオ豆の産地を示した地図を目にしたのがはじまりでした。チョコレートの原料となるカカオ豆の産地といえば、日本ではガーナやエクアドルが有名ですが、インドネシアが世界屈指のカカオ豆生産国であることを知ったのです。

調べてみると、インドネシアでは、美味しいチョコレートをつくるために欠かせない「発酵」という工程を行わずにカカオ豆を各国に卸していました。発酵させていないカカオ豆は買取価格が低く、農家の生活環境がなかなか向上しないという現実があることもわかったんですね。

そこで、「インドネシアのカカオを発酵させて高品質の豆にすれば日本でも販売できるのではないか」「そうすればインドネシアのカカオ農家を取り巻く現状も変えられるのではないか」と考え、海外の論文などをもとに発酵の方法を独学で習得しました。

その後、何度もインドネシアの農園を訪ね、技術的な指導を行うことになったのです。試行錯誤を繰り返した末、現地で発酵されたカカオ豆ができあがり、そのカカオ豆600kgを買い取って、2011年に京都に5坪ほどのチョコレートショップを開店。『Dari K』を設立するに至りました。

Q2. 学生時代から社会貢献への熱意があったのですか?

ラオスでのある少女との出会いが「人生の転機」に

中学や高校のときにはとくに何かやりたいことがあったわけでもなく、大学に入ってからも勉強より旅行の方が楽しくて、休みごとにバックパッカーとして世界中をまわっていました。60カ国以上は行きましたね。

そんな僕に転機が訪れたのは、ラオスの古都・ビエンチャンで手作りの民芸品を売っていたモン族と呼ばれる山岳民族の少女と出会った20歳のときでした。
「お兄さん、私、これを売っているの」と流暢な日本語で説明してくれた1人のモン族の少女がいたのです。15歳の彼女は学校へは行かず毎日民芸品を売りながら、観光客から日本語や英語、フランス語、スペイン語などを教えてもらい、覚えたというのです。

僕は衝撃を受け、「すごいな!」と思う一方、自分が恥ずかしくなりました。大学でいろいろなことが学べる環境にいるのに、興味のない授業には出席しなかったり、思い通りにならないことを社会や環境のせいにして文句を言ったりしている間に、この女の子は自分ができることは何だろうと考えて、語学力を身につけたわけです。他にも同じ年頃の女の子たちが民芸品を売っていましたが、外国語を話せたのは彼女だけでした。

シンガポール大学へと交換留学を決意

同じ環境にいても、受け取り方で人生はガラリと変わる。彼女との出会いが僕にそれを教えてくれました。それをきっかけに国際貢献に興味をもち、国連機関で働くことを目指すようになったのです。

当時、国連職員になるには、「最低でも修士号の学位を保有」「英語かフランス語に堪能」「社会人経験3年以上」などの条件をクリアする必要がありました。
そこで僕は英語力を高めるため、2002年にシンガポール大学に交換留学を決めました。

シンガポールでは自分が学んできた英語がまるで通じないという体験をし、英語とはアメリカの言語でもイギリスの言語でもない、「世界共通語」であるとあらためて痛感しました。良い経験になったと今でも思っています。

Q3. なぜ金融アナリストから事業家になったのですか?

Q3.なぜ金融アナリストから事業家になったのですか?

努力が報われる社会の実現を目指す事業家として起業

大学を卒業して『Dari K』をはじめるまでの3年間、国連機関で働きたいという夢を描き続けながら金融アナリストとして会社勤めをしていました。

当時、国連機関の人たちもインドネシアのカカオ豆に付加価値をつけるため、現地で発酵技術などの指導を行なっていました。ところが実際には、インドネシアのカカオ農家には、いくら頑張っても収入が増えないという実情がありました。

それを知ったとき、国連で働きたいと考えていたことが、自分にとってはひとつの手段にしか過ぎないことに気づきました。そして、自分の目指すゴールは社会の課題や目の前の不条理をなんとかして、努力が報われる社会をつくることなんじゃないかという考えに行き着いたのです。

世界は今後こうなるだろうと政治や経済の分析をしながら将来を予測するのが金融アナリストであるのなら、予測する側ではなく、自分が望む社会実現するためにアクションを起こす側の事業家になろう。そう思ったことが起業する道を選んだ理由です。

Q4. そもそも英語に興味をもったきっかけはなんですか?

中学・高校での語学研修で英語が通じる楽しさを体験

中学生のときに学校の語学研修でカナダに行ったことがありました。そこで英語がしゃべれると世界が広がるということを実感しました。

また、高校2年の修学旅行ではシンガポールに行き、現地校を訪問しました。英語で会話ができることがとても楽しかったことを覚えています。今のようにインターネットが普及していない時代でしたので、現地でできた友達とは手紙のやりとりを続けていました。

大学の受験勉強をしながらも、国際郵便が届くのをわくわくしながら待ったり、自分が書くときには、辞書を片手に日常の出来事を一生懸命説明したりした記憶があります。以降、ひたすらラジオ英会話を聞いたり、食事代を節約して高い英字新聞を買ったりして根気よく学び続けました。受験勉強として英語を学ぶと退屈してしまいますが、英語ができると世界の人とコミュニケーションがとれるという意義を体感していたので、英語に関しては良い思い出ばかりです。

言語は文化的背景や国民性を理解することではじめて身につく

単語の使い方を間違えたらどうしよう、通じなかったら恥ずかしいという恐れは誰にでもあると思います。僕はイギリスに留学していたとき、よく先生に怒られたんですね。その理由が、「授業中に発言しない」ということでした。

ずっと日本の教育環境の中で育ってきた僕にとって、授業中は先生の話をおとなしく聞くのが当たり前。質問は授業が終わってから個別に聞きにいくのが筋だと思っていましたから「わからないことはその場で聞くように」と言われたときには本当に戸惑いました。

言語を学ぶということは、ただ言葉を覚えるだけではなく、その国の文化的背景はもちろん、国民性や相手の思考を理解してはじめて習得できるものだということを強く感じました。僕自身、まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。

Q5. 英語ができるとどのようなメリットがありますか?

Q5.英語ができるとどのようなメリットがありますか?

語学力を身につけておけば将来のチャンスが大きく広がる

『Dari K』の社員たちの多くが高い英語のスキルを持っています。とくにカカオやチョコレートに関しては、生産地の情報や国際相場などを英語でネット検索することで、幅広い情報を大量に入手することができます。

もちろん日本語でも検索できますが、英語の情報量は圧倒的に数が多く、日本ではあまり報道されていないようなニュースも、英語のサイトでいち早く知ることができます。

また、今後日本は、さまざまな職種において海外とチームを組んでビジネスをする機会が増えていくはずです。英語ができる人材は企業にとってもますます重要になり、語学力を身につけておけば将来のチャンスが大きく広がるでしょう。

子供といっしょに英語とふれあう時間をつくる

日々グローバル化している世の中の状況を考えると、子供たちが大人になる頃には、今よりもっと英語で外国人と話す機会が増えることは間違いありません。

家の中や学校で日本語だけしか使わない子供が、いざ海外に出たときや外国の人と会ったときに、いきなり英語を話すのは難しいでしょう。

英語が「特別な言葉」になってしまわないように、家の中でも、日本人同士でも積極的に英語で話す機会をつくったり、英語のCDや映画を見たりして、日常的に英語とふれ合う時間をつくる工夫が必要です。

うちには5歳の息子がいますが、僕も時々英語で話しかけるようにしています。最近では、1人で好きなキャラクターの人形に英語で話しかけるなど、英会話を楽しむようになりました。

Q6. 夢を叶えるための具体的な方法はありますか?

チャレンジする気持ちを後押しする「語学の力」

僕にはお菓子作りの経験もなければ、食品業界にネットワークもなかったし、客商売をしたこともありませんでした。周囲から無謀だと言われても、新しいことをはじめるときには、いつもアドレナリンがふつふつと湧いてくるような期待感を感じて挑戦してみたくなるんです。バックパッカーとして見知らぬ国を旅していたときもそうでした。

未知の世界へ飛び込むことに不安はありますが、やってみると想像以上に楽しいことや新しい出会いがあるものです。うまくいかない可能性は考えず、直感を信じてアクションを起こすことが1番大切ではないでしょうか。

そして、新しいチャレンジをしようと思ったときには、海外での経験やコツコツと積み重ねて身につけた語学力が、大きな自信とチャンスを与えてくれます。

頑張った分だけ報われる社会の実現を目指して

実は、ラオスで出会ったモン族の女の子との出会いには後日談があります。旅から戻って7、8年経ったある日、某旅行会社がラオスの観光プロモーションをやるというので立ち寄ってみました。そこでラオスの魅力を紹介していたのが、なんとビエンチャンで民芸品を売っていたモン族のあの女の子だったのです。

東京で再会したとき、僕は思い切ってそのときに彼女といっしょに撮った写真を見せました。感動の出会いとなると思いきや...、「これは私だけど、あなたのことは覚えてない」と言われました。

日本語がしゃべれるということで旅行会社から声がかかったそうです。あのとき、彼女は「将来日本に行ってみたい」と言っていました。僕は内心、貧しい国で生まれ育ったこの子が日本に行けることはないだろうな、なんて思っていたのです。でも、彼女は身につけた語学力によってその夢を手に入れました。
僕は再びその女の子から元気をもらいました。

努力は必ず報われる。そして、頑張れば頑張った分だけ評価される「諦めなくて良い社会」を目指し、その仕組みをつくっていくのが『Dari K』の大きなビジョンです。契約農家と直接豆の取り引きを行うことで、インドネシア産のカカオ豆の市場価値をかなり高めることができたと自負しています。

そして、『Dari K』10周年の今年、業界初の "フルーツ発酵"によるチョコレートがコンビニで発売されることになりました。私たちの夢とミッションをのせたチョコをもっとたくさんの方に味わっていただきたい、美味しくてフェアトレードが当たり前になり、そんな商品が増えれば世の中は確実に変わります。

言うは易し行うは難し、ですが、"カカオには世界を変える素晴らしい力がある"。僕はそう信じています。

インタビューを終えて

毎年フランス・パリで行われる世界でもっとも有名なチョコレートの品評会『サロン・デュ・ショコラ』にて、インドネシア産のカカオ豆100%を使用した『Dari K』のチョコレートが2015~2018年の4年連続でブロンズアワードを受賞。起業からわずか4年で世界の有名シェフと肩を並べるショコラティエへと成長し、国内外でも大きな話題となりました。
中学・高校から辞書や英字新聞を片手にコツコツと身につけた確かな英語力が、ボーダレスな活躍とチャレンジ精神を後押ししたに違いありません。
そんな吉野さんの次なる野望は?「カカオ革命を世界に――」。チョコレートショップの挑戦はまだまだ続きます。


吉野 慶一さん

プロフィール:吉野 慶一(よしの けいいち)
1981年栃木県生まれ。
慶応義塾大学経済学部、京都大学大学院、オックスフォード大学大学院卒業。
モルガン・スタンレー証券株式会社(現モルガン・スタンレーMUFG証券)
投資銀行アナリスト、スピードウェル株式会社(投資顧問・ヘッジファンド)
アナリスト、(財)統計情報研究開発センター研究員を経て、2011年Dari K株式会社を設立。
Dari K公式ウェブサイト
Dari K公式FB

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