ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 学区外からも生徒が通学する英語教育推進モデル校 ~市原市立海上小学校・鈴木俊一校長先生インタビュー~

英語教育に関するニュース

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千葉県市原市に、ユニークな英語教育に惹かれて学区外からも生徒が集まる英語教育推進モデル校「海上小学校(うなかみしょうがっこう)」があります。全校生徒66名が通う小規模学級特認校(※)で、英語劇や英語インタビューなどの体験型授業を取り入れ、英語専門の教員が授業を持つなど、英語教育に非常に力を入れています。そこで同校の校長・鈴木俊一氏に、具体的な英語活動の内容についてインタビューしました。

※ 一人ひとりの個性に応じた教育や体験活動など、小規模学級の良さを生かした教育を受けさせたい、受けたいという保護者・児童に、一定の条件のもと、特別に市内全域から入学・転入学を認める学校のこと


Q1.英語授業に力を入れるようになったきっかけを教えてください。

Q2.具体的にどのような英語活動を行っているのでしょうか?

Q3.「英語インタビュー」を行っているそうですが?

Q4.「英語発表会」もあるとのことですが?

Q5.今後はどのような英語活動を考えていますか?



Q1.英語授業に力を入れるようになったきっかけを教えてください。

本校は市原市から「小規模学級特認校」に認定されている公立小学校です。海上小学校は130年の伝統があるのですが、市原市の南部地域はいま統廃合が進んでいて、本校も地域の子供たちだけでは学校が存続できない状況でした。

そこで平成25年に市が行う小規模学級特認制度を活用し、英語教育に特色を持つ小学校にすることで、学区外の生徒も受け入れていくことにしました。

小規模学級特認校は、市原市内全域の生徒を受け入れるという規定があります。1学級は20人までと決められていて、本校の生徒は全学年で66人です。本校は昔から体験活動を重視した教育を行っているので、英語に関しても体験型の学習を取り入れ、他校にはない特色を出しています。


Q2.具体的にどのような英語活動を行っているのでしょうか?

学習指導要領の授業時数より大幅に多くの時数を確保し、英語の教科担任制を導入

次年度から新しい学習指導要領に基づいた英語教育が始まりますが、本校は現時点で学習指導要領の授業時数より大幅に多くの時数を確保しています。たとえば3~4年生の英語授業は週1時間(年間35時間)と学習指導要領に定められていますが、本校では週2回15分の短時間学習(年間18時間)を実施することで年間53時間の英語授業を行い、英語に親しんでいます。この短時間学習(ハロータイム)は1~6年生まで全学年で実施しています。

英語の授業に関しては、もともと中学校で英語を教えていた英語専門の教員が、3~6年生までの正規の授業をすべて受け持つ「教科担任制」を導入しています。英語が堪能な教員なので、授業はほとんど英語で行っています。

また、ALT(日本人英語教師を補佐する、ネイティブスピーカーの外国語指導助手)による授業は通常月1回ですが、本校は月に2回行い、1~2年生も必ずALTの授業に参加しています。

市販の教材を使ってフォニックスや英会話を学ぶ「ハロータイム」

朝15分の「ハロータイム」は、週に2回行っていますが、教育課程外の時間なので市販の教材を使っています。フォニックス(※)や英会話が楽しく学べる教材なので、たとえば映像で場面を見せながら英語を聞かせるといった内容もあり、リスニングやスピーキングのトレーニングにもなります。

※ フォニックスは、英語圏の幼稚園や小学校などの子どもたちが、読み書きの学習を行うために開発された教育方法です。英語の文字と発音との間にあるルールを学ぶことで、英語の正しい読み方をマスターできる仕組みになっています。

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スピーキングの授業は「やり取り」と「発表」の2分野に分かれるのですが、その内の「やり取り」は、即興性のある英会話力が求められます。そのため、「ハロータイム」の時間にさまざまな英会話シーンを見ることは、やり取りの素地を養うことにも繋がると思っています。


Q3.「英語インタビュー」を行っているそうですが?

はい。昨年までは月に1回、生徒が一日に必ず何人かの人に英語でインタビューする日を設けていました。たとえば職員室に行って、先生に「あなたはどんな色が好きですか?」と聞いたり、学校に来られたお客様や保護者に質問をするというような形です。

その延長線上で、6年生が修学旅行に行ったときに、外国人観光客にインタビューするという取り組みも行いました。鎌倉などを歩いている外国人に、「あなたは何をしに日本に来たんですか?」というような質問をするのですが、本校の英語教育は7年目に入っているので、6年生は臆することなく当たり前のように外国人と会話をしていました。

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また、3~4年生で成田空港に校外学習に行ったときには、ゲートから出てきた外国人にもインタビューをしました。3~4人のグループになって行うのですが、生徒たちは自分の知っている限りのボキャブラリーを駆使して、間違いを恐れずに話しかけることができました。

本校の生徒は、外国の人と臆せずにコミュニケーションを取り、自分から積極的に話そうとする気持ちがあるように思います。中学生になると、年齢的に恥ずかしさが出てくるので、小学校の頃からこういう取り組みを行っていることが、成果につながったのではと感じています。


Q4.「英語発表会」もあるとのことですが?

はい。毎年11月に海上小まつりを開催するのですが、そこで「英語発表会」を行い、1~2年生、3~4年生、5年生、6年生の4グループに分かれて英語劇を披露します。

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日頃勉強している英語の表現を入れて英語劇を作るのですが、本校の場合は子供たちの発想が豊かなので、オリジナルで劇を創作することも多いですね。たとえば昨年の3年生は、成田空港に英語インタビューに行ったときの場面を、英語劇で再現しました。

英語インタビューや英語劇の他にも、複数のALTを配置して一日中英語だけで過ごす「アクティブ・イングリッシュ」の日を設けたり、アメリカの青少年訪問団を受け入れたり、地域の高校生が本校で英語の出前授業を行うなど、多彩な取り組みを行っています。


Q5.今後はどのような英語活動を考えていますか?

本校は66名という少人数なので、学年ごとの横割りだけでなく、縦割りのグループを作ってさまざまな活動を行っています。英語の活動に関しては、まだ縦割りの授業を行っていませんが、これからは全学年合同で行う英語の活動も取り入れていきたいですね。

たとえば英語劇を縦割りで行うと、上級生は今まで自分たちが学習してきたことを、下級生にも伝えることができます。英語発表会のやり方に関しては、無限の可能性があるので、今後は縦割りの英語劇なども考えていけたらと思っています。

インタビューを終えて

過疎化による学校の統廃合が問題視されるなか、小規模学級特認校という特徴を活かして、さまざまな体験型の英語活動を行っている海上小学校。まさにピンチをチャンスに変えた、画期的な公立学校の取り組みと言えるでしょう。


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校長先生プロフィール:鈴木 俊一(すずき しゅんいち)

市内の中学校の英語教員として21年間学校現場を経験し、市原市教育委員会指導課の指導主事として7年間教育の指導にあたり、市立の小中一貫教育校・加茂学園の教頭を2年務める。
2018年4月に海上小学校校長に就任。現在に至る。

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