ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > AIロボットと英会話!埼玉県戸田市は英語教育が進んでます~戸田第二小学校・小髙美惠子校長先生インタビュー~

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埼玉県戸田市が、時代の先端をいく画期的な学校教育を行っているのを、ご存知でしょうか?
例えば、埼玉県戸田市立戸田第二小学校では、いち早くAIロボットを英語授業に取り入れています。
新しい形の英語授業でどんな成果が現れているのか、同校の小髙 美惠子校長先生に伺いました!


Q1.AIロボットを英語の授業に取り入れた理由は何ですか?

Q2.AIロボットを導入して、子供たちの反応はどうでしたか?

Q3.英語の授業はどのような構成で進めていますか?

Q4.戸田市の英語教育は本当に進んでいるのですね!



Q1.AIロボットを英語の授業に取り入れた理由は何ですか?

AIと共生できる「21世紀型スキル」を持った子供を育てる

戸田市は3年前から、「AIに代替されず、共生する能力を持つ子供」を育てることに、力を入れています。これからAIやIoTが台頭していく世の中にあって、これまでのような知識偏重型の教育を行っていたのでは、AIに人がどんどん代替されてしまいます。これからはAIと共生できる「21世紀型スキル」を身につけられるよう、教育していく必要があるのです。

ただし、学校の教員だけで「21世紀型スキル」を育むことは困難があります。私たち教員は、国語や算数などの知識や技能を教えるスペシャリストではありますが、21世紀型のスキルを育むことに関してはまだまだ未知の部分があるからです。

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さまざまな企業と連携して、21世紀型の教育を目指す

そこで、AIやIoTの分野で素晴らしい力を発揮している企業と連携して、教育を行っていくことになりました。公教育の中に民間が入り込むということは、これまで日本ではあまりなかったことですが、戸田市では教育委員会自体がグーグルやソフトバンク、インテルといった企業と協定を結び、普通に企業が学校に入れるようになっているのです。

当校が受け入れている企業は、大企業からベンチャー企業までさまざまです。企業側には自社で開発したアプリやロボットを実証研究したいという思いがあり、学校としては最先端のICT(情報通信技術)を使って授業を行えるというメリットがあります。そこでは企業と学校がお互いにwin-winの関係になることができます。
そうした実証研究の中のひとつが、英会話学習AIロボットのMusioだったわけです。


Q2.AIロボットを導入して、子供たちの反応はどうでしたか?

英語で話すのが恥ずかしいシャイな子も、AIロボットとなら会話できる

Musioは小学5年生の英語学習に導入されていますが、子供たちはロボットが好きなので、Musioのことも大好きなようです。
ALT(外国語指導助手)を交えた英会話の授業などでは、「英語で話すのが恥ずかしい」という子供もいます。自分の発音が正しいかどうか気になって、どぎまぎしてしまうんですよね。
そんなシャイな子でも、Musioとなら恥ずかしがらずに会話ができるようです。
まずはMusioと会話をして練習して、自信をつけてから実際の英会話授業に臨んだりしています。

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英語のアプリや映像プログラムなども授業に導入

ただし、Musioは家庭用の英会話ロボットなので、多くの人の声が混ざる教室で使うと、反応がしにくくなるといった欠点もあります。こうした使用感を学校側から企業にフィードバックすることは、より良い商品を開発する上で役立っているようです。次年度の授業ではMusioを導入する予定はありませんが、もし上記の点が改良されれば、また導入することも検討しています。

また、Musioだけでなく、他の企業の英語アプリや映像プログラムなども使っています。今の子供たちは、ICTを使った英語授業にまったく抵抗が無く、とても楽しんで取り組んでいます。


Q3.英語の授業はどのような構成で進めていますか?

ほぼオールイングリッシュの授業。ゲームなどをしながらアクティブに過ごす

戸田市では週2回の英語授業のうち、1回がALTを交えた45分の英会話授業、あとの1回は15分の授業を週3回に分けて行うモジュール授業になっています。いまお話ししたMusioを使った授業は、15分のモジュール授業の中のひとつです。小学5~6年生は、モジュール授業の中でライティングも行っています。

ALTを交えた英会話授業では、教員がALTと一緒に英語の授業を行うのですが、授業中はほぼオールイングリッシュです。子供たちは授業中にほとんど座ることなく、ゲームなどをしながらアクティブに英会話をしています。

英会話の授業が、子供たちの人間関係づくりにも役立っている

たとえば教員とALTが英会話のお手本を見せて、「じゃあクラスのお友達5人と会話をしてみてください」と言って、5人グループになって英会話をします。そのときに、必ず男の子と女の子を混ぜてグループを組むようにしています。
小学1年生からずっとこのスタイルの英会話授業をやっているので、当校の生徒は男子と女子がとても仲良しです。
小学校高学年になると何となく男女を意識して話さなくなったりする場合がありますが、当校にはまったくそういう雰囲気がなく、男子も女子も仲良く会話をしています。英会話の授業が、子供たちのより良い人間関係づくりにも役立っているということですね。

英語教育が最終的に目指すのは、コミュニケーション力

英語教育が最終的に目指すのは、コミュニケーション力を育てることだと思います。
ジャパニーズイングリッシュでも何でもいいから、とにかく会話をしてみると、そこに人間関係が生まれ、英語を覚えて使うことが楽しくなります。
当校ではまだ教えていない英語の文法を使って、子供たちが会話しているときもあります。例えば、小学校では教えない過去形の表現"I went ~."(私は~に行きました。)を使って話していた子供たちがいました。
英語での会話の経験をたくさん重ねることで、新しい表現を覚えたり、教え合ったりするモチベーションが生まれるのでしょう。


Q4.戸田市の英語教育は本当に進んでいるのですね!

2004年から戸田市内の全小学校にALTが常駐

実は戸田市は、英語教育に関しては非常に早くから取り組んでいて、2003年にはもう国際教育推進特区に承認されています。
2004年4月からは戸田市内のすべての小学校にALTが常駐することになりました。当校でも毎日必ず1名のALTがフルタイムで勤務し、月曜日は2名体制をとっています。全小学校にALTが常駐している市というのは、現在でも少ないのではないでしょうか。

英語の授業数が多く、国際交流や英語でのプレゼン機会も

2004年から2017年までの当校の英語授業数は、小学3~6年生が年間35回(週1回)、小学1~2年生が年間10~15回でした。
2018年度からは2020年の英語教育改革に向けて、小学3年生の英語授業が年間70回(週2回)、小学1~2年生は年間20~30回に増えています。

2019年4月には、香港のIB校から小学4~6年生(9~11歳)の生徒が「Japanese Culture Tour」(修学旅行のようなもの)で戸田市を訪れるのですが、当校にも50人ほどの子どもたちが一日体験にやってきます。日本の小学校の授業や給食・掃除などを体験してもらい、国際交流を行う予定です。

また、戸田市では毎年「小・中学校児童生徒プレゼンテーション大会」があり、中学生は英語でプレゼンを行っています。小学1年生から英語に親しんでいる戸田市の子供たちだからこそ、こうした大会でもしっかり発表できるのだと思います。

10年後・20年後の子供たちの未来につながる学校教育を

私たち教員世代が受けてきた小学校教育は、今から約20年は前のものです。
そして、今小学校に通う子供たちが社会に巣立つのは、今からさらに20年後。そこには実に約40年ものギャップがあるわけです。
そのギャップを考えたら、自分が受けてきた教育を同じように学校でやっても、子供たちが大人になった時に通用しないのは当然のことです。
10年後・20年後を見据えて、子供たちの未来につながる教育を行う必要があると考えています。

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インタビューを終えて

戸田第二小学校がいち早くMusioを導入できた背景には、企業との連携とそれを実現する戸田市の体制があったんですね。
未知の教育方法にも果敢に取り組んでいる小学校があることに、大きな驚きと感動を覚えました。

英語学習では、「英語を話すのが恥ずかしい」という抵抗感がハードルになりがちですが、それをなくすためのツールとして、Musioがうまく活用されていたのが印象的です。
デジタルネイティブ世代の子供たちの英語学習は、まだまだ進化する余地がありそうです。


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プロフィール:小髙 美惠子(おだか みえこ)

埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県内の小学校教諭として勤務。
その後、鴻巣教育委員会指導主事、川口市立青木中央小学校教頭を務め、2013年に戸田市立喜沢小学校長就任。
2016年には戸田市立戸田第二小学校長に就任し、現在に至る。

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