ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 学校生活の50%以上が英語の小学校とは?~加藤学園学園長・加藤正秀先生インタビュー~

英語教育に関するニュース

加藤学園1

静岡県沼津市にある学校法人加藤学園は、幼稚園から高等学校までの私立共学校。幼稚園からバイリンガル教育に力を入れていることで有名な学園です。
今回は、加藤学園暁秀初等学校を取材すると同時に、学園長の加藤 正秀先生に同学園のバイリンガル教育についてお話を伺いました。


Q1.加藤学園暁秀初等学校の特長は何ですか?

Q2.加藤学園の幼稚園でも小学校と同様のコースがありますが、早期英語教育を導入されたのはなぜでしょうか?

Q3.算数や理科などの科目を英語で習うことにはどんなメリットがありますか?

Q4.英語で学ぶことで教科内容の理解度は損なわれないのでしょうか?

Q5.なかなか英語が上達せず、おちこぼれてしまう児童はいないのでしょうか?


Q1.加藤学園暁秀初等学校の特長は何ですか?

文字通り、壁がない教室で子供たちは授業に集中

当校は、1972年に日本で初のオープンプラン・スクールとして誕生した小学校です。オープンプラン・スクールは、"School Without Walls"=「壁のない学校」とも表現されます。文字通り、各教室を隔てる壁がない教室で授業を行なっています。同じ空間のある場所で1年生の国語の授業を行いながら、別の場所では2年生の算数の授業が行われているといった風に、学年や教科を隔てる壁がありません。
「それで子供たちが集中できるのですか?」という質問をいただきますが、みなしっかりと先生の話を聞いています。聞かなければ困るのは自分たちなので却って集中するのですね。むしろ、こうした自由で開放的な空間で学ぶことで、多様的で個に徹した教育を行うことができていると思います。

学校生活の50%以上を英語で行うイマージョンプログラム

教室のつくりだけでなく、授業内容にも特長があります。
創立当時から小学1年生から週3時間の英語学習をスタートさせていましたが、1992年に英語のみならず他教科も英語で学習するイマ―ジョンプログラムを開設しました。
加藤学園の中・高等学校のバイリンガルプログラムは、日本初の国際バカロレア()の認定を受けていますが、それにつながるプログラムを小学校で学べるようになっています。日本の学習指導要領に沿いながら、算数や理科、コンピュータなどの授業を英語で学習できるのです。
学校生活の50%以上を英語で行うことで、日本語と英語の両方を習得しながら、学力をつけることをねらいとしています。

※国際バカロレア:
国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置された。

加藤学園2

Q2.加藤学園の幼稚園でも小学校と同様のコースがありますが、早期英語教育を導入されたのはなぜでしょうか?

幼稚園から小学校まで一貫した英語教育

幼児はまるでスポンジのように外国語を吸収します。外国語に対して偏見がなく、受容的なのです。幼児期から英語学習をスタートすれば、抵抗感や照れを感じることなく、より自然な言語獲得ができます。早期英語教育は高校や大学での学習で有利なスタートを切ることにつながるだけでなく、知的成長と創造性に良い影響を及ぼします。
加藤学園のオープンプランのコースでは、幼稚園年少から小学校6年生まで英語の授業の担当者がずっと一緒です。早期英語教育研究室というものがあり、そこに所属する先生方が、ネイティブの先生も含め、英語の専科として幼稚園から9年間、同じ子供たちを継続して担当します。この仕組みを始めてからもう45年以上になりますが、全国の学校でこのような小学校はまずないと思います。

加藤学園4

Q3.算数や理科などの科目を英語で習うことにはどういうメリットがありますか?

子供たちが興味をもてる内容を通じて行う英語イマージョンプログラム・コースの教育

これまでの一般的な小中学校の英語の授業では、英語に興味、関心が持てるような内容の授業は少なかったのではないでしょうか。例えば、"This is a book."(これは本です。)のような無味乾燥な内容ばかりでは、退屈に感じてしまいます。興味がもてない授業が続くと英語嫌いになってしまう子供も少なくないと思います。
加藤学園では「言語教育内容は、学習者の関心の水準や言語的成熟度、認知的成熟度と一致しなければならない」という哲学のもと、「学ぶ内容が興味のあるものであったり、意義を感じるものであったりしたとき、子供たちは最もよく学ぶことができる」と考えています。
そのため加藤学園では、英語自体を学習の対象にするというよりは、「何かをすることを通して言語を学ぶ」ことを重視しています。その方が無理のない言語学習ができ、自然なのです。

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Q4.英語で学ぶことで教科内容の理解度は損なわれないのでしょうか?

英語で教えている教科も高得点!

英語で授業を行っていることは授業の理解度を損なったりはしません。英語で教えた授業内容をわざわざ教え直したりもしていません。

もちろん、日本の試験にも対応できるよう、重要な単語だけは日本語で後から伝えます。例えば算数は全て英語で授業を行っていますが、「台形」「三角錐」などの単語は後から日本語でフォローをしています。しかし、基本的に同じ内容を2つの言語で教えるということはありません。

2018年度の「全国学力・学習状況調査」の結果を見ると、加藤学園暁秀初等学校は国語・算数両教科のA問題(知識)、B問題(活用)ともに全国平均より10点以上高くなっていました。国語は日本語で授業を行っていますが、算数は英語で授業を行っているので、英語での授業が理解度を損なっていないことがわかります。また、上記の調査で同校の子供は算数のB問題(活用)の得点が特に高く、全国平均より20点近く高くなっています。子どもたちの考える力がしっかり育っている表われだと思います。

こうした結果につながったのは、教員が教室の前に立って説明する授業形態ではなく、児童一人ひとりが自分と向き合って個人の活動をするという形になっているから。自分で考え、自分で操作をして答えを求めていくスタイルだからだと思っています。

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Q5.なかなか英語が上達せず、おちこぼれてしまう児童はいないのでしょうか?

おちこぼれていた子も元気になる学校!

加藤学園には「おちこぼれ」という言葉はありません。事実、これまで1人もいませんでした。逆に当校に入学する前にはおちこぼれていた子供が元気になるということはあります。それは「学びの主体は子供」という理念に基づき、子供の側に立って教育プログラムを組んでいるからです。

先生たちが期待する以上に子供たちが学校好きになってくれて、私たちが驚いているほどです。

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取材を終えて

加藤学園暁秀初等学校の取材の中で、同校の副校長の佐藤 誠一先生は「保護者には家できれいな日本語、正しい日本語を使ってくださいとお伝えしています」とおっしゃっていました。どの言語も、大切に扱うことが習得につながると言います。きれいな日本語を使うことも、きれいな英語を話すために大切なようです。実際、児童たちはきちんとした日本語で丁寧に挨拶していていました。そして、英語の授業となると、とたんに切り替わってとてもきれいな英語で普通に話しているのが印象的でした。
また、壁のない教室で、複数の授業が行われているのに、児童たちの集中力が途切れないことにもたいへん驚きました。
日本で先駆けてバイリンガル教育をすすめる加藤学園は、これからも多くのグローバルな人材を輩出していきそうです。

【取材先】加藤学園暁秀初等学校
〒410-0022 静岡県沼津市大岡自由ヶ丘1979


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プロフィール:加藤 正秀(かとう まさひで)

東京大学大学院社会科学研究科博士課程修了。東京大学経済学博士。
日本証券経済研究所研究員、エール大学客員研究員を経て、現在加藤学園理事長・学園長。

1972年 日本初のオープンプラン・スクール創設
1992年 日本初の英語イマージョンプログラム導入
1993年 藍綬褒章受章
2000年 国際バカロレア教育機構(IB)に加盟
2000年 大学英語教育学会(JACET)特別賞受賞

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