英語教育に関するニュース

世界ともだちプロジェクト1

2020年の東京オリンピック・パラリンピック(東京2020大会)開催を前に、東京都が推進しているのが、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」です。その一環として、世界のさまざまな国や地域を学び、交流する「世界ともだちプロジェクト」という取り組みがあります。

そもそも「東京都オリンピック・パラリンピック教育」とは、いったい何なのでしょうか?
そして都内の学校で行なわれている「世界ともだちプロジェクト」とは、どんな取り組みなのでしょうか?
東京都教育庁のオリンピック・パラリンピック教育のご担当者に、詳しく伺いました!


Q1.東京都オリンピック・パラリンピック教育とは、何なのでしょうか?

Q2.「世界ともだちプロジェクト」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?

Q3.実際に国際交流を行った事例を、教えていただけますか?

Q4.「世界ともだちプロジェクト」を通して国際交流をすることで、子供たちの意識は変わりましたか?


世界ともだちプロジェクト2

教育庁指導部オリンピック・パラリンピック教育調整担当課長
 鈴木 基成さん

Q1.東京都オリンピック・パラリンピック教育とは、何なのでしょうか?

「オリンピック・パラリンピック教育」などというと、何か特別な教育のように感じるかもしれませんが、基本的には学校教育が目指しているものと同じです。
オリンピズム(※1)が学校教育にも相通ずるものであることから、東京都内全ての公立の幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・中等教育学校・高等学校及び特別支援学校で、2016年度から「オリンピック・パラリンピック教育」を展開しています。

具体的には、子供たちの「ボランティアマインド」「障害者理解」「スポーツ志向」「日本人としての自覚と誇り」「豊かな国際感覚」という、5つの資質を伸ばすことに重点を置いています。
そのために実践しているのが、「東京ユースボランティア」「スマイルプロジェクト」「夢・未来プロジェクト」「世界ともだちプロジェクト」という、4つのプロジェクトです。

※1 オリンピズム:
近代オリンピックの創始者クーベルタンが提唱した、オリンピックのあるべき姿。
スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍などさまざまな差異を超え、友情・連帯・フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献することを目指す。

Q2.「世界ともだちプロジェクト」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?

東京2020大会に参加予定の国や地域について学び、国際交流を行う

東京2020大会に参加予定の国や地域について学び、実際に国際交流を行うプロジェクトです。
各学校は、205の国と地域のうち、5つの国と地域について学んでいます。そして「総合的な学習の時間」などにおいて、本やインターネットでその国の文化や歴史などを調べ、校内に掲示したり発表したりします。

また、給食のときに外国の料理を食べて、食文化を学んでいる学校もあります。たとえばインドを選んだ学校の給食にインドカレーが出るなど、食を通してその国の文化に触れるのですが、給食を通した学習は子供たちにとても人気のようです。

世界ともだちプロジェクト5

「世界ともだちプロジェクト」での国際交流の様子

メールや手紙・スカイプ・ビデオレターなどを使って、現地の学校と交流

また、地域に在住する留学生や外国人の方を呼んで、御出身の国の話をしてもらっている学校もあります。日本の子供たちからは、そのお返しとして歌や踊りを披露するなど、交流をしています。

学校の先生方の中には、海外の日本人学校に勤務した経験がある方もいるので、その経験を活かして現地の学校と交流することもあります。現地の学校とはメールや手紙・スカイプ・ビデオレターなどを使って、自己紹介や学校紹介などをしています。
東京都内にはたくさんの大使館があるので、子供たちが大使館に行って話を聞いたり、逆に大使館の方に来ていただいて話を聞いたりすることもあります。

国際交流をする際に使う言語

世界にはさまざまな言語がありますが、国際交流をするときに使う言葉は、基本的に英語が多くなります。相手の気持ちを考えながら英語で話をすることは、子供たちにとってとても貴重な経験になります。また、相手の国の言語を第二外国語として学んでいる高校であれば、その言語を使って交流することもあります。

世界ともだちプロジェクト3

教育庁指導部指導企画課オリンピック・パラリンピック教育調整担当
課長代理 長澤 暁子さん

Q3.実際に国際交流を行った事例を、教えていただけますか?

アメリカ大使館の大使や外交官が公立学校を訪問

アメリカ大使館にはこの「世界ともだちプロジェクト」に賛同していただき、"Go for Gold"というキャンペーンを展開して、大使や外交官の方々がアメリカ合衆国を学ぶ公立学校を訪れ、講演や英語クイズなどをしてくれています。

"Go for Gold"とは、英語で「最善の結果(※2)を目指して全力を尽くす」という意味です。このキャンペーンが日本とアメリカの国民を結び付け、互いに学び合い友情を深めるよい機会になればという願いが込められています。

アメリカ大使館は、2020年までに「世界ともだちプロジェクト」でアメリカを学んでいる学校と交流する予定とのことで、子供たちがアメリカを理解する機会がさらに増えることと思います。

※2 "Go for Gold"キャンペーンで目指している「最善の結果」とは、日米両国双方の国民が結びつき、互いから学びあい、友情を深めることである。その一環として、東京都の多くの児童・生徒たちが米国について学べる機会を提供している

ベルギー王国大使館と連携して、ポスター・作文コンテストを実施

ベルギー王国大使館もまた、「世界ともだちプロジェクト」に賛同してくださり、ベルギー王国の魅力やベルギー王国に伝えたい日本の魅力をテーマとしたポスター・作文コンテストを実施しました。コンテストには総数589点もの応募があり、多くの児童・生徒がベルギー王国と日本について理解を深めることができたと思います。
コンテストを行う前に、高校生を対象に大使館で事前学習会も行いました。質疑応答や交流の時間に、高校生は英語と手振りを交えて、積極的に外交官に質問していました。外交官の多様な考えに触れることで、世界にはさまざまな価値観があるということを理解し、臆せず積極的にコミュニケーションを図ることの重要性を実感できたと思います。

ベルギー王国大使館との連携・コンテスト表彰式

入賞者はベルギー王国大使から賞状を授与されました

外国の人々と給食を共にしながら、英語で会話を楽しむ

外国の人々と給食を食べながら、英会話を楽しんだ公立学校もあります。ある小学校では、タイ・韓国・中国・フランス・ブラジルの方などを招いて外国の食についての話を聞き、海外の食文化への見識を深めました。
この時、子供たちは「外国の人はどのようなことに興味をもつのか」というテーマで調べたりして、さまざまな準備をしてから給食に臨んでいます。事前に箸の使い方を教えるためのプログラムを作成し、実際の給食の時間では、外国の人々と英会話をしながら実際に箸の使い方を見てもらったりしていました。
和食の素晴らしさを伝えることを通じて、子供たち自身が日本食の良さを再確認する機会にもなったようです。



世界ともだちプロジェクト4

教育庁指導部指導企画課オリンピック・パラリンピック教育調整担当
主任 廣瀬 直樹さん

Q4.「世界ともだちプロジェクト」を通して国際交流をすることで、子供たちの意識は変わりましたか?

言葉が通じた体験も、通じなかった体験も貴重

「世界ともだちプロジェクト」を通して外国人とコミュニケーションをとることで、子供たちは海外の文化に触れることができ、実際に言葉が通じたときの喜びを実感できたようです。言葉が通じたときだけでなく、通じなかったときもまた、「今度は通じるようになりたい」と考えることで、次への学習意欲の向上につながっています。
さらに、外国人と交流するときには日本の文化も紹介もするので、日本人としての自覚と誇りを深めることにもつながりました。自分が住む東京の街の良さに気づいたり、日本人の規範意識の高さをあらためて感じた子供たちもいたようです。

バレーボール国際大会のボランティアに、子供たちが積極的に参加

また、「世界ともだちプロジェクト」だけでなく、「東京ユースボランティア」の取り組みでも、成果がありました。「東京ユースボランティア」は、各学校が取り組んできた社会奉仕の精神や思いやりの心を養う取組を充実・拡大させるもので、発達段階に応じたボランティア活動を行っています。

バレーボールの国際大会で、選手たちの荷物を運んだりするボランティアを募ったところ、バレーボールが好きな子供たちや語学に興味がある子供たちが喜んで参加してくれました。

海外の選手が、子供たちに気軽に話しかけてくれたりして、とても良い経験になったようです。日本は海外に比べてボランティアに参加する人が少ないのですが、こういう形でこれからもボランティアマインドを育てていければ、嬉しいです。

私たちがオリンピック・パラリンピック教育で実施していることはすぐに結果が出るものではありませんが、子供たちが大人になってから大きな成果が現れると思っています。


まとめ

「世界ともだちプロジェクト」による国際交流では、子供たちが外国の文化に触れることだけでなく、日本の文化をどう伝えるかの実践も行われていることが印象的でした。
国際的な共通言語である英語で外国の人々と交流した経験は、子供たちが大きくなってから国際社会でコミュニケーションをとるための大きな糧になりそうです。

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