子供・幼児英語教材 ディズニーの英語システム Top > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 新学習指導要領で英語の授業が激変する?!~横浜国立大学・高木展郎名誉教授インタビュー~

英語教育に関するニュース

高木先生1

新しい学習指導要領(※1)は小学校では2020年4月から、中学校では2021年4月からの実施が予定されています。
学習指導要領の改訂は10回目となりますが、今回の改訂が戦後最も大きな改訂であるとも言われています。

そこで今回は、新学習指導要領の審議に深く携わられた、横浜国立大学・高木 展郎名誉教授にお話を伺いました。
新学習指導要領によってこれからの日本の教育はどう変わるのでしょうか?

※1 学習指導要領
全国のどの地域で教育を受けても一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省は学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めており、これを「学習指導要領」という。
学習指導要領では、小学校、中学校、高校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めている。


Q1.新学習指導要領で小学校の授業はどう変わるのでしょうか?

Q2.学校の英語教育はどうなるのでしょうか?

Q3.子供が英語の授業についていくにはどうしたらいいでしょうか?

Q4.これからは英語の授業もアクティブ・ラーニングで行われますか?

Q5.保護者は学習指導要領が改訂されるにあたり、どういう心構えでいればいいでしょうか?


新学習指導要領3つの柱

文部科学省中央教育審議会教育課程部会
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」より

Q1.新学習指導要領で小学校の授業はどう変わるのでしょうか?

ペーパーテストの点数だけではダメ!

新しい「学習指導要領」でいちばん大きく変わったのは、その「構造」です。全ての教科で「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点による観点別評価となります。「知識及び技能」については主にペーパーテストや授業中での現れで評価できますが、「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」については、パフォーマンス評価やポートフォリオ等による評価も行われなくては評価することができません。つまり、もうペーパーテストだけが良ければいいというわけではないということです。

授業中が大事

今後はふだんの授業が何より大事になります。授業の中でどう学習に取り組んで身につけたかが大切です。
観点別学習状況の評価を行うに当たっては、例えば、体育の逆上がりの授業で、運動が得意で逆上がりも難なくこなし後はずっと遊んでいる児童がいるとします。この児童の「技能」の評価はAかBでも、「主体的に学習に取り組む態度」はCと評価されることになります。一方、一生懸命逆上がりを頑張っているけれど時間内に達成できなかった児童は「技能」はCかもしれませんが、「主体的に学習に取り組む態度」はAかBとなります。

「評価」といっても、学力を値踏みしたり序列をつけることが目的ではありません。児童1人ひとりの資質・能力を伸ばすための評価が行われることになります。

高木先生2

Q2.学校の英語教育はどうなるのでしょうか?

大きく変わる学校英語

外国語(英語)も他教科同様、先に述べた3つの構造で評価されますが、外国語だけは他教科と少し違っていて、「思考力、判断力、表現力等」や「主体的に学習に取り組む態度」も大切ですが、「知識及び技能」の育成を基に、「思考力、判断力、表現力等」や「主体的に学習に取り組む態度」の育成を図ることが重要となります。
新学習指導要領では英語を「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」の5つの領域が求められることになります。

これを踏まえて、時間数も大幅に増えます。これまで小学5・6年生で行われてきた外国語活動が小学3・4年生から週に1時間(年間35時間)、開始されます。「聞くこと」「話すこと」を中心に音声に慣れ親しませながら、英語でのコミュニケーション能力と言語や文化の関心を高めていきます。

小学5・6年生では教科としての外国語となり、週に2時間(年間70時間)ですから倍に増えます。教科になることは、通知表に国語や算数と同様に教科として成績がつけられるようになるということです。小学5・6年生で学ぶ英語は、小学3・4年生で行っていた「聞くこと」「話すこと」に「読むこと」「書くこと」を加えた総合的な外国語学習として行うよう改訂されました。

さらに中学校からの英語の授業は、これまでの文法中心の授業ではなく、小学校からの流れを踏襲した4技能(5領域)を中心とした授業になり、基本全てオールイングリッシュで授業が行われます。

Q3.子供が英語の授業についていくにはどうしたらいいでしょうか?

たくさん聞いて、繰り返す

これからの英語の授業が全て日本語を話さず英語で行われるのには意味があります。
一般に日本人が英語を聞き取ることができるようになるのにどのくらいの時間がかかるかご存知ですか?
留学して、現地で毎日英語浸けにして約3ヵ月といったところです。英語を聞き取ることができるようになるには、なるべくたくさん英語を聞くことが必要なのです。
それには、子供が小さいうちから始めることも一つだと思いますが、何より継続することが大切です。幼少期に海外に住んでいた子どもが帰国して小学校では全て忘れているという例はたくさんあります。

大事なことは繰り返すことです。学習は何度も繰り返すことで定着するのです。
今回の学習指導要領改訂でも「学び直し」の時間を入れており、カリキュラム・マネジメント(※2)で、繰り返し学習させるようにしています。

※2 カリキュラム・マネジメント
各学校が学校の教育目標をよりよく達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、継続的かつ発展的な、課題解決の営み。

Q4.これからは英語の授業もアクティブ・ラーニングで行われますか?

求められる「主体的・対話的で深い学び」

アクティブ・ラーニングという言葉が教育界で瞬く間に広がり、いささか一人歩きしているような状態で誤解されていることが多いようです。
学習指導要領の中では、アクティブ・ラーニングという言葉は使われていません。今は「主体的・対話的で深い学び」と表現されています。

要はどういう形態をとろうと、児童が「主体的」で「対話的」で、さらに「深い学び」ができる授業にすることが大切であって、それは何もアクティブ・ラーニングに限りません。アクティブ・ラーニングが唯一の手段かのように、グループを作って学習させたり、ペアを作って対話させたりすれば良いというような短絡的なものではないのです。
とは言え、児童たちには常に主体的、能動的な姿勢で学習して欲しいので、結果的にはみなにアクティブ・ラーナーになって欲しいですね。

高木先生3

Q5.保護者は学習指導要領が改訂されるにあたり、どういう心構えでいればいいでしょうか? 

人材が育つ7つの魔法の言葉

とにかく親は子供の話を最後まできちんと聞いてあげることです。ここでポイントになる7つの言葉をご紹介します。
「どうする?」「どうして?」「なぜ?」「わけは?」「だから」「どうしたい?」「どういうこと?」という言葉です。

例えば、子供が「これ買って。」とねだってきたとき、「そんなのダメ!」とすぐ否定せず、「どうして?」と聞くのです。聞けば子供は考えますよね。そして「〇〇だから。」と答えたら、「それはなぜ?」とまた聞けばいいのです。そうするとますます考えますよね。そうして子供は思考していくのです。そういうことを繰り返して習慣化していきます。

「聞く」ことと「待つ」ことで子供の将来が変わる!

親が子供の話を最後までよく聞いて、そして待つことです。そのことが結局将来に効いてくるのです。
私が講演でよく話すネタに、「これからの授業づくりとかけて、盆栽づくりと同じと解きます。その心は、どちらも菊(聞く)と松(待つ)が基礎です。」という言葉があります。
私がこのように念を押すのは、「聞く」ことと「待つ」ことは10~20年のスパンで見れば、子供の成長に必ず効いてくるからです。
指示したり答えを与えたりするのではなく、子供に自ら判断させて行動させることが、「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」ができる人材、つまりこれからのグローバル化が進む時代に通用する人材を育てることにつながるはずです。

インタビューを終えて

学習指導要領の改訂に伴い、子供の「知識及び技能」だけでなく「主体的に学習に取り組む態度」が評価されるようになることは、大きな改革といえそうです。とはいえ、英語の授業では「知識及び技能」がより重視されるとのことですので、英語をたくさん聞いて繰り返す時間を家庭でも確保することが重要になってきそうです。

また、子供の主体性を引き出すために、親が子供の話を最後までよく聞いて待つことが大切であることも伺いました。新学習指導要領で評価される「思考力、判断力、表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」を伸ばすために、親がサポートできる部分はかなり大きいようです。


高木先生プロフィール

プロフィール:高木 展郎(たかぎ のぶお)

横浜国立大学名誉教授。文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会の委員も務める。
中学校・高校の教員を経て、福井大学・静岡大学・横浜国立大学に勤務。
専門は、教育方法学・国語科教育学。小学校・中学校・高校の先生たちと一緒に授業づくりを考えている。
主な著書に『各教科における言語活動の充実』(教育開発研究所)、『ことばの学びと評価』(三省堂) 、『変わる学力、変える授業。21世紀を生き抜く力とは』(三省堂) 『新学習指導要領がめざす これからの学校・これからの授業』(小学館)などがある。

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