英語教育に関するニュース

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今回紹介する小学校は、2014年度から東京都中央区の国際教育推進パイロット校に指定され、1、2年生は週2時間、3年生以上は週3時間の英語の授業を行っています。

指導するのは担任の先生と外国人講師もしくは日本人英語指導者で、特に1年生の授業では担任と外国人講師、日本人英語指導者の3名できめ細かな対応を行っているのが特徴です。

また、週に4回、5分間の「クイックタイム」という朝の時間で、英語の授業がない日も英語に慣れ親しむように工夫されています。

同校の授業では、英語で日常会話ができる児童を育成するために、「習う」「慣れる」「試す」という3つの過程を大切にしていますが、どのようにこれらの過程をつくりだしているのか、ロールプレイングを取り入れた英語授業風景を見てみましょう。


ロールプレイングで学習意欲をアップ

この日の単元は「お客さんに食べ物をすすめる」英語表現がテーマ。
レストランで好きな食べ物を注文することや、店員がお客さんにメニューをすすめるときの表現を学びます。
児童はそれまでの3時間の授業で、

"May I have ~ ?"(〜をお願いできますか?)
"Here you are."(こちらです。)

という会話や、

"Would you like ~?"(〜はいかがですか?)
"Yes, please. /No, thank you."(はい、お願いします。/いいえ、結構です。)

という表現を学び、繰り返し練習してきました。

この日は、接客係、厨房係、客に分かれてロールプレイングを行います。

低学年の児童は、想像を膨らませて自分以外のものになりきることが好きなので、こうしたロールプレイングなどのアクティビティを交えて、児童が意欲的に学べるよう工夫しています。
同時に、場面に合った丁寧な表現を学ぶことで、自然な英会話ができることを目指しています。

「慣れる」ために何度も繰り返し練習

先生からの天気、時間、日にち、曜日の質問に児童全員で答えます。

先生:"How is the weather?"(どんな天気ですか?)
児童:"It's sunny."(晴れです。)

先生:"What time is it now?"(今何時ですか?)
児童:"It's 2:10."(2時10分です。)

先生:"What's the date today?"(今日は何日ですか?)
児童:"It's September 25th."(9月25日です。)

先生:"What day is it today?"(今日は何曜日ですか?)
児童:"It's Monday."(月曜です。)

という風に、会話をしていきます。

これまでに習った食べ物、飲み物も復習します。
メニューのリストを見ながら、メトロノームのリズムにあわせて"This is ~."(これは〜です。)と全員で発音していきます。

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かなりのスピードですが、すでに何度も練習しているために、リズムにのって大きな声で読み上げることができました。
一通り終わると、先生の"Reverse!"(逆から!)の言葉で、リストの下から順番に読み上げます。



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さらに、前の授業で学んだ表現の練習です。

"May I have a steak?"(ステーキをお願いできますか?)
"Here you are."(どうぞ。)
"Thank you."(ありがとう。)
"You're welcome."(どういたしまして。)

2列でひとつのグループになって、順番に発音していきます。
こうした繰り返しが、同校が大切にしている「慣れる」ための発話練習です。

机の配置換えでレストランを再現

全員で今日のターゲットセンテンス()である

"Would you like ~?"
"Yes, please. /No, thank you."

を練習した後は、いよいよロールプレイングのスタートです。

※ターゲットセンテンス:
新しく学ぶ文法事項を含んでいる、授業の要点となる英文。

日本人英語指導者が客の役を、担任の先生が接客係を、そして先生の"Any volunteers?"(誰かやってくれませんか?)に応えた児童が厨房係として見本を見せます。
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まず、客の役が、喉がかわいた、お腹が減った、暑くて汗をかいているといったジェスチャーをします。
それを見た接客係が"Would you like ~?"を使ってメニューの中から何かひとつすすめます。
客が"Yes, please."といえばそれを厨房係に"~ please."とオーダーし、注文した食べ物カードを厨房係から受け取ります。
接客係は客に"Here you are."と届けたら、客が"Thank you."と言い、それに接客係が"You're welcome."と答えます。



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一連の流れがわかったら、3人一組となってアクティビティをはじめますが、客の机と椅子を教室の後方に、厨房係の椅子と机は教室の前方に移動させます。
接客係の机は邪魔にならない場所に移動して、即席のレストランを作ります。
接客係の児童は客と厨房の間を行き来することで、臨場感が増すようです。



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メニュー表にはいくつもの飲み物、食べ物が載っているため、接客係は何度も客役の児童に勧めてターゲットセンテンスを使うことができます。
先生はアクティビティの様子を見て、上手に会話をしている児童にはコック帽やウェイター用の蝶ネクタイを渡していきました。



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係を交代して3回行ったあと、先生が指名したグループがクラスの前で披露。また、コック帽や蝶ネクタイを手渡された児童をみんなで拍手して称え、アクティビティは終わりました。



センテンスで慣れることが、実践につながる

同校の先生によると、習いたてのころは"May I have ~?"、"Would you like ~?"、"Do you like ~?"を混同していた児童も多くいたそうですが、繰り返し練習することで自然と口から出るようになり、この日の授業では堂々とした態度でアクティビティを行うことができていました。

同校の英語実践研究を指導する玉川大学の佐藤 久美子教授から、下記のポイントが評価されています。

【佐藤教授が評価したポイント】
①英語の丁寧表現を教えていた:
英語を母国語とする国でも、小学校に入学するころから丁寧な表現やお客さまに使う表現を学びますが、授業で使われた英語にも丁寧な表現があり、使いわける必要があることを教えていたことが評価されました。

②単語ではなくセンテンスを反復していた:
メニュー名を練習するときも、ただその単語だけを繰り返すのではなく、"This is ~."とセンテンスで反復していた点が評価されました。実践でもセンテンスがすんなりと出てくるようになるためにはこうした繰り返しが重要だそうです。

「日々シャワーのように英語に触れているネイティブであれば、表現を使い分けるルールに自然と気づくことができるけれど、日本はそうではない環境なので反復して練習することが重要だ」と佐藤教授は指摘します。

同校では今後オーストラリアの中学生と交流する機会に、今日学習した英文を使って日本の遊びを勧めることを予定しているそうで、英語の実践を重視する強い姿勢がうかがえました。

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