日本以外の国では、どのような方法で英語を学習しているのでしょうか。
EF社(※)のレポートから、日本よりも英語力を高く評価されている国々についてチェックしてみましょう。
※EF社・・・1965年、スウェーデンで創立された私立語学学校。語学留学などによる教育を推進している。
英語力の高いオランダでは幼少期から英語にふれている
2016年に発表されたEF社による国別英語力ランキング(以下、EF EPI)第6版によると、トップはオランダ、2位にデンマーク、3位スウェーデン、ノルウェー、フィンランドとオランダと北欧の国が続きます。ちなみに日本は72カ国中35位で、前回の「標準的な能力」から「低い能力」へと能力レベルが落ちてしまいました。
公用語であるオランダ語が英語ととても似た言語であるため、オランダ人の英語力が高いと言われていますが、それ以外にも理由があります。まず、公教育のスタートが早いことがあげられます。これは2位以下の北欧の国にも当てはまります。
EF EPIのレポートによると、これらの国では40年以上前から初等学校で英語教育をスタートしています。その内容も文法の習得よりもコミュニケーションに重きを置いた教育がなされています。
また、幼少期から日常的に英語にふれる機会が多いことも、英語力アップにつながっています。例えば、吹き替えなしの英語の番組や映画がテレビで放映されているため、子どもたちは公教育を受ける前から英語に親しんでいます。それが英語の語彙を増やし、英語による文章作成や会話力を身につけることに役立っているのです。
英語力はこれからの社会に欠かせないコアスキル
アジアの国々では、シンガポールが6位に、マレーシアが12位、フィリピンが13位、インドが22位、韓国27位、香港30位、ベトナム31位、インドネシア32位、台湾33位、日本35位と続きます。
中でもシンガポールは前年からランキングを6つあげています。中国系、マレー系、インド系と多民族国家であるシンガポールは、それぞれの民族語と英語を公用語としています。そのため、1歳半から英語教育を行う幼児向けの教室があったり、公立小学校では母国語の授業以外は全て英語で授業を行い、幼児期から母語と英語のバイリンガル教育が行われています。
EF EPIの調査では、英語能力と一人あたりの国民純所得を比較しています。英語能力レベルを「非常に高い」、「高い」、「標準的」、「低い」、「非常に低い」の5つに分け、各レベルの国民純所得の平均を比べてみたところ、「非常に高い」が41,259USドルなのに対して、「非常に低い」は5,280USドルで、その差は約36,000USドルにも及びます。
「英語能力の向上によって給与があがり、英語トレーニングへの投資が増える」という好循環が生まれるのだとEF EPIは分析しています。
英語力はビジネスにおけるコアスキルに変化しており、子どもたちが社会人になるときにはより重要性が増し、「実務に役立つ優れた英語力が今以上に必要不可欠となっているだろう」と結論付けています。