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子供はどのようにして絵本が読めるようになるの?【玉川大学大学院 名誉教授・佐藤久美子先生】

0歳児から英語教材を使いはじめた子供は、およそ5歳になると、英語の絵本が少しずつ読めるようになります。
ここでは、どのような過程を経て絵本が読めるようになるのか、一例をご紹介します。
皆さんのお子さまに英語の本を読めるようにさせたいときのご参考になれば幸いです。


1. 英語の絵本が読めるようになる過程とは?

(1) 英語の指示が聞き取れる

例:子供向け英語教材などの音声に従って反応できる

Please find the bathroom sink for A.
(Aのために洗面台を探してね。)

Please put it in the bathroom.
(それを浴室に置いてね。)

この程度の英語の指示が聞き取れるようになることを指します。

(2)英語の絵本の読み聞かせを聞いて、何となくストーリーが理解できる

(3)英語の文を即座に反復できる
例:英語の絵本に書かれている文を読むと、即座に正しく反復できる

He wanted a cake.
(彼はケーキが欲しかった。)

He put in sugar.
(彼は砂糖を入れた。)

この程度の英文であれば、確実に、自然なスピードで反復できることを指します。

(4)英語の応答ができる
例:"What animal do you like?"と聞かれ、"I like monkeys."と答えられる

(5)文字と音声が結び付けられる
例:cを示すと【k】と発音できて、aを示すと【æ 】と発音ができ、tを示すと【t】と発音できる

(6)短い単語を見ると、文字に分けて発音ができる
例:catと書かれてあるカードを見ると、c-a-tのように文字を分けて、単音(文字)を1つずつ発音できる

3文字あるいは4文字から成る、短い、日常的によく出てくる単語が書かれたカードが与えられると、次々と同様に発音できる。

(7)単語をそのまま発音し、単語の意味が理解できる
例:(6)のように文字を1つずつ発音したのち、改めてcat【kæt】とまとめて発音できる

さらに、【kæt】の音から、cat=「猫」を指すことを思いだし、単語の意味がわかる。時には、sight wordと言って、何となく英語の形を見ただけで、発音ができたり、意味がわかる単語もあります。頻度の高い単語です。

(8)1文を単語に分けて、発音できる
例:A cat sat on a mat. と書かれていると、A-cat-sat...の順に、単語を1つずつ読むことができる

(9)再度単語を通して読み、1文が読める
例:A cat sat on a mat.と続けて文を読むことができる

(10)イラストもあるので意味がわかり、達成感を感じるようになる

2. リスニング力をつけるには?

2. リスニング力をつけるには?

絵本が読めるようになる過程を観察すると、まずは、リスニング力をつけることが求められることがわかります。
0歳児からディズニー英語システムなどの教材を毎日聞いて遊んでいると、こうした力を自然につけることは容易ですが、未就学児のときに英語を学習しなかった子供でも、もちろんリスニングの力を意識的につけることは可能です。

(1)日常生活を取り入れた教材を聞こう
一言にリスニングと言っても、2通りあります。
①One-way listening
(一方方向のリスニング:例えば、歌やテレビを見る)

②Two-way conversation
(双方向のリスニング:例えば、店員と客の会話、お母さんと夕食時に学校の話をする会話、友達と好きなことや嫌いなことなどを話す会話)

この2通りのうち、②のような日常生活でもよく使われる設定、意味のある状況を使った教材を利用すると、リスニング力が養われます。関心がもてる映像なども、①の教材として役立ちます。

(2)子供が苦手なトップダウン・リスニングを意識しよう
リスニングには、2つの理解の過程があります。
①Bottom-up listening
(ボトムアップ・リスニング)

②Top-down listening
(トップダウン・リスニング)

①は、「下から上に」という意味です。文章を聞くときに、まずは一番小さい単位の単語の音を理解し、次に単語、1文の意味を理解し、文法も考え、最終的に誰が何を言っているか文章全体を理解する方法です。

②は、「上から下に」という意味です。最初に文脈や状況を理解し、その文脈・状況で起こりうる内容を考えて、何が言われているか推測しながら聞き取る方法です。

両方のテクニックを使うことが大切なのですが、子供は場所や状況についての背景的知識が大人に比べて少ないので、ボトムアップを好んで選びがちです。そこで、単語が1つでも聞き取れないとあきらめてしまったり、自信をなくしてしまったりする子供もいます。

そこで保護者の方が家で絵本などを読むときには、表紙を見ながら「これはどんなお話かな?楽しい話?怖い話?誰が出てくるかな?どんな場所かな?」などと話し合います。それから読みはじめると、状況や人に関する背景的知識を呼び起こして、トップダウンの知識を使って聞き取りもできるようになります。

(3)日常生活でも英語のやりとりをしよう
リスニングの手助けとして、日常生活でも簡単な英語を家族で使うのも、良い方法です。

Let's go shopping!
(お買い物に行こう!)

Great!
(凄いね!)

What day is it today?
(今日は何曜日?)

こんな理解しやすい、短い会話を使っていくと、英語表現が聞き取りやすくなり、また、話す力にもつながっていきます。

(4)子供の年齢、興味を考える
歌でも、絵本でも、子供の発達段階を考えることが大切です。以下のウェブサイトには年齢に合った、アニメ、本、映画などが載っていますので、ご参考になさると良いと思います。
The Web site of Commonsense Media

(5)語彙力をアップさせよう
未就学児の場合は、"Wash your hands."(手を洗って)と読みながら、お子さまの手を取って"Hand."両方の手を取って"Hands."と言ってあげると、自然に単数、複数も入ってきます。
"Touch your knee."(膝をタッチして)、"Touch your knees."などと言って、体の部分にタッチする動きをつけるときも、単数と複数を入れていきます。あらゆる機会を使い、語彙の数を増やしてあげましょう。

(6)いろいろな方法を使って英語で遊ぼう
英語の簡単なやりとりをすると、英語の発話力が上がります。反復だけしていても発話力はつきません。まずは反復、そして次は、表現も内容も少し拡大していきます。例えば、絵本を読みながら

母:What's this?
子:(It's)a cap.

母:A blue cap?
子:Yes! (It's)a blue cap.

母:Do you like blue caps?
子:Yes! I like blue caps.

このように、反復させるだけではなく、下線部に示したように表現や内容を拡大することで、語彙力がつき、話す力もアップします。

次回は、さらに自力で本が読めるようになる過程や、そのヒントについてお話しします。


佐藤 久美子(さとう くみこ)先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻)名誉教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの『えいごであそぼ』『えいごであそぼwith Orton』の総合指導、2017年からNHK eテレ『エイゴビート』の番組委員を担当。今日に至る。全国の小学校や教育委員会でも多数研修や講演を行い、小学校英語教育の推進に努めている。

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