専門家の先生による、英語教育に関する記事

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今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、クリスマスの過ごし方やクリスマスに使える英語表現、クリスマスにまつわる絵本などをご紹介します。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「教材をレベルアップさせる時期はいつ?」というご質問にお答えしています。お子さまの気持ちに寄り添った進め方を教えていただきました!

アメリカでは11月の第4木曜日のThanksgiving Day「感謝祭」のお祝いが終わると、一斉にChristmas「クリスマス」の準備が始まります。街がクリスマスの電飾や飾りに彩られ、各家庭でもクリスマスツリーの準備をします。

クリスマスツリーは、再利用できる人工のものや、植え替えられる根つきのものを使う家庭もありますが、Choose-and-cut Christmas tree farmsでツリーを選ぶ人もいます。Choose-and-cut Christmas tree farmsは小さな森のような場所で、たくさん生えているもみの木の中から、自分の好きなツリーを選んで切って持ち帰ることができます。

そりや馬で木が生えているところまで連れて行ってくれたり、リースをお土産につけてくれたりすることもあるそうです。宿泊を兼ねて「ツリーカッティング」に出かけることもできます。

そこで今回は、クリスマスのイベントや、この時期に使える英語表現をご紹介します。

■クリスマスのプレゼント

クリスマスのシーズンには、日本ではデパートなどで商品を購入するとクリスマス専用の華やかな包装紙に包んでくれるのが一般的ですが、アメリカやイギリスでは、家族や友人を思い浮かべながら好きな包装紙を買ってきて、自分たちでプレゼントを包むことも多いようです。

・プレゼントを包む時に使える表現

"Pass me some more wrapping paper, please."
(もっと包装紙を取って。)

"Where's the Christmas tree paper?"
(クリスマスツリーの包み紙はどこ?)

"I want the paper with Santas and reindeer."
(サンタとトナカイの包み紙が欲しい。)

プレゼントの用意ができると、クリスマスの何日も前からプレゼントをクリスマスツリーの下に置きます。また、子供たちはベッドや暖炉に靴下を1足ずつぶら下げておくこともあります。その中に、子供が眠っている間にキャンディーと小さなプレゼントが入れられ、サンタクロースからプレゼントが届くこともあります。

クリスマス・イブには、サンタクロースのためのクッキーとミルクを用意します。
そして、クリスマスの朝に家族がツリーの周りに集まり、いよいよ家族全員でプレゼントを開けて交換するのが伝統です。

・プレゼントを開ける時に使える表現

"Let's open the presents!"
(プレゼントを開けよう!)

また、プレゼントには簡単なカードを添えておきます。

"To Mai from Mom and Dad."
(ママとパパからまいへ。)

"To Kaoru, a good girl! From Santa Claus."
(良い子のかおるへ!サンタクロースより。)

プレゼントをもらった時は、お礼や嬉しい理由などを述べます。

"Thank you for my favorite dinosaur!"
(大好きな恐竜をありがとう!)

"Thank you for the sweater. I really like it! Blue is my favorite color."
(セーターをありがとう。とても気に入ったよ!ブルーは好きな色なんだ。)

■小学校で行われるクリスマスの劇

アメリカの多くの小学校では、pageant(ページェント)と呼ばれる歴史上の物語を描いた劇が演じられることを前回お話しましたが、クリスマスの劇も小学校で行われます。キリストの生誕劇です。その一部をご紹介します。

生徒1:"One day, an angel visited Mary and said to her, "You're going to have a baby.
You will name the baby Jesus."
(ある日天使がマリアを訪れ、言いました。「なんじは赤ん坊を生むであろう。名をイエスと名づけなさい。」)

生徒2:"Joseph and Mary went to Bethlehem, but the local inn was full. So, the innkeeper let them stay in a stable with his animals."
(ヨセフとマリアはベツレヘムに行きました。しかし宿屋は満員でした。そこで宿屋の主人は、彼らを動物と共に馬小屋へ泊めました。)

生徒1:"There was a cow. Mooo."
(そこには牛がいました。モーモー。)

生徒2:"There was a sheep. Baaa. And there, the baby Jesus was born."
(そこには羊がいました。メーメー。そしてそこで、赤ん坊のイエスが生まれました。)

どこの小学校でもこうした生誕劇が演じられます。動物の鳴き声の部分を、ご自宅でお子さまと一緒に演じても楽しいと思います。

■クリスマス・キャロル

チャリティーを兼ねて、子供たちがグループで家を一軒ずつ回りながら、歌を歌って募金を集めるクリスマス・キャロルのイベントもあります。地域ごとに、教会などの礼拝でクリスマスソングが子供たちによって歌われることもあります。

このクリスマスソングはやさしいので、ぜひお子さまとご一緒に歌ってみましょう。

"We wish you a Merry Christmas."
(楽しいクリスマスを)
"We wish you a Merry Christmas."
(楽しいクリスマスを)
"We wish you a Merry Christmas."
(楽しいクリスマスを)
"And a Happy New Year!"
(そして良い新年を!)
"Good tidings to you."
(あなたに良いお知らせがありますように)
"Wherever you are."
(あなたがどこにいても)
"Good tidings for Christmas."
(クリスマスに良いお知らせがありますように)
"And a Happy New Year!"
(そして良い新年を!)

■クリスマスにまつわる絵本

My Fold Out 12 Days of Christmas(Roger Priddy 作)
「12 Days of Christmas」(クリスマスの12日間)という曲もよくクリスマスに歌われる曲になっており、その歌詞が書かれたかわいい絵本があります。

折りたたみ式で、クリスマスの12日間がかわいいイラストと共に紹介されています。

"On the first day of Christmas,"
(クリスマスの最初の日)
"my true love gave to me."
(愛する人からプレゼント)
"A partridge in a pear tree."
(ナシの木にとまるヤマウズラ)

"On the second day of Christmas,"
(クリスマスの2日目)
"my true love gave to me."
(愛する人からプレゼント)
"2 turtle doves and a partridge in a pear tree."
(2羽のキジバトとナシの木にとまるヤマウズラ)

(※以下12日目まで続きます)

動物や兵隊などがカラフルに描かれた絵本を見ながら、YouTubeなどでも歌を聞くことができます。メロディーは単純で覚えやすいので、一緒に歌ってみると楽しいですよ。

Dear Santa(Rod Campbell 作)
Dear Zooでおなじみの作者が書いた、Dear Santaをご紹介します。

"I wrote to Santa to send me something special for Christmas."
(サンタにクリスマスには特別なものを送ってくれるようにと手紙を書きました。)

ある子供が手紙を書き、そこでサンタはいろいろとプレゼントを包むのですが、

"Too big, thought Santa."
(大きすぎる、とサンタは思った。)
"Too scary, thought Santa."
(怖すぎる、とサンタは思った。)

などと、プレゼントがなかなか決まりません。でも最後に、子供がとても気に入ったものを送ることができました。さあ、何だったのでしょうか?

サンタが決めるプレゼントを一つひとつめくるしかけがついているので、小さいお子さまも喜ぶことでしょう。文も繰り返すパターンですので、何回も聞かせたら、覚えて、お話ができるようになるかもしれません。

クリスマスは西欧の文化ですが、サンタクロースがプレゼントを持ってきてくれる、夢のある伝統です。お子さまと一緒にクリスマス・カードをサンタクロースに描いたり、クリスマスの歌を歌ったりしてみませんか。

Merry Christmas!


『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』
第28回:発音の間違いは指摘するべき?教材を進めるタイミングは?

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◆DWEユーザーの方からのご質問◆
DWEを始めて1年になる、1歳の娘がおります。最近、"Apple"を「アップー」、"Yummy"を「ヤーム」など、英単語を真似るようになりました。
そこで、レベルが高い教材を使い始めるタイミングについて迷っています。今からレベルの高いライムやイエローの教材を使って少しずつ慣れさせた方がいいのか、お気に入りのプレイ・アロングやシング・アロングのブルーなどを時間をかけて使い込んだ方がいいのか、どちらがいいのでしょうか?

※DWEのシング・アロングなどの教材は、ブルー、グリーン、ライム、イエローに分かれており、順にレベルアップしていきます。

◆佐藤先生のご回答◆
まずは発音についてですが、未就学児はとても耳が良いので、聞こえたママに発音します。ネイティブの子供でも、"What's that?"を"whada?"のように発音するようです。
それで、"Apple"が「アップー」になるのですね!発音は正すことなく、教材をそのまま聞かせていればより近い音に近づいてきますので、ご心配はいりません。

レベルの変更については、子供の様子を観察するのが一番良いと思います。お子さまによって、活動にも好き嫌いがあります。お気に入りの教材は何回も聞きたいものです。
早く全部の教材に触れさせよう!と焦ることなく、子供が飽きてきたら変えてみてはどうでしょうか?絵本なども、お気に入りがあると何回でも読んで欲しいとせがみます。そんな時は、同じ本を何回も読んであげてください。プレイ・アロングは小さなお子さまに人気の教材なので、ぜひ飽きるまで遊ばせてあげてください。


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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