専門家の先生による、英語教育に関する記事

子供が最初に覚える英語の前置詞は?
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、幼児期に前置詞を学習するときのポイントについて伺いました。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、英語が苦手なママ・パパでも英語の語りかけには効果があることを佐藤先生がしっかり説明してくれています!

子供が最初に覚える前置詞はinとon

前置詞というと、「なんだか使い方が難しかった!」「何を使って良いか迷った!」という印象をおもちの保護者の方も多いと思います。

上田明子(著)『イメージ感覚で捉える英語の前置詞:39の前置詞を集中マスター』(開拓社)には

「英文を読んだり、書いたりしているときに、...理解・習熟に障害になるのは、冠詞と前置詞です。冠詞は無冠詞の用法も含めても3種類しかありませんし、前置詞も多用されるのは40以下です。数が少ないから、ひとつひとつの使用法が多岐にわたって理解が難しいのです。」(p.iii)

と書かれています。
このように難度の高い英語の前置詞の中で、子供が最初に覚える前置詞は何でしょうか?
in, on, at, to, with, about...など様々な前置詞がある中で、inとonを子供は最初に覚えます。このふたつの前置詞は、絵本などにもよく現れます。

子供はなぜ一番先にinとonを覚えるのでしょうか?
その理由のひとつは、inとonは明確に意味の違いを表すからです。
inやonが使われるのは、場所を表すときです。例えば、ボールを探している子供にママが答えたときの例文を見てみましょう。ママの回答は①②の2パターンあります。

子供:Where is my ball? (私のボールはどこ?)
ママ:①It' s in the box. (箱の中よ。)/②It's on the box. (箱の上よ。)

①②の文は前置詞が変わるだけで場所が異なる意味になっています。だから、子供にとって意味の違いが理解しやすく、inとonの違いを早い時期に覚えるのです。

意味をイメージで理解してinとonを使いこなそう

inとonは大きな意味の違いをイメージで捉えると、使うことが易しくなります。
最初に紹介した上田氏の本では、inのイメージは「~の中に」(p.16)、onのイメージは「接触」(p.8)と説明されています。
先ほどの例でもわかるように、箱の上に載っているイメージはonで、箱の中に入っているイメージがinです。

子供の絵本で使われているこのふたつの前置詞をチェックしてみると、イメージでの理解がより深まります。
例えば、Eileen Christelow(著)『Five Little Monkeys Jumping on the bed』(HMH Books for Young Readers)という絵本があります。5匹の子ザルがベッドの上で跳び跳ねていると、一匹ずつ落ちて頭にこぶを作ってしまい、ママがドクターに電話をかけて、ドクターがもう跳ねてはいけないよ!としかる本です。チャンツを使った英語学習の教材としても使われ、リズムよく"Five little monkeys..., Four little monkeys..."と数を数える良い学習にもなります。
ここで注目したいのが"jump on the bed"のonの使い方です。ベッドに上で飛び跳ねているので、ベッドに接触しています。そこでonが使われているのです。

さらに、『CTP絵本:How Many? (LA1-1)』(Creative Teaching Press)という絵本では、子供に、How many~?(~はいくつあるの?)と問いかけをしながら、タコや虫や子ネコやナメクジの足の数を聞いていきます。
「タコには足が何本ありますか?」と聞くには"How many legs on an octopus?"となります。足はタコにくっついているので、やはりonなのです!

また、「ディズニーの英語システム」(DWE)の絵本・Fun with words Book3(pp.18-19)の中でもこんな表現が紹介されています。

【"Where do we do these things?" (どこでこんなことをするの?)】

"take a bath in a bathtub" (浴槽の中でお風呂に入る)
"swim in a pond"池で泳ぐ
"sleep in a bed" ベッドで寝る
"sleep in a tent"テントの中で寝る
"ride in a car" 車に乗る
"cook on a stove"レンジで料理する
"drive on a road"通りでドライブする

いかがでしょうか?
inは「~の中に」、onは「接触」というイメージでこれらの例文を見ていくと、とても納得がいきます。
お子さんに「クッキーはどこにあるの?」「キャンディーはどこにあるの?」といった質問をされたときは、このイメージを頭に入れて英語を話しかけてください。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第14回:英語が苦手な親でも、英語での語りかけをした方が良いのでしょうか?

英語教育お悩み解消Q&A第14回

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

2歳半の子の子育てをしています。子供への英語の語りかけは、親が英語が苦手でも、できるだけした方がいいと聞きましたが、どうも私のカタコト英語の発音で覚えて繰り返してしまっているように思います。
語りかけはせずに、英語のCD・DVDのかけ流しだけに徹した方がいいでしょうか?


◆佐藤先生のご回答◆

母語は、保護者とのやり取りを通して獲得されていきます。一見何も理解していないように見える0歳児の赤ちゃんでも、脈絡のない言葉を一方的に話すよりも、語り掛けるように会話することで、言葉を獲得していきます。言葉の規則を覚えるだけではなく、社会性(やりとりの仕方なども含め)も身につけていきます。

英語の場合は、母語の獲得過程と全く同じではありませんが、CD・DVDを単に聞いているだけでは、音と意味が結びにくいし、発話につながりません。発音は気にせず、まずはお子さんとお話をしながら英語を使ってみましょう!お子さんは、ママと英語でお話をするのが楽しみになります。発音は、CD・DVDを真似しますのでご心配には及びません。

また、お子さんと一緒にCD・DVDなどを通して英語を聞き、真似をしていると、ママの発音も段々良くなっていきますよ!数年続けると、絵本の読み聞かせもお上手になりますので、是非試してくださいね。


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Oton」の総合指導を担当。

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