専門家の先生による、英語教育に関する記事

夏休みは英語を使ってケーキ作りを楽しみましょう
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、夏休みにぴったりの英会話をご紹介頂いています。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、ご家庭でできる英語のアウトプットについてご説明していますのでぜひチェックしてください!

前回のエッセイでは、小学校3、4年生で学習する英語表現を紹介し、お家でできる発話練習として自己紹介の例を紹介しました。単語は知っているけれども文が発話できない、というお子さまのアウトプットの練習にも、自己紹介は気軽にできて楽しめます。

今回は、さらにお家でできる英語表現のやりとりをご紹介します。2020年度から小学校で導入される外国語教育(英語)では、「話す」というスキルの中で、「やりとり」と「発表」の2領域を学習するようにと明記されています。やりとりは、コミュニケーションの基礎です。
そこで、お子さまとお母さんがいっしょにケーキ作りをするという場面の英会話をご紹介します。
ここで紹介する例文は、前回と同様に小学3・4年生向け補助教材・Let's Try!の目次から、以下の英文をピックアップして作成しました(※1)。
「ディズニーの英語システム」(DWE)のBook3(p.4-14)に出てくる単語も使っているので、DWEのユーザーさんなら特に親しみやすい英文です。
実際にケーキを作りながら、もしくは、おいしそうなケーキの絵を描きながら、英語を楽しく話してみると良いですね。

【Let's Try!からピックアップした英文】

How many?
I like blue.
This is for you.
What time is it?
This is my favorite place.

※1 参考リンク:
文部科学省 小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック

① ケーキ作りの準備

母:Let's make a birthday cake for Dad.(パパにお誕生日のケーキを作ろう!)

Dadの代わりに、Grandma, Grandpa, 兄弟姉妹の名前、お子さんのお友達の名前などを入れることができます。

子:OK!(いいね!)

母:I like cake. (ママはケーキが大好きよ。)

子:I like cake too. (私もケーキが好き。)

母:Take(a bottle of)milk, (a stick of)butter, and eggs. (牛乳と、バターと卵を取ってね。) 

冷蔵庫を開けて、必要な材料をお子さんに取ってもらいます。
a bottle of milk, a stick of butterという言い方は、日本の小学校や中学校では習いません。しかし、DWEのBookシリーズにはよく出てくる表現です。年齢によって、付け加えて使いましょう。

子:卵は何個いるの?

母:How many eggs? Three eggs, please.(何個いるかって?3個ちょうだい。)

お子さんが日本語でたずねたり答えたりした時も、さりげなく英語に直して聞きなおしたり、英語で言い換えたりします。

母:Take(a bag of )flour, (a box of)sugar, and a salt shaker, please.(小麦粉を1袋と、砂糖を1箱と塩を取ってね。)

"a salt shaker"はふりかけ式の塩のことです。A salt bottleとは言いません。

子:Here you are. (さあどうぞ)

母:Thank you! (ありがとう)

② 材料をボールに入れる

母:Put in two cups of flour. (小麦粉を2カップ入れて。)

子:OK. (いいよ。)

母:Put in one cup of sugar and a little bit of salt, please. (砂糖を1カップと塩を少し入れてね。)

子:OK.(いいよ。)

カップ1杯 a cup of ~ の言い方も小中学校では習いませんが、お料理には必要な表現。ここは是非覚えましょう!

母:Now, cut the butter into small pieces. (次は、バターを細かく切って)

母:Pour one cup of milk into the bowl and mix. (1カップの牛乳をボールに注いで、かき混ぜて)

小麦粉、砂糖、牛乳、卵3個、少量の塩が混ざりました。型にすべてを流し込みます。

母:What time is it? It's one o'clock. (今何時? 1時ね)

オーブンに型を入れる時に時間を確認して、1時間たったらできあがり!

③ ケーキを食べよう!

母と子:This is for you. (これはあなたへのプレゼント。)

パパやおばあちゃん(Grandma)、おじいちゃん(Grandpa)へバースデーケーキをプレゼントするときにも使える英語表現です。

父:This is my favorite cake. Thank you! (これは私が大好きなケーキだよ。ありがとう!)

いかがでしたか?
お母さまも、ちょっと英語を使って、ケーキ作りに挑戦しましょう!
ちなみに、このレシピはDaisyがPlutoのために作ったケーキです。おいしく作れるか試してみてください!

④ 絵を描いてケーキ作り

今度は、パパと二人でケーキの絵を描いて、ケーキ作りを楽しみます。

父:I like strawberries.(イチゴが好き。)

子:I like strawberries too.(ぼくもイチゴが好き。)

父:I put in strawberries.(イチゴを入れよう。)

子:I put in bananas.(バナナを入れよう。)

父:I put in oranges.(オレンジを入れよう。)

子:I put in melons.(メロンを入れよう。)

父と子:This is our cake!(これが私たちのケーキです!)

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第12回:英語のアウトプットにはやはりネイティブとの交流以外ないのでしょうか 

英語のアウトプットにはやはりネイティブとの交流以外ないのでしょうか

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

英語のアウトプットにはやはりネイティブとの交流以外ないのでしょうか?


◆佐藤先生のご回答◆

もちろん、ネイティブの先生方や同年代の子供たちとの交流はアウトプットには最適の場です。
しかし、ネイティブとの交流が短期間の場合、リスニングの力はつくものの、子供がすぐに話せるようになるわけではありません。
ネイティブばかりの環境に子供がいても、Silent periodと言って、しばらく聞いているだけで話さない時期が続きます。
お子さまにもよりますが、3ヵ月くらいこの時期が続きますので、例えばインターナショナルのプリスクールに入れても、すぐに話し始めるわけではありません。
むしろ、周りのお子さまがすべて英語を話している場合、お子さまによっては溶け込めないでストレスを感じてしまう場合もあります。

そこでおすすめなのは、保護者の方と少しお家でも英語を話してみる機会を作ることです。
親子で一緒にDVDを見る時も、歌ったり話したりしてみましょう。また、今回のエッセイにもあるようにお料理などのアクティビティを楽しみながら英語を反復していると、自然に英語のフレーズが出てくるようになります。例えば、How are you?(ご機嫌いかがですか?) と尋ねて、I'm happy!(私は楽しいです!))/I'm sad!(私は悲しいです!) /I'm angry!(私は怒っています!) などと返す会話は、2歳前後の子供でもできる楽しいやりとりです。顔で表情を表したり、ジェスチャーをつけることで一層英会話が楽しくなります。

プリスクールなどを考えていらっしゃる方も、まずはお家で英語に慣れ親しむことをおすすめします!
お子さんは、保護者の方と遊ぶのが大好きなのです!


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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