専門家の先生による、英語教育に関する記事

英語自己紹介でアウトプット
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、英語の自己紹介を練習する方法とその効果についてご説明頂きました。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、幼稚園年長~小学校低学年のお子さんの英語学習方法についてじっくりお答えしていますのでぜひチェックしてください!

2020年から小学3・4年生では英語が必修化され、小学5・6年生では英語が教科になります。
これを受けて、英語を入試科目の1つにする私立中学校がとても増えているというニュースが流れています。
2級レベル、あるいは準1級レベルに相当する難しい問題を課す中学校もあるようで、余り好ましい傾向とは言えませんが、英語の必要性が高まっている証とも言えます。
そこで、今回は小学3・4年生ではどんな英語表現が学習されているかをご紹介し、ご家庭でできる準備や発話練習について説明したいと思います。

自己紹介に使える英語表現

3~4歳くらいになると、それまで観ていた英語のDVDなどに飽きてきたり、興味を失ったりする場合があります。また、英単語を覚えていても、文の形で発話できないというお悩みもよく耳にします。
そこで、子供の自発性を引き出し、英語をアウトプットする力を高めるために、ご家庭で毎日少しずつ自己紹介を練習してみましょう。
長い会話や、いろいろなお話も自己紹介の中でできるように、少しずつ表現を増やしていくのです。

まずは文科省から配布されている小学3・4年生向け補助教材・Let's Try!の目次から、自己紹介に使える表現をピックアップしました(※1)。下記の目次に太字で示しているのが、自己紹介にも使える表現です。

【Let's Try!1(小学校3年生用)目次】

Unit 1: Hello! あいさつをして友達になろう
Unit 2: How are you? ごきげんいかが?
Unit 3: How many? 数えてあそぼう
Unit 4: I like blue. すきなものをつたえよう
Unit 5: What do you like? 何がすき?
Unit 6: ALPHABET アルファベットとなかよし
Unit 7: This is for you. カードをおくろう
Unit 8: What's this? これなあに?
Unit 9: Who are you? きみはだれ?

【Let's Try!2(小学校4年生用)目次】

Unit 1: Hello, world! 世界のいろいろのことばであいさつしよう!
Unit 2: Let's play cards. すきな遊びをつたえよう
Unit 3: I like Mondays. すきな曜日は何かな?
Unit 4: What time is it? 今、何時?
Unit 5: Do you have a pen? おすすめの文房具セットを作ろう
Unit 6: Alphabet アルファベットで文字遊びをしよう!
Unit 7: What do you want? ほしいものは何かな?
Unit 8: This is my favorite place. お気に入りの場所をしょうかいしよう
Unit 9: This is my day. ぼく・わたしの一日

※1 参考リンク:
文部科学省 小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック

以下では、上記の表現を使った自己紹介のパターンをご紹介します。

好きなものについて話すパターン

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
How are you? I'm great.(お元気ですか? 私は元気です。)
My name is Kumiko.(私の名前はクミコです。)
I like blue. (私は青色が好きです。)
*What color do you like?(あなたは何色が好きですか?)
I like watermelons. (私はスイカが好きです。)
*What fruit do you like?(あなたは何のフルーツが好きですか?)
I like steak.(私はステーキが好きです。)
*What food do you like?(あなたはどんな食べ物がすきですか?)
Thank you!(ありがとうございました!)

*のついている文は、教室などで聞き手に問いかける場合の質問文です。

欲しいものについて話すパターン

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
My name is Futa.(ぼくの名前はフウタです。)
Do you have a bicycle?(あなたは自転車を持っていますか?)
I don't have a bicycle.(ぼくは自転車を持っていません。)
I want a bicycle for my birthday.(ぼくは誕生日に自転車が欲しいです。)
Thank you!(ありがとうございました!)

一日の過ごし方について話すパターン

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
My name is Yui.(私の名前はユイです。)
I get up at 6:00.(私は6時に起きます。)
I have breakfast at 7:00.(私は7時に朝食を食べます。)
I go to preschool at 9:00.(私は9時に幼稚園に行きます。)
I have lunch at 12:00.(私は12時に昼食を食べます。)
I take a bath at 6:00.(私は6時にお風呂に入ります。)
I have dinner at 7:00.(私は7時に夕食を食べます。)
I go to bed at 8:00.(私は8時に寝ます。)
Thank you!(ありがとうございました!)

こんな感じに、少しずつ異なった自己紹介を試してみましょう!

「ディズニーの英語システム」(DWE)にも自己紹介のヒントがたくさん

DWEのFun With Wordsは英単語を覚えられる絵本で、マジックペン(※2)でタッチすることで単語の発音を確認することもできます。
また、関連する単語が1ページにまとめられているのもポイントです。例えば、It's breakfast time!というページでは、朝食でよく食べられている食べ物の名前を、イラストと一緒に覚えることができます。

Fun With Wordsで紹介されている英単語には冠詞がついているので、そのまま文に入れて利用できます。自己紹介の内容をふくらませるのにぜひ活用しましょう。
例えば、上記の「一日の過ごし方について話すパターン」をさらに詳しくして、以下のように述べることができます。

※2 参考リンク:

一日の過ごし方について詳しく話すパターン

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
My name is Yui.(私の名前はユイです。)
I get up at 6:00.(私は6時に起きます。)
I have breakfast at 7:00.(私は7時に朝食を食べます。)
I have eggs, bread, a banana, and milk.(私は卵、パン、バナナ、牛乳を食べます。)
I go to preschool at 9:00.(私は9時に幼稚園に行きます。)
I have lunch at 12:00.(私は12時に昼食を食べます。)
I have a hot dog, an apple, and milk.(私はホットドック、リンゴ、牛乳を食べます。)
I have dinner at 6:00.(私は6時に夕食を食べます。)
I have fish, potatoes, a rice ball, miso soup, and salad.(私は魚、じゃがいも、おむすび、味噌汁、サラダを食べます。)
I take a bath at 7:00.(私は7時にお風呂に入ります。)
I go to bed at 8:00.(私は8時に寝ます。)
Thank you!(ありがとうございました!)


また、「なりきり自己紹介」と言って、英語教材に出てくる登場人物になりきって話すこともできます(※3)。

プルートになりきり自己紹介

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
My name is Pluto.(ぼくのなまえはプルートです。)
I have breakfast at 7:00.(ぼくは7時に朝食を食べます。)
I have eggs, bread and butter, an orange, a banana, and milk.(ぼくは卵、パン、バター、オレンジ、バナナ、牛乳を食べます。)
Thank you!(ありがとうございました!)

ドナルドになりきり自己紹介

Hello, everyone.(こんにちは、みなさん。)
I'm Donald.(ぼくのなまえはドナルドです。)
I have lunch at 12:00.(ぼくは12時に昼食を食べます。)
I have soup, a hot dog, a sandwich, an apple, cheese, milk, and ice cream.(ぼくはスープ、ホットドック、サンドイッチ、リンゴ、チーズ、牛乳、アイスクリームを食べます。)
Thank you!(ありがとうございました!)

※3 上記の例文ではDWE Fun With Words 3 p.21 It's breakfast time!・p.22 It's lunch time!の英単語を使っています。



お子さまと「なりきり自己紹介」を楽しんだり、お互いに好きな色や好きな動物、食べ物を紹介したりしてみてください。
アウトプットができるようになるためには、英語表現を話す機会が必要です。遊び感覚でたくさん試してみましょう!

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第11回:大きくなってきた子供はどのように言葉を獲得していくの? ほか

大きくなってきた子供はどのように言葉を獲得していくの?

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

うちの兄弟たちは、長男2歳8ヵ月・次男生後2ヵ月からDWEをスタートし、現在小学2年生と幼稚園年長になりました。

これからも自宅で英語に取り組んで行きたいと考えていますが、「大きくなってきた子供たちが年齢に応じて英語力を伸ばすためどうすれば良いのか」といつも考えています。
そこで質問したいのが、次の4点です。

大きくなってきた子供はどのように言葉を獲得していくのでしょうか?
子供が小学生以上の年齢になってきたときに、どんな取り組みが、どのような理由で有効でしょうか?
大きくなってきた子供たちが英語を身につけるため、何に重点を置いたらよいでしょうか?
英語圏の子供たちはどんな英語学習をしているのでしょうか? 


◆佐藤先生のご回答◆

母語の場合は、小学校に入学する6歳くらいで、ほぼ大人と同じ文法を獲得していると言われています。世界の様々な国でも、小学校入学が5・6歳というのは、この事実と関係していると思います。口頭で自由に話ができるようになっているので、小学校で教科書を使い、学習ができるのです。ただし、語彙力には既にかなりの差があります。2歳児並みの子もいれば、11歳児並みの語彙力がある子供もいます。

②・③子供が大きくなってきたら、英語をアウトプットする機会を作ることが必要です。お友達と英語で話す機会などがあれば良いのですが、ない場合は、ご家族が相手をしましょう!
自己紹介は、簡単で、様々な表現を導入できるので、毎日異なった紹介ができます。
外国に行く機会や、外国から転校生と交流する可能性もゼロではありません。そういった場面を子供に想像させ、「自己紹介をできるようにしよう!」という目標を掲げてやってみましょう!

口頭でアウトププットの練習をすると同時に、書く練習も少し取り入れると楽しいと思います。スペルアウト(※4)したり、空中に書いたりして、少しずつ文字や単語、文を書くようにすると英語が定着します。
また、本を読むと単語量も増え、表現力もつきます。易しい英語の絵本を読む習慣をつけてはいかがでしょうか?保護者の方と一緒に読めば、子供はさらに楽しく取り組めると思います。

未就学児について言えば、英語圏の子供達も、日本の子供達と変わりません。本を読んだり、本を読みながら保護者とお話をしたり。
本を読んで毎回反復していれば、アウトプットも出るようになります。絵本は情報量が多いので、英語の絵本は英語で読み、親子でやりとりをしながら、会話を活発化してくださいね!

※4 スペルアウト:
スペルアウトとは、単語をアルファベットで伝えること。例えば"apple"をスペルアウトすると、"A, P, P, L, E."という風に5つのアルファベットで表すことができ、スペルが相手にわかりやすくなる


佐藤久美子先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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