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専門家の先生による、英語教育に関する記事

子どもは1歳でrとlの聞き取りができるようになる1
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、子どもが発音を聞き取る能力は1歳ごろまでにかなりのレベルまで発達することをご説明いただいています。
また、今回の『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーは、「英語の絵本をたどたどしく読むお子さんをやめさせるべき?」という質問です。佐藤先生が、恥ずかしがらずにアウトプットすることの重要性について解説されていますので、ぜひチェックしてください!


日本語でも英語でも、聞き取りにくい音がある

赤ちゃんは生後2~3日で、母語とそれ以外の言葉、あるいは、母親と母親以外の女性の声を聞き分けることができます。お腹の中にいた頃から、母親が話す声のテンポやリズム、高低を聞いているからです。そして、およそ1歳の時に、意味の区別に必要な母語の音の獲得は終わります。
そうです!
とても早い時期に、母語の音は聞き取れるようになるのです。

しかし、中には聞き取りが難しい音があります。
例えば日本語で言えば、「ら」と「だ」の区別。小学校1年生でも、「ともだち」が言えなくて、「ともらち」と言ったり、「ライオン」が言えなくて、「ダイオン」と言ったりする子どもがいます。英語で言えば、日本人が苦手と言われている【r】と【l】の聞き分けは、英語ネイティブの赤ちゃんにとっても聞き取りが難しい音です。

5ヵ月の頃は、日本人の子どもとアメリカ人の子どもを比較すると、どちらも【r】と【l】の音が聞き分けられる確率は50%程度だと言われています。
しかし、9ヵ月、10ヵ月ごろになると、アメリカ人の子どもは違いが聞き取れるようになり、日本人の子どもは相変わらず確率50%に留まります。
その理由は、日本語では【r】と【l】という二つの音が存在しないからです。音が聞き分けられなくても、困らないからです。

同様に、日本語の「ら」と「だ」も、5ヵ月の頃は聞き取りが難しいのですが、9~10ヵ月になると、日本人の子どもはみんな聞き取れるようになります。
日本語は「ランプ」と「ダンプ」のように、「ら」と「だ」が違うと意味が大きく変わる言葉です。そのため、日本語を母語とする子どもにとっては「ら」と「だ」の音の違いをしっかり聞き取る必要性が高く、聞き分けできるようになるのです。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第5回:英語の絵本をたどたどしく読むお子さんをやめさせるべき?

子どもは1歳でrとlの聞き取りができるようになる2

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

(英語の)絵本を自分で読みたがりますが、たどたどしくて聞きづらく、内容がわかっているように思えません。やめさせるべきですか?

◆佐藤先生のご回答◆

英語を学習している方は子どもから大人まで幅広くいらっしゃいますが、学ぶときの姿勢は年代ごとに特徴があらわれます。
中学生から大学生や大人の学習者の大きな特徴は、「自分の発音がおかしいと思われているんじゃないか」「間違っているんじゃないか」「発音を聞かれたら恥ずかしい」と思う気持ちが強いことです。

その一方で、子どもの英語学習、特に未就学児に特徴的なのは、「やってみたい!」「話してみたい!」という気持ちがとても強いことです。
間違いなどは、もちろん気にしません。
これはすばらしいことで、大人の場合は逆に、恥ずかしい気持ちなどがあるからこそ、英語を話す機会が少なくなり、上達しないのです。

間違えても自分で絵本を読みたがるお子さんはすばらしいです!
内容がすべて分からなくても、英語の音が日本語と違うことに気がついているのです。
知っている単語が出てくるのも嬉しいのでしょう。ぜひ、そばで聞いてあげて、ほめてあげましょう!
ママにほめられると、とても嬉しくなり、ますます「英語の絵本を読んでみよう!」という子どもの気持ちが強くなりますよ。

 


佐藤久美子先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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