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専門家の先生による、英語教育に関する記事

赤ちゃんのときから育てられる!非言語コミュニケーションの力【英語教育コンサルタント・光藤京子先生】

みなさんは、「非言語コミュニケーション(non-verbal communication)」という言葉をご存じでしょうか?言語そのものではなく、たとえば顔の表情、アイコンタクト、ジェスチャー、タッチ、声のトーン、姿勢、人と人との距離などの非言語情報を使って行うコミュニケーションを指します。

人間のコミュニケーションの中で非言語情報の占める割合はかなり大きく、それらは子供の成長に大きな影響を及ぼすとも言われています。声のトーン(学術的には非言語に分類されます)を含むさまざまな非言語情報は、英語のコミュニケーションにおいてはとくに重要で欠かすことができません。

今回は、その中でも日本人があまり得意でないと思われるもの――具体的には、①アイコンタクト、②ジェスチャー、③タッチの3点に焦点をあてながら、英語学習を通して非言語コミュニケーションの力をどのように育てられるかについてお話します。

赤ちゃんは非言語で気持ちを表す?

赤ちゃんは非言語で気持ちを表す?

まずは、生後数カ月の小さな赤ちゃんを思い浮かべてください(目の前にいるなら、よく観察して!)。その頃の赤ちゃんはまだ言葉を発しませんが、顔や体からさまざまなサイン(非言語情報)を出しています。

まず「あくび」。これは赤ちゃんが疲れたか、眠たいサインでしょう。赤ちゃんは頻繁に声を出して泣きます。これは「おっぱいがほしい」、または「何か(おむつとか、室温とか)が不快である」と訴えているのでしょう。

少し大きくなると、うれしいときには笑顔を見せ、興奮しているときには奇声をあげ、何かが気に入らないと顔を背けたり、「イヤイヤ」の仕草をしたりします。大人はそのようなさまざまな非言語情報を受けとり、赤ちゃんの気分や状態を察しているのです。

このような、いわば人間が生まれつきもっているコミュニケーション能力のほかに、赤ちゃんは成長の過程で、まわりの大人から言語情報と非言語情報を積極的に吸収していきます。

たとえば、英語で子供に"Good boy! /Good girl!"(いい子だね!)と褒めるときの親の表情はどうでしょう?慈愛に満ちた優しい表情ですね。"No, don't touch it!"(ダメ、それを触らないで!)と言うときの親の表情は普段より険しく、声のトーンもいつもと違うでしょう。

そういった大人が発する非言語情報を、赤ちゃんや小さな子供はしっかり観察しています。子供自身もまた、そのような体験を通して、相手の気持ちを読み取れるようになり、自分から発信する力もつけていきます。

①アイコンタクト

①アイコンタクト

英語圏の国では、子供と真剣に対話したいとき、親は子供に向かって"Look me in the eye."(わたしの目をしっかり見て!)と言います。

それは、「わたしはあなた(子供)に関心を払っていますよ」「あなた(子供)の言うことを真剣に聞きますよ」「だからあなた(子供)も真剣にわたしの言うことを聞いてね」というサインなのです。

こうやって親の真摯な気持ちが子供に伝わることで、問題を抱えているお子さんは安心するでしょうし、親に黙ってなにか後ろめたいことをしたお子さんは、嘘をつくのは良くない、真実を語ることが重要だと学ぶことでしょう。

これは大人になっても同じです。頻繁に目をそらす、相手の目をほとんど見ないなどの行為は、相手との信頼関係を損なう可能性があり、英語のコミュニケーションではとくに気をつけなければなりません。

でも、英語圏の人たちが相手の目をしっかり見て話すことを子供の頃から習慣的に身につけているのに対し、われわれ日本人は目と目をしっかりあわせるのが得意ではないかもしれませんね。相手をじっと見つめるのは失礼ではないかと感じたり、恥ずかしいと思ったり、さまざまな理由があるからでしょう。

いずれにせよ、お子さんはかならずや将来英語を通じて世界の人々とコミュニケーションするでしょうから、普段から話す際には親子でアイコンタクトを意識するのが良いと思います。

②ジェスチャー

②ジェスチャー

みなさんもテレビや動画で英語圏の人が話す様子をご覧になったことがあるでしょう。彼らを良く観察すると、顔の表情や声のトーンだけでなく、身振り手振りを大きく使っているのがわかります。ジェスチャー(またはボディランゲージ)と呼ばれる非言語情報です。

とくに「手の動き」は重要で、先生や親が子供に話しかけるときには、"Listen!"(聞いてね)と言いながら、両手を大きく広げます。子供が何か良いことをしたときにも、"That's great!"(すごいね)と言いながら同じように両手を広げ、賛辞の気持ちを表します。この動作は子供の注意を引くだけでなく、伝えたいことを強調する役目があります。

ほかにも、「うなずく、首を横にふる」などは、肯定、否定を表すときによく使います。たとえば、先生や親が子供に対しその言動を認めるときは、しっかりうなずきながら、"OK. You're right."(そうだね、あなたの言うことは正しいよ)などと言います。

逆に否定したいときには、首を大きく横に振りながら、"No, I don't think it's a good idea."(それはちょっと賛成できないね)などと言って意思表示をします。また、驚いたときには、"Really?"(ほんと)と言いながら、両手のひらを上に向けて肩をすくめたりもします。

もちろん、それらをすべてまねする必要はありませんが、英語は意思表示をしっかり行う言語であること、音声とともに仕草がとても豊かであること――グローバル社会において、それらをお子さんが英語を通じて学ぶことはとても大切だと思います。

③タッチ

③タッチ

タッチ(touch)は子供にもっとも伝わりやすい非言語情報として知られており、その代表的なものはハグ(hug)とキス(kiss)です。

英語圏の国々では、しばしば親が子供に対し愛情を示すためにタッチをします。"I love you."(愛してるよ)という言葉とともにハグする、"Don't worry."(心配しないで)と声をかけ、おでこに優しくキスするなどです。そのような言語・非言語両面からの温かいアプローチを受けたお子さんは、社会的にも人間関係でも上手に成長していくといわれています。

将来お子さんが大きくなったときにも、このような非言語コミュニケーションを覚えていれば、いきなり相手にハグされても、軽く頬にキスされても、びっくりすることはありませんね。

最後に、お子さんの一番のお手本は親御さんです。忙しさに負けてつい忘れがちになるかもしれませんが、これまで述べてきたように、非言語情報は言語を補う大切なコミュニケーション・ツールです。普段から非言語コミュニケーションを意識して、親子で楽しく英語学習を進めてください。


光藤 京子(みつふじ きょうこ)先生

執筆家、異文化コミュニケーション・英語教育コンサルタント。会議通訳、翻訳ビジネス、東京外国語大学などでの指導経験を生かした書籍、記事ブログを多数執筆。代表作の『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、ベストセラーになった『何でも英語で言ってみる! シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか、『英語を話せる人 勉強しても話せない人 たった1つの違い』(青春出版社)、『英語だって日本語みたいに楽しくしゃべりたい リアルライフ英会話 for Women』(大和書房)、『伝わる英語 5つの鉄則』(コスモピア)など。最新作に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。

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