ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 専門家の先生による、英語教育に関する記事 > 家庭でできる、英語の語彙の増やし方【英語教育コンサルタント・光藤京子先生】

専門家の先生による、英語教育に関する記事

家庭でできる、英語の語彙の増やし方【英語教育コンサルタント・光藤京子先生】

子供はいつ頃から単語を習得するの?

それは「この世に生まれた瞬間から」といって間違いないでしょう(赤ちゃんの異なる音を認識する力は、おなかにいるときにすでに育っています)。
赤ちゃんは、はじめは単語を音のかたまりとして認識します。そのうち単語や単語の組み合わせであるフレーズには一つひとつ意味があることを理解するようになります。やがて年齢が進み、知識や体験が増えると、知っている単語の数も、自分が使える表現の幅も、飛躍的に増えていくのです。

この言語習得の過程は、どのような言語でもおそらく同じです。
赤ちゃんや幼い子供ははじめ、自分に対して大人がよく使う言葉に気づきます。「ママ、パパ」、「おっぱい、ご飯、ワンワン(犬)」、それらといっしょに使われる「飲む、食べる」「小さい、かわいい」などは毎日耳にする身近な言葉ですから、自然に記憶としてインプットされ、おぼえるスピードもはやいのです。

英語学習にも、この母語の習得過程が応用できます。
お子さんにとって身近なもの、よく目にするもの、すなわち「具体的な単語」から語彙を増やしていくのが良いでしょう。
とくに「具体的な」という点は重要です。目に見えないもの(大きな数、曜日、季節)を表す単語は抽象度が高いので、低年齢のお子さんにとっては難しすぎることもあります。

でもMonday, Tuesday, Wednesday...など、ある部分が同じ音とリズムで構成されている単語群にお子さんが興味をもつことはよくあります。「興味をもつ」というのは学習にとってとても大切ですから、意味をきちんと理解していなくとも、それはそれで良いと思います。

要は、「語彙を増やしていく際、選ぶ単語はお子さんの年齢や母語の習熟度に合わせること」、「母語で理解できることは英語でも大体理解できる」と判断すれば間違いないです。

名詞の身につけ方

名詞の身につけ方

赤ちゃんに限らず、小さな子供にとって身近で具体的なものとは、食べ物、動物、乗り物、家のなかにあるもの、絵本やビデオでよく目にするものです。
また年齢に応じてそのとき1番興味のあるものも、おぼえやすいと言われています(「好き」「楽しい」といった感情が、記憶の定着に貢献するからです)。

子供は動物が大好きです。身近にいる動物(dog, bird, cat...)、動物園にいる動物(panda, penguin, kangaroo...)は、実際に見たことがなくてもビデオや絵本ですでに遭遇しているのでおぼえやすいでしょう。
子供はお家やレストランで目にする食べ物にも興味があります。果物の名前(apple, banana, peach, grapes...)、朝食(milk, juice, egg, bread...)、レストランのメニュー(spaghetti, pancakes, hamburger...)なども、実物(または絵本など)を指差しながら口にだして教えると効果があります。

また、「色(red, blue, yellow...)」は具体的なものではありませんが、実際に目に見えるので子供は好きです。
ある程度の色の種類をマスターしたら、絵や実物を指しながら"What color is this?"とお子さんに聞いてあげると、得意そうに"Red!" "Blue!"などと答えるでしょう(ここで「得意そうに」は大切です。お子さんが「できる!」と思うことが重要だからです)。

なお、ここでアドバイスがひとつ。単語はくり返して聞かないと(または口にしないと)記憶に定着しません。どんなに頭の良いお子さんでも、はじめての単語を1回聞いただけでおぼえることはできないでしょう。
子供がくり返しその言葉に接することができる工夫、たとえば単語やフレーズのくり返しが多い歌や絵本を利用するのはオススメです。

動詞の身につけ方

動詞の身につけ方

人生経験が少ない小さなお子さんにとって、動詞の習得は名詞よりやや難しいです。いつ頃動詞を導入するかは、お子さんの母語の発達がひとつの目安になりますが、絵本や歌、ビデオのなかで自然におぼえるようであれば、それにこしたことはありません。

家で遊びを交えてできることとして、たとえばrun(走る)、walk(歩く)、jump(飛ぶ)、sit(座る)、stand(立つ)、dance(踊る)、sing(歌う)、eat(食べる)などの動詞は、親御さんが英語で指令をだし、お子さんにその動作を再現させると喜んでやるでしょう(動作といっしょに体でおぼえるのは、記憶の定着という意味で一定の効果があります)。
少し大きなお子さんの場合は、親子でジェスチャー・ゲームのようにしてやると楽しいと思います。

一方、基本動詞にもかかわらず、未就学のお子さんには難しい動詞もあります。
do/make/take/putなど、少し抽象的な動詞です。これらの動詞は単語そのものを単独でおぼえさせるのではなく、すでに知っている名詞と組み合わせたり、フレーズのなかでおぼえさせたりするなどの方法があります。このときも動作や体験といっしょに学習すると効果が上がります。

たとえば、目の前に組み立て式のブロックのおもちゃがあれば、"Let's make a house./ Let's make a car." などと親御さんが英語で言いながら、お子さんといっしょに家や車を作ってみましょう。
日々このようなことをくり返しているうちに(ここでもくり返しが大切です!)、ある日お子さんの口からmake a houseなどのフレーズが自然に出てくるようになれば、それはたいしたものです。

ほかにも、クッキーを入れた瓶からクッキーをとりだし、"take a cookie/two cookies" のように声にだしていっしょに言ってみるのも楽しいです。少し大きなお子さんには、take+名詞の形を応用し、"Take a hat!" "Take a bag!" など、家にあるものを次々と手に取って持ってこさせるのも効果があります。

語彙を増やす過程は、気長に楽しく!

語彙を増やす過程は、気長に楽しく!

1) 身近で具体的な単語を導入する
2) 動作や体験とともにおぼえさせる
3) なんどもくり返して記憶に定着させる

ことが大事です。

基本的にこれらは母語の習得過程となんら変わりません。
異なるのは、母語は日常のなかで自然に獲得されるのに対し、英語やその他の外国語はそうはいかず、人工的な努力(しかしそのなかでもなるべく自然に近い形が良い)がかなり必要だということです。

いずれにせよ、とくに未就学のお子さんの場合は「英語を学ぶのは楽しい、続けたい」という感覚をもたせることが一番ですから、親御さんはむやみに焦らず、気長にお子さんの性格や成長の度合いを観察しながら、少しずつ語彙を増やしていくのが良いでしょう。

なお、語彙を増やすには歌やナーサリー・ライム(※)、ビデオ、絵本、ゲームなどを楽しみながら活用する方法がいろいろあります。家庭でできる具体的な方法については、次回の記事でご紹介します。

※ナーサリー・ライム:英語の音やリズムが学べる子守歌や遊戯歌、なぞなぞ歌などの英語の童謡。


光藤 京子(みつふじ きょうこ)先生

執筆家、異文化コミュニケーション・英語教育コンサルタント。会議通訳、翻訳ビジネス、東京外国語大学などでの指導経験を生かした書籍、記事ブログを多数執筆。代表作の『働く女性の英語術』(ジャパンタイムズ)、ベストセラーになった『何でも英語で言ってみる! シンプル英語フレーズ2000』(高橋書店)のほか、『英語を話せる人 勉強しても話せない人 たった1つの違い』(青春出版社)、『英語だって日本語みたいに楽しくしゃべりたい リアルライフ英会話 for Women』(大和書房)、『伝わる英語 5つの鉄則』(コスモピア)など。最新作に『する英語 感じる英語 毎日を楽しく表現する』(ジャパンタイムズ)がある。

専門家の先生による、英語教育に関する記事

ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 専門家の先生による、英語教育に関する記事 > 家庭でできる、英語の語彙の増やし方【英語教育コンサルタント・光藤京子先生】