専門家の先生による、英語教育に関する記事

感謝祭01

今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、アメリカの歴史に由来するThanksgiving Day「感謝祭」の楽しみ方や、Thanksgiving Dayにまつわる絵本をご紹介します。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「英語のインプットを徐々に進めている2歳半の娘が、アウトプットを始めるタイミングは?」というご質問にお答えしています。年齢に配慮したアウトプットの始め方を教えていただきました!

10月31日のHalloweenが終わると、秋も深まる11月。アメリカでは11月の第4木曜日に、Thanksgiving Day「感謝祭」のお祝いがあります。遠く離れている家族もこの日は実家に集まり、家族皆で七面鳥やかぼちゃのパイなどのご馳走を食べるのが習わし。
実はこのお祝いは、アメリカの歴史と深いかかわりがあるのです。アメリカの小学校では、この感謝祭の劇も演じられます。

そこで、今回は感謝祭についてのお話と、感謝の気持ちを伝える英語の表現をご紹介しましょう。子供向きに書かれた感謝祭にまつわる本もたくさん出版されていますが、とても心温まるストーリーです。

■Thanksgiving Dayはいつから始まったの?

1621年に初めて、Thanksgiving Dayが行われました。そのお話を子供たちにも伝えられるように、簡単な英語でご紹介しましょう。

The first British settlers, the Pilgrims, landed at Plymouth rock in 1620. But it was very cold that winter, and a lot of people starved and died. Then, they made friends with the Native Americans, and they taught survival skills, how to plant corn and how to build a house and so on. Fortunately, they succeeded in surviving next year and celebrated their harvest、the first Thanksgiving day, with the Native Americans in 1621.

初めてのイギリスの開拓移民たち、すなわちピルグリム・ファーザーズの人たちは、1620年にプリマス・ロックに到着しました。
その冬はとても寒く、多くの人々が飢えて、亡くなりました。それから、ネイティブ・アメリカンの人々と親しくなり、彼らは生き残るすべ、トウモロコシの植え方や家の建て方などを教えてくれました。
幸いにも翌年は無事に皆が生き残ることができて、収穫を、そして最初の感謝祭をネイティブ・アメリカンの人々と1621年に祝いました。

■小学校で行われる感謝祭の劇

アメリカの多くの小学校では、pageant(ページェント)と呼ばれる、歴史上の物語を描いた劇が演じられます。その代表が、感謝祭とクリスマスの劇です。小学校や地域の教会、コミュニティーでも行われる、地域の一大イベントなのです。

小学校では教師が監督や演出を務め、保護者はセットや衣装を作り、子供たちが演じます。ピルグリム・ファーザーズの役、ネイティブ・アメリカンの役、七面鳥の役、周りの樹木の役など、皆が役につきます。七面鳥を囲んで、皆が嬉しそうにご馳走を食べているシーンがフィナーレです。

劇の当日は、学校の講堂に大勢の保護者や地域の人々が集まります。そして、翌日の地域の新聞には、「子供たちはとても熱心に演じていた。保護者も我が子の演技に、大いに拍手を送っていた」などの記事が、写真付きで紹介されます。

子供たちは小学校で、この開拓の歴史を必ず習いますが、こうしたページェントがより身近に歴史を感じるための大切な役割を担っているのです。

■感謝祭にまつわる絵本

こうした感謝祭の歴史を教える、もっと簡単な英語で書かれた本がたくさん出版されていますので、ぜひ手に取ってお子さまにも読んであげてください。

例えば、次の絵本などがオススメです。

The First Thanksgiving:A Lift-the-Flap Book(Nancy Davis作)

この絵本では、"There are the people who taught them how to fish and hunt, to sow and plow."などと説明があり、小さなページを開けると魚がつれたり、トウモロコシが植えられたりしていて、かわいい絵本になっています。

■感謝祭のディナーの前に、家族や友人に感謝の言葉を伝えよう

感謝祭では、七面鳥、パンプキンパイ、クランベリー・ソース、マッシュポテト、クラムチャウダーなどが伝統的な料理です。七面鳥を食べるのはクリスマスではないの?と思う方もいらっしゃると思いますが、感謝祭でいっぱい食べてしまうので、飽きてしまい、クリスマスにはチキンを食べる方が多いと伺いました。

さて、このパーティの前には、まずは家族や友人に感謝の言葉を伝えます。

"I'm thankful for mom and dad. You always help me."
(パパとママに感謝します。いつも私を助けてくれます。)

"I'm thankful for my good friends, Steve and Ben. You always help me with my English!"
(仲良しの友達のスティーブとベンに感謝します。いつも英語で助けてくれます。)

"I'm thankful for my grandma and grandpa. You always take me out to restaurants and parks."
(おばあちゃんとおじいちゃんに感謝します。いつもレストランや公園に連れて行ってくれます。)

そして、皆で乾杯します。

"Happy Thanksgiving Day!"
(楽しい感謝祭に乾杯!)

こんなアメリカの文化に触れて、ご家庭でも勤労感謝の日に感謝の言葉を伝え合うのも楽しいですね。

■感謝の気持ちを伝え合う表現

感謝の言葉を伝えたら、「どういたしまして」にあたる、答え方の表現も使ってみましょう。

"Thanks."(ありがとう。)

"You're welcome."(どういたしまして。)

"Thank you."(ありがとう。)

"Not at all."(どういたしまして。)

"Thank you very much."(どうもありがとう。)

"(It's) my pleasure."(どういたしまして。)

気持ちを素直に表し、応答も忘れずに返します。ぜひ使ってみてください。


『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』
第27回:2歳半の娘がアウトプットを始めるタイミングはいつから?

感謝祭02

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

DWEを始めて1年半くらいの2歳半になる娘がいるのですが、だんだんと歌の一部や色や数、動物などの単語が言えるようになってきました。
インプットは徐々にできてきたように思えるのですが、実際にネイティブの先生といつから電話レッスンなどで、アウトプットを始めてよいのかタイミングを図りかねています。
まだ話しかけられても答えられないし・・・と尻込みしてしまっているのですが、いつ頃から始めればよいものでしょうか。

◆佐藤先生のご回答◆

2歳半で歌の一部が歌えて、色や数、動物などの単語が言えるようになってきたのですね。素晴らしいです!お子さまも、きっとDWEの教材を楽しんでいらっしゃるのだと思います。

2歳半というと、日本語でもやっと意思の疎通ができるようになってくる時期ですね。しかし、まだ音をうまく作り出すスキルがしっかりしていないので、そばにいつもいるママでないと、お話が通じないことがよくあります。
言語調査で幼稚園に伺うことがよくありますが、3歳半のお子さまでも、何を言っているのか、少し理解に苦しむことがあります(笑)。それでも、面と向かって話をすれば、心を開き、いろいろとお話してくれますが、電話越しだとより聞き取りにくいものです。

まだフリーカンバセーションでの電話レッスンは難しいと思いますので、まずは先生と一緒に歌を歌うレッスンからはじめてみると良いと思います。

英語のアウトプットに関しては、遊びの中で習った単語を使って、ママやパパとお喋りすることをまずはオススメします。

ママ:Are you a monkey?
子:NO! I'm not a monkey.

ママ:Are you a panda?
子:NO! I'm not a panda.

ママ:Do you like pink?
子:Yes! I like pink.

こんな会話をしても楽しいですし、3歳半を過ぎれば、クイズを出し合うこともできますよ。

ママ:I can jump!
子:Are you a kangaroo?
ママ:Yes, I'm a kangaroo.

ママ:I can fly!
子:Are you a bird?
ママ:Yes, I'm a bird.

覚えた動物を使ってクイズを出し合い、ジェスチャーもつけて動物になりきると楽しいです。ぜひお試しください。


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子供の言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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