専門家の先生による、英語教育に関する記事

体を動かしながら英語を覚えよう
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、親子で楽しく体を動かしながら英語を覚えられる方法をご紹介いただきました。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、「子供が話す文法が間違っているときは直すべき?」というママからのご質問にお答えしています!

絵本は親子で楽しめるすばらしい教材

前回のエッセイでは、絵本を使って絵を描いたり、描いた絵をもとに親子で英語のやりとりをしたりしながら、色や形を覚える遊び方についてお話ししました。
絵本は親子で楽しめるすばらしい教材で、他にもさまざまな活用法があります。
絵本に付属のCD・DVDの音楽に合わせて体を動かしたり、絵本に書かれている内容を体を使って表したりすることもオススメです。
今回は、体を動かしながら、楽しく英語を覚えられる遊びをご紹介します。

絵本に載っている単語でチャンツして遊ぼう

チャンツをご存知ですか?
チャンツとは、リズムや音楽に合わせて、単語やフレーズを反復する指導法です。 2拍子の曲をかけて、その曲に合わせて英語を反復すると、楽しく英語を練習できます。

絵本に載っている単語やフレーズはチャンツで遊ぶのにぴったりです。
例えば、「ディズニーの英語システム」(DWE)の絵本・Fun with Words 3のp.4やpp.18-19には動作を表す動詞やフレーズが載っています。
こちらの単語やフレーズを使って、次のような流れで遊ぶことができます。保護者がジェスチャーをつけてあげると、子供は英語の意味がよくわかりますよ。

① 保護者と子供が交互に単語を反復する

保護者:"fly"(飛ぶ)と言いながら飛ぶまねをする
子供:"fly" と言いながら保護者の動作をまねする
保護者:"rush"(急いで行く)と言いながら両手を振って急ぐまねをする
子供:"rush" と言いながら保護者の動作をまねする
保護者: "ride a bike"(自転車に乗る)と言いながら自転車をこぐまねをする
子供:"ride a bike"と言いながら保護者の動作をまねする

② 単語の反復に慣れてきたら、単語を使ったフレーズを反復する

保護者:"Can you fly?"(飛べる?)と言いながら飛ぶまねをする
子供:"Can you fly?"と言いながら保護者の動作をまねする
保護者:"Can you ride a bike?" (自転車に乗れる?)と言いながら自転車をこぐまねをする
子供:"Can you ride a bike?"と言いながら保護者の動作をまねする
保護者:"Can you skip?"(スキップできる?)と言いながらスキップする
子供:"Can you skip?"と言いながら保護者の動作をまねする
保護者:"Can you drive?"(自動車の運転はできる?)と言いながら車を運転するまねをする
子供:"Can you drive?"と言いながら保護者の動作をまねする

③ さらに慣れてきたら、フレーズとそれへの答え方を反復する

ここでは、Yes, I can.(うん、できるよ。)/No, I can't.(いいえ、できないよ。)を答えさせます。

保護者:"Can you fly?"と言いながら飛ぶまねをする
子供:"No, I can't.
保護者:"Can you hop?"(跳ねられる?)と言いながら跳ねる
子供:"Yes, I can."
保護者:"Can you run?"(走れる?)と言いながら走る
子供:"Yes, I can."

英語の数は歌で覚えよう

チャンツだけでなく、歌も絵本で学習した英語を練習するよい方法です。
絵本で子供が英語の数の概念を把握できたら、英語の数え歌を使って遊ぶことができます。
ここでご紹介する"Seven Steps"は小学校でもよく歌われているアメリカ民謡で、YouTubeにも動画がありますので、是非活用してみてください。

【"Seven Steps"の歌詞】

♪One, two, three, four, five, six, seven(1、2、3、4、5、6、7)
One, two, three, four, five, six, seven(1、2、3、4、5、6、7)
One, two, three, one, two, three(1、2、3、1、2、3)
One, two, three, four, five, six, seven(1、2、3、4、5、6、7)
One, two, three, one, two, three(1、2、3、1、2、3)
One, two, three, four, five, six, seven(1、2、3、4、5、6、7)♪

【"Seven Steps"の遊び方】

  1. 親子で向かい合わせになり、2人で手をつなぎ、輪を作る(※1)。
    ※1 きょうだいやお友達がいるときは、2人以上で遊ぶこともできます。

  2. "Walk seven steps to the right."(右に7歩。)と言った後、右に7歩歩く。歩くときは、"♪One, two, three, four, five, six, seven"と一緒に歌いながら歩く。

  3. "Walk seven steps to the left."(左に7歩。)と言った後、左に7歩歩く。歩くときは、"♪One, two, three, four, five, six, seven"と一緒に歌いながら歩く。

  4. "Clap your hands."(手を叩いて。)と言った後、"♪One, two, three"と歌いながら、向かい合わせのまま手を叩く。

  5. "Stamp your feet."(足踏みして。)と言った後、"♪One, two, three"と歌いながら、向かい合わせのまま、両手を腰に当てて足踏みする。

  6. "Clap your hands."と言った後、"♪One, two, three, four, five, six, seven"と歌いながら、手を叩く。このとき、保護者と子供が手を合わせて叩いてもよい。

  7. 1~6まで練習したら、英語のフレーズと"Seven Steps"の歌を交互に言いながら、動作をつけて踊る。

  8. 3人以上で遊ぶときは、4での英語フレーズを"Walk three steps to the center."(中央に3歩。)、5での英語フレーズを"Go back."(元に3歩戻って。)に変えると、ずっと手をつないだまま踊ることもできる(※2)。

    ※2 英語フレーズと歌詞の組み合わせの例(3人以上で遊ぶとき)
    "Walk seven steps to the right."
    ♪One, two, three, four, five, six, seven 
    "Walk seven steps to the left."
    ♪One, two, three, four, five, six, seven
    "Walk three steps to the center."
    ♪One, two, three
    "Go back."
    ♪One, two, three
    "Walk seven steps to the right."
    ♪One, two, three, four, five, six, seven 

英語を嫌がる子供もチャンツや歌は楽しめる

日常的に英語で話しかけても嫌がらないのは、やはり、0~1歳頃から英語にふれている子供です。3歳以降に英語にふれ始めた子供は、既に日本語になじんでしまっているので、英語に対する拒否反応が出てくる場合もあります。

しかし、本日ご紹介したようなチャンツや遊び歌なら、「英語が好きじゃない!」という子供でも、楽しんで行います。子供は反復が好きなのです。是非、いろいろな曲をかけてチャンツしたり、体を動かしてみてください。

また、市販の英語の絵本には、動物のアクションが描かれている本がたくさん出ています。
絵本に"The bird is hopping. "(鳥が跳ねまわっているよ。)と書かれていたら、読んだ後、ママが鳥のまねをしながら跳ねまわったり、"The monkey is jumping."(サルが跳ねているよ。)と書かれたていたら、ママもサルのまねをしながら跳ねたりすると、子供も思わずまねをして楽しむと思います。

子供に「英語を教えよう!」としないで、「一緒に英語を使ってみる!」という姿勢が、子供の中の英語が好きな気持ちを育てます。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第20回:子供が話す文法が間違っているときは直すべき?

英語教育お悩み解消Q&A第20回

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

2歳10ヵ月の娘の母です。最近娘はおしゃべりがとても上手になってきて、英語も日本語も同じように話してくれるようになってきました。
しかし、おしゃべりの中の細かい間違いが気になります。
例えば、正しくは"at the table"となるところが"in the table"になったり、"in the chair"が"on the chair"になったりします。日本語でも、「一人でやる!」が「一人にやる!」といった感じになります。
こうした間違いは正しく言い直した方がよいのでしょうか?
それとも子供が自分で気づくまでそのままの方がよいのでしょうか?

◆佐藤先生のご回答◆

子供の言葉の文法を直す必要はありません。
こうした言い間違いをする子供は、自分なりに言い方を試している時期で、その内に「これが正しい言い方だ!」と気づきます。そうすると、自然に直しますのでご心配は要りません。
英語圏の子供にも、同様の事例が表れます。
例えば、2歳前の子供は"went"(行った)、"came"(来た)という過去形を正確に使うのに、2歳前後から"goed"、 "wented"、 "comed"などのおかしな過去形をどの子も使い始めます。
それは、無意識の内に「動詞の過去形には-edをつける」という規則に気がついているからです。しかし、2歳を過ぎる頃になると、この規則には例外もあると気がつき、また正確に"went"や"came"を使い始めます。
名詞の複数形でも同様に、"mouse"(ネズミ)の複数形"mice"の代わりに"mouses"と言ったり、foot(足)の複数形feetの代わりにfootsと言ったりする発話が見られますが、自然に直っていきます。
子供の気づく力は偉大ですね!


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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