専門家の先生による、英語教育に関する記事

第19回佐藤先生エッセイ
今回の玉川大学 佐藤 久美子先生のエッセイでは、英語で説明する練習ができる「3ヒントクイズ」についてご紹介いただきます。
また、『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』コーナーでは、小さい頃から英語を話し始めた子供たちは何が違うのか、佐藤先生がじっくり考察しています!

小学校では英語クイズが流行しています

小学校の英語活動では、クイズが流行しています。
例えば、小学校3年生を対象とした文部科学省の補助教材『Let's Try!』では、Unit8 What's this?の目標として、次のように書かれています。

相手に伝わるように工夫しながら、クイズを出したり答えたりしようとする。

具体的には、以下のような問題が出されています。

Hint 1: A fruit. (ヒント1:くだもの。)
Hint 2: Yellow. (ヒント2:黄色。)
Hint 3: Monkey. (ヒント3:サル。)
What's this? - It's a banana. (これは何ですか?―バナナ。)
That's right. (その通りです。)

Hint 1: It's an animal. (ヒント1:動物です。)
Hint 2: It's black and white. (ヒント2:黒と白です。)
Hint 3: It's from China. (中国から来ました。)
What's this? - It's a panda. (これは何ですか?―パンダ。)
That's right. (その通りです。)

(文部科学省『Let's Try! 1』p.32より)

いかがですか?
いきなり「英語でパンダを説明してみて!」と言われても、なかなか言葉がすんなり出てこないものですが、こうして3ヒントクイズにして言ってみると易しく説明することができます。

3ヒントクイズを利用して英語で説明する練習ができますし、もちろんお子さんと一緒に大人が楽しむこともできますよ!

以前、3ヒントクイズを楽しめるかるた・NHK「えいごであそぼ えいごかるた」(佐藤 久美子・監修/幻冬舎/2016年)を作り、大人気になったことがありました。
このかるたの中からいくつかクイズをご紹介しますので、お子さんといっしょにトライしてみましょう!

Quiz 1
Hint 1: It's fruit. (くだものです。)
Hint 2: It's yellow. (黄色です。)
Hint 3: It's sour. (すっぱいです。)
What's this? (これは何ですか?)

Quiz 2
Hint 1: It's an animal. (動物です。)
Hint 2: It has brown spots. (茶色い斑点がついています。)
Hint 3: It has a very long neck. (首がとても長いです。)
What's this? (これは何ですか?)

Quiz 3
Hint 1: It's a drink. (飲み物です。)
Hint 2: It's white. (白です。)
Hint 3: It comes from cows. (牛から生まれました。)
What's this? (これは何ですか?)

答は次のようになります(次の単語が書かれた絵札を選びます)。

The answers are
Quiz 1: lemon (レモン)
Quiz 2: giraffe (キリン)
Quiz 3: milk (牛乳)

英語以外の知識をクイズで復習してみましょう

近年、教科横断型の授業が注目されています。例えば、社会や国語で習ったことを、英語の授業で発表してみる、などという試みです。この授業でも、3ヒントクイズが大活躍します。
例えば、次のようなクイズを作ることができます。

Quiz 1(理科の授業で昆虫のことを習った小学校3年生向け)

Hint 1: I'm black. (私は黒いです。)
Hint 2: I'm small. (私は小さいです。)
Hint 3: I have six legs. (私には足が6本あります。)
Who am I? (私は誰でしょう?)

⇒答はant(アリ)です。six legsの部分をeight legsに変えれば、spider(クモ)が答のクイズにもなります。

Quiz 2(社会で都道府県のことを習った高学年の小学生向け

Hint 1: It's famous for oranges. (みかんで有名です。)
Hint 2: It's famous for tea. (お茶で有名です。)
Hint 3: It's famous for a very high mountain. (とても高い山で有名です。)
What's this prefecture? (この県はどこでしょう?)

⇒答は静岡県です。皆さんが住んでいる県などの特徴を、3ヒントクイズにすれば簡単に説明ができます。

未就学児のお子さん向けにも、英語以外の知識を使った3ヒントクイズを作ることができます。子供が好きなものや、身近な話題からクイズを作ってみると良いでしょう。
3ヒントクイズは難易度を変えれば未就学児から中高生向けまで使えるクイズです。
楽しい英語クイズを、ぜひご家庭でも試してみてください。

『佐藤先生に聞く!英語教育お悩み解消Q&A』第17回:英語優位で話している子供は何が違うの?

第17回Q&A

◆DWEユーザーの方からのご質問◆

子供が2歳になって、日本語をたくさん話すようになってきました。
DWEの曲をかけ流したり、英語イベントに参加したり、できるだけの努力はしてはいますが、やはり日本語が優先してアウトプットされるようで、英語があまり出てきません。
英語優位で話している同じ年くらいのお子さんは、日々どのように英語にふれているのか知りたいです。


◆佐藤先生のご回答◆

お友達と遊ぶときもネイティブのように英語を使っていたある子供のご家庭では、保護者の方が次のようなことを徹底されていました。

・基本的にはご自宅では一般のテレビを見ない
・英語教材に関わるDVDなどのみ見せる
・英語教材に関連するおもちゃだけを与える

このご家庭はかなり熱心な例ですが、他にも次のような方法で英語学習に取り組んでいるご家庭がありました。

・内容がリンクしている複数の英語教材にたくさんふれさせる
・1日に3時間と決めて、英語教材を一緒に使う

教材の内容をリンクさせる取り組みをしている保護者は多く、例えば、英語教材に登場するキャラクターのDVDなどを積極的に見せ、そのキャラクターが現れる本を読み、送り迎えの自転車に乗っている時なども関連するCDを聞いたりしているようです。

こんな風に英語を「聞いて、真似して、話す」ことを繰り返しているうちに、英語の本が自然に読めるようになったお子さんもいました。

しかし、これら方法をすべてのご家庭でが実行できるわけではありません。お仕事をしている保護者の方は、子供と英語教材を使って遊ぶ時間をそんなに長く取れないと思います。
また、どんな学習方法でも、何よりもお子さんの気持ちが大切です。上記の例の子供たちは、保護者に強要されたのではなく、自主的に楽しんでいたからこそ、とっても英語が好きになったのだと思います。

英語の学習は子供が大きくなってからも続きます。まずは焦らず、小さなことからこつこつと続けましょう。簡単な英語のフレーズを親子で一緒に言う機会を増やしてみることがオススメです。
例えば次のような取り組みなら、無理なく続けやすいのではないでしょうか。

・寝る時のひと時に、親子で一緒に英語の絵本を読んで、擬音語や擬声語を発してみる
・週末におもちゃを使って遊ぶときに、簡単な英語のフレーズでやりとりしてみる

子どもは「楽しい!」と思えたら、自主的に英語の学びを続けていきます。保護者の方も、一緒に楽しむ気持ちが大切です。


佐藤先生近影

佐藤 久美子先生

玉川大学大学院 教育学研究科(教職専攻) 脳科学研究所 教授。
長年、子どもの言語獲得・発達の過程を研究し、研究から得られた科学的知見を外国語としての英語教育に応用し、指導法や教材開発を行う。
2016年の3月まで、NHKラジオの「基礎英語3」の講師を通算8年務め、テキスト執筆や番組のプログラムに知見を活かす。さらに、2012年度からNHK eテレの「えいごであそぼ」、「えいごであそぼwith Orton」の総合指導を担当。

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