アメリカの大学を首席で卒業後、芸能界デビューし、海外著名人へのインタビューをはじめ、英会話書籍の出版、絵本の翻訳など、英語力を活かして幅広い活動を続けている関根麻里さん。
現在は韓国出身のご主人とともに、2人のお子さまに「日本語・英語・韓国語」によるトライリンガル子育てを実践中です。そんな関根さんに、語学教育のコツと英語を身につけるメリットついて伺いました。
Q1. 幼少期から英語が身近な環境の中で育ったのですか?
Q2. アメリカの大学生活では、英語について新たな発見はありましたか?
Q3. 海外著名人のインタビューの中で心に残っているエピソードは?
Q4. 英語が話せる一番のメリットは何ですか?
Q5. お子さまの語学教育ではどのようなことを大切にされていますか?
Q6. 幼少期から英語にふれると混乱する?関根さんはいかがでしたか?
Q7. 日本でバイリンガル育児を目指す保護者へのアドバイスをお願いします。
Q1. 幼少期から英語が身近な環境の中で育ったのですか?
はい。もともと私の母が学生時代から英語を学び、話すことができたので、私も小さな頃から英語と日本語の両方を聞きながら育ちました。
家族でよくディズニーのビデオを見たり洋楽を聞いたりしていて、幼少期の私はマイケル・ジャクソンの歌に合わせて、踊りながら英語の歌まねなどをしていたそうです。
周囲にも、英語ができる友達がたくさんいるような環境でした。母は娘の私にも「英語でみんなとコミュニケーションできるようなってほしい」と考え、幼稚園からインターナショナル・スクールに入れることにしたそうです。
そこから本格的に英語にふれることになりました。当時4歳だった私は「もっと友達と遊びたい!」「先生と話したい!」という一心で、日常会話を少しずつ覚えていきました。英語はほぼゼロからのスタートでしたので、週に1度、英語の補習を受けていました。先生と1対1でお話ができるその時間が、とても楽しみだったことをよく覚えています。
そのまま高校まで、インターナショナル・スクールに通いました。先生も生徒もいろいろな国から来た多国籍な環境でしたが、小中高を通じて授業は基本的に英語でした。
たまに生徒が母国語と英語を混ぜて話したりすると、先生に注意されましたね。友達同士で意味が通じたとしても、日本語は日本語、英語は英語できちんと使い分けをしなさいと教育されました。
Q2. アメリカの大学生活では、英語について新たな発見はありましたか?
アメリカで生活したことで、あらためて気づいたことがあります。自分はずっと「日本の文化」の中で英語を使っていた、ということです。
たとえば日本には「謙遜」という文化があって、服装や髪型を褒められたときに「そんなことないですよ」と言ってしまいがちですが、アメリカでは素直に「ありがとう」と返答するんですね。
友達から「そのバッグ、かわいいね」と言われたとき、私は無意識に"No,no...."と反応してしまったのですが、「なぜ否定するの?"Thank you."と言えば良いのよ」と教えられました。
アメリカ人は、褒められたときには素直にお礼を言うんです。そして、「ありがとう」はお互いの気持ちにポジティブな空気を生む素敵な言葉だと感じ、日本語でも英語でも、もっと使っていこうと思うようになりました。
英語は"Yes.""No."と結論を先に言います。曖昧な表現は逆に失礼にあたることもあるので、断るときや相手の間違いに気づいたときには、私も勇気をだして自分の気持ちを明確に伝えるように意識しました。
英語を理解するには、まず文化や習慣の違いを知ることが大切です。アメリカで過ごした大学時代には、後から「そうだったんだ!」と驚くような面白い発見がいろいろありました。大学時代には、自分の考えに自信をもって意思表示する強い精神力を養ったような気がしますね。
Q3. 海外著名人のインタビューの中で心に残っているエピソードは?
帰国後は、ラジオやテレビ番組の中で海外著名人のインタビューも数多く担当させていただきました。中でも、ずっと憧れていたヒュー・ジャックマンさんにお会いできたときは、感動で胸がいっぱいになりました。
映画の宣伝で来日されたとき、ある情報番組の中で私が担当していたコーナーに来てくださいました。
私は本番前に思い切って、ファンとしての思いのたけをぶつけました。大学時代にニューヨークにミュージカルを見に行って、サインをしていただいたことや、オーストラリア時代のインディーズ映画についての話をしたら、「そんな作品も見てくれていたの?ありがとう!」と言ってくださり、あらためてサインを書いてくださったんです。
それ以降何度もインタビューなどでお会いする機会があり、そのたびに「元気だった?家族はどう?」と話しかけてくださるんです。子供が生まれてからは、子育てのアドバイスなどもしていただきました。
今でも忘れられないのは、産休・育休のあとで仕事復帰を悩んでいたときに、 "There's never a perfect timing."(完璧なタイミングなんてないんだよ)とアドバイスしてくれたことです。その言葉を聞いてハッとしました。「ただ待っているだけではだめ。きっかけとは自分でつくっていくものなんだ」ということを気づかせてくれました。
ヒュー・ジャックマンさんに限らず、一流といわれる方々は人間的にも本当に素晴らしく、私も「人間力」のある人になりたいと思いました。
Q4. 英語が話せる一番のメリットは何ですか?
英語は世界の共通語です。英語を話せたことで、世界中のいろいろな人とコミュニケーションを取ることができたことは、私にとって大きなメリットだと感じています。
以前、フランスの映画監督のリュック・ベッソンさんと、マレーシア出身の女優、ミシェル・ヨーさんに、新作映画についてお話をうかがったことがありました。フランス語、マレー語、日本語とそれぞれに母国語は違いますが、お互いに意思疎通ができたのも「英語」という共通言語が話せたからです。
英語を話すことの必要性は、英語圏だけに限ったことではありません。非英語圏でも、英語は必須のコミュニケーションツールです。翻訳やAI技術に頼るという方法もありますが、相手の言葉を自分の耳で直接聞くことで、より正確なニュアンスを理解したり、会話のキャッチボールを楽しんだりすることができます。
文法が間違っていないかと気になることがあっても、まずは「話してみよう!」とプラス思考で考えられるようになったのは、英語のおかげです。世界中の人と良い人間関係を築くために、これからももっと英語力を鍛えたいと思っています。
Q5.お子さまの語学教育ではどのようなことを大切にされていますか?
夫は韓国人なので、日本語と英語に加えて、韓国語も話せる「トライリンガル」を目指して子育て中です。言語に関してはまず子供が「言葉って楽しい!」と思える環境づくりが何よりも大切だと感じます。
我が家では、絵本やDVD、CDなどを使って、生活の中でなるべく自然に3カ国語にふれられるように工夫しています。普段の会話は、基本的に私は日本語と英語、夫は韓国語と日本語で話しかけていますね。子供たちも、それぞれの言語の違いに興味をもっている様子です。
多言語を使いこなせるようになったら良いと思いますが、「勉強させなくちゃ」とか「できないとダメ」というように、子供に無理強いしないように気をつけています。英語の絵本を読むときには、英語でいろいろと話しかけてみたり、3つの言語の単語カードをいっしょに読んでみたり...。
最近では、歌や絵本を日本語・英語・バイリンガルの3つのモードから選択できるゲームがお気に入りで、子供が自分で操作しながら遊んだりしていますね。
5歳の長女は、日本語と英語の両方を話すようになりました。1歳の次女はまだ未知数ですが、焦らずゆっくり親子で言葉遊びを楽しんでいきたいと思っています。
Q6. 幼少期から日本語と英語にふれると混乱する?関根さんはいかがでしたか?
私自身は子供の頃から、日本語と英語の使い分けができなくなった記憶はないんですよ。よく、「夢はどっちで見るの?」と聞かれるのですが、夢の中では英語を話す人と日本語を話す人がはっきり分かれているんですね。日本語を話す友達とは日本語で、英語を話す友達とは英語での会話になります。
子供の頃からそれぞれの言語回路で思考していたように思います。幼児期に学校の先生から、日本語と英語の使い分けを厳しく指導されていたことが良かったのだと思います。今、子供たちと会話をするときにも気をつけるようにしています。
Q7. 日本でバイリンガル育児を目指す保護者へのアドバイスをお願いします。
アルファベットのポスターは、芸人ニュークレープのナターシャさん描画によるもの
子供の頃から主体的に英語に親しむことができたのは、私自身、英語が「楽しい!」と思えたからです。他の教科でも同じですが、子供は楽しいと思ったことは自分からどんどん吸収していきますよね。
私の一番の楽しみは、多国籍の友達と遊んだり、外国の先生からいろいろな話を聞いたりすることでした。
たとえば目の前に英会話の相手がいなくても、今はSNSなどを利用すれば英語ネイティブの方とも簡単にやりとりができる時代です。海外の好きなスターの投稿にコメントをすれば、メッセージを返してくれるかもしれません。
いっしょに英語を学んでいるお友達をつくるのも良い方法だと思います。そして何より、親が楽しんでいる姿を見ると、子供は自分も英語を話したくなるようですよ。私は英語を使うときには、常に笑顔で楽しい話をするように心がけています。
そんな姿を見た娘が、「英語を話しているママってカッコいい!」と言ってくれました。家族みんなで笑いながら英語にふれる環境を、日常の中につくってみるのはいかがでしょうか。私も毎日、子供といっしょに成長することを楽しんでいます。
インタビューを終えて
「もっと知りたい」「英語を使って話をしたい!」という好奇心を原動力に、幼少期から英語力を培ってきた関根麻里さん。芸能界デビュー後は俳優のレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリーなど海外スターのインタビューを数多くこなし、英語が話せることで世界はいっきに広がりました。お子さまの未来の可能性や選択肢を広げるため、まずはご家庭で英語にふれる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。
お父様の関根勤さんといっしょに
プロフィール:関根 麻里(せきね まり)
1984年、東京都出身。インターナショナル・スクールからアメリカのエマーソン大学に進学し、首席で卒業。帰国後に芸能活動を本格的に開始。語学力とマルチな才能でバラエティ、ラジオ、ナレーション、舞台などで活躍中。2児のママ。父はタレントの関根勤さん、夫は韓国出身のアーティストのKさん。翻訳絵本『リトルレッド あたらしい あかずきんの おはなし』、『ラプンツェル あたらしい かみながひめの おはなし』(共に文化出版局)が発売中。
Instagram:@marisekine
HP:浅井企画