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英語教育に関するニュース

世界の子供たちのイメージ

文部科学省が、2023年7月31日に公表した全国学力学習状況調査(全国学力テスト)結果で、中学3年生を対象にした英語テストの集計が話題になりました。「聞く、読む、書く、話す」の4技能のうち、「話す」テストの平均正答率は1割強と低く、自分の意見を表現する力に課題がみられたのです。これを受け、文科省では「授業で即興のやりとりやスピーチなどを継続して行うことが重要」とし、英語教育改革の更なる改善の必要性を示しました。

グローバル化が進む中、お互いの考えや気持ちを世界共通語である英語で伝え合う力は不可欠です。国際社会で通用する生きた英語力をどのように身につけたら良いの?と悩むママ・パパも多いのではないでしょうか。 ここでは、海外の英語教育事情や専門家の意見をもとに、子供の「話す力」=英語コミュニケーション能力の高め方について考えていきます。


全国学力テストで分かった「子供の英語力」の課題とは?

日本人はなぜ英語のコミュニケーションが苦手なの?

英語を母国語としないヨーロッパの子供たちは、なぜ英語が話せるの?

家庭で子供の英語コミュニケーション能力を高めるには?

まとめ


全国学力テストで分かった「子供の英語力」の課題とは?

「自分の考えを英語で話す力」を養うことが重要

2023年度の全国学力テストは、すべての小学6年生と中学3年生を対象に約200万人が参加して実施されました。国語・数学に加え、4年ぶり2回目となった中3の英語テストの平均正答率を詳しく見ていくと、「聞く」58.9%、「読む」51.7%、「書く」24.1%に対し、「話す」は12.4%で、1問も答えられない生徒が6割を超えるという結果に終わりました。中でも正答率が低かったのは、「プラスチック製のレジ袋を売るのをやめるべきだ」という主張に対する自分の考えと理由を述べるという問題で、正答率はわずか4・2%でした。 英語のプレゼンテーションを聞き、限られた時間内で自分の意見を話せるようになるには訓練が必要だ、設定が難し過ぎるといった声も多く聞かれました。

文科省では2020年度から英語教育改革を推し進め、新学習指導要領の中で「実際に英語でコミュニケーションができる能力」や「社会的な話題も英語で理解し、自分の考えを英語で話す力を養う」ことを重視するとしてきましたが、定着するにはまだ時間がかかりそうです。

日本人はなぜ英語のコミュニケーションが苦手なの?

日本人が「英語が苦手」とされる3つの定説

「日本人は英語が苦手」という意見をよく耳にしますが、英語が苦手な人にとって、英語を使ってコミュニケーションを取ることはさらにハードルが高いといえるでしょう。日本人が英語が苦手とされる理由には諸説ありますが、定説になっているのが下記の3つです。

1.英語と日本語の言語距離を原因とする説

第二言語習得研究の観点から、英語と日本語は共通点が少なく、「文の構成=文法」や「単語のつづり=スペル」などが日本語とは異なるかけ離れた言語である。そのため身につくまでに時間がかかり、英語習得のハードルが高い。

2.英語を日本語に翻訳するからという説

日本の英語教育では、和訳や文法の勉強が重視されてきたため、英語を見聞きすると頭の中で日本語に訳し、日本語として理解しようとする。会話の際にもいちいち翻訳してしまうため、スムーズなコミュニケーションが行えない。

3.英語がしゃべれなくても生きていける説

日本にいる限り、英語を使わなくても生活に困ることがない。ネイティブ・ノンネイティブと英語でコミュニケーションをとる機会も多くないため、結果的に英語を学ぶ必要性を感じなくなり、学習モチベーションが上がらない。

確かに日本にいれば、学校でも家庭内でも基本的に日本語だけでOK。英語を聞いたり話したりする機会はほぼありません。日本は英語のコミュニケーション能力が身につきにくい環境にあるといえそうです。 また、日本の英語教育が「受験目的」になっていて、英語がコミュニケーションツールとして捉えられていないからとする説も有力です。 「英語=勉強」であり、「間違ったら恥ずかしい」という気持ちから人前で英語を話すことに抵抗を感じてしまい、結果的に「話す力」が伸び悩んでしまうというのです。

非英語圏でありながら、国民の英語力が高いヨーロッパの国々

日本が英語に苦戦する一方で、世界には日本と同様に非英語圏でありながら国民の英語力が高い国がたくさんあります。 英語を母国語としない人を対象に、世界規模で行われる英語能力テスト「EF SET」(エフセット)※で常に上位を占めているノルウェー、デンマーク、ベルギー、スウェーデンといったヨーロッパの国々が良い例です。中でも同テストで4年連続トップを維持しているのがオランダで、EC(欧州委員会)のデータによると15歳以上のオランダ人の94%以上がバイリンガル、3カ国語以上を話す人も多く存在するそうです。 ちなみに2022年のEF SETで日本は111カ国中80位。英語能力が「低い(Low Proficiency)」とランク分けされてしまいました。

外国の子供たちの学習のイメージ

これほどまでに高い英語力が身につく理由は、独自の英語教育システムにあるといわれています。世界トップレベルの英語力を誇るヨーロッパ諸国と日本の英語の学習法の違いを見ていきましょう。

※:EF SET (EF Standard English Test) は世界最大規模のイー・エフ・エデュケーション・ファーストが非英語圏向けに開発した英語運用能力を測定するテスト。

英語を母国語としないヨーロッパの子供たちは、なぜ英語が話せるの?

日本の英語学習とヨーロッパの英語学習の違い

日本の英語教育とヨーロッパの英語教育の違い
日本の英語教育
  • 英語は「受験対策」
  • 教科書やドリル中心の授業
  • 読み書きしながら単語や文法を暗記する
ヨーロッパの英語教育
  • 「遊び」感覚で英語に親しむ
  • ポップでカラフルな教材
  • コミュニケーション重視の実践的な授業スタイル
文法よりも「コミュニケーションとしての英語」を重視

ヨーロッパ諸国における英語学習の開始年齢は国によって若干の違いがありますが、一般的には小学1年生から英語の授業が導入されています。英語を習いはじめる時期は日本とさほど変わりませんが、その内容を調べてみると、ちょっと様子が違うようです。

ヨーロッパでは、授業といっても遊びの延長のようなスタイルで、低学年のうちは積み木遊びやお絵描き、パソコンやタブレットを活用してしりとりをしたりしながら英語に親しんでいきます。 子供たちが好きなポップソングを題材にする小学校も多くあるようです。誰もが聞いたことのある英語の曲を流し、モニターに歌詞を映し出してみんなで合唱したり踊ったりしながらネイティブの発音をくり返し聞き、単語の言い回しや発音などを覚えていきます。教科書には楽しいイラストが多数使用され、子供が興味をもつような工夫がなされています。

初等教育では英文法は習わず、主に英語で「何を伝えたいか」、「自分の考えをどう表現するか」の基礎を学びます。もちろん知らない言語を話すのは、子供にとっても勇気がいるものですが、授業では自分が好きなものや家族のことなど、身近で話しやすいトピックをテーマに自由に発表する時間も多く、英語に対する積極性を育むカリキュラムで構成されています。 このようにコミュニケーション能力重視の実践的な教育法は、EF SETランキング上位国の共通点で、日本の英語教育と大きく違う点でもあります。

家庭で子供の英語コミュニケーション能力を高めるには?

オランダや北欧諸国では、家庭でも英語を聞いたり話したりする機会が少なくないようです。テレビをつければ英語圏で制作された子供向けの映画やドラマが吹替なしで放送されていて、子供たちは幼少期から大好きなキャラクターやアイドルたちが使う英語を聞き取りながら、発音や文法を覚えていくといいます。

また、子供を英語の塾などに通わせる家庭は少なく、幼い頃から親が子供に英語を教えたり、会話したりする時間を大切にするそうです。親子の自然な英語コミュニケーションが日常にある家庭環境も、世界トップの英語力を下支えしているといえるかもしれません。

実はここ数年日本でも、家庭で英語環境をつくりだす「おうち英語」で、高い英語コミュニケーション能力を身に付ける子供たちが増えています。SNSでもさまざまな情報がシェアされ、注目されるようになりました。 そこで下記では、第二言語習得・おうち英語を研究する早稲田大学・尾島司郎教授に、おうち英語の進め方のコツとヒントを伺いました。

【尾島司郎先生に聞きました!】
親が英語が苦手でも大丈夫?子供が映像や音声から、英語を学ぶ具体的なポイントとは?

両親ともに英語が苦手でも、子供が高い英語力を獲得しているケースは実際にあります。どんな子供もこれをやれば高い英語力を獲得できるという方法はありませんが、いくつかの条件を満たしている場合、映像教材にも英語学習効果はあると考えられます。 たとえば、子供の認知発達段階に合わせて作成されていること、映像の中で何が起こっているのかが子供にも理解可能であること、子供が自然に興味を惹かれるコンテンツであること、子供が知らない単語や文法規則が適切な分量で、しかもくり返し出てくること、などの条件は必須だと思います。

英会話教室や塾ではなく、幼少期から家で楽しく英語にふれるメリットとは?

英会話教室や塾で英語を学ぶことにももちろん学習効果はありますが、幼少期から家で英語を学ぶ場合、子供が英語にふれる時間をかなり長く確保できることがひとつのメリットです。 実は幼児の英語学習のスピードはあまり速くはないのですが、最終的に高い到達点を目指す場合、幼少期にかなり長時間の英語接触を確保する必要があります。これを達成できた場合、日本国内にいても高い英語力を獲得できる可能性があります。しかし、親にとって決して低いハードルではないことも同時に覚えておきたい点です。

「おうち英語」で、子どもの「聞く力」や「話す力」=英語コミュニケーション能力を高めるコツは?

おうち英語のイメージ

英語を音声でインプットし頭の中に英語を蓄積していかないと英語をアウトプットすることは出来ませんので、最初はたくさんの英語をインプットすることが大切になります。子供から自然に発話が出るようになったら、子供自身が喋りたいと思える相手といっしょにいる環境や時間を作って、アウトプットを促していけば、英語コミュニケーション能力は高められるでしょう。また、同時にインプットも続けていくことも忘れてはなりません。

尾島司郎先生の英語教育情報はこちら

早いうちから英語にふれて親子・子供同士でコミュニケーションを取る

幼少期から家庭で英語にふれる時間をしっかり確保すること、くり返し音声や映像などで英語をインプットして「英語を蓄積」することが大切と尾島先生はいいます。 たとえ両親が英語が苦手でも大丈夫!英語を話すお友だちを作ってアウトプットの環境を整えるなど、進め方を工夫しましょう。

早い時期からたくさんの英語とふれ合い、英語の経験を積み重ねることが、子供のコミュニケーション能力アップに繋がります。ぜひご家庭で実践してみてくださいね。

まとめ

オランダをはじめ、ヨーロッパ諸国の英語教育の最大の特徴は、単に文法や単語の知識を増やすのではなく、コミュニケーションのツールとして英語を学んでいきます。英語が「勉強」になりがちな日本との違いを感じた方も多いかもしれません。幼少期から家庭の中で自然に英語にふれていることも、強みになっているようですね。

小さな頃に「遊び」を通して英語に親しんだ経験は、将来、異文化理解を深め、お子さまの可能性や人生の選択肢を大きく広げてくれるでしょう。ご家庭で日頃から英語に親しみ、英語コミュニケーション能力の基礎作りを目指してみませんか?

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