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英語教育に関するニュース

「ことばの力」を育み、未来を拓く~100年以上の伝統を貫く森村学園初等部の英語教育を取材~

森村学園は1910年(明治43年)、日本の海外貿易の礎を築いた実業家・森村市左衛門によって設立された学校です。幼稚園から高等部までの一貫校として110年以上の歴史を歩み、初等部(小学校)では開校当初より英語の授業を導入。小学校英語の先駆けとして英語教育に力を入れてきました。

2004年からは英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルと提携し、3人のネイティブ講師が全学年の授業を担当。独自に開発したオリジナルの教材を採用し、体験型・探求型の教育に取り組んでいます。
初等部の英語カリキュラムの特色と、これからの時代に必要な英語力について、舘林吉男副校長先生に伺いました。


Q1. 初等部の英語教育の特徴とオリジナルカリキュラムについて教えてください。

Q2.「プロジェクト・アクティビティ」とはどのような活動なのですか?

Q3. 初等部の英語教育でとくに大切にされていることは何ですか?

Q4. 海外研修や英国文化を学ぶ体験型のプログラムについてお聞かせください。

Q5.「ICT」(情報通信技術)は英語教育にどのように活かされていますか?

Q6. 小中高を見据えた英語一貫教育と、これからの子供たちに必要な英語力とは何ですか?


Q1. 初等部の英語教育の特徴とオリジナルカリキュラムについて教えてください。

Q1. 初等部の英語教育の特徴とオリジナルカリキュラムについて教えてください。

独自に開発したオリジナル教材とフォニックスによる6年間の英語教育

日米貿易の先駆者であった本校の創立者・森村市左衛門の意志により、開校2年目には外国人教員による英語の授業を行っており、本校の英語教育には100年以上の歴史と伝統があります。2004年からは英国の公的機関であるブリティッシュ・カウンシルと提携し、イギリス人2名とアメリカ人1名のネイティブ講師によるオールイングリッシュの授業を1年生から導入しています。

1~2年生は40分授業を週1コマ、3~6年生は週2コマ実施しており、4年以上ではクラスを2つに分け、少人数制によるきめ細やかな指導を行なっています。全ての学年で"森村オリジナル"カリキュラムによる授業を展開していることが大きな特徴です。

オリジナルカリキュラムの柱になっているのが、独自に編纂(へんさん)したワークブック型の教材です。英語教育のエキスパートであるブリティッシュ・カウンシルの研究データをもとに、ネイティブ講師たちと我々教員が協力し合ってカリキュラムを精選し、森村の児童たちにフィットした実践的な内容を提供しています。

答えを自ら導きだす「探究型のコンテンツ」を学年ごと・学期ごとに展開

答えを自ら導きだす「探究型のコンテンツ」を学年ごと・学期ごとに展開

たとえば、1つの例として「レストランを開くとしたら?」といったテーマでは、児童たちは思い思いに自由なアイデアを発表しながら語彙力を身につけます。

ピザの種類、ケーキの名前、寿司のネタなど具体的な食品名、料理素材などを辞書で調べたり、わからない単語は直接講師に質問したりしてワークブックに書き込んでいきます。お金の数え方とともに価格の常識なども学べる発展性のあるテーマです。

学年ごとに子供たちの日常生活に即したさまざまな題材を取り入れ、英語への興味が自然に深まるプログラムになっています。あらかじめ正解が用意された問題とは異なり、答えを自ら導きだす探究型のコンテンツが多く盛り込まれている点もポイントの1つです。

またフォニックス(※)による英語学習にも重点を置き、6年間を通して音と文字の関係性を繰り返し学びます。英語の音を論理的に学習することで正確な発音を習得し、英語を聞き分ける高いリスニング力を身につけていきます。これにより発音だけでなく、6年間で読解力のスピードも格段に高まります。

※フォニックス:英語の「発音」と「文字(つづり)」の関係性を学ぶ音声学習法。

Q2. 「プロジェクト・アクティビティ」とはどのような活動なのですか?

座学を超えて野外に飛びだし、自発的に英語4技能を身につける

3年生以上の生徒は「プロジェクト・アクティビティ」(課題探求型学習)に取り組みます。が協働して1つの課題について調べ、まとめたことを英語でプレゼンテーションするグループワークです。

度、3年生は学園内の自然豊かな森で集めたどんぐりや木の枝などをコラージュした作品を制作し、その過程を英語で紹介します。
また、天気予報をテーマに日本各地の気象データを図表に示して発表したり、6年生では"将来の夢"をiPadを使ってプレゼンテーションしたり、先生方一人ひとりにインタビュー取材したものをまとめて発表したりする活動もあります音楽家・バッハについて多角的に調べ、小冊子にまとめあげたグループもありました。

課題の設定から情報の収集・整理・分析・発表にいたるまでを行うこの活動は、児童たちが座学の活動で終わるのではなく、教室を飛びだし「聞く・読む・話す・書く」の英語4技能を自発的に身につける良い機会になっています。多種多様なやりとりを通して、表現力とコミュニケーション能力を高める狙いもあります。

"森村オリジナル"カリキュラムでは、主役は常に児童たち。一人ひとりが積極的に英語と向き合う中で、英語を使う楽しさを実感していきます。ネイティブの講師たちも学校に常駐しているので、森村っ子が昼休みや放課後などに職員室にやって来ては気軽に英語で質問したり、会話を楽しんだりしています。
外国人との日常的なふれ合いを通し、英語をとても身近なものとして捉えているようです。

Q3. 初等部の英語教育でとくに大切にされていることは何ですか?

Q3. 初等部の英語教育でとくに大切にされていることは何ですか?

失敗を恐れず積極的なアウトプットにつなげる英語教育

初等部の英語教育では、まずは「英語って楽しい」「もっと英語を話したい」と英語に興味・関心をもってもらうことを何より大切にしています。そのために、英語は間違えても良い、失敗は怖くないということを常に児童たちに教えています。
英語の講師たちが授業で必ず口にするのは

"Don't be afraid to make mistakes!"
(間違いを恐れないで!)

というフレーズです。最初は誰でも上手に話せないのは当たり前です。失敗を恐れず、積極的に会話する子供に育ってほしいと考えています。

児童たちの「もっと言いたい、話したい」という思いを引きだすために、高学年からは少人数制のクラスでアウトプットにつなげる授業を行っています。英語に対する成功体験を積み重ねることによって、英語へのモチベーションが6年間を通じて高く持続されていると感じます。

Q4. 海外研修や英国文化を学ぶ体験型のプログラムについてお聞かせください。

「ことばの壁」を超えてうちとけ合う姿に早期英語体験の重要性を実感

2019年度から、5~6年生の希望者を対象に、オーストラリア・ブリスベンでの10日間の海外研修をスタートしました(2020年度はコロナにより中止)
初年度となった昨年は19名の児童たちがホームステイしながら現地の伝統ある私立小学校の授業に参加し、同年齢の生徒たちとの国際交流を体験しました。森村学園の児童を対象とした英語レッスンと、現地校生徒との交流授業の2部構成でした。

最初はとまどっていた児童たちも、先生方や現地の生徒たち授業を通してとてもフレンドリーに接してくださる中で緊張がほぐれ、3日目くらいからはいっしょにランチを食べ、元気に遊び回る姿が見られました。森村学園の児童たちが英語の環境にものおじせずに飛び込んでいく様子に、私も引率教員もとても感動しました。
ことばの壁を超え、すぐにうちとけ合えるのは、異性を意識したり、きちんとした英語で話さなければと構えてしまうことがない小学生ならではのメリットです。

本校では、幼稚園から英語にふれる時間を取り入れていますが、早い時期からの英語体験の重要性をあらためて感じました。

オールイングリッシュの「パンケーキ作り」で英国文化を体験

昨年度は、4年生以上の希望者を対象に英語でパンケーキ作りを学ぶイマージョンプログラム(※)3講座実施し、児童たちにも大好評でした。材料や作り方だけでなくイギリスの文化についてもオールイングリッシュで学び、パンケーキを食べながらティーパーティーを楽しみました。
教科の枠を超えた多様なプログラムを、今後も可能な限り導入していきたいと考えています。

※イマージョンプログラム:immersion(浸す)という意味。英語のみの環境に浸りながら英語の習得を目指す教育プログラム。

Q5. 「ICT」(情報通信技術)は英語教育にどのように活かされていますか?

Q5. 「ICT」(情報通信技術)は英語教育にどのように活かされていますか?

自宅学習期間中のオンライン配信では「英語」の授業が人気

本校では全クラスで電子黒板、学園内のすべてのエリアにWi-Fiを設置し、英語の授業などでも必要に応じて1人1台のタブレット端末を活用しています。

またICT(情報通信技術)の授業は、アップル社が認定する"Apple Distinguished Educator"を取得した教員が担当し、球体型ロボットやプログラミング、ゲーム作成など、児童たちが楽しみながら最新テクノロジーを体験できる環境を整えています。実践を通して"知っている"ことを"できるようになる"ことへと導くICTの授業は、教科の枠を超え、あらゆる学びに活かされていると感じています。

2020年度は4月から約2カ月間の自宅学習期間中に、オンライン会議システムを利用して自宅待機の児童と学校をつないだ双方向型のZOOM授業を多数実施しました。

英語の授業では、合計9回のYouTubeによる動画を配信しました。写真を交えた外国の文化紹介シリーズとして、「人気のある甘いデザート」「欧米でのお祭りイベント」「人気のあるスポーツ」「講師のファミリー紹介」など、3人の講師たちによる工夫を凝らした内容と解説で、毎回保護者も含めて多数の視聴者に喜ばれました。

また、4年生以上を対象にクイズ形式でまとめた色刷りプリント課題冊子を作って郵送し、楽しみながら家庭学習にも取り組んでもらいました。

Q6. 小中高を見据えた英語一貫教育と、これからの子供たちに必要な英語力とは何ですか?

Q6. 小中高を見据えた英語一貫教育と、これからの子供たちに必要な英語力とは何ですか?

「ことばの力」を大切に国籍や文化を超えて未来を切り拓く

本校の英語教育は、試験で良い点数を取ることや受験に向けた学習だけが目的ではありません。開校当初から脈々と受け継がれてきた学びの根幹になっているのが、「ことばの力」を大切にした教育です。急激に国際化する社会においては、語学力がますます重要になることは間違いありません。

単語力や文法理解といった英語の知識は必要ですが、それだけでは世界に通用する英語力はなかなか身につきません。大切なのは、英語を運用する力であり、英語で自分の思いを的確に言語化できるスキルだと考えています。そのスキルがあれば、国籍や文化の違いを超えて、世界とコミュニケーションすることが可能になります。

より実践的な言語一貫教育として、学園全体「つくば言語技術教育研究所」所長の三森ゆか先生指導監修による「言語技術教育」を実践しています。初等部は2018年より導入しました。体系的にことばの学習を行い、論理的思考や情報伝達力などを培うプログラムである言語技術教育は、母語だけでなく英語のコミュニケーション・スキルの向上にも必要不可欠です。

幼稚園から高校までの一貫した教育を通じて一人ひとりが豊かな表現力を身につけ、英語と日本語の両言語で、未来を切り拓いていける大人に成長してほしいと願っています。

インタビューを終えて

東急田園都市線つくし野駅からて6分の好立地。総面積81,587㎡という広大な敷地の中に位置する初等部校舎は豊かな森に隣接し、自然とのふれ合いを身近に感じられる環境にあります。
一方で、校舎内にはWi-Fiが完備され、最新の端末機器を積極的に導入。110年以上の伝統を軸足にしながら、これからの時代に必要なICT教育にもいち早く取り組んでいます。また、短期海外研修や異文化理解を深めるイマージョンプログラムに参加する児童たちも多数。
学園内にはネイティブ講師も常駐し、入園・入学当初から英語とふれ合う環境が用意されている森村学園。早期英語体験の重要性をあらためて実感しました。


舘林吉男初等部副校長先生

プロフィール:舘林 吉男(たてばやし よしお)初等部副校長先生

1979年入職。「幼稚園から高等部までの森村英語一貫教育」研究プロジェクトの座長を務め、現在は言語技術の授業を担当。趣味は11歳よりはじめた外国映画鑑賞と映画音楽のレコード収集。イタリア人作曲家の故エンニオ・モリコーネ氏の研究家としても知られ、ローマにある同氏の自宅を夫妻で訪問するなど20年来交流を深めてきた。モリコーネ氏評論や音楽解説など多数あり

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