ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 子供の英語学習における「ユーモア」や「笑い」の力

英語教育に関するニュース

子供の英語学習における「ユーモア」や「笑い」の力

効率良く学習する、記憶力を向上させる......そのために必要なものは何でしょう?

神経科学の側面から注目されているのが、「ユーモア」の力です。学習をしている間、ジョークや言葉遊びによって「笑う」チャンスがあることで、学習者の理解力や記憶力が向上するという研究結果が数多く報告されているのです。

近年では、思わず笑ってしまうようなユーモアを取り入れた学習ドリルや、子供が好きなキャラクターを使った教材の売り上げに向上が見られたり、ユーモアのある授業の試みが広がるなど、教育現場でも笑いを活かした学習方法が着目されています。

ユーモアや笑いが幼児期の学習や語学学習にどのような効果を与えてくれるのか見ていきましょう。

学習における「笑い」の重要性

学習における「笑い」の効果が日本で注目されるようになったのは近年のことですが、海外では比較的長い間(国によっては、何世紀も前から)研究が進められてきた分野です。

笑うことが学習力を向上させるのはなぜでしょう?

そこには、ドーパミンという脳内物質の力があります。
ドーパミンは、笑ったり、快い感覚を得たりすることで私たちの脳内に放出される物質です。ドーパミンが多量に放出されることで、不安や恐怖、悲しみといったネガティブな感情が減少するかわりに、自信や意欲といったポジティブな感情が高まります。

このドーパミンの放出は、瞬間的な感覚だけでなく、モチベーションや長期記憶にとっても重要な効果をもつことが認知力の研究によって証明されています。幼児から大人まで、さまざまな学習者の記憶力を向上させるには、学習にユーモアを適切に取り入れ、ドーパミンの放出を促すことが大きな助けになるのです。

また、笑うこと自体、心拍や呼吸、血圧などの高まりを促し、脳の働きを活性化してくれます。こうした身体的に起こる変化もまた、脳内の注意力や学習力に関わるシグナルを活性化してくれるものと考えられています。

こうした理由から、ユーモアの効果は、学習だけでなく医学的な治療方法としても認められ、海外ではすでに幅広くその力が活用されているのです。

では、幼児期の学習におけるユーモアの効果を具体的に見ていきましょう。

幼児期の学習における笑いの効果

幼児期の学習におけるユーモアの効果を示すものに、パリ・ナンテール大学で認知について研究をするラナ・エッセリー教授が行った以下の研究があります。

研究内容:幼児期の学習におけるユーモアと笑いの効果を調べる
研究対象:月齢18カ月の幼児

研究方法:
1. 研究対象の幼児たちが初めて目にする道具を使い、ある大人が「手が届かない場所にあるおもちゃを手に取る」様子、つまり道具の使い方を各幼児に見せる。これが幼児にとっての課題であり、学習内容となる。

2. 研究対象である幼児たちは、あらかじめふたつのグループに分けられている。第1グループは、「新しい道具の使い方を学習する」という上記課題を、笑うことなく観察・学習する。一方、第2グループが学習する際は、大人がわざとおもちゃを落としたりするなど、幼児の笑いを誘うユーモアが用意されている。つまり、学習する際に「笑わない」のが第1グループ、「笑う」のが第2グループ。

3. 両グループの幼児たちが、新しい道具の使い方をどの程度学習することができたのか、注意力や記憶力などから観察・分析する。

研究結果:
学習中に「笑う」経験をした第2グループの幼児たちは、「笑いがない」第1グループに比べ、注意力、学習動機、知覚力、記憶力そして学習能力のすべての面において数値が優っていることが観察できた。学習目標となる「新しい道具の使い方」を、より効果的に学習していたということになる。


この結果から、ラナ教授は「笑うことで幼児たちの脳内でドーパミン物質が放出され、学習効果が高まった」と結論づけています。また、こうした研究結果を受け、アメリカの行動科学者、スーザン・ワインシェンチェン氏も「ユーモアを取り入れた学習の効果は低年齢のうちから表出する」と述べています。

こうした研究から、幼児にとっても、笑いがあり、楽しみながら学習するほうが学習効果は高まることがわかります。真面目で面白味のない教材やアプリほど教育的と思って選ぶパパやママも多いかもしれませんが、子供にとって純粋に面白いか面白くないか、というのは、教材選びをする上で実はとても大切な要素なのです。

語学学習と笑いの関係性

語学学習と笑いの関係性

ユーモアの活用は、語学学習でも高い効果が報告されています。

アメリカの、ワシントン州立大学・ベル助教授が2009年に発表した研究論文がこの一例です。この論文では、同大学でTESOL(※)取得コースを受講していた海外留学生が研究対象となっています。異文化、また異なる英語力が混在している状況です。

論文では、この学生たちの授業中および授業外におけるやりとりや調査から、ユーモアが異文化理解の手助けとして役割を果たすこと、また、ユーモアのある言葉遊びを通じて、生徒たちのより高い語彙習得や理解につながっていることが報告されています。

この結果から、同論文は、各自の英語力や文化的背景を考慮することを前提としながらも、第二言語学習の授業でユーモアを活用することはとても効果的な手段だと推奨しているのです。

このほか、国内外のさまざまな研究結果から、英語を第二言語として学習する小学生~大学生、大人のレッスンまで、ユーモアを用いた授業に参加した生徒のほうが、授業を「楽しかった」「集中できた」と高く評価する傾向があることが証明されています。

※Teaching English to Speakers of Other Languagesの略。英語が母語ではない人々を対象に英語教授をする資格のこと。

笑いがもたらす安心感

ユーモアが含まれるレッスンや授業を、生徒たちが「楽しかった」と評価するのは、単に「ジョークが面白かったから」というよりも、そこに打ち解けたあたたかな雰囲気が生まれるからだろうと考えられます。

これは特に、幼児期や児童期の学習においては大変重要な要素だといわれています。笑うことでリラックスし「ここは安全なんだ」と感じることで、子供は安心して課題に取り組むことができるため、より高い集中力や注意力を発揮することができるのです。

特に、子供たちにとってあまり親しみのない外国語を学習する場面においては、子供たちが安心感をもつことがいかに大切かは容易に想像できます。

まとめ

ユーモアから生まれる笑い、笑いから生まれる安心感、そこから得られる学習効果。ユーモアや笑いの効果を活かし、幼児期の英語学習の効果をより高められるようにしたいものです。教材を選ぶ際は子供たちが楽しんで取り組むことができるようなものを選び、学習する際はリラックスして学べるような環境づくりを心がけていきましょう。

英語教育に関するニュース

ディズニー英語システム TOP > 乳児・幼児からの英語 > 英語教育に関するニュース > 子供の英語学習における「ユーモア」や「笑い」の力