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外国語の熟達度を測る国際標準「CEFR(セファール)」って何?

小学校での英語教育が必修化となり英語学習への関心がますます高まる中、テレビやインターネット、教育情報誌などで「CEFR(セファール)」という言葉を目にしたことはありませんか?
英語だけでなく、さまざまな外国語学習のレベルを示す国際的な指標として、今話題になっているキーワードのひとつです。「CEFRって何?」「なぜ注目されているの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、日本の外国語教育の現場でも運用が広がっているCEFRについて解説します。


CEFR(セファール)って何?

今なぜ世界中で注目されているの?

ひと目でわかる!CEFRの6段階レベルを解説

新学習指導要領とCEFRとの関係は?

まとめ



CEFR(セファール)って何?

CEFRとは"Common European Framework Reference for Languages"の頭文字を取ったもので、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されています。なかなかピンとこないかもしれませんが、外国語を学んでいる学習者の熟達度を、同一の基準で評価する国際標準規格です。

ここ数年日本でも認知度が高まり、外国語の検定試験や各資格の結果の比較にもCEFRが用いられるようになりました。CEFRは英語を含め、全部で38もの言語に対応しており、欧米を中心に世界中で広く活用されています。

CEFRは、ヨーロッパの統合に取り組む国際機関、欧州評議会(Council of Europe)による20年以上もの研究の末、2001年に発表されました。考案された背景には1993年のEU(欧州連合)発足が関係しています。

EU域内で人や物、資本など、さまざまなものの移動が自由化されたことで、言語によるコミュニケーションが重要視されるようになったからです。EU加盟国では母語とは異なる多言語の習得が課題となり、学校教育においても母語以外に2つ以上の言語(※1)を習得することがEU全域で推進されました。

※1 EU域内で使用されている母語以外のすべての外国語

CEFRって何?


今なぜ世界中で注目されているの?

ヨーロッパで考案されたCEFRが、なぜ世界中で注目され、日本でも活用され始めるようになったのでしょうか。その理由は、さまざまな言語や文化が共存するヨーロッパにおいて、長きにわたりその有効性が認められてきたことに加え、CEFRには従来の評価規格とは異なる優れた特徴があるからです。

<CEFRの特徴>
① 38言語すべてに共通の判断枠が設けられた国際評価規格である。
② 同じ学習者の異なる言語能力を共通の軸で比較することができる。
③ 指導者も学習者も同一の基準で熟達度を共有できる。
④ 点数や知識量だけでなく「何がどのくらいできるのか」という実践的な言語能力を測る。
⑤ 6段階のレベルに細かく分類され、到達目標が立てやすい。

上記の中でも④の「何がどのくらいできるのか」に焦点を当てた"Can-do descriptor"と呼ばれる評価方法は着目ポイントです。

単に知識の「量」だけを測るのではなく、書いたり読んだり、また実際に人と会話をした場合のコミュニケーション能力の水準などを細かく分析し、わかりやすい文章で提示しています。

この評価方法が、実社会でどれくらい活きた言語が使えるかを証明する根拠になり、多言語・多民族化していくグローバル社会に適した世界標準の「ものさし」として活用されるようになったのです。


ひと目でわかる!CEFRの6段階レベルを解説

CEFRは各言語を初歩レベルのA1から、A2、B1、B2、C1、そして最高レベルのC2の6段階に分けて評価しています。

"Can-do descriptor"と呼ばれる文章により、学習者の言語能力別に何ができるのかを具体的に定義づけた一覧になっています。指導者・学習者の課題や学習方針の目安になり、言語習得の到達レベルを明解にするメリットもあります。

CEFRの6段階レベル

段階CEFR「能力レベル別に何ができるか」を示した熟達度






使

C2 聞く・読むなどしてほぼすべての話題を容易に理解し、自分が得た情報を論理的に再構築して流暢かつ正確に自己表現できる。
C1 広範囲にわたる高度な内容の長文やニュアンスが理解できる。さまざまな場面で言葉を効果的に用い、複雑なテーマでもしっかりとした文章構成ができる。






使

B2 自分の専門分野を含め、抽象的でも具体的でも複雑な文章の主要な内容が理解できる。母語話者と自然な会話ができ、幅広い話題について明確で詳細な文章が書ける。
B1 社会生活における身近な話題について主要な点を理解できる。旅行など個人的に関心のあることがらなどで簡単な文や説明ができる。







使

A2 買い物、家族など、直接関係のある日常表現や文が理解でき、簡単なやりとりと情報交換ができる。
A1 相手がはっきり、ゆっくり話し、助けが得られれば基本的な日常的表現と言い回しを理解し、簡単な質問と返答ができる。

出典:「ブリティッシュ・カウンシル、ケンブリッジ大学英語検定機構」を元に要約


新学習指導要領とCEFRとの関係は?

客観的で実用性の高い指標として認められているCEFRは、2004年に日本版が発表されて以来、国内のさまざまな教育機関で使われるようになりました。
また現在、日本の文部科学省による新学習指導要領(※2)では、英語の4技能「聞く・読む・書く・話す」に「やりとりと発表」を加えた5つの領域おいて、「何ができるようになるか」という到達目標をCEFRを参考に設定しています。

国内最大級の英語検定試験とされる英検(実用英語技能検定)も、CEFRに対応したスコア「英検®︎CSEスコア」(※3)を導入しています。
他にも、各民間事業者が行うTOEICテストやIELTSなど、内容や目的が異なる試験の結果をCEFRに置き換えて公平に比較しようという動きが広がり、文部科学省では各資格・検定試験とCEFRの対照表(※4)を公開しています。

中学校で学んでいたことを小学校高学年で学ぶことになる英語教育の低年齢化に伴い、高校での到達目標も従来より高くなります。そのような環境において、CEFRのガイドラインは、学習の各段階で一人ひとりが自分の英語力を客観視し、課題を見つけ、次に何を目指したらいいかを考える手がかりになります。

国際基準であるCEFRに合わせた英語の学習に取り組むことは、新学習指導要領が定める英語の能力を身につけることにつながり、世界に通じる活きた語学力の育成と自律的な学習に役立つのではないでしょうか。

※2 参考資料:文部科学省 新学習指導要領について(P.14)
※3 参考資料:公益財団法人 日本英語検定協会
※4 参考資料:各資格・検定試験とCEFRとの対照表 文部科学省(平成30年)


まとめ

子供たちが国境を越え、自由に世界中の人とコミュニケーションを取る社会はすぐそこまで来ています。母語以外の言葉で相手を理解し、協働する時代において語学力は欠かせないスキルです。

知識と実用の技能をバランスよく評価するCEFRは、進学・留学、さらに就職などにも用いられる言語能力の尺度です。真のグローバル化が叫ばれ、英語教育が大きく変わろうとしている今こそ、国際標準に合わせた語学学習が必要になると考えられています。その意味でもCEFRの注目度は今後ますます高まるのではないでしょうか。

「私は英語はCEFR C1、中国語はCEFR A2、スペイン語はCEFR B1です」といった会話がスタンダードになる日は遠くないかもしれません。

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