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TOEFL Primaryを導入し、国際交流を積極的に行う ~横須賀学院小学校・小出啓介校長先生、英語科・阿部志乃先生にインタビュー~

港町・横須賀の三笠公園の隣に、開校70年の歴史をもつ小中高一貫校「横須賀学院」があります。公園の向こう側には海が広がり、まさにグローバルなイメージのある同校ですが、2019年から小学5・6年生の学習に「TOEFL Primary」(※)を導入しているそうです。

TOEFLといえば、世界150ヶ国・1万以上の教育機関で採用されている、英語のコミュニケーション能力を測るテストです。いったいどんな経緯で、TOEFL Primary(※)を導入したのでしょうか?

また、同校はさまざまな国々との国際交流を通して、世界につながるグローバルな英語授業を展開しています。その点も興味深く、小学校の小出啓介校長先生、英語科・阿部志乃先生のお二方に、詳しいお話を伺いました。

※TOEFL Primaryとは、英語初級者の総合的な英語力を測る、小・中学生向けのTOEFLテストのこと。


Q1. 貴校の英語教育の取り組みについて教えてください。

Q2. 5・6年生の授業にTOEFL Primaryを導入された経緯は?

Q3.具体的にどのような英語の授業を行っていますか?

Q4.校長先生の英語教育に対する思いをお聞かせください。



Q1.貴校の英語教育の取り組みについて教えてください。

小出校長

小出校長:本校は70年前の創業時から、全学年で週1時間の英語授業を行っています。本格的な英語教育の導入に踏み切ったのは13年ほど前からで、英語を学ぶことが目的ではなく、あくまで英語はツールのひとつとして捉え、実体験を通した教科横断型の授業を行っています。

阿部先生:英語という"言語"を学ぶのではなく、言語の裏側にある"カルチャー"を捉えることを大切にしています。
小学生の場合、通常は英語の先生と一緒に歌ったり踊ったりして、楽しく英語を学ぶ授業が多いかと思います。
でも、その言葉をいつどんなときに使うのかがわからないと、本当に英語が身についたことにはなりません。

そんなときに授業の中で海外の子供たちと交流をするような機会があると、子供たちは「英語で手紙を送りたい。現地の生徒と話したい」という目的を持って、自然に英語と関わることができます。

そういった実体験を通して英語を学ぶことを、授業の中で意識しています。


Q2.5・6年生の授業にTOEFL Primaryを導入された経緯は?

小出校長:私は小学校の校長になる前に、本校の中学校の教員をしていたのですが、中学校では以前からTOEFL Primaryを実施していました。

TOEFL Primaryは英語のコミュニケーション能力を測るテストで、合格・不合格というものがなく、自分自身のコミュニケーションゴールに向かってスコアを伸ばしていくというやり方です。そのため、生徒が現時点での自分の英語力を確認する上で最適だということで、採用しています。

そして小学校の校長になって、小学生の英語教育について考えたときに、TOEFL Primaryの導入について検討することになりました。

当校は小中高等学校を「6・3・3」ではなく、「4・4・2・2」という形で区切っています。その2つめの4にあたる小学5、6年生は、ある程度自分を客観的に見られる年齢に達しているので、これまで自分がやってきた英語の結果をスコアによって知ることも必要だろうという結論になったのです。

阿部先生

阿部先生:合否のあるテストは子供に与える影響が大きいので実施していませんが、TOEFL Primaryなら今の段階での自分自身の実力を、スコアで知ることができます。自分の実力がわかれば、そこから先はもう伸びていくしかありません。


Q3.具体的にどのような英語の授業を行っていますか?

横須賀学院小の授業

海外の小学生とぬいぐるみを交換し、手紙やビデオ会議などを通して交流

阿部先生:たとえば本校の3年生の取り組みの中に、「トラベルテディプロジェクト」というのがあります。

海外の小学生とぬいぐるみを交換し、留学生としてやってきた海外のぬいぐるみが日本で体験したことを、相手の学校に伝えるというものです。

毎年違う国と交流をしていて、これまでイギリスやアメリカ、ドイツ、スペイン、台湾、ウクライナなど、世界のさまざまな国々と交流をしてきました。

ぬいぐるみを送るときは、まずパスポート作りから始まります。「相手は何語を使うのかな?」「そもそも相手の国はどこかな?」「どんなところに住んでいるのかな?」といった疑問から始まり、パスポートに生徒の自己紹介の手紙を一緒に付けて送ります。時差の少ない国と交流するときは、ビデオ会議もやります。

そうした経験をすることで、子供たちは「交流する相手がいるから外国語を話す必要があるのだ」ということを知り、そのためのツールのひとつとして英語があることを学びます。

冬休みにはぬいぐるみを自宅に連れて帰り、日本の生活や自分の趣味を紹介したりして、子供たちは留学生のぬいぐるみと一緒に過ごしています。

生徒自らが「英語の手紙を読みたい」と思って、辞書を調べる

阿部先生:3年生でそんな体験をしてから、4年生以降は世界のさまざまな国に地域を広げ、海外との交流の機会を増やしていきます。毎年実施している紙人形プロジェクトでは、年間3~4ヶ国と紙人形の交換をしています。

子供たちは自分の紙人形が留学していった国に、手紙やレポートを書くのですが、そのときに何語で書くかは生徒自身が決めます。

相手からの手紙は英語でくることが多いのですが、そうすると子供たちは「手紙を読みたい」と思って、辞書で単語を調べたりして何とか理解しようとします。
教員が教えるよりも、生徒が自分自身でトライする方が、どうやって外国語を覚えていくのかを肌で実感できると思うのですよね。

国際交流をしている学校は、英語圏以外の国も数多くありますが、それによって子供たちは「世界にはいろいろな言語があるのだ」ということを知り、あらためて「やっぱり英語の方がわかりやすいよね」と気づきます。

そのことがわかるということが、グローバルコミュニケーションにとって、とても大事なことではないかと思っています。

横須賀学院小の授業

ひとつのテーマについて日本語と英語で学ぶ、教科横断型の授業

阿部先生:3年生以上になると「テーマ学習」といって、ひとつのテーマについて深く掘り下げていく学習があるのですが、このときも日本語と英語の両方で学んでいます。
たとえば社会科で水について学習したら、水の循環がどうなっているのかを英語で学習してみたり、理科の授業で蚕を育てたら、虫の一生について英語で学んだりといった形です。


Q4.校長先生の英語教育に対する思いをお聞かせください。

小出校長

小出校長:英語教育は言語を学ぶというよりも、コミュニケーションスキルを学ぶためにあると思っています。

今までの日本では、その場の空気を読んで波風を立てないように生活をすることが、良いとされてきた風潮があるかもしれません。

でも、今の時代はもう、それでは立ち行かなくなっています。日本人もこれからは自分自身の意見をはっきりと言って、新しいものを生み出していかなくてはなりません。そう考えたときに、これからの子供たちには自分の意見を堂々と相手に伝え、自分と違う意見があったときにはその人の意見を聞けるという、コミュニケーション能力が求められます。

英語を学ぶことで、生徒たちにそういう力が身についてくれればいいなと考えています。今年度は台湾の小学校と姉妹提携を結びましたが、ビデオ会議に留まらず、相互にホームステイも行っています。児童が交流するだけでなく、教員も現地の小学校で授業を行うなど、より密度の濃い交流を図っています。

中国語や日本語でのやり取りが難しいときは、英語に頼ることになるのですが、そのことで教員も生徒も、英語に対する動機づけのレベルがグンとアップします。今後はニュージーランドのホームステイプログラムも実施予定ですが、これからも本校の英語教育を、さまざまな方向に広げていきたいと思っています。

インタビューを終えて

アメリカ文化と日本文化が融合し、独特の異国情緒を醸し出している横須賀の街の海沿いにあって、1950年の開校以来、ずっと英語教育を行ってきた横須賀学院小学校。そんな歴史的背景もあって、同校の国際交流に対する思いは、とても強いものがあります。

英語教育に力を入れながらも、あえて英語という言語にこだわらず、さまざまな試みにチャレンジする方法は、これからの日本の英語教育にとってひとつのお手本となるかもしれません。


小出啓介校長先生、阿部志乃先生

プロフィール:
小出啓介(こいで けいすけ)校長先生(写真 左)
横須賀学院中学高等学校で、国語科教諭として20余年勤務。2019年に本校校長就任。好きなものはキャンプと音楽。あと読書と映画鑑賞、芝居も好きです・・・と留まるところがないように心がけている。

英語科・阿部志乃(あべ しの)先生(写真 右)
就職超氷河期だったため様々な業種のフリーターを経験後、旅行会社添乗員、日本語教師、児童英会話講師を経て、2006年より現職。好きなものは宇宙、恐竜、古代遺跡、旅行。特に「正解が誰もわからない」古代の遺物や宇宙について、あれこれと妄想するのが大好きです。

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