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各資格・検定試験とCEFRの対照表

出典:文部科学省WEBサイト「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(2018年3月時点)

英語のコミュニケーション能力を測るための様々な試験

2019年度を最後に、様変わりする予定の大学入学センター試験。
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」では、思考力・判断力・表現力を重視し、記述式問題が導入されます。
また、英語では、4技能(聞く、話す、読む、書く)を評価するために民間試験を取り入れられるようになります。英語の大学入試では「大学入学共通テスト」と民間試験のいずれか、あるいは両方を利用することができるようになるのです。

さらに、民間の資格・検定試験の活用を支援するために独立行政法人大学入試センターにより「大学入試英語成績提供システム」が設置される予定です。このシステムでは民間の資格・検定の受験生からの成績送付の依頼をセンターが一元的に集約し、要請のあった大学等に対し提供することなどを想定しています。
今回は、「大学入試英語成績提供システム」に参加する要件を満たしているとして認定された資格・検定試験について、それぞれ概要を見てみましょう。

■実用英語技能検定(英検®

年間受験者数が約360万人、1963年の第1回の検定からは累計1億人が受けた国内最大級の検定試験です。
「大学入試英語成績提供システム」の対象として認められたのは3級、準2級、2級、準1級、1級の5つのグレードになります。
また、同システムに対応した試験として、2018年度から「英検CBT」、2019年度から「公開会場実施」と「1日完結型」の3つの方式も新たに導入されます。
「英検CBT」は3級、準2級、2級が対象で、コンピューターによりReading、Listening、Writingの試験を行い、Speakingはマイク付きヘッドセットを使った録音式が採用されます。
「公開会場実施」は従来型に近い形の試験で、Reading、Listening、Writingは紙による解答、Speakingは別の日に対面式で行われます。対象は5つのグレードすべてです。
「1日完結型」の対象は3級、準2級、2級、準1級の4グレードで、Reading、Listening、Writingは紙による解答、Speakingは同じ日に録音式で行われます。
検定料はグレードによって異なり、3級が5,800円、1級は16,500円です。
英語の民間試験は、在学者の場合高校3年の4月から12月に受験した結果のうち2回分までを大学に提供することになります。
各資格・検定試験のスコア・級は別表のとおりCEFR(※2)に対応しています。

※1 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

※2 CEFR(Common European Framework of Reference for Languages):
CEFR=ヨーロッパ言語共通参照枠は、ヨーロッパ言語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドライン。
その目的は、ヨーロッパのすべての言語に適用できるような学習状況の評価や指導といったものの方法を提供することである。
透明性が高く、分かりやすい、包括的な評価基盤を提供するものとして、20年以上にわたる研究を経て欧州評議会で策定された。欧州域内外で使われている。

■TEAPとTEAP CBT

TEAP(Test of English for Academic Purposes)およびTEAP CBT(Test of English for Academic Purposes Computer Based Test)は日本英語検定協会により大学入試を想定して開発された検定試験で、難易度のレベルは英検の準2級から準1級程度。留学を含めた大学教育で遭遇する場面を考慮して作成されています。
TEAPのReading、Listeningはマークシート方式、Writingは解答用紙への記入、Speakingは1対1の面接方式で行われます。
TEAP CBTはコンピューターを使ったテストで、思考力、判断力、表現力に力点をおいたうえで英語運用力を測ります。例えば、Readingでは、文字(英語)で示された選択肢だけでなく、画像をドロップ、ドラッグする問題もあります。
また、ReadingとListening、Speakingや、ReadingとListening、Writingというような統合型問題も出されます。
検定料はTEAP、TEAP CBTともに15,000円です。

■TOEIC®Listening & Reading Testおよび TOEIC®Speaking & Writing Tests

英語のコミュニケーション能力を評価する世界共通の基準であるTOEIC(Test of English for International Communication)。
「聞く」、「読む」力を測るのが、TOEIC Listening & Reading Test(以下、L&R)で、TOEIC Speaking & Writing Tests(以下、S&W)で「話す」、「書く」力を測ります。
L&Rは、Listening45分、Reading75分で、マークシート方式で行われ、スコアはトータル10〜990点で表示されます。
S&Wは、Speaking20分、Writing60分、パソコンを使用して行われ、スコアは0〜200点で表されます。
検定料はL&Rが5,725円、S&Wが10,260円です。

※3 TOEICを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会は、2019年7月2日、大学入学共通テストへの初年度の参加を辞退すると発表した。(2019年7月3日追記)


■ケンブリッジ英語検定

100年以上の歴史を持ち、世界中で年間500万人以上が受検する検定試験です。
特徴のひとつが、受検者2人がペアになって対面式のテストが行われるSpeakingの試験。試験官との会話のほか、受検者同士のやりとりも評価の対象となり、実践的なコミュニケーション力を測ることができます。
言語能力評価の国際指標であるCEFRに準拠したレベルごとの下記の8つの試験が「大学入試英語成績提供システム」の要件を満たすと認められています。

・英語の初学者向け...「A2 Key」、「A2 Key for school」
・中級者向け...「B1 Preliminary」、「B1 Preliminary for school」
・英語を話す環境で自信を持ってコミュニケーションを取るために必要な英語力の「B2 First」、「B2 First for school」
・高度な英語力をもつ人向け...「C1 Advanced」
・卓越した英語力をもつ人向け...「C2 Proficiency」

検定料はレベルによって異なり、例えば、A2 Keyで9,720円、C2 Proficiencyは25,380円となっています。

■TOEFL®iBTテスト

英語圏への留学や奨学金の選考に必要なTOEFL(Test of English as a Foreign Language)。インターネット形式で実施されるのがTOEFL iBTです。

Reading、Listening、Speaking、Writingのセクションがあり、試験時間はReadingが60〜80分、Listeningが60〜90分、Speaking20分、Writingが50分で行われ、各セクションのスコア(0から30)と、総合スコアが0から120で出されます。
Speakingはコンピューターに向かったまま、マイク付きヘッドセットを使って行われます。
なお、ReadingとListeningの試験時間に幅があるのは、新しいタイプの設問の確認などのため、テストによってはスコアに加算されない追加の設問が含まれる可能性があるためです。
検定料は235USドルとなっています。

■IELTS

IELTS(International English Language Testing System)は世界140ヵ国で試験が実施され、年間300万人が受験しています。
試験の結果は、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどへの留学のための英語力証明や、イギリス、カナダ、オーストラリアへの移住申請としても使われています。

いくつかの実施団体がありますが、「大学入試英語成績提供システム」では、ブリティッシュ・カウンシル(日本国内ではブリティッシュ・カウンシルと日本英語検定協会の共同運営)と オーストラリアが実施する試験が認定されました。
なお、IELTSには大学受験生の英語力を測るアカデミック・モジュールと、移住や仕事のためのジェネラル・トレーニング・モジュールがあります。
「大学入試英語成績提供システム」の対象になったのはアカデミック・モジュールです。
試験は、30分のListening、60分のReading、60分のWriting、11〜14分のSpeakingが行われます。筆記試験であるListening、Reading、Writingは同じ日に行われ、Speakingは筆記試験の前後6日の間で、試験官との1対1のインタビュー形式で行われます。
検定料は25,380円です。

■GTEC

GTECはベネッセによって提供されているスコア型の英語運用力測定テストです。2017年度の年間延べ受検者数は約102万人に上ります。
試験は、難易度別に中学1〜3年レベルの「Core」、中学3〜高校2年レベルの「Basic」、高校1〜3年レベルの「Advanced」、高校1〜3年レベルでコンピューターを使って行われる「CBT」の4種類があります。
Core、Basic、AdvanceのListeningとReadingはマークシート式、Writingは自由記述式で解答し、Speakingはマイク付きイヤホンを使ってタブレットに音声を録音します。Writing、Speakingの答案は海外に送られ、英語話者の視点によって採点されます。
検定料は現在Core、Basic、Advanceが6,700円程度、CBTは9,720円。

英語の民間資格・検定は大学入試でどのように評価されるのか

上記のような「大学入試英語成績提供システム」への参加を認定された民間資格・検定=英語認定試験は大学入試でどのように評価されるのでしょうか?
2018年6月、国立大学協会では英語認定試験の活用方法を3つのパターンにわけて参考例を取りまとめています。

①出願資格とする場合
②加点方式とする場合
③出願資格と加点方式を併用する場合

注目すべきは、②の加点方式の場合でも2割以上を適切な比重の例として示している点です。
英語認定試験が出願資格の要件にない大学・学部の入試でも、英語認定試験の成績がかなりの影響を与えることが考えられます。

各大学・学部等の方針により、英語認定試験の結果に基づく加点の点数を CEFR 対照表に基づく水準ごとに定め、その最高点が共通テストの英語の成績と合わせた英語全体の満点に占める割合を、英語4技能学習のインセンティブを与える観点から適切な比重(例えば2割以上)となるようにすることが考えられる。

出典:大学入学共通テストの枠組みにおける英語認定試験及び記述式問題(国語)の活用に当たっての参考例等について

英語認定試験の導入により、4技能をバランスよく高めることが受験生にますます求められていきそうです。

※本記事については記事掲載時点の情報です。
2019年11月1日付で文部科学省は、2020年度からの「大学入試英語成績提供システム」導入の見送りを発表いたしました。
最新情報は、新しい記事でお届けいたします。(2019/11/15加筆)

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