吉田 研作(監修)・春日 聡子(解説)
『完全改訂版 起きてから寝るまで子育て英語表現600』
アルク
親が英語をつぶやくと、子どもも英語を話したくなる
アルクの「起きてから寝るまで」英語表現シリーズは、累計200万部突破している人気の英会話テキストシリーズです。
今回はそのシリーズの中の1冊である『完全改訂版 起きてから寝るまで子育て英語表現600』をご紹介します。
本書は、1996年発行の『起きてから寝るまで子育て英語表現550』を完全改訂し、時代に合わせてフレーズ数を増やしたもので、表現・状況を改めて出版されました。
「子育てをした経験のある人なら、多かれ少なかれ、誰でも経験したことがある場面」を想定したシンプルな英語表現を集めており、ママ・パパが子どもとの日常生活の中で使える英語のフレーズ集になっています。
本書は親向けの本ですが、幼児向けの英語教育にも有用です。
子どもが小さい頃から英語のフレーズでたくさん話しかけてあげると、子どもは英語をアウトプットしやすくなっていくのです。
そして、子どもが英語でアウトプットしたときに親が英語で応えてあげられれば、子どもが達成感をより感じやすくなります。
英語フレーズの例を見ながら、親子で楽しく英語を学ぶ方法を探ってみましょう。
子育て中、言っていること・やっていることを英語にするだけ
本書では、日常のあらゆるシーンでの英語のつぶやきフレーズを紹介しています。
朝起きて、赤ちゃんにミルクを飲ませるところから始まり、おむつ替え、着替え、公園での遊び、電車でのお出かけ...などなど。
例えば、朝。赤ちゃん(男の子)の状態を次のようなフレーズで表現できます。
"He wakes up."(彼は起きているよ。)
"He gets cranky."(彼はぐずっているよ。)
"He sneezes."(彼はくしゃみしてるよ。)
また、ミルクを飲み終わって背中をトントンするときなど、"I pat his back."(背中をトントンしてあげる。)とつぶやけば、ママ自身の動作も英語で表わすことができます。
赤ちゃんに話しかけるときも、もちろん英語です。次のようなフレーズを毎日使ってみましょう。
"Oh, are you awake?"(あ、起きたかな?)
"Wow, your diaper is heavy."(うわ、おむつがパンパン。)
"Have you done a poo-poo? Let's take a look."(うんち出たかな? ちょっと見せてね。)
"Let's get dressed."(お着替えするよ。)
"What do you want to wear today?"(今日は何を着ようか?)
"Lift your arms."(バンザイして。)
"Peekaboo!"(いないないばあ!)
このように、子育て中に毎日、朝から晩まで日本語で繰り返し言っていることを、英語にするだけで、英語を話す機会がぐっと増えるのです。
始めの頃は、独り言のような英会話になりますが、それでいいのだと監修者はいいます。
英語を学ぶには、自分自身の人生・生活・考え・気持ちを「教材」とすることが一番よいのだそうです。
子どもの成長に合わせた例文がたくさん
赤ちゃんの時期に使えるフレーズだけでなく、子どもの成長に合わせて豊富な例文が用意されているのも本書の魅力です。
子ども(女の子)の変化を次のようなフレーズで言ってみましょう。
"She is shy around strangers."(彼女は人見知りだね。)
"She follows me everywhere."(彼女はどんなところにでも私を後追いしてくる。)
"Oh, you have head control."(あれ、首据わってる?)
また、子どもが成長すると、会話のグレードも上がりますので、しつけの要素も例文に出てきます。
例えば、食事の場面の"Sit down, please."(ちゃんとお座りしてね。)というフレーズ。
本書の注釈では『子どもに何かを促すときには、ただ命令をするだけではなく、"please"を付け加えると、言葉遣いが丁寧になるので、子どもも聞き入れやすくなる』と説明されています。
逆に、「やめなさい。」とピシャリと言いたいときはpleaseをつけずに"Stop it."となります。
しつけで使えるフレーズは他にも次のようなものがあります。
"That's not nice."(お行儀悪いよ。)
"Not now, please."(今はやめてね。)
『pleaseを強く言うことで、丁寧な表現ながら、親の本気を示すことができる』という注釈も記載されており、微妙なニュアンスを子どもに伝えるコツもわかるようになっています。
子どもと向き合いながら英語子育てしてみよう
本書で紹介されている英語フレーズは、子どもの状態・気持ちをたずねたり、表現したりする言葉が豊富です。
そういう英語フレーズを意識的につぶやくことは、子どもと向き合うことに自然とつながります。
また、親自身が楽しんでいると、子どももまねをしたくなるものです。
家庭に「英語=楽しいもの」という雰囲気を作り出せるように、親が楽しみながら英語で子どもに話しかけてみましょう。
監修者
吉田 研作(よしだ けんさく)
上智大学言語教育研究センター長。専門は応用言語学。文部科学省中央教育審議会外国語専門部会委員。J-SHINE理事・認定委員長。『起きてから寝るまで』シリーズや『小学校英語はじめてセット』(アルク)などの監修を努めるほか、著書多数。
解説者
春日 聡子(かすが さとこ)
東京大学文学部社会学科卒。ロンドン大学UCLにて英語額修士号を取得。オーストラリア、アメリカで育ち、イギリスで子育ての経験をもつ2児の母。英語教材の執筆、翻訳、編集に携わる。著書に『英会話壁打ちトレーニング[基礎編]』(アルク)などがある。