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英語教育に関するニュース

CLIL授業1

英語以外の教科の内容を英語の授業で扱うCLIL(※)という指導方法が注目を集めています。
CLILは、ヨーロッパで始まった外国語指導法で、国語や算数、理科、社会、音楽、美術など、外国語以外の教科の内容を外国語で学習するという方法です。

※CLIL(クリル):
Content and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習)の略。

興味を持っているテーマを外国語を通して扱うことで、そのテーマに関する新たな知識を得るとともに、外国語の学習にも興味を持って取り組めるようにすることがCLILの狙いです。
そんなCLILを授業に取り入れている町田市立小山ヶ丘小学校の6年生の授業を取材してきました!


国語で習った外来語を英語で学ぶ

取材に伺った授業は、5年生のときに国語で習った漢語、和語、外来語をテーマにした全3回の授業の2回目でした。
この授業は、「いろいろな外来語がどこの国から伝わってきたのかを知り、言葉の面白さを味わう」というめあて(目標)を掲げてすすめられました。


CLIL授業2

まずは前回の授業のおさらい。もともと日本にある言葉が「和語」、古くに中国から日本に入ってきて定着した言葉が「漢語」、主に近代の時期に中国以外のいろいろな国から日本に入ってきた言葉が「外来語」であることを復習しました。
なお、前回は下記のような宿題が出されており、今日の授業の下準備になっています。

【前回の宿題】
・外国語を表す6つの英単語、Portuguese(ポルトガル語)、Dutch(オランダ語)、German(ドイツ語)、French(フランス語)、Russian(ロシア語)、Chinese(中国語)を覚える。

・身の回りにある外来語が、どこの国から来た言葉なのかを調べてくる。

日本の歴史と関係する外来語の由来

外来語について、担任の畑野 彩先生がどこの国から来た言葉なのかを英語で児童にたずねます。

先生:"Where is カステラ from?"(「カステラ」はどこからきましたか?)
児童:"It's from Portuguese."(ポルトガル語からです。)

指された児童は見事に正解を答えました。
畑野先生は「そう、よくわかったね。社会で南蛮貿易について習ったのを覚えているかな? 南蛮貿易の影響だね」と、国語だけでなく、社会の学習内容も交えながら、生徒の興味を引き出します。

"Where is '◯◯◯' from?(「◯◯◯」はどこからきましたか?)"、"It's from △△△."(△△△からです。)という表現の使い方がわかったら、児童同士がペアになって練習です。

CLIL授業3

練習に使う外来語は単語カードを引いて決定します。
カードを作るために、「カッパ」、「カステラ」、「セイウチ」、「いくら」、「ボタン」、「コンペイトウ」、「背広」、「おてんば」、「かるた」、「テーマ」、「ソング」、「ポン酢」と書かれたプリントが用意されていました。


CLIL授業4

このプリントを児童がカットしてカードにして、さらに児童たちが自分で調べてきた単語を書き入れたカードも加えます。このカードのセットからペア同士の児童が交互に1枚ずつカードをひいて、どこから来た言葉かをたずね合います。

クイズ感覚で盛り上がる児童たちは「言葉の面白さ」を心から味わっていました。
ペアでの練習中、畑野先生はユニークな言葉を調べてきた児童をチェックしており、練習後にクラス全員の前で発表させました。


CLIL授業5

例えば、こんな質問が発表されました。

児童:"Where is ドレミファソラシド from?"(「ドレミファソラシド」はどこからきましたか?)

何人もの児童が手をあげ、次々と答えますが、なかなかあたりません。答えはイタリア語。
他にも、「ランドセル」や「アジト」、「パン」、「バームクーヘン」などの外来語が紹介され、生徒の知的好奇心を満たして授業は終わりました。

次回の授業では、外国に伝わっている日本語や外国に伝えたい日本の言葉を考えて、児童の「知りたい」「話したい」という気持ちを高め、英語で表現することにつなげる予定だそうです。


想定以上に外来語への興味を深めた児童も

CLIL授業6

外来語についての英会話を通して児童が協同学習する今回の授業について、担任の畑野先生はこんな風に感想を述べています。
「今日の授業で用いた"Where is 〜?"という表現はこれまでの授業で2回扱っているので、児童はためらいなく使うことができました。授業のめあてである言葉の面白さを味わうことができたようです」

また、児童からは、下記のような感想が寄せられました。好奇心が刺激され、興味を持って授業を受けたことが伺えます。

【CLILで国語の授業を受けた児童の感想】
・外来語は英語が多いと思っていたが、調べてみると意外と少なかった。
・外来語は貿易によって伝わったものが多く、ポルトガル語から来たものが多いとわかった。
・ペンギンの語源について調べたら、ラテン語からフランス語、そしてスペイン語へと影響していったことがわかって面白かった。
・外来語がいつ頃、どのように伝わり、どのように使われてきたのかを知りたくなった。
・授業に興味が出てきていつもより発言できた。
・出題された言葉の由来を考えるのが面白かった。

畑野先生によると、この授業をきっかけに外来語の由来にはまって、休み時間にクイズを出し合う児童も見られたと言います。
ラテン語やサンスクリット語など、疎遠に感じていた言葉が身近な外来語に含まれていることに興味を覚えた児童もいるそうです。

CLIL授業7

CLILで扱う教材は、過去に学んだ内容を復習する場合と、新しく学ぶことの導入として学ぶ場合の2種類があります。
同校の英語授業の指導に当たっている玉川大学・佐藤 久美子教授は、どちらの種類の教材でも、児童が学習内容について「なんだろう?」と興味をもち、知りたいと感じることが学習意欲につながると説明していました。
そのためには、下記の4つのCを意識してCLILの授業を行うことが大事だと言われているそうです。

【CLILの授業で重要な4つのC】
・"Content"(内容)
・"Communication"(言語)
・"Cognition"(思考活動)
・"Culture/Community"(文化・国際理解/協同学習)

佐藤先生によれば、CLILの指導法を理科の授業に取り入れた事例でも、月の満ち欠けを英語で学んだ小学6年生の児童から、「理科に興味があったので、面白かった」「英語が好きなので、理科の内容も興味を持って学べた」という感想が得られたといいます。
他教科のコンテンツと英語を融合させ、両面からアプローチできるのが、CLILの特徴です。
好きな教科を英語で学んで英語の楽しさに気づいたり、好きな英語で学んだ教科を好きになったりといった効果をCLILは狙えます。CLILを授業に取り入れる小学校は、今後も増えていきそうです。

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