英語教育に関するニュース

公立小中高一貫校

公立で初めての小中高一貫校

中高一貫校は6年間一貫したカリキュラムで、さまざまな能力をじっくり育成することを主眼においていますが、近年、特に公立の中高一貫校が全国で増設されています。
そして、中学校・高校だけでなく、小学校も含めた小中高一貫教育を行う公立校が現れています。

全国の公立校で初めて小中高一貫校となるのが、都立立川国際中等教育学校です。2022年には附属小学校が併設され、「都立小中高一貫校」となります。

同校は豊かな国際感覚を培うことを教育理念に掲げており、下記のように段階を踏み、小学校卒業までに日本語と英語両方で自分の考えを口頭および文章で明確に表現できる生徒を育成することを目標にしています。

外国語教育における主な到達度指標(案)は、まとめると次のようになります。

・小学3年生の終わりまでに、自分に関するごく簡単な質問に答えられるようになる。
自分に関する語句や文を聞き取れる、音声で慣れ親しんだ単語を見て理解できる、自分について簡単な語句や文で話すことができる、アルファベットの大文字と小文字を活字体で書くことができる。

・小学校6年生の終わりまでに、日常生活の基本情報について英語で理解、説明できるようになる。
日常生活において必要となる基本的な情報を聞き取ることができる、平易な短い物語を読んであらすじを理解できる、日常生活において必要となる基本的な情報を伝えることができる、自分に関するごく限られた情報を、簡単な語句や文を用いて書くことができる。英語検定の3級(中学校卒業)レベルを目標にする。

同校のように一貫教育のメリットを活かして英語教育に力を入れる学校は、これからも増加しそうです。

先進的な語学教育の準備を進める同校が、英語教育についてどのような特色があるのか、都の発表資料からまとめてみました。

小学校から英語学習の環境づくりを徹底

都立立川国際中等教育学校附属小学校は下記のような学習環境の提供により、英語の5領域(※1)において実用的な英語力を育成することを狙っています。指導方法を工夫するだけでなく、英語のネイティブ・スピーカーと接することができる環境づくりにもこだわっている様子がうかがえます。

【同校が想定している英語学習環境】
・授業時間は、毎日の短時間学習(モジュール)や土曜授業等により、第1学年から十分な時間を確保。

・少人数や習熟度別による指導のほか、英語以外の教科の内容を英語で学習するCLIL(※2)や ICT (※3)を 活用した交流活動等を効果的に導入。

・第1学年から第6学年までにおける英語の指導については、学級担任のほか、専科教員や外国人指導者、JETプログラム(※4)等の活用についても検討。

・英語学習発表会、スピーチコンテスト、海外の学校やインターナショナルスクールとの交流なども予定。

※1 英語の5領域・・・文部科学省の小中学校次期学習指導要領(2017年3月公示)に記載されている中学校の指導目標。「①聞く」「②読む」「③話す―やりとり」「④話す―発表」「⑤書く」の5つの領域別に目標設定される。話すことについて特に重視されており、③④に分かれた領域が設けられた。「③話す―やりとり」は関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うことができることを指し、「④話す―発表」は、大勢の前で自分の考えや研究したことをわかりやすく伝えることを指す。

※2 CLIL(Content and Language Integrated Learning)・・・内容言語統合型学習。他教科学習と英語の語学学習を統合した英語教育法。理科や社会など、他教科の内容を題材に言語活動を行うことで、英語の技能を高めることを狙う。

※3 ICT・・・情報通信技術。情報(information)や通信(communication)に関する技術(Technology)の総称。学校教育の場にでは、電子黒板やノートパソコン、タブレット型端末などを用いた教育をICT教育と称することが多い。

※4 JET プログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme)・・・語学指導等を行う外国青年招致事業。外国青年を招致して地方自治体等で任用し、外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図る事業


参考:東京都教育委員会「都立小中高一貫教育校教育内容等検討委員会報告書について」

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