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英語教育に関するニュース

日常会話に役立つフレーズが凝縮!笑いながら聴く力・想像力を育む「英語落語」で英語を学ぶ〜女流落語家・ダイアン吉日さんインタビュー〜

バックパッカーの旅で訪れた大阪で日本文化に魅了され、日本に暮らして早30年というイギリス生まれの女流落語家、ダイアン吉日(きちじつ)さん。

著名な落語家との出会いがきっかけで、英語で落語を演じる「英語落語」の道へ。

日本国内だけでなく、世界30カ国以上で公演を行い、落語という日本の伝統文化を英語で世界に発信しています。「英語落語は英語を学ぶ上でも効果的な学習ツールです」というダイアンさんに、落語の魅力と英語教育との関係について伺いました。


Q1. ダイアンさんと英語落語との出会いについて教えてください。

Q2. 英語で落語を行うときに心がけていることは何ですか?

Q3. 子供たちはダイアンさんの英語落語をどのように楽しんでいますか?

Q4. 具体的に英語落語は英語学習にどんな効果を与えるのでしょうか?

Q5. 日本の子供たちが英語を話せることで得られるメリットとは?



Q1. ダイアンさんと英語落語との出会いについて教えてください。

Q1. ダイアンさんと英語落語との出会いについて教えてください。

枝雀師匠との出会いが落語家としてのはじまり

私が最初に「英語落語」を知ったのは、故・桂枝雀師匠との出会いがきっかけでした。日本に来て6年目、1996年のことです。枝雀師匠は古典落語だけでなく、ご自身で翻訳した英語で落語を演じる英語落語の先駆者としても大変有名な方でした。

私の知人が、たまたま枝雀師匠の英語の先生だった関係で、ある日突然「枝雀さんが外国人のお茶子を探しているけれどやってみない?」と誘われたのです。お茶子とは、舞台の上で座布団を整えたりする、いわばお世話係。
当時、落語のことは何も知らなかった私ですが、大好きな着物が着られると聞いて「やってみたい!」と即決しました。

日本の文化に興味があり、大阪で暮らしていた当初から茶道や華道を習っていて着物も好きでしたので、着物を着ることができると聞いただけで気持ちが高ぶりました。

そして、実際にはじめて枝雀師匠の英語落語「時うどん」を聞いたときは鳥肌が立つほど感動したことを覚えています。「時そば」という古典落語を関西風に"うどん"にアレンジした演目です。

「落語」という素晴らしい日本の文化を英語で世界に発信

生き生きとした表情や身のこなしで聞く人をぐいぐい話の中に引き込んでいく落語は、それまで私が知っていたどんなパフォーマンスとも違い、一瞬にして虜になってしまいました。

たった1人で何役もこなす話術、扇子を箸に見立て、まるで本当に食べたり飲んだりしているかのような豊かな表現力、座布団に座っているのに歩いたり走ったりする身のこなし・・・。落語の世界のすべてに衝撃を受けました。

その後、お茶子のお手伝いをしながら大阪の英語落語道場に通い、本格的に落語の勉強をはじめました。そして、これもまた偶然の出会いから「舞台に上がらないか」と声がかかり、1998年に英語落語をはじめて人前で披露するというチャンスに恵まれたのです。

以来、古典から創作まで、さまざまな英語落語を演じてきました。落語という日本の素晴らしい文化を多くの外国人に伝えたいという思いから、1999年のアメリカ公演を皮切りに、母国イギリスをはじめ、ベルギー、香港、インドなど世界30カ国40都市以上で公演を行ってきました。

最近では日本各地の小中学校、大学などでも英語学習の一環として英語落語を取り入れる学校が増え、教育機関で英語落語を披露する機会も多くなりました。


Q2. 英語で落語を行うときに心がけていることは何ですか?

Q2. 英語で落語を行うときに心がけていることは何ですか?

シンプルな英語表現と身振り手振りで"誰にでもわかる笑い"を届ける

「日本の文化を英語で面白く伝えることができるの?」とよく言われるのですが、まずは笑いのポイントとなる"オチ"さえきちんと押さえれば、言葉が違っても落語を十分楽しんでもらえると思います。

そのためには単に日本語を英語に翻訳するだけではなく、誰にでもわかりやすい簡単な単語を使って、話の"核"をできるだけシンプルに表現することを心がけています。

日本で英語落語を行うときは、日本語の説明を入れることもありますし、同じ演目でも客席の反応を見ながら臨機応変にアドリブを加えていくことが大切です。また、小道具を使った身振り手振りや顔の表情などで、言葉では表現しきれない内容を伝えることができるのも落語の醍醐味です。

日常の実体験を盛り込んだ「創作落語」で会場が盛り上がる

創作落語では、私が実際に日本に来て驚いたことや面白いと思った体験談を盛り込むようにしています。「電車の中で寝ているサラリーマン」「無料で配るティッシュペーパー」「タクシーの自動ドア」など、日本の習慣をネタにした話は身近でリアリティがあり、いつも会場が笑いで盛り上がります。

はじまる前には「英語落語を聞くのがはじめてで、理解できるかどうか心配」とおっしゃる方が多いのですが、終わった後には皆さん「思っていたより聞きやすかった」「中学校レベルの英語力でも十分楽しめますね」と言ってくださり、それが私の喜びのひとつです。

お子さんにも英語初心者の大人の方にも、とにかくお客さん全員にリラックスして笑ってもらうことが1番。それがエンターテイメントの基本だと思っています。


Q3. 子供たちはダイアンさんの英語落語をどのように楽しんでいますか?

Q3. 子供たちはダイアンさんの英語落語をどのように楽しんでいますか?

「わかった!」「言えた」聞いて笑って英語力に自信をつけるきっかけに

英語落語の公演のたびに、いつも子供の素晴らしい吸収力や順応性に驚かされます。新しい表現をどんどん覚え、そして面白いと思った言葉はすぐにまねするのです。

「ホットチキンスープ」を「ホッチキス®」と聞き間違えた話や、「ありがとう」を「アリゲーター」といっちゃう外国人の話などはとくに子供にウケが良く、みんなその場面場面で表情豊かにリアクションしてくれます。

また「時そば」を「たこ焼きタイム」というオリジナルの演目にアレンジした落語では、英語で時間を数えるシーンが出てきます。
小さなお子さんもいっしょになって声をだし「one, two, three...」と英語で数を数えてくれます。そして帰り際には目を輝かせながら、その日に覚えた英語を私に語りかけてくれるのです。

たとえ、あらすじがわからなくても、オチが理解できないときでも、表情や言葉のリズムなどによって、子供たちは話の内容を理解してくれます。英語落語を聞き、笑いながら「英語がわかった」、「話せた」という体験が、子供たちに自信をつけるきっかけになればうれしいですね。


Q4. 具体的に英語落語は英語学習にどんな効果を与えるのでしょうか?

Q4. 具体的に英語落語は英語学習にどんな効果を与えるのでしょうか?

英語落語に出てくるリアルなスモールトークを英会話の学習に役立てる

落語の内容は古典的なものから現代人の日常まで幅広いのですが、基本的に毎日のささいな出来事を題材に、登場人物の会話のやりとりでストーリーが展開します。人間味あふれた失敗や勘違いといったエピソードを中心にしたスモールトーク(※)には、実際の英会話に応用できるフレーズがたくさんあります。

また、英語落語は難しい話をわかりやすい英語で表現するため、英語初心者のリスニングの勉強にも適していると思います。

※スモールトーク(Small talk):ちょっとした世間話や雑談、会話の糸口となるようなおしゃべりのこと。

話し手の動きを想像することでより深い内容を理解する

座布団の上の動きや、扇子と手拭いといった小道具を使いながら、大げさな身振り手振りを交えた落語の演出は、英語に命を吹き込み、観客の想像力を膨らませます。落語家の表情を見るだけで英語の意味がわかることもありますし、知っている単語をさらに深く理解する助けになることもあるでしょう。

日常生活で英会話に詰まったときなど、落語で見た動作を思いだせばコミュニケーションの手助けになるかもしれません。

「勉強」ではなく「笑い」として楽しく学べる

英語落語は授業ではなく「笑い」の時間です。私はインドで、笑いとヨガの呼吸法を組み合わせたエクササイズ「笑いヨガ(ラフターヨガ)」を習い、今も実践していますが、「笑う」ということ自体にストレスを発散する効果があると信じています。

英語落語にはテストや宿題はありません。言葉遊びや会話のやりとりを聞きながら、その場にいる人たちと笑いを共有し、話の世界に入り込むことで無意識のうちに英語が学べる良い機会だと思います。

「英語落語」の体験コーナーで子供に落語の楽しさを伝える

1人でも多くの子供たちに落語にふれてほしいという思いから、公演の際には落語体験も行っています。
あらかじめ道具の使い方や表情のつけ方などを教えた後、子供にステージに上がってもらい、落語独特の想像の世界を体験してもらうのです。
たとえば、

"Where would you like to go?"
(どこに行きたい?)
と聞いて

"I would like to go to Italy."
(イタリアに行きたい。)
と答えたら、

"OK. Let's go to Italy!"
(OK.さあ、イタリアに行こう!)

という具合に進め、子供はその場所や見えるものなどを想像し、説明しながら話を展開させていきます。その場で歩いたり走ったり、ときには空を飛んだり、落語の中の想像の世界では何でもできるのです。

日本だけでなく、ノルウェーやインドなどさまざまな国で実践してきました。
このような活動を通してわかったことは、どんなに恥ずかしがり屋の子供でも、一度ステージに上がり、話しはじめて周囲が笑いだすと、自信が出てきて最後までやり通すことができるということ。きっかけさえ与えてあげれば、子供はどんどん空想の翼を広げてくれるのです。

笑いの世界に正解や間違いはありません。子供の想像力も同じです。大切なのは、そのイメージを言葉にだして人に伝えようとすることです。
顔の表情や体の動きを交えた英語落語の体験によって、子供の才能の芽をのばすことができたら素敵だと思います。


Q5. 日本の子供たちが英語を話せることで得られるメリットとは?

Q5. 日本の子供たちが英語を話せることで得られるメリットとは?


「世界とつながっている」という実感が可能性を拓く

私の経験から、まずその国の言葉や文化を理解すると圧倒的に友達が増えます。日々の生活にも自信がつき、コンプレックスに悩むこともなくなるでしょう。もちろん将来の仕事のチャンスも広がります。

日本語があまりわからなかったとき、私の世界はとても狭かったように思います。「あのとき、もう1歩踏み込んだ会話ができていたら人生が変わっていたかもしれない」と考えることもあります。

私は子供の頃から世界中を旅することが夢でした。大人になってから、昼間はグラフィックデザイナー、夜はウェイトレスとしてレストランで働いてお金を貯めました。その後、仕事を辞めてバックパッカーとして旅に出て、現在までに訪れた国は61カ国にのぼります。
旅先でたくさんの友達に恵まれ、自分はいつでも世界とつながっていると感じます。

異文化の中で生活するときに大切なのは、好奇心と勇気です。
そして、それを大きく後押ししてくれるのが、語学の力だと感じます。

子供といっしょに笑いながら英語を学ぶ環境作りを

英語を学習する上で何より大切なのは、間違いを怖がらず、間違えながら覚えることです。日本で暮らし30年経った今も、私は日本語を間違えてばかり。でも、その失敗を笑い話として誰かに話すことで、2度と同じ間違いを繰り返さないようになりました。

芸名のダイアン吉日は、日本語の「大安吉日」を元にした言葉遊びから生まれました。
ご自宅でも、英語の言葉遊びをお子さんといっしょに実践してはいかがでしょう。

「ケーキ」と「景気」をかけたり、「ビザ」と「ピッツァ」、「デリシャス」と「デリバリー」を勘違いしたり。英語落語には、言葉遊びのヒントがたくさん!

英語落語を通し、1人でも多くの方に落語の根底にある世界共通の「笑いの文化」を楽しんでいただけたらと思います。

インタビューを終えて

江戸時代から庶民の娯楽として親しまれてきた落語。日本にいても、なかなか生で聞く機会がないという人も少なくないかもしれません。まして英語落語ならなおさらです。
でも、想像以上にわかりやすく、英語落語を知ってから落語に興味をもったという人も多いようです。みんなで笑いながら聞ける英語落語は、子供の英語教育だけでなく、英語にふれる機会が減ってしまった大人が英語を学び直すきっかけとしても、オススメのツールといえるのではないでしょうか。


ダイアン吉日さん

プロフィール:ダイアン吉日(だいあん きちじつ)

イギリス・リバプール出身のバイリンガル落語家。1990年に来日し、8年後に大阪で英語落語家としてデビュー。古典から創作まで表現豊かに演じる落語が注目を集め、「わかりやすい英語落語」が幅広い層に愛されている。日本と海外の文化の架け橋となる国際的な活動が評価され、2013年には公益財団法人世界平和研究所において第9回中曽根康弘賞・奨励賞を受賞。バルーンアーティストとしても活躍するなど多彩な才能をもつ。
ダイアン吉日公式ウェブサイト

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